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悪役令嬢VS脳筋男
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シャルロットと感動の再会を果たした日、7月の終わりにあるテストに向け、次の日の放課後一緒に勉強をする約束をしていた。
最近、脳筋化が著しいイサキオスと、Aクラス入りに燃えるイザベルも勉強会メンバーに加わった。
イサキオスは騎士の訓練へ行くとゴネていたのだが、この前のテストではAクラスにギリギリ残留だった様なので、私が強く誘った。
未来の最強騎士は頭脳も鍛えなければ、、国が滅びかねない。
「Aクラスじゃなくなるなら、一緒にいられなくなるね。」
私のこの言葉でイサキオスは観念した。さすがワンコの飼い主。
、、いや、、私はワンコではない。
洗脳とは怖いものだ。
先生に実習室を借りれたので、皆で揃って行こうとした時に、私だけマグリットに捕まる。
「何?」
手短に済まそうと、私は吐き捨てる。
「この前の資料は読んだか?今日これから証拠集めに行きたいのだが。」
「あぁ、、今日は無理。先約があるから。」
マグリットがイラッとした顔をする。
先約があるのは本当だ。イラッとされても困る。
「こっちは人の命がかかってるんだぞ?それより優先するものがあるのか!」
実はマグリットが6月に渡して来た資料は、ヘンリーの暗殺を企てる者がいるので、証拠を集めて捕まえろ!という陛下からの任務だった。
それは陛下からマグリットへの依頼だ。私には関係無い。
「僕は日々ちゃんと任務を果たしてる。この仕事はマグリットが受けた仕事だろ?それに、、。」
私は次に続く言葉を躊躇する。
「それに?」
が、マグリットが許してくれる訳も無い。
「僕は、、攻撃力が低い、、。護衛しろと言われれば、いざという時は結界を張ば良い。転移魔法でヘンリーを逃す事も出来る。でも、戦えと言われれば、僕は実戦を踏んできていない。剣で打ち合う事になれば勝てる保証はない。だから、、今回の任務は僕向きじゃない。」
私はマグリットの目を見ない様にして言う。
その瞬間、音も無く近寄って来たマグリットに顎クイされた!
壁ドン、顎クイ、、お前は一体何者だ!!!と心の中で叫びながら目を見張る。
「大丈夫だ。最終捕まえるのは夏休みに入ってからだ。期間はたっぷりあるじゃないか!イサキオスと騎士の訓練に行っておいで。」
私に顔を近づけて、猫なで声で言う。
「、、、鬼、、。」
「誰が鬼だ。今回の件は俺も動く。お前だってアイツの事もう友達だと思っているんだろ?見捨てられるのか?」
マグリットは意地悪だ。そう言われれば見捨てられるはずがない。
ヘンリーは私にとってもう大事な友達だ。
「分かってるよ。でも今日はダメ~!!両手に花で勉強するって決めてあるから。今日邪魔したら暴れるからね!」
私は逃げる様に教室から出る。
「俺も行こう。」
と、恐ろしい声が聞こえて来たが、足早に逃げる。
それにしても、チョット前までマグリットは自分の事を、私と呼んで、話し方だってもっと丁寧だったのに、、。
あぁ、今でも他の人には丁寧に話してるのか。
チッ、舌打ちした。
私が実習室に入り扉を閉めようとした時には、マグリットが追い付いていた。
イサキオス、イザベル、シャルロットはもう教科書を開いている。
「あれ?マグリットも捕まったのか?」
イサキオスが言う。
いや、正確には私が捕まったんだよ?心の中で毒突く。
「学年トップのクリスが、どの様な勉強の仕方をしているのか興味があったからな。観察しに来た。」
出た!!ネチネチ。
私に興味など絶対無い。
マグリットが何か話すたびに、心の声が顔に漏れ出す。
シャルロットがそれに気付いて笑っている。
イザベルが、さっさと始めますよ!と言ったので、私はシャルロットの横に行こうとした。
が、イザベルとイサキオスに捕まり、2人の真ん中に座らされる。
イザベルとイサキオスが各々の私に質問してくる。
ん?全然聞き取れない。
「チョット、私が先に話してますのよ!イサキオス様は後にして下さる?」
おっ、悪役令嬢的発言。
イサキオスが珍しく不機嫌になる。
私は彼が怒った所を見た事が無い。
ちなみに、腹黒男はすぐ怒る。
「俺はクリスに一緒に勉強しようと誘われたんだ。俺には一緒に勉強する権利がある。」
「あら、それなら私だって誘われたのだから一緒でしょ!先程の質問は私の方がチョットだけ早くクリスに言いましたわ。順番です!イサキオス様は少しお待ち下さい!」
子供か!!私は半眼になってイザベルを見る。
「いや、それなら俺の方が絶対早かった!」
イサキオスも乗っかっちゃったよ。
これは中々終わらないやつだな。
「そんな事ないわよ。ねぇクリス?」
あっ、私に来た。ヤバイ。
「俺の方が早かっただろ?」
「「クリス!!!」」
2人の声が重なる。
私は助けて貰おうとシャルロットとマグリットを見るが、目をそらされる。
、、2人とも覚えてろよ!
「とりあえずこの時間がもったいないから、進めようよ。テストに出そうな問題を解いていって、分からない所があれば僕に聞くって事で。」
私は快心の笑顔を見せてみる。
「クリス、笑っても誤魔化されませんわよ?、、まぁ良いわ。Aクラスになる為に努力しなければ!もう日にちがありませんわ。」
私はホッとする。
イサキオスも納得したかな?と思い彼の方を見ると、彼の顔は私の真横にあった。
「なっ、なななな何?」
声が上ずる。
「俺の1番はクリスだ。クリスも俺が1番なら嬉しい。」
何じゃそりゃぁぁぁ!!!彼の脳みそどうなってるの!?
ワンコの飼い主がワンコ化している。
これは困った、、。顔を赤くせずに上手く答えられるだろうか。
「、、順番は良く分からないけど、イサキオスは僕にとって大切な友達だよ?」
完璧!!と思ったが、イサキオスは、
「チョット違う。」
と不満気に言った。何でだろ?
その後マグリットが、
「俺にとっては可愛い下僕だよ。」
と、私を見ながら言って来たが無視した。
やはり私には脳筋男と腹黒男の考えている事は良く分からない。
しかし、理解出来なくても推しは可愛い。最強だ!!
最近、脳筋化が著しいイサキオスと、Aクラス入りに燃えるイザベルも勉強会メンバーに加わった。
イサキオスは騎士の訓練へ行くとゴネていたのだが、この前のテストではAクラスにギリギリ残留だった様なので、私が強く誘った。
未来の最強騎士は頭脳も鍛えなければ、、国が滅びかねない。
「Aクラスじゃなくなるなら、一緒にいられなくなるね。」
私のこの言葉でイサキオスは観念した。さすがワンコの飼い主。
、、いや、、私はワンコではない。
洗脳とは怖いものだ。
先生に実習室を借りれたので、皆で揃って行こうとした時に、私だけマグリットに捕まる。
「何?」
手短に済まそうと、私は吐き捨てる。
「この前の資料は読んだか?今日これから証拠集めに行きたいのだが。」
「あぁ、、今日は無理。先約があるから。」
マグリットがイラッとした顔をする。
先約があるのは本当だ。イラッとされても困る。
「こっちは人の命がかかってるんだぞ?それより優先するものがあるのか!」
実はマグリットが6月に渡して来た資料は、ヘンリーの暗殺を企てる者がいるので、証拠を集めて捕まえろ!という陛下からの任務だった。
それは陛下からマグリットへの依頼だ。私には関係無い。
「僕は日々ちゃんと任務を果たしてる。この仕事はマグリットが受けた仕事だろ?それに、、。」
私は次に続く言葉を躊躇する。
「それに?」
が、マグリットが許してくれる訳も無い。
「僕は、、攻撃力が低い、、。護衛しろと言われれば、いざという時は結界を張ば良い。転移魔法でヘンリーを逃す事も出来る。でも、戦えと言われれば、僕は実戦を踏んできていない。剣で打ち合う事になれば勝てる保証はない。だから、、今回の任務は僕向きじゃない。」
私はマグリットの目を見ない様にして言う。
その瞬間、音も無く近寄って来たマグリットに顎クイされた!
壁ドン、顎クイ、、お前は一体何者だ!!!と心の中で叫びながら目を見張る。
「大丈夫だ。最終捕まえるのは夏休みに入ってからだ。期間はたっぷりあるじゃないか!イサキオスと騎士の訓練に行っておいで。」
私に顔を近づけて、猫なで声で言う。
「、、、鬼、、。」
「誰が鬼だ。今回の件は俺も動く。お前だってアイツの事もう友達だと思っているんだろ?見捨てられるのか?」
マグリットは意地悪だ。そう言われれば見捨てられるはずがない。
ヘンリーは私にとってもう大事な友達だ。
「分かってるよ。でも今日はダメ~!!両手に花で勉強するって決めてあるから。今日邪魔したら暴れるからね!」
私は逃げる様に教室から出る。
「俺も行こう。」
と、恐ろしい声が聞こえて来たが、足早に逃げる。
それにしても、チョット前までマグリットは自分の事を、私と呼んで、話し方だってもっと丁寧だったのに、、。
あぁ、今でも他の人には丁寧に話してるのか。
チッ、舌打ちした。
私が実習室に入り扉を閉めようとした時には、マグリットが追い付いていた。
イサキオス、イザベル、シャルロットはもう教科書を開いている。
「あれ?マグリットも捕まったのか?」
イサキオスが言う。
いや、正確には私が捕まったんだよ?心の中で毒突く。
「学年トップのクリスが、どの様な勉強の仕方をしているのか興味があったからな。観察しに来た。」
出た!!ネチネチ。
私に興味など絶対無い。
マグリットが何か話すたびに、心の声が顔に漏れ出す。
シャルロットがそれに気付いて笑っている。
イザベルが、さっさと始めますよ!と言ったので、私はシャルロットの横に行こうとした。
が、イザベルとイサキオスに捕まり、2人の真ん中に座らされる。
イザベルとイサキオスが各々の私に質問してくる。
ん?全然聞き取れない。
「チョット、私が先に話してますのよ!イサキオス様は後にして下さる?」
おっ、悪役令嬢的発言。
イサキオスが珍しく不機嫌になる。
私は彼が怒った所を見た事が無い。
ちなみに、腹黒男はすぐ怒る。
「俺はクリスに一緒に勉強しようと誘われたんだ。俺には一緒に勉強する権利がある。」
「あら、それなら私だって誘われたのだから一緒でしょ!先程の質問は私の方がチョットだけ早くクリスに言いましたわ。順番です!イサキオス様は少しお待ち下さい!」
子供か!!私は半眼になってイザベルを見る。
「いや、それなら俺の方が絶対早かった!」
イサキオスも乗っかっちゃったよ。
これは中々終わらないやつだな。
「そんな事ないわよ。ねぇクリス?」
あっ、私に来た。ヤバイ。
「俺の方が早かっただろ?」
「「クリス!!!」」
2人の声が重なる。
私は助けて貰おうとシャルロットとマグリットを見るが、目をそらされる。
、、2人とも覚えてろよ!
「とりあえずこの時間がもったいないから、進めようよ。テストに出そうな問題を解いていって、分からない所があれば僕に聞くって事で。」
私は快心の笑顔を見せてみる。
「クリス、笑っても誤魔化されませんわよ?、、まぁ良いわ。Aクラスになる為に努力しなければ!もう日にちがありませんわ。」
私はホッとする。
イサキオスも納得したかな?と思い彼の方を見ると、彼の顔は私の真横にあった。
「なっ、なななな何?」
声が上ずる。
「俺の1番はクリスだ。クリスも俺が1番なら嬉しい。」
何じゃそりゃぁぁぁ!!!彼の脳みそどうなってるの!?
ワンコの飼い主がワンコ化している。
これは困った、、。顔を赤くせずに上手く答えられるだろうか。
「、、順番は良く分からないけど、イサキオスは僕にとって大切な友達だよ?」
完璧!!と思ったが、イサキオスは、
「チョット違う。」
と不満気に言った。何でだろ?
その後マグリットが、
「俺にとっては可愛い下僕だよ。」
と、私を見ながら言って来たが無視した。
やはり私には脳筋男と腹黒男の考えている事は良く分からない。
しかし、理解出来なくても推しは可愛い。最強だ!!
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