名前の読み方が同じだから聖女として間違い召喚されました。勇者活動より弟妹の食費稼ぎを優先します

とみっしぇる

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35 私の勇者に届いてくれ

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サイタマのオオミヤコロシアム。

『勇者5』のシナリオ通りに反逆者クマガイ、サラマンダー、魔族ラリホーを同時に倒せると思った。

しかし、ラリホーがシナリオから逸脱した行動を取った。

警戒心が強そうなリアルラリホーは、時間をかけて強制転移の罠を準備していた。

アリア、マリーはコロシアムに残された。

そして私とミリーが、どこかのダンジョンのボス部屋らしき場所に飛ばされた。

私とアリアが完全に分断された。

目の前には体高3メートルのケルベロス。レベル70。HPと攻撃力は1120。

『アクション』
撮影用神器ドロンが自動的に飛び立った。

そして私の意志で、アリアが装着しているドロンの子機も飛び立たせた。

アリアのピンチを映して視聴の数を稼ぐとかじゃねえ。

こうすればアリアは、子機からアリア用の神器スマホを通じて、アストリアの視聴者のコメント欄が頭に入る。

サラマンダーの対抗策を知ってる人からのアドバイスが欲しい。

コメント欄
『俺、サラマンダーならリアルに戦ったことある。電撃は効くからね』
『退避のタイミング教える』
『尻尾を立てたら距離取るんだ』

『みんな、音声入力ONで』
『オッケー』


あっちも態勢は整った。
私は急いで目の前のケルベロス倒して、一刻も早くアリアんとこに行く。


一緒に飛ばされたミリーは剣を構えてるが、ケルベロスの圧力に膝が震えてる。

それを気にしてる場合じゃない。

「ミリー、離れてろ。一気にカタをつける」
「一緒に戦います」

勇敢なのはいいが、今の私にはどうでもいい。

私は、ミリーを手で制した。

『結界魔装!』

黒く変身した私は、ケルベロスとの距離を瞬時に詰めて首をつかんだ。

そしてMP50を注いで『着火』

ぼっ、と音がして白い火柱が立った。

瞬時にケルベロスの上体が消え去り、4本の脚だけが残った。

「サラさん、い、今のは」

ミリーに返事してる暇はねえ。即座に神器スマホに、現在地を聞いた。

トコロザワ上級ダンジョンの50階。ダンジョンボスの部屋だった。

帰還用の転移魔法陣は、まだ現れない。

「ミリー、時間がねえ。ここはトコロザワダンジョンだ。オオミヤコロシアムまで何キロある」

「た、確か直線距離で250キロ前後」


「え・・」

私とアストリアの視聴者は、頭を殴られた気分だ。

魔装変身して3分。MPももう1回変身できる分も残ってる。ほぼ2時間、時速200キロで走れる。

けど、ミリーを置いて全力で走っても、最短で1時間半くらいかかる。

「まさか、死亡フラグは完全にマリーに立った? アリアも巻き添え・・」

神器ドロン、ドロン子機は繋がっている。

アリアのとこのリアルタイム映像を確認した。


コロシアムではアリア、マリー、2人のエルフが苦戦していた。

アリアがエルフ2人に剣を渡してある。

体高1・5メートル、長さ4メートルのサラマンダーに有効打がない。

「エルフのおふたりとマリーは魔族の牽制をお願いします。サラが戻って来るまで私がサラマンダーを食い止めます」

「けど、あなたハーフエルフでしょ。能力的にも無茶よ」
「そうだ。ハーフには荷が重い」

普通のエルフには、ハーフな能力のエルフ・アリアは期待されていない。

魔力が高いマリーも頑張っているけど、属性は火と風。サラマンダーとは相性が悪い。

エルフ男性も風魔法と身体強化があっても脚にけがを負っている。女性の精霊魔法も杖なしでは威力半減。

「ボエエエ!」
サラマンダーが炎を吐こうとしている。

「やらせない。ビリバリ!」

「え、エルフ族が電気魔法?」

アリアにはエルフ女性からの驚きの声も聞こえない。

サラマンダーを感電させて急接近。背中に乗り、ナイフで首筋の1点を刺していく。

『アリアちゃん、離れて!』

「はい!」

感電が解けるタイミングをアストリア視聴者が教えてくれる。

だけど、ダメージが小さい。

サラマンダーの気を引くため、ロックアイスの魔法も使いまくってる。魔力は持って、あと30分か・・

運良くサラマンダーを倒せても、次はインキュバスのラリホー、クマガイの軍勢。疲れ切った状態から相手にしないといけない。


トコロザワダンジョンでは、ダンジョンを脱出できる転移魔法陣が、ようやく浮かび上がってきた。

とにかく地上に出て、オオミヤコロシアムまで走るしかない。

私が魔法陣に乗ろうとしたときだ。

『待ってくれ、聖女!』
『魔法陣に乗るな!』

「え、なんでだ?」

『アリアちゃんを助けるため、やって欲しいことがある』
『賭けだけど乗ってくれるか』

私は即答した。これまでも視聴者のアドバイスがあったから、知り合った人間を助けられた。

「分かった何をやればいい」

『今、転位魔法陣が丸い部屋の端に浮かんだだろ』
『その反対側に行くんだ』

行った。壁を良く見ると、小さな出っ張りがある。

『そこを押すと小さな部屋がある』
『きっと第2のオーブがある』


『勇者5』のシナリオでは、クマガイを倒したあとにしか、第2のオーブの情報は得られない。

けれど、このヤマト世界は今、女神が所々を勇者5に似せただけの世界。

小部屋を開けた。

「・・あった」

私の目の前の小部屋には、透明で青いオーブがあった。

『よし、第2のオーブだ』
『よし!』
『次だ聖女。オーブを割れ』

「おう!」

私はオーブをつかんだ。

私とアリアの距離は250キロもある。

RPG『勇者5』で、使徒が離れた場所から勇者にオーブの力を渡すシーンはない。

けれど、私は託す。


「お願いだ、第2のオーブ。私の勇者に力を届けてくれ!」

パキン、っと青いオーブにひびが入った。
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