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72 南の島のゲルダ
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本人は悪くないが、島国の第一王女と出会ってきついことを言った。
だけど今は落ち着いている。
「半分は八つ当たりだけど、半分はトコブシ姫のためだよね。あっ。こらっ」
「ふふっ、まだ「ゲル太君」が敏感。トコブシは人格者にみえたけど、個人的に戦闘部隊も率いてる」
「部隊ってことは、気が荒いやつもいるよね」
「そう、そんなのと下手に接触したら、敵対視されるか分からないもん。そしたら姫の部下を殺すかもしれないし」
10日ぶりのゲルダだ。わずか4時間の逢瀬を楽しんでいる。
夕陽を見ながら、2人とも何もまとっていない。
正直にいうと今、ヤリオワッタトコロデス。
小沼の移動力を生かし、さっきまでいたイタス島から20キロほど離れた小島に来た。
直径100メートル程度。
満潮時で砂浜は大きくないが、砂は真っ白。
砂浜にふかふかベッドを用意して、沼の底からゲルダを出した。私の手の中に落ちてきた彼女はいい匂いがした。
キスした。
2人して倒れ込んだ。
ゲルダが一瞬だけ驚いてたけど、私を抱き締めて覆い被さってきた。
トコブシ姫という貴族と会って苛立っていた私から、何か感じたのだろう。
激しく愛してくれた。
「ありがとうゲルダ」
「気持ちが晴れたなら、私も嬉しいわ。ね、奥様」
「そうか。私は奥様のつもりだったけど、オチンチン付いたゲルダが旦那様だね」
「関係は伴侶でいいのかな」
「私はもう、そのつもり」
「沼様の高度な治療のお陰か、男のモノは今も使ったけど、気持ちが女のままなのよね」
「女と女のときから関係を持ってたし、ゲルダの上半身は女のままだし、そう違和感はないよ」
「そうかな」
「ま、こっから下は何か付いてるけどね。ほら」
「あ、やん」
◆
波打ち際で遊んで、用意してた冷えたエールで乾杯した。
もう、かなり薄暗い。その中で手を繋いでいる。
「最近、4時間って短く感じるよ」
「もうすぐだね・・」
「次に会えるのは多分、ガント王国だと思う。どういうとこで「沼の底」から出たい?」
「久しぶりに酒場がいいな。ブライトで一緒に行ったような安酒メインのとこ」
「2人とも慣れ親しんだ、500ゴールドの焼ウサギつまみながらエール飲みたいね」
「・・ね」
「うん・・」
ついばむように、軽く唇を合わせた。
沼様からゲルダに送られてくるシグナルでは、タイムリミットまで5分。
ぽっちょ~ん。
足元に3メートルの「沼」を出したが、ゲルダを抱き締めたままだ。まだ沈めたくない。
「ギリギリまでこうしてる」
「うん」
「次はもっと気持ちが落ち着いてる時に出すから。今日はいきなり欲望に突っ走ってごめん」
「いいの、気持ちが荒ぶっていてもサーシャだよ。そうしたら私が鎮めてあげる。悲しいときには慰めてあげる」
「ゲルダ」
「素の自分を見せて。「沼」の世界と繋がったサーシャと、その力で生かされている私だよ」
「・・・」
「本当の自分をさらけ出せるのは、もうお互いしかいないの。ん・・」
「ん・・」
薄暗くなっても、優しい表情がわかる。
「沼世界」のラボで過ごす影響か、優しさの中に混沌の黒をたたえた瞳のゲルダ。
私の勘だが、彼女は沼のラボから出ても沼からのケアなしで生きられない。
この世界で一度は死んだ命を沼様の力で、繋ぎ止めているのだと思う。
その仲介役となるのは「沼」をスキルとして持っている私。
私の死はゲルダの死に直結する気がする。立証する方法はないけれど、沼絡みのときだけは私のポンコツ頭脳が冴える。
ゲルダもきっと分かってる。だけど、絶対に言えない。
言っても、笑って受け入れてくれるだろう。
そんな過酷な宣言をしても笑顔を見せられたら、10日間に4時間の逢瀬じゃ我慢できなくなる。
だけど今は落ち着いている。
「半分は八つ当たりだけど、半分はトコブシ姫のためだよね。あっ。こらっ」
「ふふっ、まだ「ゲル太君」が敏感。トコブシは人格者にみえたけど、個人的に戦闘部隊も率いてる」
「部隊ってことは、気が荒いやつもいるよね」
「そう、そんなのと下手に接触したら、敵対視されるか分からないもん。そしたら姫の部下を殺すかもしれないし」
10日ぶりのゲルダだ。わずか4時間の逢瀬を楽しんでいる。
夕陽を見ながら、2人とも何もまとっていない。
正直にいうと今、ヤリオワッタトコロデス。
小沼の移動力を生かし、さっきまでいたイタス島から20キロほど離れた小島に来た。
直径100メートル程度。
満潮時で砂浜は大きくないが、砂は真っ白。
砂浜にふかふかベッドを用意して、沼の底からゲルダを出した。私の手の中に落ちてきた彼女はいい匂いがした。
キスした。
2人して倒れ込んだ。
ゲルダが一瞬だけ驚いてたけど、私を抱き締めて覆い被さってきた。
トコブシ姫という貴族と会って苛立っていた私から、何か感じたのだろう。
激しく愛してくれた。
「ありがとうゲルダ」
「気持ちが晴れたなら、私も嬉しいわ。ね、奥様」
「そうか。私は奥様のつもりだったけど、オチンチン付いたゲルダが旦那様だね」
「関係は伴侶でいいのかな」
「私はもう、そのつもり」
「沼様の高度な治療のお陰か、男のモノは今も使ったけど、気持ちが女のままなのよね」
「女と女のときから関係を持ってたし、ゲルダの上半身は女のままだし、そう違和感はないよ」
「そうかな」
「ま、こっから下は何か付いてるけどね。ほら」
「あ、やん」
◆
波打ち際で遊んで、用意してた冷えたエールで乾杯した。
もう、かなり薄暗い。その中で手を繋いでいる。
「最近、4時間って短く感じるよ」
「もうすぐだね・・」
「次に会えるのは多分、ガント王国だと思う。どういうとこで「沼の底」から出たい?」
「久しぶりに酒場がいいな。ブライトで一緒に行ったような安酒メインのとこ」
「2人とも慣れ親しんだ、500ゴールドの焼ウサギつまみながらエール飲みたいね」
「・・ね」
「うん・・」
ついばむように、軽く唇を合わせた。
沼様からゲルダに送られてくるシグナルでは、タイムリミットまで5分。
ぽっちょ~ん。
足元に3メートルの「沼」を出したが、ゲルダを抱き締めたままだ。まだ沈めたくない。
「ギリギリまでこうしてる」
「うん」
「次はもっと気持ちが落ち着いてる時に出すから。今日はいきなり欲望に突っ走ってごめん」
「いいの、気持ちが荒ぶっていてもサーシャだよ。そうしたら私が鎮めてあげる。悲しいときには慰めてあげる」
「ゲルダ」
「素の自分を見せて。「沼」の世界と繋がったサーシャと、その力で生かされている私だよ」
「・・・」
「本当の自分をさらけ出せるのは、もうお互いしかいないの。ん・・」
「ん・・」
薄暗くなっても、優しい表情がわかる。
「沼世界」のラボで過ごす影響か、優しさの中に混沌の黒をたたえた瞳のゲルダ。
私の勘だが、彼女は沼のラボから出ても沼からのケアなしで生きられない。
この世界で一度は死んだ命を沼様の力で、繋ぎ止めているのだと思う。
その仲介役となるのは「沼」をスキルとして持っている私。
私の死はゲルダの死に直結する気がする。立証する方法はないけれど、沼絡みのときだけは私のポンコツ頭脳が冴える。
ゲルダもきっと分かってる。だけど、絶対に言えない。
言っても、笑って受け入れてくれるだろう。
そんな過酷な宣言をしても笑顔を見せられたら、10日間に4時間の逢瀬じゃ我慢できなくなる。
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