ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる

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25 最低な貴族がやってきた

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水のウイン。

私の親友を殺した6人のうちの一人。

その名前をギルマスから聞いた。

聞いた瞬間は、血が沸騰しそうだった。だけど、もう冷静になった。

復讐はしたい。

だけど、私はリュウ達「暁の光」への正式加入を望まれ、新しい生活を手に入れつつある。

手に入れた強力スキルも、かなり癖がある。


魔物相手なら高ランクオーガだって倒している。
20メートルの大蛇も骨だけにした。
下手したらドラゴンを討伐できるかもしれない。

逆に人間に殺される可能性がある。

弱点を見抜いた人間なら、Eランク冒険者だって私を倒せる。

ましてやウインやジュリア達は、私が間違いなく苦戦する高位魔法使い。

「もっと鍛えて」
「機を見て」
「今じゃない」

「少しくらい遅くても友達3人は許してくれる」

そんな風に自分に言ってきた。

リュウを好きになって、彼も私を大事にしてくれる。

オーグやダリアと4人で過ごすのが楽しい。

死んだ友人達に悪いと思いながら、今の生活を長く続けようと思っていた。

『超回復』の能力。

一介の冒険者が手にするには、大きすぎる。

力を得てどうすべきか。ここで答えなんて出ない。

とりあえずみんなの所に戻ろうと思い、ギルマスに礼を言って執務室を出た。



早くリュウ達に警戒をうながしたいが、遅かったようだ。

私に斬りつけてきた騎士がいる。

「お前らの仲間の女はどこにいる」
「お前って、お前こそ誰だよ」

「なんだ、その口のきき方は。この方はカスガ男爵家のワルダー様にあらせられるぞ!」

「ああ、街道でオーク相手にガクガクしてた騎士さんと、馬車の中で震えてたお貴族様か」

「なんだと。でたらめを申すな!」

「助けられたあとは、強気だったよな。まず、助けた相手をを恫喝したし」

「黙れ!」

「みんな股間におしっこもらした跡があって、騎士道ってやつを学ばせてもらったぜ」

「騎士を馬鹿にしておるのか」

問題のカスガ男爵家ワルダー、手下4人。

オーグとダリアは引かせようとするが、リュウが止まらない。

私がされたことに怒ってくれている。

「なんだと、言わせておけば。とにかく、女を出せ。ユリナという名前は分かっているぞ」

「ちっ。ばれてんのかよ。ユリナはここにはいない。お前が後ろから斬り掛かかっただろうが」

「この、とにかくユリナを出せ」

「人の女を気安く呼ぶな。強盗騎士が」

「へっ」
「何だよ・・」

「あんな貧相な女とヤって、いい男気取りか。ガキが」

「てめえにユリナの何が分かる!」

「だめ、リュウ!」

護衛騎士を殴ろうとした、リュウの腕をつかんだ。

「ユリナ、来てたのか」
「ダメ、こらえて」

肩をつかまれた。

「お前だったな。この前の女は」

「何か用?」

「一緒に来い。ウイン様が待っている」

「どこ?」
「隣町のキセだ。とにかく来い」

近くの街に仇の一がいる。

「てめえ、ユリナから離れろ」
「うるさい!」

騎士が剣を抜いた。

だけどギルマスが出てきた。

「ストップだ! リュウ、よくこらえたな」

「何だお前は。我々はカスガ男爵家の者だぞ」

「ここのギルマスだが、犯罪者に名乗る名はない」

「貴族家の者を犯罪者呼ばわりするか!」

「ああ。ギルド内での抜刀、恫喝、ギルド員の誘拐未遂。中央のギルド本部を通し、正式に王家とカスガ男爵家に抗議する」

「斬り殺してやる!」

4人の騎士が抜刀。

これを合図に、ギルマスをはじめ、副ギルマス、腕の立つ職員が戦闘態勢に入った。

騎士が動揺して、すでに2人は白旗をあげている。

拘束された。

この場は収まると思い、気を抜いたのが間違いだった。


「くらえ」
「危ない、ユリナ」

男爵家長男ワルダーの手から炎が放たれた。

ミスだ。

姉のウインと同様に魔法使いだと思うべきだった。

ピカッ!「リュウ!」


私をかばったリュウの脇腹。

そこがオレンジに光り、大きな爆発音が鳴った。

    
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