【旧作改訂】イレギュラー召喚で神器をもらえませんでした。だけど、勝手に付いてきたスキルがまずまず強力です

とみっしぇる

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44 人食いに食われた私

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ゲルダの瞳にやられた。

何というか、その・・。敵だった訳ではない。
むしろ好意的というか、なんというか。

はっきり言うと性的にやられた。あいつかバイセクシャルってやつなのか、それとも百合ってやつなのか分かんない。

だって私の経験値が少ない。

ノーマルな恋愛さえ、相手が死んで中途半端に終わった。体がエロくなっても心は未熟者だ。

大した経験がない私は、酔った勢いでゲルダにひんむかれて、見つめられた。ドキドキして、なされるがままになった。

で、朝だ。

「えへへ、ついサーシャが可愛かったもんで」
「・・いいよ、別に」
「いやあ、普段の態度とその体から、経験豊富と思ってた」
「以前の経験は男が一人。それも短期間。以上」

「ふふ、まあいいや。感度もすごかったし。これはこれで、楽しませてもらったから。チュッ」
「んむ・・ばかたれ。そりゃ悪くなかったけど」

まさか、沼様にもらったスーパーフェロモンボディーの最初のお相手が女だとは・・

「なんだろ、嫌悪感はないな」

スケベ大好きの沼様が反応しなかったのは、邪気がないからか。

ゲルダはマツクロ子爵への復讐のため、私と行動を共にしている。

私も自分の死の偽装をするため、ゲルダと一緒にいる。

ゲルダは直接的に人を殺してないけど、私達は出会って2日目から「殺人鬼コンビ」という、これ以上ない強烈な関係にある。

「まあ、その中にエッチが加わったくらいじゃ、混沌の海に水を一滴垂らしたみたいなもんか」
「ひっひっひ、何を垂らしてたって?」
「精神的な話よ・・スケベ」

「えへへ、切り替えましょ。サーシャ。マツクロ子爵の四男と五男が本格的に私達の捜査を始めるわ」
「この前の牧場跡地の商会に100人規模で集まるんだね。四男と五男だけ集結前に倒そう」

「あの2人は他領にいるから、商会に行くのは10日後だね。1ヵ所だけ林道があるなら、そこで奇襲かな。中級の火魔法使いが2人いるのが厄介だね」
「2人なら先に潰せる。ゲルダはリクエストある?」

「子爵の四男、五男に止めを刺したいけど、贅沢言わないわ」
「OK。2人は生け捕りね。昨日、水もたっぷり収納指輪に入れたでしょ。派手にばら蒔くよ」

しばらく冒険者らしく、ウサギを捕まえたりした。一緒にご飯を食べて、たまに一緒のベッドでキスしたりして過ごした。

◆◆

10日後、ゲルダは「赤いサーシャ」、私は「白銀騎士ナイト」になり林道にいる。

敵が目指す牧場風商会の3キロ手前で待ち伏せた。ちょうど雨も降ってきた。

「あと100メートル。何台かの馬車にたくさん人がいる。魔法使いもどっかにいるのか」
「36人で魔法使いは最後尾の馬車に乗っている。魔力量が違うから間違いないと思う」
「そんな細かなとこまで分かるんだ」

「逆に高レベルっぽい「ナイト様」が分からないのが不思議よ」
「我が能力は、魔獣召喚と人食い水魔法に全振りである」
「そっか、あれだけの能力だから、他の力は使えないか」

「無駄話は終わりで、行くでござるよ。人食いサーシャ殿」
「くく、キャラ作りへたくそ」
「うふふ」

まあ、作戦は簡単だ。私の腕力で魔法使いの馬車に鉄球を投げまくるだけだ。

ひゅるるるる。

「ゴキタ様」
「どうした!」
「なにか飛んで・・」

ドゴッ!ドゴッ!ドゴッ!

「魔法使いの馬車が狙われてるぞ」

馬車から5人が飛び出して来た。

「くそっ、3人やられた。魔法使いも1人やられたぞ」
「あっ、木の影から誰か出てきた。聞いてた奴らだ」

雨に濡れた地面は「沼」を隠しやすい。

「ナイト様いくわよ。「人食い水溜まり」」

まあ、ただのショボいウオーターボールを雨で濡れた林道に打ち込ませただけだ。

ぽちょん。

そこに2・5メートル沼を走らせた。

「うわっ」
「足が抜けん。まさか!」
「え?嫌だ、死にたくねえ」
 
ぼそっ。
「ゲルダ、魔法使いの方にウオーターボールを撃って」

ヘロヘロのウオーターボール4発を30メートル先の魔法使いに撃たせて、私も走った。

「80センチ泥団子発動、投擲」

炎の魔法をセットした魔法使いの10メートル圏内に入ると同時に、そいつの膝に向かって泥団子を投げた。

「これが「人食い」の水魔法か。打ち落としてやる。ファイアウオール!」

ぱちゃっ。じゅわっ。じゅわっ、じゅわっ、じゅわっ。
ぺちょっ。ぬぽっ。

ウオーターボールが弾けて蒸気が上がったが、遅れて泥団子が魔法使いの膝にくっついた。

「ひっ、蒸気が何かに変化した。食われる、嘘だろ!」

転倒させられて、膝から空中の水の飛沫に吸われているように見える火魔法使い。

「火魔法使いごときが、人食いサーシャ様の餌食になってしまえ!」

棒読みだが効果はあった。

「やってらんねえ、逃げろ」

なんと20人ほどが逃げ出した。

「おらあ、逃げんな!」
「何が人食いサーシャだ」

「あれが、ターゲット?」
「うん・・。ナイト殿、四男のゴキタと五男のタランガ」

180センチ越えの長剣持ちと戦槌持ちを見た瞬間、ゲルダの目の色が変わった。

『おい、誰だサーシャと一緒にいるのは』

ぼそっ。
「あ、沼様。ゲルダだよ。話したでしょ」

『強烈な憎悪だな。お前に向けられるもんでもないのか。つまらんな』
「沼様は憎悪も好きなんだ」
『まあな。だかそいつ、すでにお前に好意的だ。メロンとカリナくらい興味が沸かんな』

「白銀騎士様、ぼーっとしないでよ」

「そうだった。ゲルダ、サービスにもう1個だけスキルを披露する。60センチ小沼、4個発動」

ぽちょん。


「おら、正々堂々と勝負せんか、いでで」
「拘束を解け、ぐぐぐ」

見物人もいないし、小沼で2人の両足を捕まえ、足をまっすぐにして立たせている。

膝から下は小沼の不思議引力で固まっているから、体を動かすと足に激痛が走る。武器を下に突いて、立っているのがやっとだろう。

「ふふっ、ゲルダ好きにして。私が解かない限り、この2人は拘束されたまんまよ」

振り向いた私はドキッとした。

「・・やっと、この日が来たのね」

私が貸した2・5メートル鉄槍を握りしめるゲルダ。

「ゲルダ、きれい・・」

目から光が消え、「沼」を覗き込んだときと同じ深い闇の色をしていた。




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