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プロローグ
しおりを挟む戦火は空に、陸に、海に。野は屍が積み重なり、水底は残骸が敷き詰められる。
一度転がりだした歴史は留まることを知らず、そのまま奈落へと落ちて行く。人の命が消耗品のように使い潰されることが当たり前となる。
この世界の一角では、更なる過ち――“第四次”世界大戦の幕が切って落とされていた。
聖歴1825年5月7日。欧州において徐々に力を高めつつあった、労働党率いるドイツ共和国(独国)が欧州全土を支配せんと侵攻を開始。その電撃的な作戦により8月には欧州諸国を制圧し、その侵攻はソビエト皇国にまで及んでいた。
世界連盟はこれに対し猛反発したものの、独国はそれを無視し世界連盟を脱退。貿易関係で世界連盟の存在を疎んでいた国民──特に労働者の支持もあり、独国は孤立路線を突っ走ることになった。
同年11月。ソビエトは冬を待って大規模な反抗作戦を実施するものの、独国はその強力な機甲軍団を以てこれを一蹴。勢いをつけた独国は更に中東にも軍を進め、更に国名を欧州プロイセン帝国連邦(普国)に改名した。
普国の脅威が亜細亜に近づきつつある中、秋津洲共和国(秋津洲)政府は普国に単独講和を持ち掛け、軍事的に協力することを条件に秋独同盟を締結した。しかしそれは普国の属国と化すのとほぼ同義であった。
普国は秋津洲に中華共和国連邦(中国)とソビエトへ進軍するように迫り、拒否権の無かった秋津洲は中国とソビエトに侵攻を開始したのである。
これに伴い、秋津洲もまた世界連盟から脱退することになった。
亜細亜の権益をその手中に収めんとフィリピンを始めとする東南亜細亜諸国に侵攻していたアメリカ合州国(米国)はこれに対し強硬的な体制を取り、対秋最後通告「ハル・ノート」を突きつけた。
ハル・ノートの内容を端的に説明すると、秋津洲軍の中国及びソビエトからの撤退。秋独同盟の放棄を要求するものであり、明記はされていなかったもののこのことを即刻行わない場合に軍事的制裁があることは目に見えていた。
自国の安全を守るための対処が、結果的に秋津洲を普国と米国の板挟みにしてしまったのである。
かつての秋米の友好は完全に断たれ、世論は米英討つべしの一色へとなりつつあった。
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