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77 沼様は第三王子に興味津々
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ガント王国南部に出たボウクンペンギン問題を片付けた。
無事に生かして帰し、生息地も分かった。「沼の底」から出す魔法のようなものをストックが足りない気もするから、また訪れずれるかも。
そしてゲルダとの10日に一度のデートができて、今のところは私も機嫌がいい。
「サーシャさん、私の「直感」スキルで占って欲しいのは、あのゲルダさんとの未来を良くするためですね」
「そうだよ。彼女も普通じゃないの分かるでしょ」
「確かに。サーシャさんの戦闘力と美貌、ゲルダさんの闇をまとった不思議な魅力。変な国に行ったら、多くのトラブルに巻き込まれそうですね」
「でしょ。現にトラブルは起こったから、知り合いもいない国まで逃げてきたんだよ」
「だけど、お二人がうらやましい」
「ふふふ~ん。あんたはモテるから、最適な相手を見つければいいじゃん」
「・・はい、そうでしたね。私も誰かと「将来」を誓い合いたいですね」
現在の進路は昨日までいた、南の沿岸部から海沿いを北東。900キロ進んだガント王国の首都、ガントシティを最終目的地とする。
そこで、己の欲のためにボウクンペンギンを使って民を危険にさらした第三王子ガリキシを成敗する。
ただ、私達がやっても、ただの暗殺。推定であと10日後にトコブシ姫とトンガシティで合流し、第一王子主導の正規軍に加わって戦うことになる。
私は軍の戦いには加わらないが、近くで動く。沼様が第三王子に興味津々なのだ。王になる野望を持ちながら、優れた兄2人、そして人気がある弟妹に囲まれて熟した「悪意」。国民を巻き込んでも悲願を達成しようとする人間を骨の髄まで味わってみたいらしい。
『サーシャ、未知の味が楽しみだぞ』
「沼様、見えてないけど、よだれたらしてない?」
『お前が2500人もの第三王子軍を一時間とかからず壊滅させたせいで、他の部隊からも離脱者が出ているのだろ。敗戦は濃厚だ。だから捕まえるのも難しくないだろう』
「だね。どうせ第三王子は処刑か、一生幽閉のニ択らしいし、捕まえて沼様に貢ぐよ」
『おう、期待しとるぞ』
2日目はフナムーの街で籠城している第三王子の手下30人を捕縛した。
5日目のサザエイでは、「無慈悲な精霊使い&槍鬼メルカ」を見た反抗勢力25人がただちに降伏した。
この2回は誰も殺してない。
155センチの身長に似合わない長槍を巧みに操るメルカ。「アラビアンモーニング」の歌劇に出るような、顔の下半分を隠したミステリアスな私。特徴的な2人で行動している。
そしてトコブシ姫との合流が次の日となった10日目。訪れたバハタの街だが、ここでメルカが3度目の不必要な戦いを選んだ。
第三王子勢力のナンバー4だった武闘派ココヤシが70人の兵を集めて、徹底抗戦の構えを見せてきた。場所は街の広場で中央に噴水がある、私のスキルが使いやすい平面地帯だ。
ギャラリーはいるが、とばっちりを食わないように、最低でも50メートルは離れている。
「メルカ、どう対処する。ココヤシさんは強いの?」
「決めてよろしいですか、サーシャさん。ここでは、誰も殺したくないのです。可能なら、兵を止めておいてもらえませんか?」
「殺さなければ殺される可能性がある場面だよね。あんたはどうする」
「ここは街の真ん中で、第一王子側の人間と一般市民も見ています。私はトコブシ姫の名代として、第三王子配下で一番強いココヤシを相手に堂々と槍を振るいます」
メルカはレベル74だと言っていた。ココヤシも実力者のオーラ。ちょっと不安だが、今後の政治的な絡みもあるだろうし、私は言われた通りにサポート役に徹することにした。
その前に聞いておきたい。
「まさかあんた、トコブシ姫のために、ここで死ぬ気じゃないよね」
「・・やはり不自然でしたか」
「やはり、じゃないよ。島のダンジョンで会ってから的確判断の連続だったメルカが、突然に変な戦いに挑む。頭がおかしくなったか・・」
「スキル「直感」に従った行動か、そのどちらかと思いますよね」
「そう」
「有用なスキルですが、普通の人には理解しにくいのが玉に傷なんですよね」
「私も、ぬま否、精霊様に出会った非常識な存在。だから理解できるけどね」
「そうでしたね。伴侶が元女性で現男性、闇精霊のゲルダさんでしたもんね」
「で、単刀直入に聞くけど、ここで自分のミッションを成功させれば、トコブシ姫に取りついた死神は去るの?」
「ええ。南の海岸にいた兵士3人の殺害、ボウクンペンギン挑戦、ココヤシをけがさせて、ここに止める。その3回の戦いをこなせば、姫が死ぬ「因果律」から解放される可能性が十分なのです」
「そうなんだ。今回は兵士達の不殺が理想なのね」
「はい。彼らは本来、ココヤシを慕う純粋な人間ばかりです」
「それじゃ、作戦をこなそう」
丸い人場の端に私達が2人、40メートル先の中央に噴水。反対側に兵士がわらわら、そしてココヤシが最奥にいる。
「じゃあメルカ、格好良く行っておいで。うまく跳ぶのよ」
「お願いします」
跳んで地上130センチに60センチ小沼を出し、その上に板を置いた。急発進させて兵の塊の前でいきなり小沼に急ブレーキをかければ、打ち出し式のカタパルトになる。
メルカと私が乗って発射した。メルカはバランスよく跳んで、噴水の向こう側に着地した。
私は先に飛び降りて、ココヤシVSメルカの地点と、兵士らの間に立った。
「分断成功」
「分断?70対1だぞ。女、自信満々だな」
「黙って、ココヤシの戦いを見ていなさい。嫌なら・・」
ぽっちょ~ん。
「沼の底」を噴水のとこに出した。勿体ないけど、ボウクンペンギンからもらった「ヘルアイス」の0・2を使う。
無事に生かして帰し、生息地も分かった。「沼の底」から出す魔法のようなものをストックが足りない気もするから、また訪れずれるかも。
そしてゲルダとの10日に一度のデートができて、今のところは私も機嫌がいい。
「サーシャさん、私の「直感」スキルで占って欲しいのは、あのゲルダさんとの未来を良くするためですね」
「そうだよ。彼女も普通じゃないの分かるでしょ」
「確かに。サーシャさんの戦闘力と美貌、ゲルダさんの闇をまとった不思議な魅力。変な国に行ったら、多くのトラブルに巻き込まれそうですね」
「でしょ。現にトラブルは起こったから、知り合いもいない国まで逃げてきたんだよ」
「だけど、お二人がうらやましい」
「ふふふ~ん。あんたはモテるから、最適な相手を見つければいいじゃん」
「・・はい、そうでしたね。私も誰かと「将来」を誓い合いたいですね」
現在の進路は昨日までいた、南の沿岸部から海沿いを北東。900キロ進んだガント王国の首都、ガントシティを最終目的地とする。
そこで、己の欲のためにボウクンペンギンを使って民を危険にさらした第三王子ガリキシを成敗する。
ただ、私達がやっても、ただの暗殺。推定であと10日後にトコブシ姫とトンガシティで合流し、第一王子主導の正規軍に加わって戦うことになる。
私は軍の戦いには加わらないが、近くで動く。沼様が第三王子に興味津々なのだ。王になる野望を持ちながら、優れた兄2人、そして人気がある弟妹に囲まれて熟した「悪意」。国民を巻き込んでも悲願を達成しようとする人間を骨の髄まで味わってみたいらしい。
『サーシャ、未知の味が楽しみだぞ』
「沼様、見えてないけど、よだれたらしてない?」
『お前が2500人もの第三王子軍を一時間とかからず壊滅させたせいで、他の部隊からも離脱者が出ているのだろ。敗戦は濃厚だ。だから捕まえるのも難しくないだろう』
「だね。どうせ第三王子は処刑か、一生幽閉のニ択らしいし、捕まえて沼様に貢ぐよ」
『おう、期待しとるぞ』
2日目はフナムーの街で籠城している第三王子の手下30人を捕縛した。
5日目のサザエイでは、「無慈悲な精霊使い&槍鬼メルカ」を見た反抗勢力25人がただちに降伏した。
この2回は誰も殺してない。
155センチの身長に似合わない長槍を巧みに操るメルカ。「アラビアンモーニング」の歌劇に出るような、顔の下半分を隠したミステリアスな私。特徴的な2人で行動している。
そしてトコブシ姫との合流が次の日となった10日目。訪れたバハタの街だが、ここでメルカが3度目の不必要な戦いを選んだ。
第三王子勢力のナンバー4だった武闘派ココヤシが70人の兵を集めて、徹底抗戦の構えを見せてきた。場所は街の広場で中央に噴水がある、私のスキルが使いやすい平面地帯だ。
ギャラリーはいるが、とばっちりを食わないように、最低でも50メートルは離れている。
「メルカ、どう対処する。ココヤシさんは強いの?」
「決めてよろしいですか、サーシャさん。ここでは、誰も殺したくないのです。可能なら、兵を止めておいてもらえませんか?」
「殺さなければ殺される可能性がある場面だよね。あんたはどうする」
「ここは街の真ん中で、第一王子側の人間と一般市民も見ています。私はトコブシ姫の名代として、第三王子配下で一番強いココヤシを相手に堂々と槍を振るいます」
メルカはレベル74だと言っていた。ココヤシも実力者のオーラ。ちょっと不安だが、今後の政治的な絡みもあるだろうし、私は言われた通りにサポート役に徹することにした。
その前に聞いておきたい。
「まさかあんた、トコブシ姫のために、ここで死ぬ気じゃないよね」
「・・やはり不自然でしたか」
「やはり、じゃないよ。島のダンジョンで会ってから的確判断の連続だったメルカが、突然に変な戦いに挑む。頭がおかしくなったか・・」
「スキル「直感」に従った行動か、そのどちらかと思いますよね」
「そう」
「有用なスキルですが、普通の人には理解しにくいのが玉に傷なんですよね」
「私も、ぬま否、精霊様に出会った非常識な存在。だから理解できるけどね」
「そうでしたね。伴侶が元女性で現男性、闇精霊のゲルダさんでしたもんね」
「で、単刀直入に聞くけど、ここで自分のミッションを成功させれば、トコブシ姫に取りついた死神は去るの?」
「ええ。南の海岸にいた兵士3人の殺害、ボウクンペンギン挑戦、ココヤシをけがさせて、ここに止める。その3回の戦いをこなせば、姫が死ぬ「因果律」から解放される可能性が十分なのです」
「そうなんだ。今回は兵士達の不殺が理想なのね」
「はい。彼らは本来、ココヤシを慕う純粋な人間ばかりです」
「それじゃ、作戦をこなそう」
丸い人場の端に私達が2人、40メートル先の中央に噴水。反対側に兵士がわらわら、そしてココヤシが最奥にいる。
「じゃあメルカ、格好良く行っておいで。うまく跳ぶのよ」
「お願いします」
跳んで地上130センチに60センチ小沼を出し、その上に板を置いた。急発進させて兵の塊の前でいきなり小沼に急ブレーキをかければ、打ち出し式のカタパルトになる。
メルカと私が乗って発射した。メルカはバランスよく跳んで、噴水の向こう側に着地した。
私は先に飛び降りて、ココヤシVSメルカの地点と、兵士らの間に立った。
「分断成功」
「分断?70対1だぞ。女、自信満々だな」
「黙って、ココヤシの戦いを見ていなさい。嫌なら・・」
ぽっちょ~ん。
「沼の底」を噴水のとこに出した。勿体ないけど、ボウクンペンギンからもらった「ヘルアイス」の0・2を使う。
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