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113 『サルバ』 やっと俺のターン
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◇◇サルバ◇◇
紹介でさえ、おざなりなサルバだ。だが気分がすこぶるいいから、気にしない。通称スマトラファミリーのあるじスマトラ様に仕える4兄弟の次男である。
ちなみに兄アルバが33歳、私は32歳、三男メルバが28歳、末っ子のジェルバが27歳だ。
やっと私にもユリナ様の使徒として役目が降りてきた。正直に言うと悔しくて仕方なかったのだ。
私達4兄弟は、ユリナ様自身が何と言おうと彼女に救われた。かつて闇組織から焼かれて、廃棄されかけた。そのときの傷を消しただけと思っているだろうが、私達は組織の一員を示す焼き印も消してもらった。
つまり私達は焼き印に施された「闇魔法」を解かれたのだ。兄弟4人とも、心がすうっと楽になったのだ。
私達も焼き印に闇魔法が仕込まれていたことに気づいていなかった。呪縛から解き放ってくれたユリナ様が特別な人に見えて仕方ない。
以降はまず、スマトラ様と相談してオルシマの街の近隣でユリナ様のストーカ、いや見守りをすることになった。
物理的な戦闘に関しては、ユリナ様はスキルの応用で魔物に勝てるから外は必要ない。怖いのは有力者の悪意なのだ。
スマトラ様を4人で護衛する日を除いて、交代で行うことになった。
そうこうしているうちにアルバ兄さんが、ユリナ様が街の孤児院に行くときは同伴するようになった。私達弟3人は、一番苦労した兄がユリナ様と触れる機会が増えて喜んだ。
顔面を覆った傷が引きつり、無表情だった兄さんが嬉しそうだ。俺も本当に喜んた。
しかしだ。しばらくすると、末っ子のジェルバが夜に出かけるようになった。私とメルバで問い詰めると、酒好きのユリナ様と夜の川沿いで話をしているうちに、酒場に付き合う役目ができたらしい。
その2日前に同じ状況なら、俺のポジションだったのに・・。
次男の俺と三男メルバは酒を飲みながら、「ジェルバも母の顔を知らぬし、これでいい」と繰り返していた。
だが、ある日のメルバがへんてこなドクロマスクを持って帰ってきた。聞くと、勝ち誇ったような顔で「地獄から来たホネマスク」というユニットを作り、人助けをするという。ユリナ&メルバ限定だそうだ。
話を聞いた私の顔は引きつっていたと思う。なぜユリナ様は1日前に来てくれなかった。
アルバ兄さん、メルバ、ジェルバが「スモールシルバー」の会合で誇らしげに近況報告する中、みんなに「あれ、サルバさんから報告ないの」という目で見られた。
俺も自分だけの役割が欲しかった。しかし若手冒険者とのトラブルのときもご自分で解決されたし、チャンスが来なかった。王都近くのマアミ侯爵領まで「ジュリア暗殺」に出向かれたユリナ様に付いて行こうとした。が、速くないのにスピードが落ちないユリナ様を1時間もしないうちに見失ってしまった。
俺も使徒なのに。
朗報は意外なところから訪れた。ユリナ様が3人の女性サーラ、カミーラ、タルモを伴い初級ダンジョンからギルドに帰ってきた。3人とも魔力ゼロでスキルもなく苦労しているそうだ。
ユリナ様との会食の場に私も呼ばれた。素知らぬ顔をしていたが、私の神経は研ぎ澄まされていた。ユリナ様は同じ魔力ゼロの人間が安全に働く場を提供しようと考えている。国境付近の市場にある「ふーどこーと」のようなものを作りたいという。だけどユリナ様も連れてきた3人も、店舗を提供されても仕入れの仕方さえ分からないという。
要するに、誰かが手助けしないとユリナ様の計画は成り立たない。神が私に降りてきたのだ。
私は裏の組織にいたころ、意外に話術に長けていた。潜入任務のときの身分として「商人」に偽装できる素養を身につけている。まさかここで役立つとは。
スマトラ様は死の病から救ってくれたユリナ様に恩返しするため、食堂兼住居の候補地をピックアップしている。
それはユリナ様と亡くした友人との目標が食堂を開くことだったと知ったから。普通の住居では100パーセント受け取ってくれない彼女が必要とするなら、この形と読んでいた。
意外とお膳立ては整っており、迅速に対応できた。
冒険者ギルドから100メートルで大通りから少し入った位置。以前は食材を卸す店。そこなら倉庫があり「ふーどこーと」構想にぴったりだ。
元店舗を住居とする。逆に倉庫を広げて入り口を広げ、気楽に入れる店とする。位置も有事の際に駆けつけやすいから、最有力候補地なのだ。
魔力ゼロが主力。そして虐げられる弱いスキル、闇属性持ちが集まる。そうなると、絶対に悪い奴らに目をつけられる。
普通は大きな懸念材料だか、その一点だけは心配していない。ユリナ様絡みだ。早くもスマトラ様、ルナ、ケイン、オルガから「店舗防衛」の申し出があった。むしろ過剰戦力なのだ。
だが、運営は私が主導する。
ユリナ様と私、サーラ、カミーラ、タルモによる「共同事業」を成功せる。そして、ユリナ様が亡くしたお仲間、私達のような闇属性持ちが安心して生きていける街を作る。ほかの3兄弟以上に、ユリナ様の使徒として大きな役割を果たすのだ。
お酒が大好きなユリナ様が入り浸れる「聖域」を完成させてやる。
紹介でさえ、おざなりなサルバだ。だが気分がすこぶるいいから、気にしない。通称スマトラファミリーのあるじスマトラ様に仕える4兄弟の次男である。
ちなみに兄アルバが33歳、私は32歳、三男メルバが28歳、末っ子のジェルバが27歳だ。
やっと私にもユリナ様の使徒として役目が降りてきた。正直に言うと悔しくて仕方なかったのだ。
私達4兄弟は、ユリナ様自身が何と言おうと彼女に救われた。かつて闇組織から焼かれて、廃棄されかけた。そのときの傷を消しただけと思っているだろうが、私達は組織の一員を示す焼き印も消してもらった。
つまり私達は焼き印に施された「闇魔法」を解かれたのだ。兄弟4人とも、心がすうっと楽になったのだ。
私達も焼き印に闇魔法が仕込まれていたことに気づいていなかった。呪縛から解き放ってくれたユリナ様が特別な人に見えて仕方ない。
以降はまず、スマトラ様と相談してオルシマの街の近隣でユリナ様のストーカ、いや見守りをすることになった。
物理的な戦闘に関しては、ユリナ様はスキルの応用で魔物に勝てるから外は必要ない。怖いのは有力者の悪意なのだ。
スマトラ様を4人で護衛する日を除いて、交代で行うことになった。
そうこうしているうちにアルバ兄さんが、ユリナ様が街の孤児院に行くときは同伴するようになった。私達弟3人は、一番苦労した兄がユリナ様と触れる機会が増えて喜んだ。
顔面を覆った傷が引きつり、無表情だった兄さんが嬉しそうだ。俺も本当に喜んた。
しかしだ。しばらくすると、末っ子のジェルバが夜に出かけるようになった。私とメルバで問い詰めると、酒好きのユリナ様と夜の川沿いで話をしているうちに、酒場に付き合う役目ができたらしい。
その2日前に同じ状況なら、俺のポジションだったのに・・。
次男の俺と三男メルバは酒を飲みながら、「ジェルバも母の顔を知らぬし、これでいい」と繰り返していた。
だが、ある日のメルバがへんてこなドクロマスクを持って帰ってきた。聞くと、勝ち誇ったような顔で「地獄から来たホネマスク」というユニットを作り、人助けをするという。ユリナ&メルバ限定だそうだ。
話を聞いた私の顔は引きつっていたと思う。なぜユリナ様は1日前に来てくれなかった。
アルバ兄さん、メルバ、ジェルバが「スモールシルバー」の会合で誇らしげに近況報告する中、みんなに「あれ、サルバさんから報告ないの」という目で見られた。
俺も自分だけの役割が欲しかった。しかし若手冒険者とのトラブルのときもご自分で解決されたし、チャンスが来なかった。王都近くのマアミ侯爵領まで「ジュリア暗殺」に出向かれたユリナ様に付いて行こうとした。が、速くないのにスピードが落ちないユリナ様を1時間もしないうちに見失ってしまった。
俺も使徒なのに。
朗報は意外なところから訪れた。ユリナ様が3人の女性サーラ、カミーラ、タルモを伴い初級ダンジョンからギルドに帰ってきた。3人とも魔力ゼロでスキルもなく苦労しているそうだ。
ユリナ様との会食の場に私も呼ばれた。素知らぬ顔をしていたが、私の神経は研ぎ澄まされていた。ユリナ様は同じ魔力ゼロの人間が安全に働く場を提供しようと考えている。国境付近の市場にある「ふーどこーと」のようなものを作りたいという。だけどユリナ様も連れてきた3人も、店舗を提供されても仕入れの仕方さえ分からないという。
要するに、誰かが手助けしないとユリナ様の計画は成り立たない。神が私に降りてきたのだ。
私は裏の組織にいたころ、意外に話術に長けていた。潜入任務のときの身分として「商人」に偽装できる素養を身につけている。まさかここで役立つとは。
スマトラ様は死の病から救ってくれたユリナ様に恩返しするため、食堂兼住居の候補地をピックアップしている。
それはユリナ様と亡くした友人との目標が食堂を開くことだったと知ったから。普通の住居では100パーセント受け取ってくれない彼女が必要とするなら、この形と読んでいた。
意外とお膳立ては整っており、迅速に対応できた。
冒険者ギルドから100メートルで大通りから少し入った位置。以前は食材を卸す店。そこなら倉庫があり「ふーどこーと」構想にぴったりだ。
元店舗を住居とする。逆に倉庫を広げて入り口を広げ、気楽に入れる店とする。位置も有事の際に駆けつけやすいから、最有力候補地なのだ。
魔力ゼロが主力。そして虐げられる弱いスキル、闇属性持ちが集まる。そうなると、絶対に悪い奴らに目をつけられる。
普通は大きな懸念材料だか、その一点だけは心配していない。ユリナ様絡みだ。早くもスマトラ様、ルナ、ケイン、オルガから「店舗防衛」の申し出があった。むしろ過剰戦力なのだ。
だが、運営は私が主導する。
ユリナ様と私、サーラ、カミーラ、タルモによる「共同事業」を成功せる。そして、ユリナ様が亡くしたお仲間、私達のような闇属性持ちが安心して生きていける街を作る。ほかの3兄弟以上に、ユリナ様の使徒として大きな役割を果たすのだ。
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