【旧作改訂】イレギュラー召喚で神器をもらえませんでした。だけど、勝手に付いてきたスキルがまずまず強力です

とみっしぇる

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73 腐れ姫だよ、こやつ

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メルカやトコブシ姫が待つ島へ戻った。

第三王子の手下50人のうち40人は、私が沼に沈めてしまった。残り10人はメルカ達6人が軽く制圧したそうで、小さな港街は平和な感じだった。

ガント王国のトコブシ王女と合流した。
顔がばれるのは避けたいので、黒い布で顔の下半分を隠してフードを被っている。

「お帰りなさいませ」

「メルカ、もう敵はいないのね」
「サーシャさんを見て自信をなくしそうになりましたが、第三王子の兵程度に遅れは取りません」

なんて話をしていると、すごい勢いでトコブシ姫が寄ってきた。目が怒っている。

「サーシャさん!」
「なに・・」
「この半日間、私達を島に残して何をしておいでですか」

トコブシ姫が突然、高圧的な態度になった。女王の威厳でも見せつける気か。

「あんたには関係ない」
「あります。サーシャさんから女の匂いがします。それも濃厚に。悔しい!」

「へ? どゆことメルカ」

「あの・・。今回、姫に同行した5人はみな姫の「女」なんです」

「あ、そういう性癖の持ち主なんだ」
「サーシャさんに土下座した理由も、国民のために3割、好みの女を引き留める目的が7割といったところでしょうか」

何だ、この展開は。貴族は嫌いだけど、民のために頑張る姫ではないのか。

「サーシャ様、どこかの島に女を囲っておられるのですか」
「いや、きちんとした伴侶だよ。あ・・」

「どこの女ですか。私というものがありながら・・」
「私達、今日が初対面だよね」

腐れ姫だよこいつ・・。

なぜ、こいつらに関わってしまったかと思ったら、「沼」を引き寄せる資格がある腐れっぷりだよ。

私とゲルダは、女女でも男女でも愛し合っているが、二人とも過去に男がいた。どちらも死に別れたが、基本はノーマルだ。こういう純粋な百合の方の気持ちは分からない。

「私が討伐の同行者をトコブシ姫でなく、メルカに頼んだときショックを受けていたのは、私が思っていた理由とは違う訳ね」
「はい。姫は自分の好みの女に振られ、自分の女まで取られる。それで落ち込みました。その程度の人間なのです」

「メルカ、あんたも女が好きなの?」

「私を苦しい生活から救って恩を抜きにしても、姫が大好きです。ですが、私は結婚するなら、普通に男がいいです」

「沼レベル6」は悪意なき変態まで呼び寄せる。トコブシがちょっと怖いから、早く脱出したい。

「頭痛くなってきた、私、このままペンギン退治に向かうよ」
「私も。姫の嫉妬がすごいので、ほとぼりが冷めるまでサーシャさんと同行させてもらいます」

海岸に行って、ミスリル風呂船を出した。本当の動力は「小沼」だけど、「闇精霊」と言ったら、メルカは簡単に信じた。

「これを動かすから、貴方の国に連れて行って」
「すごい。時速100キロくらい出ている。それにこの船、浴槽にしか見えないのに」
「動力が精霊の力だから、スピードに耐えられるものなら何でもいいんだよ」
「すごく参考になります」

メルカは強烈な体幹をしている癖に、船の中でよろけたふりをして私のデカパイを触ろうとする。

沼様は反応しないけど、ヤバい。

船で水面を突っ走ること一日、ガント王国の西にあるネルボル島に到着した。

◆◆


ボウクンペンギンの氷魔法と土魔法目当てにガント王国に入国した。

ガントには国土の割にダンジョンが多く、本島に13、離島も合わせた支配圏内全体では40もある。

頂点はガント火山超級ダンジョン。1階の魔物が、いきなり推奨レベルが150以上。攻略されていないから上限と総階数が分からず暫定でランクが付けられている。

メルカにダンジョンの生き物について教えてもらった。ダンジョンの魔物は固有の空気が生きるのに必要で、自分のダンジョン外では、1日しか生きられないそうだ。

沼空間の爬虫類は1ヶ月以上も生きたが、確かに外に長く出したやつほど早く死んでいる。「沼」の中はノーカウントのようだ。


ちょっとくらいガント王国を見物しようと海洋都市コヒマに寄ったら、いきなり囲まれた。

「メルカ、何なのこれ」

王位を狙う第三王子ガリキシとは関係なさそうな兵士が10人、冒険者風の男女15人、街娘10人くらい。

それを囲むギャラリーもいる。

兵士は言う。
「メルカ殿、申し訳ないが、あなたに捕縛命令が出ております」

冒険者はというと・・
「メルカさん、また女を増やしたんですね。さすがっす」

街娘は叫ぶ。
「メルカ様、浮気しないで私達も可愛がって下さい!」


「メルカ、私の人選ミスだったみたい。そこのおばちゃんに聞いたわ」

「え?何の話ですか」

近くにいる干物売りのおばさんに聞いた話では、メルカはこの街の出身。丸鼻で色黒、ずんぐり体型だが、モテるそうだ。

強いし、人当たりもいい。

「表向きはあんたトコブシ姫の女だけど、本当は逆だってね。今では、トコブシの方があなたにメロメロなんでしょ」

「えへへ、ばれました?けど姫は恩人だし、女癖の悪さを除けば素敵ですよ」

「なんで姫があなたの女なの?」
「だって姫はこんな私を見初めてくれたけど、下手なんですよアレが。下町仕込みのテクでやりすぎちゃいました」

すげえ。けど焦点はソコじゃない。私はガント王国でこっそりペンギンを倒し、静かに去る気だった。

なのになぜ、入国30分で多くの人に囲まれている。それは私が同行者を間違ったせいだ。

隠密行動のお供に一番向かない奴を選んでしまった。

普通なら逃げるが、今の私は「賢者タイム中」。ゲルダ成分が体に残っていて、普通に性格が悪い女くらいには優しい。

「ねえメルカ、街の兵士はあなたを傷つけたくないみたいね。問題は、第三王子の手の者。見分けはつく?」

「はい、何人かは。サーシャさんから見て右前の15人ほどは、間違いなく腐れ第三王子の手下です」

「それじゃ餌食にしようかな」
「精霊魔法ですね」

期待を込めた目でメルカが見ているが、実験したいだけだ。

第三王子の手下との距離は20メートル。

「精霊魔法、大ジャンプ」

まあ、レベル153パワーで上に2メートル、前に10メートル跳んだ。

また言うけど、今の私は優しい。

「ボアのファイアタックル0・1」

とっぷん。ごおっ。

敵15人の一番手前にいるやつの1メートル手前、高さ2センチにちょこっと炎を出して脅かしてやる。




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