ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる

文字の大きさ
149 / 188

149 信じてくれてありがとう

しおりを挟む
討伐隊に加わり、ワイバーン、ハーピーと戦って30分以上がたった。

ハーピーが多くて最初は苦戦したが、貴族家3家の合同軍は、厳しい訓練を乗り越えた戦士ばかり。

連携しながら局面を有利な方向に変えていった。

すでに、ハーピーの攻撃タイミングを読んで、着実に対応している。

ハーピーは30匹まで減っている。

「すごい。みんなが瞬時に自分の役割を考えて、的確に敵を削っている」

感心してしまう。

軍団の中に加わって戦うのは初めてだ。その流れる動きが見事。

私が加われているとは言えない・・・

「ぐわっ」『超回復』
「ユリナさん」『超回復』
「こちらもお願いします」『超回復』

私はランドドラゴン変身の力を攻撃ではなく、怪我人の間を駆け巡るための脚力強化の手段に使っている。

ま、空飛ぶ敵だから、予想してた。

ワイバーン2匹目は、イツミ伯爵家の精鋭が傷だらけにしている。

傷は主に頭に付いている。機動力を奪いたい人間側が羽を狙う。

しかしワイバーンも羽を奪われては終わるので、防衛している。

ワイバーンは逃げたい。

羽ばたくが、ノエルがワイバーンの足に絡むロープに強化魔法をかけ続け、動きを制限している。

「ノエル、こっちが終わったら駆けつける!魔力は大丈夫だよね」

ハンドサインのやり取り。

「大丈夫。先に怪我した人たちの面倒を見てあげて」

返答あり。

その時、伯爵様がワイバーンの鼻先に剣をたたき込んだ。

「ぎゅるるるうううん!」

苦しみのいななきかと思ったら、違った。

ワイバーンは、支援部隊、を呼んだのだ。

残った30匹のハーピーが反応した。一斉にワイバーンとイツミ伯爵家の激戦地に飛んだ。

「しまった。みんな、ハーピーに備えろ。ワイバーンは逃がしてもいいから身を守れ!」

伯爵が瞬時に叫んだが、伯爵家討伐隊は意外な攻撃に反応が遅れた。

伯爵軍の前にワイバーン。後ろは30匹のハーピー。
精鋭達にも動揺が走った。

しかし、ノエルは叫んだ。

「伊達に67年も冒険してないよ。精霊術、風の障壁!」

「うわ、ノエル、かっこいい」

迫る30匹のハーピーに風の渦を当てた。完全に仲間を守った。

「ユリナ、私もやるっしょ。見てたよね」

「ノエル、後ろ!」
「えっ」

負担がかかる精霊魔法を使った直後、硬直したノエルにワイバーンが迫っていた。

ワイバーンも知能がある。

自分の脚を地上につなぎ止めていた憎いノエル。彼女が無防備になった瞬間、逃亡を考えず彼女を狙ってきた。

がすっ。かぎ爪が付いた足先で蹴られた。そして大きく舞った。

「ノエル!」

ワイバーンのかぎ爪で脇腹を割かれ、血と何かをまき散らしながら宙を舞うノエル。

みんな、絶望的な顔をしている。


もちろん、私だけは違う。

「ノエル、内臓失っても気を失うな!」

反射的にランドドラゴン変身をして、右側に舞うノエルを追った。

ジャンプして力いっぱい体をつかんだ。

滞空している。

腕の中には、血を撒き散らすノエル。

「おまたせノエル」

『超回復』ぱちーーっ。

どんっ。

二人で抱き合った形で地面に落ちた。

頭から、どんっ、と。

だけど、すでに私のスキルは成立している。

「痛てええ!」
「痛ったああ!」

2人で、元気に雄叫びをあげた。
けど、驚異は去ってなかった。

「やばっ」がしっ。

ノエルの魔法が解け、拘束道具から逃れたワイバーン。

旋回してきて、私達を捕まえた。

私とノエルは抱き合ったまま、逃げ損ねた。

ノエルと私の両足がまとめて、巨大な鶏のような足にガッチリととらえられた。

「うわあああ」
「ヤバい!」

ワイバーンの生息地帯に向かっている気がする。

私の技は封印中。

偶然にも最大の弱点を突かれた。

ノエルと私の足が、ガッチリ密着している。

「スライムパンチ」では、ワイバーンの前にノエルが吹き飛ぶ。

「等価交換」を使っても、巨体のワイバーンの前に、ノエルの方が干からびる。

巣に連れて帰られても私は生き残る自信がある。

だけど、複数のワイバーンがノエルに群がってきたら・・

「くそっ、放せ」

ミスリルよりも固い。

ノエルもナイフで叩いているが、爪に弾かれた。


高度が徐々に上がる。

高すぎる。

高度が500メートルなのか、1000メートルなのか分からない。

もう仲間200人は、豆粒に見える。

ノエルを見た。

まつ毛が長くて切れ長の目をしている。

二人、足をホールドされて空で逆さまになっている。


打開策はある。今、考え付いた。

勝算は低い。

「・・こりゃダメかな」
「ノエル」
「なに、ユリナ」

「私を信じれる?」

「・・何か手があるのね」
「ある」


見つめ返された。

「信じる」
「ワイバーンに火の精霊魔法をぶちかまして」

「分かった。こんな不安定な場所で頭なんて狙えない。腹狙いだね」

「そうだよ」

「ねえユリナ」
「ん?」

「キスしよっか」

「偶然だね。私もしたくなってた」

逆さ吊りで唇を重ねた。


確実に魔法が当たるワイバーンの腹。その軌道ギリギリには、私達の足が存在する。

ためらわずノエルは魔力を練り始めた。

「火の眷属よ、我がために炎を吐き尽くせ「サラマンダー」」


火魔法「豪炎」同等の大技。

わずか2メートル先、ワイバーンの腹に当たった。

熱量が尋常じゃない。

ワイバーンの腹から足に走る前に、私とノエルの全身から炎が上がった。

『超回復』。ノエルにアクティブ3回、私には勝手に働いた。

「等価交換」が使えない。私は、どんどん小さくなる。

ワイバーンが燃えながら、バランスを崩した。

ノエルの魔法、強力すぎ。

治した直後には、身体から炎が上がる私達。

数秒感に、数十回も回復させた。

2人の服も残骸のみ。

ワイバーンは甲高い悲鳴を上げ、私達を離した。

ようやくノエルと私は炎から解放された。

そうして・・

裸同然の私達、1000メートルの空中に放り出された。

しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

目つきが悪いと仲間に捨てられてから、魔眼で全てを射貫くまで。

桐山じゃろ
ファンタジー
高校二年生の横伏藤太はある日突然、あまり接点のないクラスメイトと一緒に元いた世界からファンタジーな世界へ召喚された。初めのうちは同じ災難にあった者同士仲良くしていたが、横伏だけが強くならない。召喚した連中から「勇者の再来」と言われている不東に「目つきが怖い上に弱すぎる」という理由で、森で魔物にやられた後、そのまま捨てられた。……こんなところで死んでたまるか! 奮起と同時に意味不明理解不能だったスキル[魔眼]が覚醒し無双モードへ突入。その後は別の国で召喚されていた同じ学校の女の子たちに囲まれて一緒に暮らすことに。一方、捨てた連中はなんだか勝手に酷い目に遭っているようです。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを掲載しています。

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

処理中です...