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152 愛のカオス劇場

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◇ユリナ、ハプニングエッチの余波で現実逃避中。

私はユリナ。

性アンドレ学園、2年百合組、出席番号38番。

実は友人のノエルに、オ○ン○ンが生えて、肉欲にまみれてしまう夢を見たの。

そして目が覚めたら、見知らぬ危険地帯に、ノエルと2人で寝転がってたの。

昨日はワイバーン先輩にナンパされ、ノエルと2人、地上1000メートルで放り出された。

そこまで憶えてる。

夢だよね。

ここ、レベル60オークが最低基準の「魔の台地」学園だって。

あ、中庭だ。半径3キロあるね。

オオカミ君がいる。ロックオンされてる。

ナンパ目的かな?

あれ、ノエルってば。

「ねえノエル、なんで手をつなぐの。オオカミ君が見てる」

「手くらいいいでしょ。余裕」

オオカミ君20匹がグルルルだって。

嫉妬しないで。

「ノエル、私と付き合いたいって、本当?」

「うん。本当だよ」

けど、私、知ってるんだ。ノエル、フリーじゃないって。

3年の先輩に聞いたよ。彼どころか、ダンナ様がいるんだね。

「ノエル私、3年の先輩に教えてもらった。フリーじゃないよね」

「夫はいたよ。・・3年の先輩?」

ほら、白状した。

ダンナ様は人族で冒険者。ダンナ様が30歳、ノエルは25歳で結婚したんだよね。

二股なんて嫌だよ。私って、そんなに軽く見えるのかな。

「けど、彼が死んじゃったから、今はフリー」

あっ、悪いこと聞いちゃった。

「ごめん。病気?」

「いや、老衰」

ノエル、35年の愛を貫いたんだ・・

けどさ・・

そのあとが問題なんだよね。なんと6人と付き合ったんだって。20年間で。

けど、みんな男。

女で好きになったのは、私が最初か。ちょっと心が揺れちゃう。

けど、この性アンドレ学園って、校則厳しいしさ・・

考えてると、私達をオオカミ君20人が、取り囲んでた。

本当に無粋なんだから。

「恋人として付き合いたいって思った女の子は、ユリナが初めて」

ドキンってしたけど、オオカミ君うるさい。

「2年の、推定レベル70のオオカミ君だね。カツアゲしようっての。先生に言うよ」


「・・いやユリナ、カツアゲじゃなくて、食べる気だと思うよ。それに、2年とか、先生とか、なに言ってるの?」

「ノエル、この人達から、貞操を守らないと」

「いや、守るのは命であって・・」

私達、学園では無敵で兵器扱い。

プンプン。失礼しちゃうわ。乙女なんだよ。

私達のペア、戦闘の授業では常にトップ。

ノエルは強力な精霊魔法、撒き散らす。

そのノエルに私が『超回復』で魔力満タン。

学園の縦巻きロールどもを焼き尽くしてるわ。

「ユリナといれば、3属性の精霊魔法、使い放題。最高だよね」

ノエルって、学園でも最高のポテンシャル。

精霊魔法の使い手。

火属性↓火魔法適正Bの「豪炎」と同等の「サラマンダー」。
風属性↓風魔法適正B「ウインディートルネード」に匹敵する「シルフダンス」。

そして水属性↓水魔法適正Aの最大技に匹敵する「アングリーアクエリア」。

ほら、早速、始まった。

ノエル、器用に風の矢を作って、オオカミの首に当ててる。

オオカミに接近されても、軽くかわして鼻先を素手で殴ってる。

この前も、しつこいナンパヤロウ、殴ってたよね。

◆◆
あれから半日。

オオカミ君、オーク君、オーガ君がナンパしてくる。

ま、ノエルが瞬殺してるけどね。

「ユリナ、そろそろ現実に戻っておいでよ」

だね。

「ふ~。やっと落ち着いた」

「性アンドレ学園とか、2年とか、なに言い出すかと思った」

「ははは」

「こんなとこで遊べるし、ワンバーンを1分で瀕死にするし。ユリナは大したもんだよ」

「いいスキルが手に入ったからね」

「違うよ。すごいのはユリナ」
「え?」

ドキンって胸が鳴った。

「性能は破格だけど、あなたのスキル、そんなに使い勝手が良さそうには見えない」

初めて、そんなことを言われた。

「物を集めて、うまくスキルと一緒に使っている。お陰でワイバーン討伐隊は死者ゼロ」

手を握られた。

「一晩考えたわ。ワイバーンにつかまったあと、ユリナのスキルを普通に使っていても、私は死んでいた」

「え、あ、あの」

「貴重な高位ドラゴンの鱗を消費して、私を死なせないための段取りを考えてくれた」

抱きつかれた。

「そしてそれを身を削って実行してくれたから、ギリギリで命を拾えた。スキルだけじゃない。私は、ユリナ自身にに救われたの」

抱かれている腕に力が込められた。

「だから、私はあなた自身にメロメロにされたのよ」

ブルーの綺麗な目。

何もなかった時に会えていたら、胸に飛び込んでいた。

だけど、今の私には優先するものがある。

「私は何人かの虐げられた子に希望を与えることができた。その子達を見守りたいの」

「やっぱり、そういう人達がいるのね」
「え、分かるの?」

「だってワイバーン討伐のときだって、必死で人を助けるために動いていたじゃない。普段からやっていないと、できないよ」

「だから、今は恋とか、愛とか・・」

「大丈夫だよ。私も長寿種だよ。オルシマに行って、色んなことをしながら待つ。20年くらい平気だから」

嬉しいけど、自粛の気持ちもあって、思いは複雑だ。

ただ、こんなこと、面と向かって言われたの初。

顔が紅潮している。思わず走り出した。


◇再び、性アンドレ学園に現実逃避。

ユリナ

赤くなった顔をノエルに見られたくない。

前にある、オーク君の巣に向かって駆け足で進んだ。

50人くらいのオーク君だ。

ハイオーク君も走ってきて前を塞いだ。これじゃ先に進めない。

追ってきたノエルに、肩をつかまれて振り向かされたら・・

「オーク君、どいてよ」

「スライムパンチ」ぱーーーん。

オーク君がどいてくれた。急いで、ノエルと距離を取った。

90センチに縮んだ私の肩、オーク君につかまれた。

ロリコンはダメだぞ。

「等価交換」

ほら、全裸の160センチに戻ったよ。

オーク君、鍛え方が足りないよ。右腕が棒みたいだぞ。

何だか意地になってしまった。

ノエルが追ってきた。

ノエル、前を塞いだ8匹のオーク君の頭に着火。やや強火。

オーク君たち、シャウトしながら歌い出した。

みんなヘタクソ。

まだ頬が火照っている。

私達、オーク君のナワバリで追いかけっこをしている。

私達の魅力に悩殺されたオーク君達の頭から、リアルな炎、上がってるよ。

とうとうノエルに肩を掴まれた。

開き始めたノエルの唇をじっと見た。

今、甘い言葉をささやかれたら・・。

「ユリナ・・」

ドキっとした。

「な、なに?」


「また現実逃避してる。ここ臭すぎるから、早く素材回収して出ようよ」

「・・だね」

近隣の貴族や冒険者が恐れる「魔の丘」で遊んでしまう私達だった。


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