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76 ゲルダとの会瀬に乱入者
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私は2500人の軍勢を蹴散らしたが、沼様はお怒りだ。
反撃を食らう危険性を考えると、2500人を相手に敵を沈めるときに足止めされる「沼」を使えなかった。沼様からしたら、せっかく敵意を持ってくれた獲物を一人も沈めなかったことが不満だそうだ。
「ごめんよ沼様、次にペンギンから氷魔法と土魔法を手に入れたら、必ずこの国の第三王子を貢いて、スケベオークのダンジョンに行くからさ」
『うむ。まあ、そこまで今は渇望してないからいいが、人との集団戦は制約が多くてつまらんな』
◆
戦った場所から20キロ海岸線を東に行った。
でかいペンギンか30匹いて、近隣の建物はすべて全壊していた。
とにかくしらみ潰しに幼生を探している。
意気込んでペンギンの魔法を獲得しに行ったが、意外に簡単だった。
あいつらは、群れで生きてるから仲間意識も強い。
「メルカ、また闇の精霊様に力を借りるわ。トコブシ姫たちには内緒よ」
「大丈夫です。言いたくても言えません」
言い回しは気になるが、信用するしかない。
ボウクンペンギンの成体は、身長5メートルだけど胴回りが2・3メートル。群れから少し離れた1匹を2・5メートルの沼にはめた。
ぽちょん。とぷん。
私に攻撃が来るかと思ったが、それほどの知能はなかった。自分の足元にある黒い円に必死に氷魔法を撃っている。
ぴゅきゅるるるるる!
「げ、仲間を呼ばれた。まずい」
獲物がでかくて、沈めるのに1分くらいかかる。フルプレートアーマーを着た上に、盾で防御態勢を取った。そして嬉しい誤算が起きた。
「ぴゅるるる」
「ぴきゅううう」
「きゅりゅうりゅ」
仲間が沈む穴に向かって、氷魔法と土魔法を撃ちまくってくれた。
とっぷーん。
「1匹沈めた。あれ・・」
仲間意識が強いせいか。仲間が沈んだあとの「沼」に向かい、魔法を撃ってくれる。頭の中に浮かんでくるカウンターの「ヘルアイス」「サウザンドニードル」がどんどん数が上がっていった。
「もしかしたら」
散々「沼」に攻撃させたあと、最初に沈めたボウクンペンギンを「沼の底」から出した。そして別個体を沈めた。するとまた、「沼」に向かって魔法を撃ち始めた。
「じゃあご褒美に飲み込んだ子を出してあげよう」
4度もやるとペンギンは学習してくれた。
仲間が沈んでも、穴に攻撃すると帰ってくる、と。
でかいペンギンに囲まれるのはまずいので、動きながら作業を繰り返して31匹全部を2時間で沈めた。
ペンギンの魔力量も豊富で「ヘルアイス140・7」「サウザンドニードル137・5」となった。
「ペンギンを生息地に返すとするか」
「そうですね。ここから5キロほどの場所に囮にされたペンギンの幼生もいるはずなので、一緒に帰したいです」
「OK」
ボウクンペンギンが追ってきた幼生も、敵のアジトを襲って取り返した。そしてペンギンを生息地に返そうとしたとき、メルカからのお願いだ。
「その前に、サーシャさん、ペンギンを1匹出して下さい」
また変なお願いをされた。出したけどね。
「魔力枯渇なら、戦えるかも。うりゃっ」
ばっこ~ん。
ボウクンペンギンは、この巨体で時速80キロで泳ぐ。つまり、全身が筋肉で魔法なしでも強いのだ。
メルカはぶっ飛ばされた。
「メルカ。もう、馬鹿ね」
「沼」でペンギンを再び沈めた。
メルカは近くの漁村の一画を借りて、3日も寝込んだ。
「すみません。ちょっと相手を甘く見ていました。へへへ」
何か憎めない。人気者の特権だなと思った。
◆◆
まあ、メルカが寝込んでるうちに、ボウクンペンギンを生息地に帰した。
次の日、ゲルダとの逢瀬時がきた。
幸いに漁村にも漁師が集まる酒場があったので、ゲルダと入った。
メルカは放置だ。
エールのおつまみが干した魚になったけど、それもアリだ。
「で、サーシャ、そのメルカって無謀なの?」
「冷静に見えるのに、決着が着いた戦いを掘り返して、わざわざ怪我すんだよ」
「ペンギン戦も不可解ね。それもスキルが関係した「メルカの必然」かもね」
「あ~。そうかもね。どうだろ」
バタン。お客が酒場に入ってきた。
「げ、メルカだ」
「サーシャさん、私を置いてデートですか」
「あら、彼女がメルカちゃんね」
「うん。そういうこと」
「「妻」のサーシャがお世話になってます。ゲルダです」
「メルカ、私の「夫」のゲルダよ」
「う、メルカです」
ゲルダが堂々としてるからメルカも付け入る隙がない。
3人で乾杯した。
「ゲルダさんは、普段はどこにいるんですか?」
「私は闇の精霊の一種よ。サーシャの伴侶になったんだけど、まだ現世に体が馴染まず、出てこれる時間が短いの。しばらくしたら、また精霊の世界に戻るわ」
ゲルダが沼と言わず、闇精霊を使って説明している。嘘設定だ。
「そうなの、だから私はすでに人妻なのよ」
「だけどサーシャさんもゲルダさんも女ですよね」
ゲルダがいたずらっぽく笑う。
「2人の子供が欲しいと願ったら、闇様が私の下半身だけ男にしてくれたのよ」
「下半身だけですか」
「この顔でサーシャが愛してくれたから、上半身は出会ったときのままになってるの」
にっこり笑うゲルダを抱き締めたくなったが、ここは酒場。我慢だ。
「すごい・・。またゲルダさんに合えますかね」
「きっとね」
「じゃあ10日後にお会いしましょう、ゲルダさん」
む?なぜ10日に一度、4時間のルールを教えてないのに、わかった?
まあ、ゲルダとの時間は貴重だ。
最後の1時間はメルカに遠慮してもらい、ゲルダと海辺の散歩を楽しんだ。
10日ね・・
反撃を食らう危険性を考えると、2500人を相手に敵を沈めるときに足止めされる「沼」を使えなかった。沼様からしたら、せっかく敵意を持ってくれた獲物を一人も沈めなかったことが不満だそうだ。
「ごめんよ沼様、次にペンギンから氷魔法と土魔法を手に入れたら、必ずこの国の第三王子を貢いて、スケベオークのダンジョンに行くからさ」
『うむ。まあ、そこまで今は渇望してないからいいが、人との集団戦は制約が多くてつまらんな』
◆
戦った場所から20キロ海岸線を東に行った。
でかいペンギンか30匹いて、近隣の建物はすべて全壊していた。
とにかくしらみ潰しに幼生を探している。
意気込んでペンギンの魔法を獲得しに行ったが、意外に簡単だった。
あいつらは、群れで生きてるから仲間意識も強い。
「メルカ、また闇の精霊様に力を借りるわ。トコブシ姫たちには内緒よ」
「大丈夫です。言いたくても言えません」
言い回しは気になるが、信用するしかない。
ボウクンペンギンの成体は、身長5メートルだけど胴回りが2・3メートル。群れから少し離れた1匹を2・5メートルの沼にはめた。
ぽちょん。とぷん。
私に攻撃が来るかと思ったが、それほどの知能はなかった。自分の足元にある黒い円に必死に氷魔法を撃っている。
ぴゅきゅるるるるる!
「げ、仲間を呼ばれた。まずい」
獲物がでかくて、沈めるのに1分くらいかかる。フルプレートアーマーを着た上に、盾で防御態勢を取った。そして嬉しい誤算が起きた。
「ぴゅるるる」
「ぴきゅううう」
「きゅりゅうりゅ」
仲間が沈む穴に向かって、氷魔法と土魔法を撃ちまくってくれた。
とっぷーん。
「1匹沈めた。あれ・・」
仲間意識が強いせいか。仲間が沈んだあとの「沼」に向かい、魔法を撃ってくれる。頭の中に浮かんでくるカウンターの「ヘルアイス」「サウザンドニードル」がどんどん数が上がっていった。
「もしかしたら」
散々「沼」に攻撃させたあと、最初に沈めたボウクンペンギンを「沼の底」から出した。そして別個体を沈めた。するとまた、「沼」に向かって魔法を撃ち始めた。
「じゃあご褒美に飲み込んだ子を出してあげよう」
4度もやるとペンギンは学習してくれた。
仲間が沈んでも、穴に攻撃すると帰ってくる、と。
でかいペンギンに囲まれるのはまずいので、動きながら作業を繰り返して31匹全部を2時間で沈めた。
ペンギンの魔力量も豊富で「ヘルアイス140・7」「サウザンドニードル137・5」となった。
「ペンギンを生息地に返すとするか」
「そうですね。ここから5キロほどの場所に囮にされたペンギンの幼生もいるはずなので、一緒に帰したいです」
「OK」
ボウクンペンギンが追ってきた幼生も、敵のアジトを襲って取り返した。そしてペンギンを生息地に返そうとしたとき、メルカからのお願いだ。
「その前に、サーシャさん、ペンギンを1匹出して下さい」
また変なお願いをされた。出したけどね。
「魔力枯渇なら、戦えるかも。うりゃっ」
ばっこ~ん。
ボウクンペンギンは、この巨体で時速80キロで泳ぐ。つまり、全身が筋肉で魔法なしでも強いのだ。
メルカはぶっ飛ばされた。
「メルカ。もう、馬鹿ね」
「沼」でペンギンを再び沈めた。
メルカは近くの漁村の一画を借りて、3日も寝込んだ。
「すみません。ちょっと相手を甘く見ていました。へへへ」
何か憎めない。人気者の特権だなと思った。
◆◆
まあ、メルカが寝込んでるうちに、ボウクンペンギンを生息地に帰した。
次の日、ゲルダとの逢瀬時がきた。
幸いに漁村にも漁師が集まる酒場があったので、ゲルダと入った。
メルカは放置だ。
エールのおつまみが干した魚になったけど、それもアリだ。
「で、サーシャ、そのメルカって無謀なの?」
「冷静に見えるのに、決着が着いた戦いを掘り返して、わざわざ怪我すんだよ」
「ペンギン戦も不可解ね。それもスキルが関係した「メルカの必然」かもね」
「あ~。そうかもね。どうだろ」
バタン。お客が酒場に入ってきた。
「げ、メルカだ」
「サーシャさん、私を置いてデートですか」
「あら、彼女がメルカちゃんね」
「うん。そういうこと」
「「妻」のサーシャがお世話になってます。ゲルダです」
「メルカ、私の「夫」のゲルダよ」
「う、メルカです」
ゲルダが堂々としてるからメルカも付け入る隙がない。
3人で乾杯した。
「ゲルダさんは、普段はどこにいるんですか?」
「私は闇の精霊の一種よ。サーシャの伴侶になったんだけど、まだ現世に体が馴染まず、出てこれる時間が短いの。しばらくしたら、また精霊の世界に戻るわ」
ゲルダが沼と言わず、闇精霊を使って説明している。嘘設定だ。
「そうなの、だから私はすでに人妻なのよ」
「だけどサーシャさんもゲルダさんも女ですよね」
ゲルダがいたずらっぽく笑う。
「2人の子供が欲しいと願ったら、闇様が私の下半身だけ男にしてくれたのよ」
「下半身だけですか」
「この顔でサーシャが愛してくれたから、上半身は出会ったときのままになってるの」
にっこり笑うゲルダを抱き締めたくなったが、ここは酒場。我慢だ。
「すごい・・。またゲルダさんに合えますかね」
「きっとね」
「じゃあ10日後にお会いしましょう、ゲルダさん」
む?なぜ10日に一度、4時間のルールを教えてないのに、わかった?
まあ、ゲルダとの時間は貴重だ。
最後の1時間はメルカに遠慮してもらい、ゲルダと海辺の散歩を楽しんだ。
10日ね・・
応援ありがとうございます!
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