12 / 188
12 帰還とギルマス
しおりを挟む
ダンジョンを脱出して、冒険者ギルドにやってきた。
ソフィー達に感謝。
入って左に受付カウンター、右が依頼掲示板や飲食スペースがある。
ソフィーらは依頼達成の報告をする。
行方不明の扱いだった私はギルマスに呼ばれ、執務室に向かった。
久々に普通のワンピースを着ている。
◆
ギルマスはAランクの52歳。180センチの魔法剣士でラグ。
ソファーで向かい合って話している。
「さて。ユリナ、無事で良かった。行方不明と聞いていたが、良かった」
「はい。ご心配をおかけしました」
・・・経緯を話した・・
ジュリアの報告はソフィーに聞いた通りで、探索失敗で私達の仲間が死んだということだ。
本来ならジュリア達をここに呼んで話を聞くべきだが、すでに彼女らは街を去っている。
「私が訴えても、ダンジョン内の出来事は立証できないことは分かっています。だから訴えません」
「すまんな。力になれなくて。それにしてもよく、Eランクのお前が半月間もダンジョンで生き残れたな」
ここからは、全て明かす訳にはいかない。
「はい。私も怪我を負ったんですが、ギリギリで自己回復スキルに目覚めました」
「ふむ。隠れたスキル持ちの人間がスキルなしと思ってて、何かをきっかけで覚醒することはたまにある。仲間のことは残念だろうが、幸運だったな」
「はい。それで妙に勘も鋭くなり、魔物から隠れながら半月間を過ごせました」
100メートル近い高さから落ちた。その後のことを考えても無理がある。
そこはギルマスも冒険者。
暗黙の了解。冒険者の生命線となる、スキルの中身は聞かない。
「自己回復スキルか・・」
「ええ。ナイフを借りていいですか?」
「魔鉄製の業物だ。気を付けろ」
「はい、見ていて下さい」
よく手入れされた魔鉄製ナイフで、手首をさっと引いた。
ぶしゅっ。やりすぎて、骨まで切れていた。
『超回復』
「は?」
「ああっ、血でソファーを汚してしまいました」
「ええっ・・。手首の切り傷どころか血管まで一瞬で戻った・・」
「ソファー汚してすみません・・」
「ソファーは気にしなくていい。それより凄いな」
「ええ、代わりに戦闘力は低いまま。回復スキルを他人に使っても切り傷を治す程度。かなり偏ってます。使用する魔力量にも不安があるから乱発できません」
「それでも、いいスキルだ。発現おめでとう」
「ありがとうございます」
ギルマスは疑念を持っていただろうが、笑顔で見送ってくれた。
◆
帰りに、ダンジョンで「超回復、等価交換コンボ」を使って倒した高レベルオーク2匹を査定に出した。
当面の生活費のためだ。
ソフィー達と合流すると、お金を50万ゴールドも渡してきた。
私の4ヶ月の稼ぎと同じくらいだ。
私が渡したオークジェネラルは依頼品の睾丸を抜いても価値があり、私をダンジョンから護衛したことにしても、差額がこの程度出たそうだ。
ありがたくお金を受け取った。
さらにマリーが痣を消したお礼をしたいと言うので、お互いに落ち着いてから一緒に冒険者活動をしてもらうことになった。
ソフィー達が誘ってくれて、そのまま打ち上げ会に突入。
ジュリアへの怒りもあるけど、私は元来、闘争心にあふれる方でもない。勧められてお酒を飲んだら、気持ちも落ち着いた。
50万ゴールド。初めてのまとまったお金だ・・。安いパンなら100ゴールド、少し砂糖を使った高い奴で600ゴールドで買える。
宿屋もギルド宿泊所の8人相部屋1000ゴールドから、一泊4000ゴールドの朝食付き個室に格上げできる。
「こんだけお金があったら、4人で腹一杯食べて楽しい夜になるはずなのに・・」
口に出したら、アリサ、モナ、ナリスを失ったことを強く実感した。
悲しくて涙が止まらなくなった。
「・・ユリナ」
「ソフィーもマリーも、みんなごめん。あっ、うえっ、ああ、うえっ」
「いいのよ。悲しくて当然よ・・」
「あ、あ、ありがとう」
ソフィーとマリーが優しく肩を抱いて慰めてくれた。
ソフィー達に感謝。
入って左に受付カウンター、右が依頼掲示板や飲食スペースがある。
ソフィーらは依頼達成の報告をする。
行方不明の扱いだった私はギルマスに呼ばれ、執務室に向かった。
久々に普通のワンピースを着ている。
◆
ギルマスはAランクの52歳。180センチの魔法剣士でラグ。
ソファーで向かい合って話している。
「さて。ユリナ、無事で良かった。行方不明と聞いていたが、良かった」
「はい。ご心配をおかけしました」
・・・経緯を話した・・
ジュリアの報告はソフィーに聞いた通りで、探索失敗で私達の仲間が死んだということだ。
本来ならジュリア達をここに呼んで話を聞くべきだが、すでに彼女らは街を去っている。
「私が訴えても、ダンジョン内の出来事は立証できないことは分かっています。だから訴えません」
「すまんな。力になれなくて。それにしてもよく、Eランクのお前が半月間もダンジョンで生き残れたな」
ここからは、全て明かす訳にはいかない。
「はい。私も怪我を負ったんですが、ギリギリで自己回復スキルに目覚めました」
「ふむ。隠れたスキル持ちの人間がスキルなしと思ってて、何かをきっかけで覚醒することはたまにある。仲間のことは残念だろうが、幸運だったな」
「はい。それで妙に勘も鋭くなり、魔物から隠れながら半月間を過ごせました」
100メートル近い高さから落ちた。その後のことを考えても無理がある。
そこはギルマスも冒険者。
暗黙の了解。冒険者の生命線となる、スキルの中身は聞かない。
「自己回復スキルか・・」
「ええ。ナイフを借りていいですか?」
「魔鉄製の業物だ。気を付けろ」
「はい、見ていて下さい」
よく手入れされた魔鉄製ナイフで、手首をさっと引いた。
ぶしゅっ。やりすぎて、骨まで切れていた。
『超回復』
「は?」
「ああっ、血でソファーを汚してしまいました」
「ええっ・・。手首の切り傷どころか血管まで一瞬で戻った・・」
「ソファー汚してすみません・・」
「ソファーは気にしなくていい。それより凄いな」
「ええ、代わりに戦闘力は低いまま。回復スキルを他人に使っても切り傷を治す程度。かなり偏ってます。使用する魔力量にも不安があるから乱発できません」
「それでも、いいスキルだ。発現おめでとう」
「ありがとうございます」
ギルマスは疑念を持っていただろうが、笑顔で見送ってくれた。
◆
帰りに、ダンジョンで「超回復、等価交換コンボ」を使って倒した高レベルオーク2匹を査定に出した。
当面の生活費のためだ。
ソフィー達と合流すると、お金を50万ゴールドも渡してきた。
私の4ヶ月の稼ぎと同じくらいだ。
私が渡したオークジェネラルは依頼品の睾丸を抜いても価値があり、私をダンジョンから護衛したことにしても、差額がこの程度出たそうだ。
ありがたくお金を受け取った。
さらにマリーが痣を消したお礼をしたいと言うので、お互いに落ち着いてから一緒に冒険者活動をしてもらうことになった。
ソフィー達が誘ってくれて、そのまま打ち上げ会に突入。
ジュリアへの怒りもあるけど、私は元来、闘争心にあふれる方でもない。勧められてお酒を飲んだら、気持ちも落ち着いた。
50万ゴールド。初めてのまとまったお金だ・・。安いパンなら100ゴールド、少し砂糖を使った高い奴で600ゴールドで買える。
宿屋もギルド宿泊所の8人相部屋1000ゴールドから、一泊4000ゴールドの朝食付き個室に格上げできる。
「こんだけお金があったら、4人で腹一杯食べて楽しい夜になるはずなのに・・」
口に出したら、アリサ、モナ、ナリスを失ったことを強く実感した。
悲しくて涙が止まらなくなった。
「・・ユリナ」
「ソフィーもマリーも、みんなごめん。あっ、うえっ、ああ、うえっ」
「いいのよ。悲しくて当然よ・・」
「あ、あ、ありがとう」
ソフィーとマリーが優しく肩を抱いて慰めてくれた。
51
あなたにおすすめの小説
目つきが悪いと仲間に捨てられてから、魔眼で全てを射貫くまで。
桐山じゃろ
ファンタジー
高校二年生の横伏藤太はある日突然、あまり接点のないクラスメイトと一緒に元いた世界からファンタジーな世界へ召喚された。初めのうちは同じ災難にあった者同士仲良くしていたが、横伏だけが強くならない。召喚した連中から「勇者の再来」と言われている不東に「目つきが怖い上に弱すぎる」という理由で、森で魔物にやられた後、そのまま捨てられた。……こんなところで死んでたまるか! 奮起と同時に意味不明理解不能だったスキル[魔眼]が覚醒し無双モードへ突入。その後は別の国で召喚されていた同じ学校の女の子たちに囲まれて一緒に暮らすことに。一方、捨てた連中はなんだか勝手に酷い目に遭っているようです。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを掲載しています。
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜
ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。
アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった
騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。
今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。
しかし、この賭けは罠であった。
アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。
賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。
アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。
小説家になろうにも投稿しています。
なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる