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学び舎でのひととき
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### 学び舎でのひととき
ある日、カズがトイレに行くと、クラスメートのマサノリがトイレで用を足そうとしていた。
カズはマサノリに静かに近寄ると、斜め後ろからマサノリのモノを覗き込んだ。
マサノリはギョッとしたような顔をしたが、それがカズだと分かると、安心したように用を足し始めた。
「マサノリのもデケーな。ハヤトといい勝負だぞ」
そう言うカズに、マサノリは、
「ハヤトって、同じクラスの?」
と訊いてきた。
「うん。同じクラスで、オレの幼なじみのハヤト」
「二人は仲いいの?」
「めちゃくちゃ仲いいぞ?」
そう言うカズに、マサノリは、
「ハヤトって、あまり他の人とは話をしないよね?」
「そうか?」
「うん、そうだよ。俺も殆ど話をした事が無いんだ」
「なら、話をしてみろよ。すっげ~いい奴だぞ」
用を足し終えたマサノリは、モノをしまいながら、
「でも、何となく話しづらいよね」
と言った。
隣で用を足し始めたカズは、
「お前の見たから、オレのも見るか?」
そう言って、便器から少し離れる。
「へぇ、カズのもけっこうデカイね」
そう言うマサノリに、カズは、
「ま、ハヤトやお前のに比べたらまだまだだけどな」
と笑った。
カズとマサノリは、トイレの中で何とも言えない雰囲気を漂わせながらも、自然と笑みをこぼしていた。
男子校の日常には、こうした何気ないプライベートな時間が、妙に親密さを生み出している。
二人は手を洗いながら、しばし沈黙した。
「で、カズ。お前とハヤトって、本当に仲良しさんなんだな。なんか、うらやましいわ」
マサノリがそう言うと、カズは少し驚いた顔をして、
「え? そうか? まあ、確かにオレらは小さい頃からずっと一緒だったからな。でも、別に特別なことしてるわけじゃねーよ。してるとしたらオナニーくらいかな?」
「えっ、オナニー!?」
「うん。たまに一緒にしてんだよな」
羨ましそうな顔で、カズの顔をマジマジと見るマサノリ。
そして。
「でもさ、ああいう奴って、他人には無関心な感じがするけど、カズには妙に心を開いてるよな。オレ、あいつに話しかけたことあるけど、ほとんど返事もしてくれなかったし」
「ああ、ハヤトはな、人見知りが激しいんだよ。でも、一度心を開いたら、めちゃくちゃ面倒見がいい奴だぞ。オレも、小学生の時によく守ってもらったし」
カズの口調には、どこか誇らしげな響きがあった。
マサノリは少し考えるように眉をひそめ、
「そうか⋯⋯でも、ちょっと気になる奴だよな。ああいうのって、どうやって仲良くなるんだ?」
「んー⋯⋯まあ、まずは話しかけることだろ。ハヤトは、意外と気さくなんだけど、相手がどう思ってるか、ってのを敏感に感じ取る奴だからな。本気で仲良くしたいって気持ちが伝われば、きっと応えてくれるさ」
「ふーん⋯⋯でも、話しかけるにも、何を話せばいいかわかんねぇんだよな」
「じゃあさ、オレが一緒にいる時に、声かけてみれば?」
「え、マジで? お前がいるなら、ちょっと気が楽かもな」
カズは軽く肩をすくめ、
「まあ、いいじゃねーか。オレとハヤトの間には、お前が入っても問題ねーし。三人で遊ぶのも悪くねーだろ」
「お、いいじゃねーか。なんか、俄然やる気になってきたわ」
二人は笑いながら教室に戻った。
そこには、すでに授業の準備を整えたハヤトがいた。
彼は、カズが戻ってくると、ほんのわずかな微笑みを浮かべた。
それを見たカズは、心の中で「やっぱり、ハヤトはオレのことを特別に思ってくれてるんだな」と感じていた。
放課後、カズはハヤトに声をかけた。
「よし、今から図書室行くか? マサノリも誘ってさ。三人で勉強でもしてみねーか?」
ハヤトは少し驚いた表情をしたが、すぐにうなずいた。
「⋯⋯うん、いいよ。マサノリって、確か、新聞部の奴だよね?」
「そうそう。意外と頭いいし、三人でやれば、勉強も捗るだろ」
図書室に着くと、マサノリもすでに来ていた。
彼は、ハヤトを見ると少し緊張した様子だったが、カズが、
「さっき話しただろ? オレの幼なじみのハヤトだ」
と紹介すると、少しずつ表情が柔らかくなっていった。
「あの、ハヤトって、数学得意なんだよね?」
マサノリがそう聞くと、ハヤトは少し照れながら、
「まあ、得意ってほどでもないけど⋯⋯解けると楽しいから、好きかな」
「へぇ、俺も数学は好きなんだけど、ちょっと苦手なんだよな。教えてくれる?」
「うん、いいよ。一緒にやろう」
その日、三人は図書室で勉強をしながら、少しずつ打ち解けていった。
カズは、そんな二人の様子を見て、心の中でほくそ笑んでいた。
彼にとって、ハヤトはかけがえのない存在だったが、そのハヤトを、他の誰かと分かち合えるということが、何よりも嬉しかった。
そして、その日以来、三人は頻繁に一緒に勉強したり、昼休みに話したりするようになった。
ハヤトも、以前より笑顔をこぼすことが増え、クラスの中でも少しずつ存在感を示し始めていた。
カズは、そんな変化をただ温かく見守っていた。
そして、ある日、彼の胸の奥に、少しの不安が芽生えるのを感じた。
それは、ハヤトが、マサノリに対して、自分と同じような特別な感情を抱いてしまうのではないか、という不安だった。
だが、カズはそれを口にはしなかった。
彼は、ハヤトを信じていた。
そして、自分自身の気持ちに正直に、三人で過ごす時間を大切にしていこうと心に誓った。
学び舎でのひととき――それは、友情、そして恋の芽生えが交錯する、青春の一ページだった。
ある日、カズがトイレに行くと、クラスメートのマサノリがトイレで用を足そうとしていた。
カズはマサノリに静かに近寄ると、斜め後ろからマサノリのモノを覗き込んだ。
マサノリはギョッとしたような顔をしたが、それがカズだと分かると、安心したように用を足し始めた。
「マサノリのもデケーな。ハヤトといい勝負だぞ」
そう言うカズに、マサノリは、
「ハヤトって、同じクラスの?」
と訊いてきた。
「うん。同じクラスで、オレの幼なじみのハヤト」
「二人は仲いいの?」
「めちゃくちゃ仲いいぞ?」
そう言うカズに、マサノリは、
「ハヤトって、あまり他の人とは話をしないよね?」
「そうか?」
「うん、そうだよ。俺も殆ど話をした事が無いんだ」
「なら、話をしてみろよ。すっげ~いい奴だぞ」
用を足し終えたマサノリは、モノをしまいながら、
「でも、何となく話しづらいよね」
と言った。
隣で用を足し始めたカズは、
「お前の見たから、オレのも見るか?」
そう言って、便器から少し離れる。
「へぇ、カズのもけっこうデカイね」
そう言うマサノリに、カズは、
「ま、ハヤトやお前のに比べたらまだまだだけどな」
と笑った。
カズとマサノリは、トイレの中で何とも言えない雰囲気を漂わせながらも、自然と笑みをこぼしていた。
男子校の日常には、こうした何気ないプライベートな時間が、妙に親密さを生み出している。
二人は手を洗いながら、しばし沈黙した。
「で、カズ。お前とハヤトって、本当に仲良しさんなんだな。なんか、うらやましいわ」
マサノリがそう言うと、カズは少し驚いた顔をして、
「え? そうか? まあ、確かにオレらは小さい頃からずっと一緒だったからな。でも、別に特別なことしてるわけじゃねーよ。してるとしたらオナニーくらいかな?」
「えっ、オナニー!?」
「うん。たまに一緒にしてんだよな」
羨ましそうな顔で、カズの顔をマジマジと見るマサノリ。
そして。
「でもさ、ああいう奴って、他人には無関心な感じがするけど、カズには妙に心を開いてるよな。オレ、あいつに話しかけたことあるけど、ほとんど返事もしてくれなかったし」
「ああ、ハヤトはな、人見知りが激しいんだよ。でも、一度心を開いたら、めちゃくちゃ面倒見がいい奴だぞ。オレも、小学生の時によく守ってもらったし」
カズの口調には、どこか誇らしげな響きがあった。
マサノリは少し考えるように眉をひそめ、
「そうか⋯⋯でも、ちょっと気になる奴だよな。ああいうのって、どうやって仲良くなるんだ?」
「んー⋯⋯まあ、まずは話しかけることだろ。ハヤトは、意外と気さくなんだけど、相手がどう思ってるか、ってのを敏感に感じ取る奴だからな。本気で仲良くしたいって気持ちが伝われば、きっと応えてくれるさ」
「ふーん⋯⋯でも、話しかけるにも、何を話せばいいかわかんねぇんだよな」
「じゃあさ、オレが一緒にいる時に、声かけてみれば?」
「え、マジで? お前がいるなら、ちょっと気が楽かもな」
カズは軽く肩をすくめ、
「まあ、いいじゃねーか。オレとハヤトの間には、お前が入っても問題ねーし。三人で遊ぶのも悪くねーだろ」
「お、いいじゃねーか。なんか、俄然やる気になってきたわ」
二人は笑いながら教室に戻った。
そこには、すでに授業の準備を整えたハヤトがいた。
彼は、カズが戻ってくると、ほんのわずかな微笑みを浮かべた。
それを見たカズは、心の中で「やっぱり、ハヤトはオレのことを特別に思ってくれてるんだな」と感じていた。
放課後、カズはハヤトに声をかけた。
「よし、今から図書室行くか? マサノリも誘ってさ。三人で勉強でもしてみねーか?」
ハヤトは少し驚いた表情をしたが、すぐにうなずいた。
「⋯⋯うん、いいよ。マサノリって、確か、新聞部の奴だよね?」
「そうそう。意外と頭いいし、三人でやれば、勉強も捗るだろ」
図書室に着くと、マサノリもすでに来ていた。
彼は、ハヤトを見ると少し緊張した様子だったが、カズが、
「さっき話しただろ? オレの幼なじみのハヤトだ」
と紹介すると、少しずつ表情が柔らかくなっていった。
「あの、ハヤトって、数学得意なんだよね?」
マサノリがそう聞くと、ハヤトは少し照れながら、
「まあ、得意ってほどでもないけど⋯⋯解けると楽しいから、好きかな」
「へぇ、俺も数学は好きなんだけど、ちょっと苦手なんだよな。教えてくれる?」
「うん、いいよ。一緒にやろう」
その日、三人は図書室で勉強をしながら、少しずつ打ち解けていった。
カズは、そんな二人の様子を見て、心の中でほくそ笑んでいた。
彼にとって、ハヤトはかけがえのない存在だったが、そのハヤトを、他の誰かと分かち合えるということが、何よりも嬉しかった。
そして、その日以来、三人は頻繁に一緒に勉強したり、昼休みに話したりするようになった。
ハヤトも、以前より笑顔をこぼすことが増え、クラスの中でも少しずつ存在感を示し始めていた。
カズは、そんな変化をただ温かく見守っていた。
そして、ある日、彼の胸の奥に、少しの不安が芽生えるのを感じた。
それは、ハヤトが、マサノリに対して、自分と同じような特別な感情を抱いてしまうのではないか、という不安だった。
だが、カズはそれを口にはしなかった。
彼は、ハヤトを信じていた。
そして、自分自身の気持ちに正直に、三人で過ごす時間を大切にしていこうと心に誓った。
学び舎でのひととき――それは、友情、そして恋の芽生えが交錯する、青春の一ページだった。
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