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12 ドキドキのランダム壁移動
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サラ、アエラの姉妹と知り合った。
彼女らの家には私だけが使える利点があるから、病気の母親の治療を引き受けた。
◆
ダンジョン出口まで強気だったが、地上に出たら普通に戻った。
遠慮しながらサラの家に入り、お母さんの寝室に入った。
「あの・・お邪魔します」
「お母さん、ただいま」
「サラ、どこに行ってたんだい!」
「ひっ」
「カルメンおばさん。来てくれてたの」
「マーサ、しっかりおし、子供達が帰ってきたよ」
隣のおばさんに看病されていたサラ達の母親は、頬がこけて顔も白かった。
これは不味い。
サラから肺の病気だと聞いていたので、解毒、体力大回復、細胞活性ポーションを口の中に放り込んだ。
金持ちのセバスティアンから奪ったやつ。商家にいた頃の記憶では、計250万ゴールド。母親の顔色がみるみるうちに良くなった。残りも4セットある。
「・・アエラ、サラ」
「おがあしゃん!」
「お母さん・・」
また眠ったが、大丈夫そうだ。
とりあえずミッション成功だが、地上、知らないおばさま、他人の家。
「あの、サラちゃん達とダンジョンで知り合った、冒険者のフランです」
「ありがとうね、マーサの代わりに礼を言わせてもらうよ!」
「・・いいえ、サラちゃん達と縁があったものですか」
困っていると、サラが色々と説明してくれた。
「そうかい。ダンジョンだけで使えるレアスキルね。なら、その出口が役に立つんだね」
「はい。やっとダンジョンでお金が稼げるようになったんですが、地上に上がると気持ちが乱れたりして・・。近くに住居を構えて、ダンジョン出入口の使用許可をもらうか、家が売りに出されるなら買おうかと思って来たんです」
「家の売買の話はまだ早いが、マーサの命を救ってくれたんだ。ダンジョンの出入口は好きに使ってくれと言うさね」
「ですかね?」
「使ったポーションも簡単に手に入らないやつばっかりだろ」
とりあえず、泊めてもらうことになった。カルメンさんがご飯を作ってくれたので、レベル50オークの腕の肉と胡椒を出した。
高ランク魔物の肉は滋養強壮にもなる。マーサさんに食べさせて早く交渉できるようになってもらおう。
一晩寝て、早朝から街を脱出だ。
サラのとこに肉の残りと、昨日の仕事料と当面の出入口使用料として、50万ゴールドを置いてきた。
◆◆
マーサさんの回復に時間がかかるし、スキルを生かした冒険をする。
ダンジョンの位置付き地図を見ながら、1週間ほど活動した。とにかく走った。15ものダンジョンに座標を作り、海岸線を200キロ進んだ。ダンジョン経由でジグザグなので移動したのは400キロ。この機動力だけはレベル133を実感している。
海を見ながら、目的のダンジョンに入った。初級だが、狙うのは6階に降りて300キロ範囲の「ランダム壁移動」で行けるダンジョン。海を隔てて、南に100キロの陸地にある8個のダンジョンのうちの、どれかなら当たりだ。
我が国からしたら「近くて遠い島国」に行ける可能性がある。
どこのダンジョンでも行っていない6階に行った。
戦闘もすっ飛ばして、13キロを20分で行けた。
「はあっ、はあっ。オーバーペースだった。レベルが上がってても、疲れるんだな」
『初のダンジョン6階到達です。1度だけ300キロ以内で「ランダム壁移動」が可能です』
4、5階の時と同じファンファーレが鳴った。
「壁粉砕」ぼこっ。開いた先は通路。だけど道幅が20メートルと広い。
嫌な予感もするが、バミダ超級ダンジョンほどじゃない。甘い気持ちで中に入った。
ダンジョンの通路に入り、登録したときだ。どしん、どしんと、足音がすごい。
目の前が揺れた気がした。
「黒いミノタウロスだ」
身長3メートル、牛頭に筋骨隆々で目が青い。右手に斧。20メートル先なのに威圧感が半端ない。
「やべ、走ってきた」
壁の穴に飛び込むと、何かが足先を飛んでいった。
斧を投げたようだ。そのまま私を追って、ゴブダンジョン側に入ろうとしている。
ミノタウロスの体がまだ入ってないけど「クローズ」ざずっ。
「危なかった。怖かった。ざすっ?」
ミノタウロスのお面みたいなものと角の先が、閉じられた壁のこちら側に落ちている。
拾うと、鼻とか生々しいものがお面に付いている。
「うわ、偶然に壁ギロチンで「デスマスクカット」やっちゃったよ」
壁を私だけ通れる縦長に開くと、ほぼ息絶えたミノタウロスが倒れていた。
投げられたピカピカの斧を回収する間に、ミノタウロスは動かなくなった。
収納指輪に入れたが、しばらくお蔵入り。時間停止付きの高性能指輪で良かった。
「レベル133でも、やっぱり怖いよ。だけど、狙い通りに海を超えたね」
サクラから南東に280キロのトコナダンジョン。島国のインデア国、インデアシティの2キロ北に出られる。
斧が当たらず助かったけど、そういえば飛び道具対策もしていない。
壁を閉じると何でも倒せても、相手がはまり込んでくれないと話にならない。
開いた穴の向こうから高威力の範囲魔法なんて撃たれたらレベルが上がっていても危険だ。
「防具は必要ないかと思ったけど、ミスリルの大盾くらい強力なのが必要だな」
ミスリル合金の大盾は最上級品で3000万ゴールド。「壁転移」で違う国に行けるようになったら、素材を売ってお金を作って買いたい。「命大事に」だ。
再び壁粉砕を使うと、今度はもっと弱い灰色のミノタウロスしかいなかった。さっき斧持ちは、いきなり亜種だったようだ。
ずばり、狙いはスパイス。どうにかして地上に出て、インデアシティを目指す。
彼女らの家には私だけが使える利点があるから、病気の母親の治療を引き受けた。
◆
ダンジョン出口まで強気だったが、地上に出たら普通に戻った。
遠慮しながらサラの家に入り、お母さんの寝室に入った。
「あの・・お邪魔します」
「お母さん、ただいま」
「サラ、どこに行ってたんだい!」
「ひっ」
「カルメンおばさん。来てくれてたの」
「マーサ、しっかりおし、子供達が帰ってきたよ」
隣のおばさんに看病されていたサラ達の母親は、頬がこけて顔も白かった。
これは不味い。
サラから肺の病気だと聞いていたので、解毒、体力大回復、細胞活性ポーションを口の中に放り込んだ。
金持ちのセバスティアンから奪ったやつ。商家にいた頃の記憶では、計250万ゴールド。母親の顔色がみるみるうちに良くなった。残りも4セットある。
「・・アエラ、サラ」
「おがあしゃん!」
「お母さん・・」
また眠ったが、大丈夫そうだ。
とりあえずミッション成功だが、地上、知らないおばさま、他人の家。
「あの、サラちゃん達とダンジョンで知り合った、冒険者のフランです」
「ありがとうね、マーサの代わりに礼を言わせてもらうよ!」
「・・いいえ、サラちゃん達と縁があったものですか」
困っていると、サラが色々と説明してくれた。
「そうかい。ダンジョンだけで使えるレアスキルね。なら、その出口が役に立つんだね」
「はい。やっとダンジョンでお金が稼げるようになったんですが、地上に上がると気持ちが乱れたりして・・。近くに住居を構えて、ダンジョン出入口の使用許可をもらうか、家が売りに出されるなら買おうかと思って来たんです」
「家の売買の話はまだ早いが、マーサの命を救ってくれたんだ。ダンジョンの出入口は好きに使ってくれと言うさね」
「ですかね?」
「使ったポーションも簡単に手に入らないやつばっかりだろ」
とりあえず、泊めてもらうことになった。カルメンさんがご飯を作ってくれたので、レベル50オークの腕の肉と胡椒を出した。
高ランク魔物の肉は滋養強壮にもなる。マーサさんに食べさせて早く交渉できるようになってもらおう。
一晩寝て、早朝から街を脱出だ。
サラのとこに肉の残りと、昨日の仕事料と当面の出入口使用料として、50万ゴールドを置いてきた。
◆◆
マーサさんの回復に時間がかかるし、スキルを生かした冒険をする。
ダンジョンの位置付き地図を見ながら、1週間ほど活動した。とにかく走った。15ものダンジョンに座標を作り、海岸線を200キロ進んだ。ダンジョン経由でジグザグなので移動したのは400キロ。この機動力だけはレベル133を実感している。
海を見ながら、目的のダンジョンに入った。初級だが、狙うのは6階に降りて300キロ範囲の「ランダム壁移動」で行けるダンジョン。海を隔てて、南に100キロの陸地にある8個のダンジョンのうちの、どれかなら当たりだ。
我が国からしたら「近くて遠い島国」に行ける可能性がある。
どこのダンジョンでも行っていない6階に行った。
戦闘もすっ飛ばして、13キロを20分で行けた。
「はあっ、はあっ。オーバーペースだった。レベルが上がってても、疲れるんだな」
『初のダンジョン6階到達です。1度だけ300キロ以内で「ランダム壁移動」が可能です』
4、5階の時と同じファンファーレが鳴った。
「壁粉砕」ぼこっ。開いた先は通路。だけど道幅が20メートルと広い。
嫌な予感もするが、バミダ超級ダンジョンほどじゃない。甘い気持ちで中に入った。
ダンジョンの通路に入り、登録したときだ。どしん、どしんと、足音がすごい。
目の前が揺れた気がした。
「黒いミノタウロスだ」
身長3メートル、牛頭に筋骨隆々で目が青い。右手に斧。20メートル先なのに威圧感が半端ない。
「やべ、走ってきた」
壁の穴に飛び込むと、何かが足先を飛んでいった。
斧を投げたようだ。そのまま私を追って、ゴブダンジョン側に入ろうとしている。
ミノタウロスの体がまだ入ってないけど「クローズ」ざずっ。
「危なかった。怖かった。ざすっ?」
ミノタウロスのお面みたいなものと角の先が、閉じられた壁のこちら側に落ちている。
拾うと、鼻とか生々しいものがお面に付いている。
「うわ、偶然に壁ギロチンで「デスマスクカット」やっちゃったよ」
壁を私だけ通れる縦長に開くと、ほぼ息絶えたミノタウロスが倒れていた。
投げられたピカピカの斧を回収する間に、ミノタウロスは動かなくなった。
収納指輪に入れたが、しばらくお蔵入り。時間停止付きの高性能指輪で良かった。
「レベル133でも、やっぱり怖いよ。だけど、狙い通りに海を超えたね」
サクラから南東に280キロのトコナダンジョン。島国のインデア国、インデアシティの2キロ北に出られる。
斧が当たらず助かったけど、そういえば飛び道具対策もしていない。
壁を閉じると何でも倒せても、相手がはまり込んでくれないと話にならない。
開いた穴の向こうから高威力の範囲魔法なんて撃たれたらレベルが上がっていても危険だ。
「防具は必要ないかと思ったけど、ミスリルの大盾くらい強力なのが必要だな」
ミスリル合金の大盾は最上級品で3000万ゴールド。「壁転移」で違う国に行けるようになったら、素材を売ってお金を作って買いたい。「命大事に」だ。
再び壁粉砕を使うと、今度はもっと弱い灰色のミノタウロスしかいなかった。さっき斧持ちは、いきなり亜種だったようだ。
ずばり、狙いはスパイス。どうにかして地上に出て、インデアシティを目指す。
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