ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる

文字の大きさ
188 / 188

188 とりあえず一区切り

しおりを挟む
とうとうジャバル特級ダンジョンをクリアした。

初回クリア報酬は人数と同じナイフが4本。

「宝石もないけど、きれいだよね」

誰もいない場所。ノエルに連れて来られて話している。

「ミール、そんなレベルじゃないわよ」
「珍しい金属?」

「刃先に付いているのは伝説の金属オリハルコンよ。4人でクリアしたから、特典も大きいんだと思う」

「オリハルコンって、使う人の心に反応して力を増幅できるっていうアレだ」

「知ってるのユリナ」
「おとぎ話で聞いたことがあるよ」

「俺も。実在したんだ・・」

4人で輪になってナイフ前にかざすと、違う色に変化した。

新しく得た「闇の刃」を強くしたいミシェルの刃先は黒。
水魔法が決め手のノエルの刃先は蒼くなった。
そして炎を決め技にしたいミールは赤。
自分に属性がないなと思った私は白かった。


ミシェルがスキルを発動させてみた。

刃先がミシェルの「闇の刃」を吸い込み、黒い中に金の光が混じりだした。

目も黒い中から金の光が漏れて、ほんのりと光っている。

刃先から、凄まじいプレッシャーを感じる。

「これ、何でも切れる気がする。回数は限られるけど、また強くなれそうだね」


「これは、国宝級ね。人前で出せないね。日常は収納指輪行き」
「だね。絶対に人に見せちゃダメよ、ミシェル」
「特に女の子の前では控えてよ。危ないから」


「うん、分かってる。俺がこんな代物を持ってるって知れたらトラブルの元だよね」

興奮気味にミシェルが目を耀かせている。

だけど私達3人が「隠せ」と言った意味は違う。

ぼそっ。
「ダークプリンス、ミシェル爆誕だよ。まずい」
「危険だよ。戦闘力よりモテ度が増す要素ばかりだよ」
「また女が寄ってくる」

ミシェルと私達3人の温度差はある。
思いは違えど、新たなるパワーアップの手段を手に入れた。


◆◆
ギルド出張所に入った。オリハルコンは隠してある。

私達の回りには、どこかの貴族家の遣いや大商人風、または高位冒険者のような人もいる。

いきなり人口密度が上がった。

公表していないが、ジャバルダンジョン70階までのクリアを受付嬢に普通に言っていた。

60階くらいまでは、隣のホテルの食堂で、酔っ払ってボス戦の話で盛り上がっていた。

ノエルとミールは酒を飲むと意外とポンコツ。

以前は弱かった私とミシェルは自分達が注目されているという意識が薄い。

だから、普段から情報を垂れ流している。

「どうする、ユリナ」
「そりゃ、大事な判断はミールに任せようよ」

「ここでダンジョン踏破報告をする。だけど、獲物は今は出さない。それぞれ4人が大事な人に最初にあげてから、公表しよう」

その方針に決まった。

受付嬢さんがうずうずしている。

「ノエル様、ミシェル様、ユリナ様、ミール様。本日はどのようなご用件でしょうか」

「ジャバル特級ダンジョンを4人で踏破しました。手続きをお願いします」

ギルド内がどよめいた。


高ランク素材が欲しい人達が待ち構えているが、理由があって今は出せないと言ってギルドを出た。


私の昇格凍結が解けるまで、あと3ヶ月くらい。

4人で自由に過ごす。

私の両親のお墓、ミシェルのお母さんのお墓に参って4人で結婚の報告をする。

ミールは自分を売った両親とは会いたくないし、ノエルの親はノエルと同じように旅をしている。会えたら、結婚の報告をする。


恐らく、これから一年以内に3つの勢力が私達のところに来る。

私がスキルを使って傷を癒した人達がくれた情報だ。

1つ目は教会上層勢力。『超回復』を持つ私を利用するために仲間に罪を着せて、私を従わせる気だそうだ。

2つ目は、いよいよ時間がなくなってきた年老いた王が、私の存在を知ったらしい。

3つ目は私の力を知った、ジュリアの実家のマアミ侯爵の勢力。


教会上層勢力には、武力の解決しか考えていない。
あとの2つの対処には知り合えた有力者の知恵を借りよう。

ナリス、モナ、アリサの仇の残り、「光のマリリ」も探す日も来るだろう。

マリリはきっと強い。

戦って私の命が尽きるのかもしれない。



夜になり、4人揃ってベッドて寝ている。

眠るミールの頭を抱きながら、呟いた。

「ミール、今回は一緒に冒険できて幸せだね」


オルシマの街でやれることもたくさんある。


みんながいれば何とかなるさと思えるようになってる。






▣この物語は、一旦終わらせていただきます。

お付き合いくださった方々に感謝します。
しおりを挟む
感想 14

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(14件)

A・l・m
2024.01.06 A・l・m

ぁ、ここで終わりなのか……。

完結お疲れ様でした。
ランキングで気になりつつも放置していた作品が予想よりも大ボリュームの満足作品で驚いています……。

……続くのかな?

2024.01.06 とみっしぇる

感想ありがとうごさいます。

リクエストがあれば、続編を書きたいな。などと思っています。

完結にしたけど、このスキル、作っていくの楽しいんですよね。

続きが浮かんでます。マリリとの決着もついてないですし・・

最後まで読んでもらって嬉しいです。

解除
A・l・m
2024.01.06 A・l・m

ハーフエルフ設定。
両方付き結構大きめ……。


ひょっとしたら既に書かれているのかも知れないけど、エルフは両方付き小さめ、とかなのかな。

個人差とか年齢かも知れないけど。


ワイバーン編はすごかった。
何がとは言わない。

2024.01.06 とみっしぇる

またまた感想ありがとうございます。
書くと生々しいので、消してしまいましたが、標準サイズと思って下さい。
気になる視点が同じ方がいるのは嬉しいですね

解除
A・l・m
2024.01.05 A・l・m

73
もう、脈も乱れてない


絶対嘘だ、と思ったけど主人公さん多分脈なんて見てないからいいのか……。

2024.01.05 とみっしぇる

感想ありがとうごさいます。ご指摘のとこ、何度か考えました。気付いてもらえて嬉しいです。
ま、考えた結果、この主人公は相手が生きてりゃなんとかなる。そんなアバウトにしかモノを考えなくなったから、隙だらけなんです。

解除

あなたにおすすめの小説

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。