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第二話 首謀者
しおりを挟む都内某所のとある豪勢な建物の一室。そこに二人の人物がいた。
一人は高身長に比較的ガッシリした身体を紺色の詰襟制服に身を包んでいる青年。
その肩章は彼が海軍少将であることを示している。
そしてもう一人は、金刺繍の施された豪華な和服を着崩した、10代前半くらいに見える少女。
思わず惹き込まれてしまうような、不思議な雰囲気を湛えている。
しかし──
「いくら自室とはいえ、御召し物ぐらいちゃんとなされたらどうです」
「誰も見ておらんのじゃ。別によかろう?」
──特徴的な、古臭いジジイ口調だった。
所謂、“のじゃロリ”だ。
「ところで峰崎よ。例の“一二○八計画”の方はどうなっておる?今回はその為に儂を訪ねて来たのであろう?」
「はい。遂に実行日を決定致しました」
峰崎、と呼ばれた青年──峰崎宗一郎は手元の電文を確認した。
「クーデターは来月11月の25日に決行致します」
「ほう。そこから二週間程で作戦決行は可能なのか?」
「新たなる主力艦隊の建造及び各種新兵装の開発は地下ドックにて順調に進んでおり、来週には習熟訓練を開始できると思います」
「それはなによりじゃな」
少女はその幼げな顔で、少し不気味にニヤッと笑う。
「また、一二○八計画に伴い各作戦立案も既に成されており、あとは詳細を錬成するのみです」
「対米戦略の要となる、まさしく天元の一石じゃな」
「この作戦の可否によって、今後の戦略も決まります」
その“作戦”が果たしてどんな物なのか。この時それを知るものはごくわずかであった。
「……この時代に大きな変化を起こす為にも、この計画はなんとしても成功させてもらわねばならぬ」
声のトーンを落とし、視線を落とす少女。
「非白人民族の悲惨な現状。それを何とも思わぬ世界。そして、先進国の一国でありながら白人国家の顔色を伺い、従うことしか出来なくなってしまった我が国……」
その白く小さな手を膝の上で悔しそうにギュッと握る。
「なにゆえ、我が国の民が白人の一部特権階級の為に苦しまねばならぬのか……」
その目には、強い後悔と怒りの感情が現れていた。
「それに、本当ならこの国は戦争に参加するようなことはしてはならなかったのじゃ。しかし、もう手遅れ……妾わたしは動くのが遅すぎた」
「……お気持ち、お察し致します。我々も同じ志を持ち、この国を…そしてこの世界を変えるため、全力で戦う所存です」
「……信頼しておるぞ」
見た目に似合わぬ真剣な眼差しで青年を見詰める少女。それに対し青年はフッと微笑む。
「万事順調です。安心してお待ちください──
────“陛下”」
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