《幸運》値が限界突破した俺(たち)の挑む異世界サバイバルデスゲーム

天海 愁榎

文字の大きさ
2 / 4
一章 異世界へようこそ

第一幕 クラス転移

しおりを挟む

 ▲▼▲▼▲▼

 日本国、とある地域。
 宝ヶ丘学園、高等部二学年にて。

「……つまんね」
「ん? 鍠磨、何か言ったか?」
「ああいや、何でもないです」
「テスト中だ。私語はつつしめよ」
「はーい」

 鍠磨貫太こうま かんた、つまり俺の事なのだが、彼はこの二年七組の中で、特殊な存在だった。
 一言で言えば、彼はクラス内で少し、いやかなり浮いていた。
 理由は何なのか、当事者である俺が分かるはずもない。
 当事者だからこそ分かる事もあるのかもしれないが、俺には全くもってクラスメイトの真意が読めない。
 風の噂で耳にした話によると、「協調性がない」「根暗そう」「オタク」「なに考えてるか分からない」「生理的に無理」
 って、あああああ!! 何を考えてるんだよ、俺は!
 やめよう、何だか悲しくなってきた。

 ともかく、俺は今現在、進行形で、クラスメイトから拒絶されているのだが、逆の立場から考えてみれば、俺からしたら彼らの考える事の方がまるで分からなく、彼らこそ進行形で、拒絶したくなるような仲間達だ。

 それよりも。
 俺の事よりも、この二年七組について考えて欲しい。
 俺を否定し、拒絶したこのクラスについて語ろう。
 それは、一言で言えば、すさんでいた。
 休み時間はともかく、授業中は教師など目に見えていないかのような素晴らしい演技力から見せつけられる自由奔放じゆうほんぽうさ。
 連日男女間では言い争いが立ち、同じ性をもってしても起こる内輪揉め。
 よくある言葉で片付けてしまえば。

 ここは。
 この、端から見れば最低最悪なクラスは━━学級崩壊・・・・しているのだ。



「あー、テスト疲れた~!」
「全然できなかったぜ!」
「なんでそれで笑ってんだよ」
 三日間に渡る第一学期末テストが幕を閉じ、生徒達の心は浮き足立っていた。
 まあ、俺も手ごたえを感じたし、今回はいい結果が出せそうだ……

「おい」

 背後から声がして、つい後ろを振り向く。
 そこに立っていたのは、ある男子生徒。
「えっと、お前は確か……ああ。男子生徒Aか」
「あ? んだそれ、ナメてんの?」
 ぐい。
 と、いきなり胸ぐらを掴まれる。

 守堂孝久すどう たかひさ
 覚えなくていい。モブだ。
 彼は、このクラスを牛耳るカリスマ的なグループの一員で、俺みたいな奴にことごとく突っかかってくる、典型的な、まあ、モブだ。
 他に特筆すべき点は……ごめん。無い。とりあえずモブだ。

 と、そんなモ……彼がいきなり何を言い出すかと思っていれば、
「お前、なにテスト中喋ってんだよ」
 ……は?
「いや、だめなの?」
「お前みたいな野郎が、テスト中なのに邪魔するから皆の集中力が切れてくるんだよ。なに、そこまでして皆に注目されたいのかよ?」
「別にそこまで思ってないけど、え? もしかして、俺の独り言で皆に迷惑かけてた? いつも皆の目には見えてないと思ったから大丈夫かなーってさ。あ、それともなんだ、俺と話したいのか? なら仕方ないから話し相手になってやらんでも……」
「ごちゃごちゃうるせぇよ!」
「…………」
 ついに激高した守堂が、俺の態度に対し怒鳴り散らした。
 ったく、うるせえな……。みんなに見られてんだろうが。

「分かるか? お前にはここにいる権利なんかねぇんだよ! 大人しく消えな! 皆の為にな!」
 その声で、周りの生徒達がこちらへ寄ってくる。
「なんだなんだ?」「お、守堂と鍠磨が喧嘩してるぞ!」「可哀想だろ、やめてやれよ守堂!」
 周囲から、嘲笑と罵倒が聞こえてくる。
 よくもまあ、こういうのだけ団結力が働くよな……。

 と、いうか。

 もうこんな生活にも飽きてきた所だ。
「聞いてんのかよ! おい!」
(はぁ~あ。なんか面白い事起きないかなー)
「おい! なぁ!」
(俺の家に修道服着たシスターとか魔術師が来たり、VRMMOの仮想世界からログアウト不可になったり)
「もしもーし? あの、聞いてます?」

(いっそのこと、クラスごと異世界転移しちゃったり、なんて)
 どうでもいい。
 くだらない。
 世の男子なら一度は想像しそうな事を考えていた、その時だった。

「うおっ! なんだ!?」
「何なんだよこれ、魔方陣?」
「誰か詳しい奴いねぇのかよ、魔術とかに!」
「いるわけねぇだろ!」
 生徒達がこんな反応をするのも、無理はない。
 今回ばかりは、俺すらも驚きを隠せなかったからな。

 ……突如として教室を覆うように現れた、強大な魔方陣。

「……すっげー」
「なにしてんだよ! 鍠磨、てめぇがなんとかしろ!」
「知るか。死ぬときゃ皆一緒だ」
 ざまあ見やがれ、てめえら!
 こうなりゃ、このまま全員一緒に心中だ!

『え、えー。皆さん、聞こえますかー?』

 騒ぎが大きくなる教室内に、今度は何者かの声が響いた。
 一斉に、声のする方へ耳を傾ける、が。
(……脳に直接、響いてる?)
「…………まさか!?」
「なんだよ鍠磨。何かあんのかよ!?」
 まさか……嘘だろ!?
 まさか、まさかまさかまさかッ!

『えっと、今日は、君たちに話したい事がありまーす』

 なおも直接、脳に響く声。
「誰だよ、一体何がしたいんだよ!?」
「誰か助けてー!」
「おい、誰か先生呼んでこい!」
 ったく、うるさいな。
 そんじゃ、続きを聞かせてもらおうか。
『それでは、早速ですがここにいる皆には……』
「なに? なんなの!?」
「…………」
 (来いっ!)


『クラスごと、異世界転移してもらいます』


「どういう事だ! 異世界だって?」
「そんなのあるわけ無いじゃない!」
「早く姿見せろよ! どうせテロリストかなんかだろ!」
 やっぱ、こうなるわな。
 俺は、床に映し出された魔方陣を見つめる。

 しっかし、良くできてるなこれ。
 ……ラノベやらでしか見たことのないこの手のクラス転移モノだが、こうして実際に体験してみるとなんだかワクワクしてくる。
 これが異世界転移。
 ……なんだよ、最っ高じゃないか!

「お前、なんでそんなに余裕なんだよ!」
 おっと、さっきのモ……守堂くんじゃあないか。
 「なんでって……別に異世界転移だろ? 死ぬわけじゃああるまいし」
「……っ! お前……!」
「それにさ」
 力のこもった守堂の拳を、どうどうで抑えながら俺は言う。
「……普段から俺なんかよりお前らの方が強そうなんだし、自分らで考えてみたら?」
「うるせぇな! てめぇ何様のつもりだよ!」
 そうこうしている内に、またあの声が聞こえてきた。

『はいはい。喧嘩はそこまで。あと十秒・・くらいしたら召喚魔法の詠唱に移るから』
 …………。
「やばいかも」
「どうすんだよ!?」

 残り十秒。
 さて、この世界に未練は無いわけだし、ここできっぱり切り捨てて転移を待ちわびるとしよう。

『ごー』
 残り、五秒。

『よーん』
 残り、四秒。

『さーん』
 「う、うぅ……どうして、どうして私達が……」
 残り、三秒。
 一人の女子の泣き声が聞こえる。

『にー』
「まじでどうするんだよ!?」
「もう無理だ! ああ、まだこのやり残した事があったのに……」
 残り、二秒。
 
『いーち』
 残り、一秒。
「うわあああ!」
「落ち着け! まだ何か手があるはずだ! 何か……」
「無理に決まって


『ぜろ』


 ━━……残り、ゼロ秒。

「うわっ!」
「いってぇ! 何すんだ、て」
「…………え?」
 突如、巨大な爆音と振動と共に、黒く巨大な物質が、俺たちをこの教室ごと、呑んだ。
「やべえ! どうする!」
「もう何しても無駄だよ。諦めよう」
「そんな! 嫌だ! 俺はこんな所で
 そんなクラスメイト達の嘆きを聞きながら。

  俺たちは、クラスごと・・異世界へ転移した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

処理中です...