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56 沼レベル6
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ピピピ、ピピピ。
待ち遠しかった、あの音だ。
ピピ沼レベル6ピピ
「沼様!」
『叫ばんでも、もう大丈夫だ。ゲルダは助かる。ただ問題もある』
「ゲルダのこと?」
『ああ。実際にはゲルダは死んでるレベルだ。沼レベル6でも復元できん部分が多すぎる』
「お願い、何か手はあるんでしょ」
『神器持ちのパーツを使う。というか、アタイが使えるのは、それしかない。融合させるから難度が上がるが、ゲルダは生き残る。沼の干渉なしで生活できるまで時間はかかりそうだか、それでいいな』
「ありがとう。それでいい」
『もう1個もゲルダに絡むが、得るはずの権利放棄を宣言してもらう』
「権利って何?」
『レベル5で泥団子を作れるようになったよな。6では沼の直径を最大5メートルにする権利がある。だが発動させるなよ。一度使うとキャンセルはできん』
「分かった。ゲルダを助けて」
『放棄でいいな。次はお前が承諾することだ』
「うん、教えて」
『ゲルダを助けるためにはラボのようなもの、お前の世界なら「治療院」をイメージしたものが必要だ。その機能を作るために、沼強化に使うはずだった力を使わせてもらう』
「分かった。沼を強くする権利を放棄して治療院をお願いします」
ピピ、ぽちょ~~~ん。ピピピ。ピピピピピピピピピ変更アリ ピピピ。
『メリットはラボが継続して使えることだ。ゲルダ、メロン、カリナ、あとはマリアあたりか。再起不能になりそうな怪我を負ったら送ってこい。ただし定員は一名だ』
「ありがとう。感謝しているよ、沼様」
『長い治療計画になりそうだが、取りあえず3日後にはゲルダを出せるようにして、会わせてやる。そこからの見通しが分かれば教える』
「了解しました」
『沼の底を少し遠くに出せる能力も付いた。ま、放棄した権利に比べたら微々たるもんだ。あとで確認しろ』
「うん。じゃあこの場をうまく終わらせるよ」
今後のゲルダの安全のためにも、最後の仕上げをしよう。
◆
ゲルダにまた会える。
「最後の仕上げに「赤いサーシャ」の死の偽装をしよう。不安要素は減らした方がいい」
冷静になって子爵邸の全体を見渡すと、兵舎に逃げた雑兵を追った特級ダンジョン産の爬虫類軍団は、まだ兵舎の中にいた。
子爵邸宅の2階バルコニーや色んな部屋の窓から使用人や貴族っぽい婦人たちが外、つまりこちらを見ている。結構な数がいる。子爵家の居残り部隊もいるから当然だよな。
「恐らく、怪我を負ったゲルダこと「赤のサーシャ」を玄関前に運んだとこまでは見てた人間はいるよね」
玄関前の上から死角になる位置に行った。そして「偽装用」に用意していた銀髪女性の遺体を収納指輪から出した。
あらかじめ、ゲルダの「赤サーシャ」と同じデザインの装備を着せてある。
もちろん「ハプン共和国、ナンスギルドのE級冒険者サーシャ」のギルドカードも懐に入れてある。
「遺体がきれいなんだよな。遠目だから怪我の具合は分からないよな。まあ仕方ないか」
ぽちょん、ぽちょん。ぺちょっ。
頭のてっぺんに泥団子20センチ、右足、左足それぞれに40センチ小沼を「サーシャの遺体」にセットした。
広い庭の真ん中まで小沼3個を連動させて歩かせたが、微妙にずれた。手の動きも変だし、人食いゾンビみたいだ。
「まさか私に食いつかないよな・・」
ちょうど「召喚獣」たちが兵舎の獲物を食い終えたのか外に出てきた。
ざわざわ。子爵邸のバルコニーがざわついた。
「うわ、赤い水魔法使いも白銀騎士もまだいる。うわさの召喚獣も庭を歩いてるよ」
「この建物の中に入ってこないよな」
鰐やトカゲたちが私達を見つけて歩いてきたから、水を撒いた。
「「沼の底」。水を目一杯出して」
どどどどどどどどどど。
2・8メートルの沼を出し、真っ先に来たコドモオオトカゲを水の中でキャッチ。
鰐とカバウサギ2匹も沈め「召喚獣帰還」だ。
このまま「サーシャの遺体」を置いて帰ろうとしたら、お客さんが来た。普通の街の衛兵だ。
約100人が、騒ぎを聞きつけき子爵邸に入って来た。例の凄腕情報屋によると、中身は盗賊と変わらないらしい。
「この中には討伐隊に参加して、近隣の村人を殺したやつもいるはずだよね。最後に大立ち回りをやりますか、「赤のサーシャ様」」
ゆらゆらしている偽装用遺体に呼び掛けて、いつもの棒読みで叫んだ。
「サーシャ様の魔力が切れたところで新手か!」
ざわざわ、どよどよ。
「ヤ、ヤバい魔法使いって聞いてたが、いいタイミングで来たぜ」
「水びたしだけど大丈夫そうだ」
「仕留めろ。大手柄だろ」
「貴族になれるかもしれねえ」
「俺が行くぜ!」
敵は数の暴力できたが、いうなれば私が得意な「物理攻撃」の獲物。武器は隣でゆらゆらしている。
「武器」に向かって棒読みで呼び掛けた。
「サーシャ様、お止め下さいいいいい!」
小沼3個を取り付けた遺体サーシャを急加速させて、兵士の固まりにぶち込んだ。ミスリル装備をまとった身長160センチの「赤いナントカ」だ。
トギャッ、ゴンッ、ゴッ、グシャッ。
「肉弾戦か!すげえ体当たりだ」
「何人が死んでるぞ!」
そんでも果敢な兵士3人が剣を構えて突っ込んできたから、赤いサーシャの動きを止めて「沼」を解除した。
マツクロ子爵を殺した「人食い水溜まり」のサーシャは、胸、腹を刺され、首をはね飛ばされて水溜まりの中に倒れた。
私は祈りを捧げたあと、奨太戦でばら蒔いた「22」の遺体を収容し、悠々と子爵邸を出た。
斬りかかってきた兵士がいた。全力の高レベルパンチを顔面に見舞ったら、何がが四散した。もう向かって来るやつは、いなくなった。
待ち遠しかった、あの音だ。
ピピ沼レベル6ピピ
「沼様!」
『叫ばんでも、もう大丈夫だ。ゲルダは助かる。ただ問題もある』
「ゲルダのこと?」
『ああ。実際にはゲルダは死んでるレベルだ。沼レベル6でも復元できん部分が多すぎる』
「お願い、何か手はあるんでしょ」
『神器持ちのパーツを使う。というか、アタイが使えるのは、それしかない。融合させるから難度が上がるが、ゲルダは生き残る。沼の干渉なしで生活できるまで時間はかかりそうだか、それでいいな』
「ありがとう。それでいい」
『もう1個もゲルダに絡むが、得るはずの権利放棄を宣言してもらう』
「権利って何?」
『レベル5で泥団子を作れるようになったよな。6では沼の直径を最大5メートルにする権利がある。だが発動させるなよ。一度使うとキャンセルはできん』
「分かった。ゲルダを助けて」
『放棄でいいな。次はお前が承諾することだ』
「うん、教えて」
『ゲルダを助けるためにはラボのようなもの、お前の世界なら「治療院」をイメージしたものが必要だ。その機能を作るために、沼強化に使うはずだった力を使わせてもらう』
「分かった。沼を強くする権利を放棄して治療院をお願いします」
ピピ、ぽちょ~~~ん。ピピピ。ピピピピピピピピピ変更アリ ピピピ。
『メリットはラボが継続して使えることだ。ゲルダ、メロン、カリナ、あとはマリアあたりか。再起不能になりそうな怪我を負ったら送ってこい。ただし定員は一名だ』
「ありがとう。感謝しているよ、沼様」
『長い治療計画になりそうだが、取りあえず3日後にはゲルダを出せるようにして、会わせてやる。そこからの見通しが分かれば教える』
「了解しました」
『沼の底を少し遠くに出せる能力も付いた。ま、放棄した権利に比べたら微々たるもんだ。あとで確認しろ』
「うん。じゃあこの場をうまく終わらせるよ」
今後のゲルダの安全のためにも、最後の仕上げをしよう。
◆
ゲルダにまた会える。
「最後の仕上げに「赤いサーシャ」の死の偽装をしよう。不安要素は減らした方がいい」
冷静になって子爵邸の全体を見渡すと、兵舎に逃げた雑兵を追った特級ダンジョン産の爬虫類軍団は、まだ兵舎の中にいた。
子爵邸宅の2階バルコニーや色んな部屋の窓から使用人や貴族っぽい婦人たちが外、つまりこちらを見ている。結構な数がいる。子爵家の居残り部隊もいるから当然だよな。
「恐らく、怪我を負ったゲルダこと「赤のサーシャ」を玄関前に運んだとこまでは見てた人間はいるよね」
玄関前の上から死角になる位置に行った。そして「偽装用」に用意していた銀髪女性の遺体を収納指輪から出した。
あらかじめ、ゲルダの「赤サーシャ」と同じデザインの装備を着せてある。
もちろん「ハプン共和国、ナンスギルドのE級冒険者サーシャ」のギルドカードも懐に入れてある。
「遺体がきれいなんだよな。遠目だから怪我の具合は分からないよな。まあ仕方ないか」
ぽちょん、ぽちょん。ぺちょっ。
頭のてっぺんに泥団子20センチ、右足、左足それぞれに40センチ小沼を「サーシャの遺体」にセットした。
広い庭の真ん中まで小沼3個を連動させて歩かせたが、微妙にずれた。手の動きも変だし、人食いゾンビみたいだ。
「まさか私に食いつかないよな・・」
ちょうど「召喚獣」たちが兵舎の獲物を食い終えたのか外に出てきた。
ざわざわ。子爵邸のバルコニーがざわついた。
「うわ、赤い水魔法使いも白銀騎士もまだいる。うわさの召喚獣も庭を歩いてるよ」
「この建物の中に入ってこないよな」
鰐やトカゲたちが私達を見つけて歩いてきたから、水を撒いた。
「「沼の底」。水を目一杯出して」
どどどどどどどどどど。
2・8メートルの沼を出し、真っ先に来たコドモオオトカゲを水の中でキャッチ。
鰐とカバウサギ2匹も沈め「召喚獣帰還」だ。
このまま「サーシャの遺体」を置いて帰ろうとしたら、お客さんが来た。普通の街の衛兵だ。
約100人が、騒ぎを聞きつけき子爵邸に入って来た。例の凄腕情報屋によると、中身は盗賊と変わらないらしい。
「この中には討伐隊に参加して、近隣の村人を殺したやつもいるはずだよね。最後に大立ち回りをやりますか、「赤のサーシャ様」」
ゆらゆらしている偽装用遺体に呼び掛けて、いつもの棒読みで叫んだ。
「サーシャ様の魔力が切れたところで新手か!」
ざわざわ、どよどよ。
「ヤ、ヤバい魔法使いって聞いてたが、いいタイミングで来たぜ」
「水びたしだけど大丈夫そうだ」
「仕留めろ。大手柄だろ」
「貴族になれるかもしれねえ」
「俺が行くぜ!」
敵は数の暴力できたが、いうなれば私が得意な「物理攻撃」の獲物。武器は隣でゆらゆらしている。
「武器」に向かって棒読みで呼び掛けた。
「サーシャ様、お止め下さいいいいい!」
小沼3個を取り付けた遺体サーシャを急加速させて、兵士の固まりにぶち込んだ。ミスリル装備をまとった身長160センチの「赤いナントカ」だ。
トギャッ、ゴンッ、ゴッ、グシャッ。
「肉弾戦か!すげえ体当たりだ」
「何人が死んでるぞ!」
そんでも果敢な兵士3人が剣を構えて突っ込んできたから、赤いサーシャの動きを止めて「沼」を解除した。
マツクロ子爵を殺した「人食い水溜まり」のサーシャは、胸、腹を刺され、首をはね飛ばされて水溜まりの中に倒れた。
私は祈りを捧げたあと、奨太戦でばら蒔いた「22」の遺体を収容し、悠々と子爵邸を出た。
斬りかかってきた兵士がいた。全力の高レベルパンチを顔面に見舞ったら、何がが四散した。もう向かって来るやつは、いなくなった。
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