ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる

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89 地獄から来たホネマスク

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「地獄ユニット「ホネマスク」をメルバさんと作った。

ふふふ、強盗だよ。

私とトラブったエルキールさんの家に押し入る。


コンコン。

「どなたですか、こんな夜更けに・・きゃああ」
「静かに。黙っていれば殺しはしない」

メルバさんが、鍵がかかり空いていないドアの取っ手を回した。

普通にだよ・・なぜ? とにかく空けて、渋い声で言った。

「ひっ」
「使用人のお二人にはは、しばらく眠ってもらいます」

「すごい。流れるように、犯行が進んでいく・・」

「行きますよ。1号」
「あ、はい。メ、じゃなかった2号」

エルキールさんの奥さんを看病するためにいた、中年女性2人。

メルバさんが薬をかがせ、1階のソファーに寝かせた。

2階に上がり、階段から3つ目の部屋、アリア婦人が寝ている場所も、メルバさんが知っていた。

「起こしますか?」
「待って」

ふとんをめくっても起きない。

顔は黄色くも感じるような茶色。やつれてはいないが、むくんだような頬だ。

手を触れた。手から悪い情報が流れてくる。

「2号、この人の状態かなり悪い。特におなかのこのへん、なんだか分かる?」

「そんなことも解析できるのですか。そこは肝臓です」

「どんな役割?」
「簡単に説明すると、体のエネルギーを作る場所です」

「自然な修復は?」
「そこまで顔色に出てるなら、100人に1人とか助かればいい方ですね」


そうか・・

エルキールさんは、この奥さんを助けるために無理をしたんだ。

命がけで、私に会いに来たんだ。

「このまま治療されますか?」
「いや、起しましょう」

「なぜです」

「ホネマスクを宣伝しないと。そして・・」
「そして?」

「旦那さんに愛されてるって、教えてあげないと」

奥さんを起こすと、すごく驚いている。

「さあ、2号やるよ」
ぼそっ。「まじですか?」

「婦人よ」
「ひっ」

「わははは。我々は、そなたの夫に召還され、地獄の底からやってきた」

「な、なんなのですか」

「お前の肝臓はもらっていく。地獄ユニット、ホネマスク1号!」

「同じく、ホネマスク2号!」

「・・・」

メルバさんと息があった演技、大成功。

メルバさんも乗ってくれたのに、奥さんの口が、ポカンと開いている。

「こほん、エルキールが命と引き換えに、私達2人を、ここに呼んだ」

「お前の肝臓をもらい、地獄肝臓に付け替える。押さえろ2号」

「了解、1号」

目を見開く婦人のパジャマをめくり、右側の腹に手を当てた。

「・・ひ」

「ホネホネ強奪」


『超回復』ぱちぃぃ・・

「な、なにが・・」

「ご婦人、気分はどうだ」

「え、は、え~と、身体か楽・・ですね」

「私達は玄関から地獄の蓋を開けて、魔界へと帰る。私達が帰ったあと、地獄へ続くドアに鍵をかけ、戸締まりをするのだぞ」

「・・ぷ」

ぼそっ。
「我慢してよ、メルバさん」

「じ、地獄肝臓、魔界、、玄関、戸締まりって」

「さらばだ!」
「くくく、さらばだ!」

私達は宣言通り、玄関から地獄へと旅立った。



2人で秘密の通路から外に出た。

そして私が好きな大きな木の下でシートを広げている。

もちろんメルバさんと酒盛りだ。

「あ~はっは。私まで笑いそうになったよ」

「くふふふふ、いやあ、危なかったです」

乾杯した。

「ユリナ様、記念にこのマスク、持ってていいですか?」

「ええ、絶対に持ってて下さい」

「絶対に?」

「街中って私の回復術、使いにくいでしょ。メルバさんさえ良ければ、たまにホネホネマスクで人助けしない?」

「兄や弟も誘いますか?」

「いえ、そんな手広くやるつもりはないの」
「面白そうですが、2人ですか」

「そう、成り行きだけど、1号、2号の固定でやらない?」

助ける人の基準を聞かれた。

そんなの、決まってる。

「メルバさんが助けたい人だよ」

「え、俺ってそんなに広い視野もなければ、善人とかの区別もできませんよ」

「いいの。さっきの婦人だって、旦那の覚悟に気圧されて治療しただけ。別に尊い理由はないもん」

「じゃあ、このマスク、俺とユリナ様が揃ったときだけ被るものですね。そうか、俺だけか・・」

「面倒くさい?」

「とんでもない。俺、アルバ兄さんとジェルバが羨ましくて、悔しい思いをしてたんですよ」

「む~ん?」

「だって、ユリナ様と孤児院に付き添って、夕飯をご一緒するのはアルバ兄さん。酒場でユリナ様と酒を飲むのはジェルバ、そんな感じでしょ。俺の役割がなくて・・」

「あはは」

笑った。

私なんて、大したもんじゃない。たまたま、いいスキル手に入れて自己満足してるだけ。

「だけど、俺はそのスキルに救われました」

「ありがとう。そうだ、今日のお礼をしなきゃ。なにがいいかな」


「・・恥ずかしいお願いをいいですか?」

「いいよ」

体を求められる、ことはねえか ・・

「ぎゅ・・、ぎゅとして下さい」
「はい?」

「・・俺、上2人の兄と違って母親の顔を知らないんです」

「・・」

「火傷の治療をしてもらってから、ユリナ様が母親と思えるときがあって・・。馬鹿なことを言いました。ユリナ様?」

なんだか可愛い。思わず、頭を抱きかかえていた。

「メルバさんはどこを火傷したの?」
「首筋から右腕と背中です」

首を撫でた。

「もう大丈夫だからね。怪我したら、遠慮せずに来てね」

「はい・・」


マスクは数種類ある。違うマークのマスクも何枚かあるので、新キャラ作りもアリかも思う。

夜中にメルバさんと別れ、ペルセ中級ダンジョン前のホテルに戻った。

そして私は24時間営業の酒場で、出発前と同じ席に着席。

エルキールさんを待つ間、甘い香りがするラムを注文した。

今度は心残りもない。


気持ちよく飲めた。

    
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