【旧作改訂】イレギュラー召喚で神器をもらえませんでした。だけど、勝手に付いてきたスキルがまずまず強力です

とみっしぇる

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71 イライラさせられる私

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「沼レベル」が5から6に上がったことで、トラブルに見舞われる頻度も上げてくれたようだ。

「魔国の魔王様VSブライト王国のベルゼ5世に巻き込まれるのが嫌で、何千キロも逃げてきたんだよ・・」

なのに私はガント王国第一王女のトコブシ姫と知り合って1時間で、王位継承争いに巻き込まれようとしている。

ダンジョン1階転移装置の近くにお客さんが待っていた。
直径50メートルの大きな空洞。出口はすぐそこだ。


次の王位を狙う三男ガリキシの親衛隊40人が、空洞内でトコブシ姫ら6人とにらみ合っている。

私は10メートルくらい離れ、空洞の隅に座っている。

トコブシ姫を助ける? どっちでもいい。勝った方に大型ペンギンまでの道案内をさせればいい。

「トコブシ様、ガリキシ様よりあなたを拘束するよう命令を受けております」
「なぜですが。ガットー隊長」
「例の厄災を起こしている大型ペンギンの群れですが、トコブシ様が招き入れたという嫌疑がかかっております」
「なんですか、その突拍子もない話は」

「証拠があがっておりましてな。ペンギンが上陸した海岸にトコブシ様の別荘がありますが、そこでボウクンペンギンの幼生が見つかりました」
「なんですか、その話は」
「トコブシ様は嫌疑が晴れるまで、ガリキシ様の屋敷にて軟禁。国土防衛隊は我々の配下に組み込まれることが決まりました」

普通に戦えばトコブシ達が強いだろうが、ポーションで治したとはいえ怪我をしたばかり。体力的にも不安があるだろう。

「ねえトコブシちゃん。三男君の仕組んだ分かりやすい罠で詰んだね。私は先にダンジョンを出てるよ」

だけど行く手を兵士に阻まれた。

「待て、お前は何者だ」
「・・うるさい。気持ち悪い茶番劇を見せられて、機嫌が悪いのよ」
「なに?」
「あなたの国の方向だけ教えて、勝手に行くから」
「崖を登るにも、出口の外側も我々で押さえているぞ」
「ご心配なく。断崖絶壁を降りて、海から去るわ」

「ぷっ、何言ってるんだ」

兵士が持っていた槍の柄で私を突こうとした。

王族、貴族、王族、貴族、馬鹿どもが!

「精霊魔法、全力キック!」

ばちゃあっ!

兵士君が瞬間的に消えたように見えたようだ。

「え?なにあのキック」
「ゴズがいねえ・・」
「て、て、天井に張り付いているものはなんだ」

「トコブシ!」
「は、はいいいいいいいいいい!」

「命令よ。転移装置で10回に降りて、私から避難しなさい」

「あの、それでは・・」
「分かった。選んだのは精霊パンチね・・」
「ダンジョン10階に退避します!」

メルカが代わりに応えた。

「メルカ合格。トコブシ失格寸前」
「え?サーシャさん」
「早く行きなさい」
「分かりました。精霊様の御使い様。さ、姫様」

「精霊ね・・・乗っかるか」


「何が精霊だ。ふざけやがって」
「兵士殺しの罪を償わせてやる」

「どうせ全員、生かして帰す気はないから普通に精霊様を呼ぶわ」

『ん?呼んだか』

体に張り付いたミスリルインナー一枚になったら兵士たちが色めき立った。

『うむうむ。周りが汚ならしいスケベ色に染まっておる。やっぱりサーシャはこうでなくてはいかん』

ぽっちょーん。

沼を準備した。


推定レベル40以下の兵士40人に「沼」で戦うから、負けるとは思わない。
レベル153の私が考えるのは敵を逃がさないことだ。

沼様に貢ぐ獲物の一人をイラッとして蹴り殺した。ちょっと沼様がお怒りだ。

「2・7メートル沼」

ぽっちょーん。

「うわっ」
「うぎゃあ」
「沈む」
「あああ!」

約40人の敵を、丁寧に沼様の元に送った。

『好色、強欲。久々に満足だ』

「喜んでもらえて良かったよ。さっそく姫たちを呼びに行く」

『お前も面倒ごとから逃げてきたのに、いきなり王族と関わるとはな』

「沼様が反応したダンジョンの奥に行きたいけど、対策が必要なの。土魔法、氷魔法をストックしたいの」

『おう、魔法を沼の中に貯めるのだな。レベル6の恩恵のようだが、外からの要素はアタイには分かんなかったぞ』


◆◆◆
転移装置で10階に降りた。

「あ、サーシャ殿、もう終わったんですか」

彼女はサライ、今更だがトコブシ姫、メルカの他はサライ、イル、シャルル、ルカ。

「うん。もう誰も生きてないよ」

「え・・・」

「私にはトコブシ姫様とは合わないよ。敵対者といっても、あなたの大切な国民を40人も殺した」

「精霊様とつながるサーシャ様は、命令されただけの兵士は助けてくれると思ってましたが・・」

精霊話にも乗っかろう。

「精霊だって性格があるよ。人間なんて、精霊からしたら嘘臭い存在だから」

「私は民のために・・」

「精霊は平等だよ。少しでも政治や軍に関わるってことは敵もいるでしょ。身を守るためでも人を害したら、精霊からしたら有罪だ」

「しかし・・」
「姫様、私が話をしていい?」
「メルカ・・ どうぞ」

私はメルカと話がしやすい。恐らく、この中で一人だけ平民出身だろう。
話も「沼様」と「精霊様」を置き換えればいい。

「メルカは平民出身?」
「はい。サーシャさんもですよね。なぜ精霊様と仲良くできるのですか」

「私自身が平民の中でも底辺出身で、貴族に危ない目に遭わされた。そいつらを「精霊様」で殺したとき、精霊を否定ぜず、心から感謝したからだと思う」
「何となく分かります。私は12歳で姫様に拾われて強くなれましたが、それまで悲惨なこともありました。今でも懲らしめてやりたいと思う貴族もいます」

「そう、あなたなら少しは話ができそうね」
「サーシャさん、ボウクンペンギン退治はどうなさいますか」

「メルカ、そこは個人的な興味でやるから。道案内はあんた一人。姫様はダメよ。次に会う機会があるなら、殺し合いになるわ。そういう性質の「精霊様」なの」

自分の甘さでメロンとカリナを危険にさらした。
自分の馬鹿さのせいで、女としてのゲルダを死なせた。

「私がハブられるのですか・・」

「逃亡者の私の最善は、ここであなた方を皆殺しにすること。メルカがいなければ実行している。それを理解してちょうだい」
「・・それでも私はサーシャさんと行きたいのです」
「ダメですよ、姫・・」

最近、10日に一度は人当たりがきつくなる。分かっている。今日が前回のゲルダとの逢瀬から10日目。「ゲルダ成分」が切れかけているのだ。

6人にはこの島で待つことを告げ、木の板サーフボードを作り、ダンジョン島を離れた。




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