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43 オリジナル潜入方法

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私はカフドルス侯爵家に行かず、山越えでマイリに向かう。

ハドソンさんは、ちょうどカフドルス侯爵家に向かうところだった。だから、オスカー様のところに行くのは先になるので伝言を頼んだ。手紙だ。

内容は、マツラ子爵家のシヨーンへの悪意も込めて、こんな感じだ。

1、ラヒドヘ向かう途中、マツラ子爵家のシヨーンが、オスカー様から預かったメダルを私から取り上げ、盗品であると宣言しました。

2、シヨーンはマツラ子爵家の代表として、メダルを接収しました。

3、身分証明のメダルが手元にないため、マツラ子爵の騎士にマツラ子爵から返還するように頼みました。

4、その騎士、キタカ男爵家のセイル殿はシヨーンが出した私の殺害命令に反発し、部下も諫めました。それを命令違反とし処罰が下るなら、「武」を持ってマツラ子爵に抗議します。

5、いずれにせよ、貴族の名を持ってメダルを盗んだ犯人と宣言され、殺害命令まで出されましたので、侯爵家を訪れることは不可能です。

6、私が手紙を預けたことで、恩のあるダークネス商会のハドソン氏にマイナスがあれば「武」を持って抗議します。

♣ケント君、右胸は大丈夫ですか?ハイオーガに殴り飛ばされても、右胸を蹴られても、守ろうとしてくれてありがとう。


「ハドソンさん、この手紙をオスカー様か、護衛騎士のケント君に渡してね。♣の内容は私かケント君にしか知らないことだから、偽物じゃないって分かってくれると思う」

「なるほど、商売で使う符丁みたいなもんだね。それにしても、シヨーン様に対して辛辣だね。僕も、彼は子爵家の当主には向かないと前々から思っていたけどね」

「私は戦う力を得てから、殺すって言う人間を許せなくなった」

「それは仕方ないな。この手紙を見た侯爵家から、必ず君に伝言があるはずだ。どうすればいい?」

「大きな街にはダークネス商会があるよね。私が行ってハドソンさんの滞在地が分かるようになっていれば、訪ねるわ」

「ふむ。ところで、僕が窓口でいいのかな。先に言っておくけど、「クロビカリ聖女」と侯爵家との繋ぎ役は、君が思っているよりもメリットがある。僕はそれを商人として利用させてもらうことになるよ」

「私にそこまで価値はないって。ハドソンさんには貧乏な頃に世話になったから、お礼になるなら遠慮なく使って」

◆◆

ハドソンさんと別れてから、次の日の昼には憎きヤリステがいるマイリに到着した。

ハドソンさんと出会った場所からマイリまでは、街道を通ると150キロ。

だが、街道は1500メートル級の連山を迂回するから距離が長いだけ。

直線距離ならわずか40キロだ。

「クラゲユラユラ」で300メートルの絶壁も険しい獣道も楽に登った。

降りも絶壁と岩場の連続だったが、下向きの「クラゲユラユラ」で安全に降りた。

山頂から1300メートルくらい降りると、緩やかな山道。3時間も走ると、少し開けた場所に出た。

30メートルの崖が近い、薬草がたくさん生えた所。あの日、この場所で「鬼の牙」の5人に囲まれ、崖を落ちてから人生が変わった。

きっかけをくれたラッキースライムも奴らのせいで死んだ。

絶対に全員殺してやる。

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