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イザベルの恋話
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図書室に着いた時には、イザベルは少し回復していた。
渋々と椅子に座り、私が持って来た問題集を解いている。
時々分からないと言って止まるが、解説すると難なくクリアしていく。
どうやら馬鹿ではないらしい。
こんなに飲み込みが早いのに、どうしてイザベルはFクラスになったのだろうか?やはり王妃教育により、勉強の時間が取れなかったのだろうか?
不思議に思い、私は思った事を素直に口にする。
「ねぇ、どうしてイザベル嬢はFクラスになったわけ?」
「何よ、急に馴れ馴れしい喋り方しないでよ!」
キッと睨んでくる。
「はぁー。分かりました。なぜイザベル嬢の様な高貴な方が、Fクラスに入るほどの点数しか取れなかったのですか?」
「あんた馬鹿にしてるの!!??」
彼女は結局怒った。
「どう聞けば良いんだ。どっちみち怒るじゃないか。」
今私達には、周りの人が私達の事を気にしなくなる魔法をかけている。
結界まで張ってしまうと怪しまれるので、隠密魔法の応用版といった所だろうか。
少々うるさくしても気にはされないが、一々噛み付いてくるのでめんどくさい。
「はぁー。もう良いわよ、丁寧に話さなくても。それにしても失礼な質問ね。あなたは何でアホなんだ?って聞いてるみたいなものじゃない。」
頬を膨らませながら彼女は怒った。
さっきビンタされていなかったなら、とても可愛いらしい女の子だと思った事だろう。
「そこまでは言ってないよ。ヘンリーの婚約者なのだから、王妃教育だってしているだろうし、忙しいんだろうぐらいは私にだって分かる。ただ勉強の飲み込みが早いから、Fクラスになったのが不思議なんだ。」
「それは、、だって、、。」
私がそう聞くと、急にイザベルは指同士を絡ませながらモジモジしだした。
「だって?」
私が聞くと、イザベルは途切れ途切れ話し始めた。顔は真っ赤だ。
彼女の話しをまとめると、淑女教育、王妃教育の合間に、ヘンリーの為にお菓子を作っては、せっせと王宮に持って行っていたらしい。
彼の為にハンカチに刺繍をしてプレゼントしたり、何せ空いた時間を全て彼に捧げていたと、、。
そりゃぁ勉強が出来ないはずだ。
イザベルの可愛らしい恋心のせいで、殿下と1番離れた教室になったのかと思うと、少し可哀想になる。
「ヘンリーの事が本当に好きなんですね。」
私がそう言うと、真っ赤な顔で口をパクパクさせていた。
あぁ、やっぱりヒローインではなく、彼女とヘンリーが結ばれて欲しいなと改めて思った。
「いらない事言ってないで勉強するわよ!!この問題終わったから、新しいのを持って来なさい!!」
相変わらず偉そうな口ぶりなのだが、ヘンリーへの恋心を聞いてしまうと、何だかもう憎めない。
はいはいと言って新しい問題集を探しに行くのだった。
そうして2時間たった時、私達はお昼ご飯を食べていなかった事を思い出す。
もう2時半だ。
2人のお腹が鳴り、思い出した。
「疲れましたわ。お茶にしましょう。」
イザベルが先に言い出した。
「そうだね、、。んーでも、2人でお茶している所を見られたら困るし、今日はこれで解散しようか。」
「私は特に困りませんが?」
「2人きりでなければ良いけど、殿下の婚約者とお茶していて、良からぬ噂を立てられても困るしね。」
「2人で勉強している時点でどうなのかと思いますけどね。」
イザベルは馬鹿にした様な顔でため息をついた。
「まぁ今は魔法を使ってるから良いけど、移動中も使い続けるのは疲れるし、お茶はまた今度。明日も勉強するから、放課後ちゃんと図書室に来てね。」
「えー、明日もしますの!ヘンリー様のお顔を見に行こうと思っていましたのに。」
イザベルが睨んでくる。
「その後でも良いよ?あっ、もし私達2人で一緒にいる所を誰かに見られたら、昔お茶会でお友達になったという事にしといて。」
「そうね。良いわ。あなたが未来を予知して、私のことを心配してくれたと言っても、誰も信じないでしょうしね。」
フンっと言ってイザベルは馬鹿にしたように口の側だけで笑った。
「それに私は今ちょっと別の任務中で。目立つ訳にはいけないんだ。自分から私の事を誰かに話さないと約束出来る?」
「ええ良いわよ。どうせ誰にも話せないわ。」
彼女が約束してくれたので、私はこっそり約束の魔法を使う。
言質を取る事で固く約束が結ばれる魔法だ。
これでイザベルは話そうとしても誰にも話せないだろう。信用してない訳ではないが、念には念である。
その日はそれで分かれて、私は寮に戻った。
人の心配も良いが、自分の事も大事だ。明日からの授業に向けて、教科書を開くのであった。
渋々と椅子に座り、私が持って来た問題集を解いている。
時々分からないと言って止まるが、解説すると難なくクリアしていく。
どうやら馬鹿ではないらしい。
こんなに飲み込みが早いのに、どうしてイザベルはFクラスになったのだろうか?やはり王妃教育により、勉強の時間が取れなかったのだろうか?
不思議に思い、私は思った事を素直に口にする。
「ねぇ、どうしてイザベル嬢はFクラスになったわけ?」
「何よ、急に馴れ馴れしい喋り方しないでよ!」
キッと睨んでくる。
「はぁー。分かりました。なぜイザベル嬢の様な高貴な方が、Fクラスに入るほどの点数しか取れなかったのですか?」
「あんた馬鹿にしてるの!!??」
彼女は結局怒った。
「どう聞けば良いんだ。どっちみち怒るじゃないか。」
今私達には、周りの人が私達の事を気にしなくなる魔法をかけている。
結界まで張ってしまうと怪しまれるので、隠密魔法の応用版といった所だろうか。
少々うるさくしても気にはされないが、一々噛み付いてくるのでめんどくさい。
「はぁー。もう良いわよ、丁寧に話さなくても。それにしても失礼な質問ね。あなたは何でアホなんだ?って聞いてるみたいなものじゃない。」
頬を膨らませながら彼女は怒った。
さっきビンタされていなかったなら、とても可愛いらしい女の子だと思った事だろう。
「そこまでは言ってないよ。ヘンリーの婚約者なのだから、王妃教育だってしているだろうし、忙しいんだろうぐらいは私にだって分かる。ただ勉強の飲み込みが早いから、Fクラスになったのが不思議なんだ。」
「それは、、だって、、。」
私がそう聞くと、急にイザベルは指同士を絡ませながらモジモジしだした。
「だって?」
私が聞くと、イザベルは途切れ途切れ話し始めた。顔は真っ赤だ。
彼女の話しをまとめると、淑女教育、王妃教育の合間に、ヘンリーの為にお菓子を作っては、せっせと王宮に持って行っていたらしい。
彼の為にハンカチに刺繍をしてプレゼントしたり、何せ空いた時間を全て彼に捧げていたと、、。
そりゃぁ勉強が出来ないはずだ。
イザベルの可愛らしい恋心のせいで、殿下と1番離れた教室になったのかと思うと、少し可哀想になる。
「ヘンリーの事が本当に好きなんですね。」
私がそう言うと、真っ赤な顔で口をパクパクさせていた。
あぁ、やっぱりヒローインではなく、彼女とヘンリーが結ばれて欲しいなと改めて思った。
「いらない事言ってないで勉強するわよ!!この問題終わったから、新しいのを持って来なさい!!」
相変わらず偉そうな口ぶりなのだが、ヘンリーへの恋心を聞いてしまうと、何だかもう憎めない。
はいはいと言って新しい問題集を探しに行くのだった。
そうして2時間たった時、私達はお昼ご飯を食べていなかった事を思い出す。
もう2時半だ。
2人のお腹が鳴り、思い出した。
「疲れましたわ。お茶にしましょう。」
イザベルが先に言い出した。
「そうだね、、。んーでも、2人でお茶している所を見られたら困るし、今日はこれで解散しようか。」
「私は特に困りませんが?」
「2人きりでなければ良いけど、殿下の婚約者とお茶していて、良からぬ噂を立てられても困るしね。」
「2人で勉強している時点でどうなのかと思いますけどね。」
イザベルは馬鹿にした様な顔でため息をついた。
「まぁ今は魔法を使ってるから良いけど、移動中も使い続けるのは疲れるし、お茶はまた今度。明日も勉強するから、放課後ちゃんと図書室に来てね。」
「えー、明日もしますの!ヘンリー様のお顔を見に行こうと思っていましたのに。」
イザベルが睨んでくる。
「その後でも良いよ?あっ、もし私達2人で一緒にいる所を誰かに見られたら、昔お茶会でお友達になったという事にしといて。」
「そうね。良いわ。あなたが未来を予知して、私のことを心配してくれたと言っても、誰も信じないでしょうしね。」
フンっと言ってイザベルは馬鹿にしたように口の側だけで笑った。
「それに私は今ちょっと別の任務中で。目立つ訳にはいけないんだ。自分から私の事を誰かに話さないと約束出来る?」
「ええ良いわよ。どうせ誰にも話せないわ。」
彼女が約束してくれたので、私はこっそり約束の魔法を使う。
言質を取る事で固く約束が結ばれる魔法だ。
これでイザベルは話そうとしても誰にも話せないだろう。信用してない訳ではないが、念には念である。
その日はそれで分かれて、私は寮に戻った。
人の心配も良いが、自分の事も大事だ。明日からの授業に向けて、教科書を開くのであった。
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