ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる

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29『超回復』変装術は見破れない

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リュウと今度こそ離れた。

最後に「待ってる」と言ってくれた。

待つ必要はない。

これから私は、あの女と命の取り合いをする。


男爵家の馬車は、ギルドの近くに停めてあった。

ワルダー達を馬車の荷台に押し込めた。

「こんにちは、御者さん」
「へ、誰?」

いきなり御者台に座ると、御者が驚いていた。

私はあらかじめ、身長15センチ減。
「等価交換」の準備をして、御者の左足首に手に触れた。

「等価交換」ばちっ。

御者は左足の膝上まで、棒のようになった。自分の脚を呆然と見てる。

「ななっ、お前は何だ。俺の足に何をした」

黙るように言った。

未知の攻撃。顔が引きつった御者に指示し、街の出口に向かった。


すでに街の門には領主による検問。門番は2人いた。

「すみません、カスガ男爵家の御一行ですね」

「はい。なんでしょうか」

「街の中で問題が起きたため、申し訳ございませんが、中を改めさせていただきます」

若い門番が、私を見た。

「その御者台にいる少女は?」

「はい、マヤと言います」

10歳になり、男爵家の下働きとして雇ってもらう。

そんな嘘ストーリーを並べてみた。

「手配があったのは身長160センチの18歳女性。先輩、どう思います」

「聞かんでもいい。その娘は120センチ。お止めして申し訳ありませんでした。お通り下さい」

「ご、ご苦労様です」

馭者は最後に、一言だけ絞り出した。


馬車に乗り込んでから門に着くまでに、私は自分の太ももをザク切りにしまくった。

ついでに首も切って『超回復』のシステムを使って少女に変装した。

横で見ていた御者は、今も青い顔をしている。



水のウインが滞在しているキセ街まで4時間。カナワを出発して、南北街道沿いに走る。

途中から街道が川に近づき、大きな川と平行して走った。

ワルダーの馬車は、この街道でオークに襲われていた。
だけど普通なら、めったに魔物が出ない。

暗くても順調に進んだ。

「そういえば、ギルマスに道具をもらったな」

ギルマスは「魔法マニア」「スキルオタク」。その次は「武器コレクター」

私のスキルを見て、私だけが使えそうなアイテムをくれた。

武器というか、道具というか・・。

普通の冒険者なら使わなそうな物。ぶっちゃけ、死蔵品だ。

それをいじってるうちに、キセの街が見えてきた。

日も暮れた。こんな時間帯に門は開けない。

だが、ワルダーは馬鹿そうでも貴族家の長男。

通行証を提示。川沿いの門の方に向かった。そっちなら、夜間緊急用の入り口がある。

◆◆

水のウインが泊まってるのは、この街で1番の宿屋だそうだ。

街の規模は小さいから、2階建ての防衛機能も低い造り。

攻め方はシンプル。

縮んだ少女スタイルのままで挨拶に行き、油断させる。

体のどこかを触って「等価交換」で倒す。それだけだ。

というか、それしか攻撃手段がない。


しかし、いきなり誤算。

なぜか街の門の外に水のウインがいる。

水魔法適正A。164センチ、巨乳のツリ目美人。
白いブラウスに赤みがかったスカートをはいている。

「ワルダーちゃん、何があったの?」

馬車からワルダーが転げ出し、姉のウインに何か訴えている。

「あひゅ、あう、あう」

「喋れなくされたのね。どおりで魔力が乱れてると思った」

声は、少しも乱れてない。心配した風でもない。

「で、ユリナは連れてきたの?」

不味い。こっちを見た。

ジュリアの仲間は高レベル魔法使いばかり。

広範囲の魔力感知もできると言っていたが、こいつも例外ではなかった。

先手を取り損ねた。

ワルダーがこっちを指さした。

逆らったら口を元に戻さないと言っておいた。

けれど、姉への忠誠心か、それとも恐怖心か。そっちが勝っていた。

「その魔力ゼロ娘がそうなのね。ワルダーちゃん」

「はふん、はふん」

「そう。小さくなってるけどユリナなのね」

ウインは偽りの「善人」だったころに言っていた。

何でも言うこと聞いてくれる、忠犬のような弟がいると。

それが最低貴族のワルダーだったか。

10歳程度の身長で、見るからに非力。

そんな状況でウインににらまれている。

油断させて接触。

見事なまでに作戦は、失敗に終わった。

さて、どうすべきか。

    
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