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17 加奈、離脱の危機

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香緒里だ。

健太、翼の恋愛ポンコツコンビの幼稚な画策失敗。

迷走してたのも良かったがな、なんとなく収まった。


被害者の亜梨沙、頑張った。うん。

奴ら6人。3カップルのグループって思われてんな。

序列第1位。亮子&山中は公認カップル。

満場一致!

序列第2位。亜梨沙&健太。

噂ではデキる寸前。実際には違うんだがな。時間かければ何とかなりそう。

序列第3位。翼&加奈。

どうでもいい。別クラスの噂ではホットゾーン。

クラス内はむ~ん?
翼幼稚、加奈事務対応。

幼稚園の幼児と先生?

おっと待ち合わせの時間だ。

忍法「盗聴の術」


文芸部の活動終了の10分前。

健太、中川加奈に話かける。

残った女4人。みんな無関心。

一時期は噂のカップル。
だがよ、加奈とイケメン翼の噂浮上から、健太、記憶からデリート。

よしよし、私はお前がイチ推しだからな。

「中川さん帰ろ~。 亜梨沙の料理部に迎えいくって、約束だけど、いい?」

ぼそっ。「翼も合流したいそうだから、30分くらい待てる?」

「うん、あ、いいよ」

ここで翼の名前出せんな。女子、聞き耳立ててっけどな。

廊下出て、踊り場でストップ。複雑な話じゃねえし、5分ありゃいい。

協力関係の解消申請だ。

「中川さん。翼と亜梨沙に付き合ってもらうための協力関係だけど」

「ああ、あれね」

「効果もなかったし、そろそろ解消させてもらっていい?」

亜梨沙と翼に恋愛感情ねえしな。

「・・逆効果だったね。高岡君が私に気を使って、こっちに来てくれたもの」

「ごめん。僕からのお願いなのに。面倒をかけました」

「いいえ。結構、面白かった」

「・・そうなの」

「うん。私は何も起こらないと思ってた。だから傍観者を気取ってたの。展開は予想外だったね」

「僕も驚いた」

「私のイメージ、自分は裏方として演劇作品に関わるスタッフだった」
「そっか、分かる」

「なのに、いつの間にか舞台上。あれっ?て。その上、目の前には主演男優・翼。今でも戸惑ってるわ」

「僕も何が起こったかと思った」

「初詣から、え、ええって。3学期が始まったあと放課後のプチお茶会、1月18日の桂木亮子さんの誕生日も???だった」

「ああ、その後の翼もすごいよね」

「文芸部に来て、私に加奈ちゃん呼び。廊下でも大きな声出して、手をブンブン」

「中川さんは普通なのに、あれは周りが沸くね」

「2年になってのコンタクトは、中2と同じスタイルに戻したの。そしたら、高岡君のため大変身~とかね」

「はは。そういえば、亜梨沙にも迷惑かけちゃった」

「そうね。園田さんには悪いことしたわ。謝りたいけど、謝ったら私達の画策がばれちゃう」

「それなんだよな~。亜梨沙、翼、亮子にも、これだけは白状できない」

「高岡君と園田さん、2人のこと、また何か考えるの?」

「ああ、そこは終わりかな。どっちにも、御互いに恋愛感情、ないんだって」

「・・そうなんだ」
「うん。僕の誤解」

「・・じゃあ、この話はここで終わり」

「うん」

声は小さめだな。周囲にも誰もいねえ。

あ、私の忍術はノーカンだから。

「中川さん、本当に気を悪くしてない?」

「いえ、木曽君が誘ってくれて高岡君と接点を持てたから、知りたいことが分かった」

「どんなの?」

「なんで、文芸部の長谷川先輩が勘違いしたのか、少し理解できた」

「翼、ぐいぐいいくよね~」

「うん。ただね・・」

「何か、またあったの?」

「高岡君、何か目的があって、私を仲間に入れてくれた気もする」

「・・そうかな。言われてみれば、画策した僕らと同じくらい、変な動きもあったね」

「まあ、仲間特典でも、あれだけ優しいと、少しくらい騙されてもいいかな・・」

「いや、翼は何か考えてても、騙す目的じゃない。絶対」

「君達、いい友達だね。大丈夫。悪い気分じゃないから」

そろそろ待ち合わせ時間。

今日は私も合流だから、亜梨沙んとこで待と。

「ところで木曽君」

ん?

「なに、いきなり真面目な顔して」

「私、木曽君達のグループから離れようかな」

お、そう来たか。

「もう、協力関係も必要ないでしょ。それに6人で集まると、私が原因で、園田さんの寂しそうなときあるし・・」

「だけど・・」

「2年生になる前くらいから感じるけど、高岡君って好きな人がいると思う」

「ああ・・それは思ってた・・」

「相手が園田さんじゃなかったみたい。けれど、私が邪魔な気がしてきたの」

「中川さん、そんな風に言わないでよ。翼も心配してたよ」

「えっ?」

加奈驚いてっけど、私も昨日びっくり。

翼って、仲間が絡むときは有能だな。

恋愛絡む時の落差、ひでえけどな。

◇◇◇
昨日の健太の見守りの時。

犯罪って言うな。

愛が溢れすぎて、何か聞こえてくるんだよ。

スピーカーからな。てへっ。


昨日、11時に翼から健太にチャット。

『遅くてわりい。今から行っていい?』

意外に節度守る翼が珍しかった。

健太もスクランブルと思って、即OK。

翼から健太の家まで100メートル。大事な話は、ジカだ。

ちなみに幼馴染み4人の位置関係。

最寄駅から最初が健太。100メートル行くと翼、亜梨沙で隣同士。

さらに50メートル先が亮子の家。山中は、その先。

さて健太の部屋。

ちっと沈黙。翼にしちゃ、珍しい。

健太、ゆっくり待つ。健太は翼、急かしたりしねえ。

「加奈ちゃん、俺らの6人グループを離れる気かもしんない。健太に言ってきたら、絶対に引き止めてくれ」

マジな声色で切り出した。


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