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第24話:化粧水と乳液
第24話:化粧水と乳液
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ある日、ミラが薬草園の手入れを終えてログハウスのテラスに腰を下ろし、手の甲にそっと触れて小さくため息をついた。
「シュウさん⋯⋯この時期になると、どうしてもお肌が乾燥してしまいますね⋯⋯。特に朝起きると、つっぱる感じがして⋯⋯」
と、困ったように眉を寄せながら言った。
その言葉を耳にした瞬間、俺の頭の中を、かつて地球で使っていた化粧水や乳液の記憶が駆け巡った。
乾燥肌に悩む女性たちが、どんなに保湿に気を遣っていたか。
そして、エタノールとハーブ、ハチミツを組み合わせれば、簡易ながらも効果的な化粧水が作れることを思い出した。
異世界ではまだ化粧品という概念が存在しない。
ならば、これはチャンスだ。
俺たちの生活をちょっと豊かにするだけでなく、誰かの役にも立つかもしれない。
「⋯⋯ミラ、ちょっと実験してみないか? 肌に塗るだけの薬水みたいなもの。乾燥を防いで、潤いを保つやつ」
「え? 肌に塗る薬水⋯⋯? そんなものがあるんですか?」
「まあ、正確には薬じゃないけど、効果はあるはずだ。材料さえ揃えば、作れる」
俺は立ち上がり、倉庫へと向かった。
まず必要なのはエタノール。
幸い、異世界でもアルコールの蒸留技術は存在しており、特に薬師や錬金術師の間では消毒用や溶媒として使われている。
ミラの薬草用の棚に、無色透明の液体が入ったガラス瓶が数本並んでいた。
それを手に取り、次に薬草園へ。
抗炎症作用や肌荒れ防止に効果のあるカモミール、鎮静効果のあるラベンダー、そして保湿に優れたマロウの花を摘み取る。
これらを細かく刻み、小さな石製のすり鉢で軽く潰して香りを引き出す。
ハチミツは、森の奥にある野生の蜂の巣から、フェンリルのウォルフに協力してもらって採取してきたものだ。
天然の保湿成分として、肌への浸透性も高く、ニキビ防止にも効果がある。
「まず、エタノールにハーブを漬ける。一晩ほど置いて、有効成分を抽出する。その後、濾過して、ハチミツを数滴加える。ハチミツは多すぎるとべたつくから、ほんの少しで十分だ。」
「⋯⋯すごいですね、シュウさん。こんな風に組み合わせるなんて、思いつきもしませんでした。」
「地球では、普通の知識だよ。でも、ここでは誰もやってないから、新発見ってことになるな」
俺とミラは作業を進め、小さなガラス瓶に数十ミリリットルずつ、琥珀色に透ける化粧水を詰めた。
香りはラベンダーとカモミールの穏やかな芳しい香りがほんのりと漂い、ハチミツの甘さが鼻先をくすぐる。
完成したその夜、ミラが早速顔に数滴を手のひらに取り、両頬に優しくなじませた。数分後、彼女は目を見開いて言った。
「⋯⋯凄いです! 肌が、まるで飲んだみたいに潤っています! つっぱりも、もう感じません⋯⋯。それに、昨日まで気になっていた小さな赤みも、薄くなっていませんか?」
「効いてるな。炎症を抑える成分が働いてるんだろう」
翌朝、ネロが風呂場から上がってくると、顔を覗き込んで「ミラ姉、なんか肌ツヤいいね」と言い、リオも「うん、なんか透き通ってる」と珍しく感想を漏らした。
フェイも「これは⋯⋯まさか、シュウ様が作ったというあの化粧水ですか?」と興味津々で、俺に許可を求めた。
「ああ、使ってみるか? 男でも大丈夫だぞ。特に乾燥する場所とか、日焼けしたところに塗れば効果あるはずだ」
「では、失礼して⋯⋯」
フェイは自分の首筋と胸元に数滴を塗り、しばらくしてから、
「⋯⋯これは驚きです。ひりつきが消えました。昨日の訓練で鎧の縁が擦れて痛かったのですが⋯⋯。それに、清涼感があって、とても気持ちが良い」
と、目を細めた。
アレンも「ちょっと俺にもくれよ」と言って手に取り、顔全体に塗った後、「おっ、すっきりするな。汗ばんだ後とかに使ったら最高じゃね?」と笑った。
ヨシュアは少し恥ずかしそうに「⋯⋯僕も、少しだけ⋯⋯」と手を出し、頬に塗った後、「⋯⋯本当に、肌が柔らかくなった気がします⋯⋯。こんな簡単な液体で、こんなに違うなんて⋯⋯」
その日の夜、風呂場での恒例の時間。
湯船に浸かった後、全員がタオルで体を拭き、その後、化粧水を顔や体に塗り始めた。
ネロが「兄ちゃん、これアソコにもつけていい?」と聞いてきたので、「ああ、問題ない。清潔に保つにはちょうどいい。汗かきだし、蒸れやすいだろ?」と答えると、リオも「俺もつける」と手を伸ばした。
フェイは「確かに、ここは蒸れやすく、かゆみが出ることもあります。これは非常に有効です」と真面目な顔で言い、アレンは「おっ、すげえ、スッキリする! なんか、むわっとした感じが消える!」と感動していた。
ヨシュアは真っ赤になりながらも「⋯⋯確かに、気持ちいいです⋯⋯」と小さく呟いた。
数日後、俺はこの化粧水をギルドに持って行くことにした。
小さなガラス瓶を十本ほど、木箱に詰めて。
受付の女性がそれを見て「これは何でしょうか?」と尋ねたので、「肌に塗る化粧水です。乾燥防止、肌荒れ防止、ニキビ対策にも効果があります。試しに使ってみてください」と説明した。
彼女は半信半疑で瓶を開け、手の甲に塗ってみた。数秒後、目を見開いて「⋯⋯これは!? 肌が、まるで生き返ったみたい⋯⋯! こんなに潤うなんて⋯⋯!」
「男性も使えるし、全身に塗れますよ。特に汗をかいた後とか、日焼けしたところに」
「これは⋯⋯絶対に需要があります! 定期的に納品して、売り出してはいただけませんか?」
俺は少し考えて、「⋯⋯考えてみるよ」とだけ答えて帰宅した。
だが、その翌日、ギルドから緊急の連絡が入った。
「シュウ様! 先日の化粧水、試しに陳列したところ、あっという間に完売しました! 特に女性たちから『肌が綺麗になる!』と大評判で、追加注文が殺到しています! 最低でも100本、できれば200本単位でお願いできませんか!?」
俺は思わず苦笑した。
まさか、ここまで人気が出るとは。
ミラと相談し、作業体制を整える。
ハーブは薬草園で大量に栽培を開始し、ウォルフに協力してもらって森から天然ハチミツを定期的に調達。
エタノールは、町の錬金術師に依頼して大量生産をお願いした。
俺とミラが中心となって調合し、ネロとリオが濾過と瓶詰めを担当。
フェイとアレンがラベル作りと木箱の準備。
ヨシュアも「僕も手伝います!」と張り切って、瓶の洗浄やラベル貼りを始めた。
100本の化粧水を完成させ、ギルドに納品。
だが、またもや数日で売り切れ。
追加で100本の注文が入り、さらに「今度は男性用も欲しい!」という声が多数。
俺は「男性用って、別に変えなくてもいいだろ?」と思ったが、フェイが「香りをもう少しスパイシーにしてはいかがでしょう。ミントやタイムを加えることで、清涼感が増します」と提案。
早速、男性用ブレンドとして、ミント、タイム、ローズマリーを加えたタイプも開発。
これがまた大ヒット。
特に冒険者たちの間で「汗臭さが消える!」「蒸れた体がスッキリする!」と評判になり、ギルドの冒険者たちが定期的に買いに来るようになった。
そして、ある日ミラが「シュウさん、化粧水だけではなく、もう少し濃厚な保湿剤も作ってみませんか? 特に冬場には、これだけでは物足りないかもしれません」と言い出した。
そこで、今度は乳液の開発に着手。
異世界には牛乳に近い「ホワイトミルク」と呼ばれる、山羊に似た「ミルクホーン」という魔獣の乳がある。
これを加熱殺菌し、エタノールで乳化剤を作らずとも、ハチミツと植物油(オリーブに似た「ルナオイル」)を使って、簡易な乳液を作ることに成功。
ミラが「これは⋯⋯まるでクリームみたい⋯⋯!」と感動し、早速顔に塗ってみた。
翌朝、「肌が、びっくりするほど柔らかくて⋯⋯! 化粧水だけよりも、ずっと保湿されています!」と喜んだ。
男性陣も試してみた。
リオは「毛がつやつやになる⋯⋯」と狼耳をぴくつかせ、ネロは「兄ちゃん、これ頭皮にもいい? フケが気になるんだ」と聞いてきたので、「あぁ、頭皮にも使える。フケ防止にも効くはずだ」と答えると、早速頭に塗り始めた。
アレンは「こっちは化粧水よりこってりしてるな。でも、冬にはちょうどいい」と笑い、フェイは「騎士団の者たちにも紹介したい。特に冬の警備中に手が荒れる者が多いため⋯⋯」と真剣な顔で言った。
ヨシュアは「⋯⋯これ、顔にも使えるんですね? 僕、ちょっとニキビができやすいので⋯⋯」と恥ずかしそうに言っており、俺は「もちろん。むしろ、ニキビ肌には向いてるかもしれないぞ」と励ました。
乳液もギルドに納品。
すると、今度は「化粧水と乳液のセットで売ってほしい!」という要望が殺到。
ギルドは「シュウ様、これはもう、貴族専用の高級品ではなく、一般の人々にも手が届く価格で販売したい!」と言い出し、俺は「⋯⋯まあ、いいだろう。ただし、品質は絶対に落とさないでくれ」と条件を出した。
ギルドも真剣に「もちろんです。シュウ様の製品が信頼されている以上、粗悪品を出すわけにはいきません」
こうして、俺たちのログハウスは、化粧水と乳液の製造拠点と化した。
ミラが管理する薬草園は拡張され、フェンリルとラムが森の保護と資源管理を協力。
アレンが王都の商人たちと交渉し、販路を広げる。
フェイが騎士団を通じて軍需品としての採用も画策。
ネロとリオは「将来は俺たちのブランドを作る!」と意気込み、名前を考え始めた。
「『シュウの潤い工房』とかどうだ?」
「それ、ダサい……『銀狼と九尾の美肌堂』の方がかっこいい!」
「⋯⋯お前ら、真面目に考えろよ」
夜になると、いつものように全員が風呂場に集まり、湯に浸かり、その後、化粧水と乳液でケア。
そして、いつものように股間の愛撫が始まる。
ネロが「今日もスッキリするぞ~」と笑い、リオが「俺は乳液でツルツルになる」と言い、フェイが「清潔を保つのは、騎士としての務めです」と真顔で言いながら手を動かし、アレンが「これが文明の利器ってやつか~」と笑い、ヨシュアはまだ照れながらも「⋯⋯確かに、気持ちいいです⋯⋯」と小さく呟きながら、ゆっくりと手を動かす。ミラは「皆様、あまり長く浸かりすぎると逆に乾燥しますよ」と注意しながらも、微笑んでいる。
俺は湯船に背中を預け、星空を見上げながら思う。
――まさか、55歳のおっさんが、異世界で化粧品メーカーみたいなことになるとはな。
でも、こうしてみんなが笑って、肌もツヤツヤで、毎晩気持ちよくなって、平和に暮らしている。
女神エリシアは間違えたって言ってたけど⋯⋯結果的には、悪くない転生だったかもしれん。
そして、風呂場の湯気の中、笑い声と水音が混ざり合い、ログハウスの灯りが静かに揺れる。
俺の新しい人生は、今日も、潤いに満ちていた。
「シュウさん⋯⋯この時期になると、どうしてもお肌が乾燥してしまいますね⋯⋯。特に朝起きると、つっぱる感じがして⋯⋯」
と、困ったように眉を寄せながら言った。
その言葉を耳にした瞬間、俺の頭の中を、かつて地球で使っていた化粧水や乳液の記憶が駆け巡った。
乾燥肌に悩む女性たちが、どんなに保湿に気を遣っていたか。
そして、エタノールとハーブ、ハチミツを組み合わせれば、簡易ながらも効果的な化粧水が作れることを思い出した。
異世界ではまだ化粧品という概念が存在しない。
ならば、これはチャンスだ。
俺たちの生活をちょっと豊かにするだけでなく、誰かの役にも立つかもしれない。
「⋯⋯ミラ、ちょっと実験してみないか? 肌に塗るだけの薬水みたいなもの。乾燥を防いで、潤いを保つやつ」
「え? 肌に塗る薬水⋯⋯? そんなものがあるんですか?」
「まあ、正確には薬じゃないけど、効果はあるはずだ。材料さえ揃えば、作れる」
俺は立ち上がり、倉庫へと向かった。
まず必要なのはエタノール。
幸い、異世界でもアルコールの蒸留技術は存在しており、特に薬師や錬金術師の間では消毒用や溶媒として使われている。
ミラの薬草用の棚に、無色透明の液体が入ったガラス瓶が数本並んでいた。
それを手に取り、次に薬草園へ。
抗炎症作用や肌荒れ防止に効果のあるカモミール、鎮静効果のあるラベンダー、そして保湿に優れたマロウの花を摘み取る。
これらを細かく刻み、小さな石製のすり鉢で軽く潰して香りを引き出す。
ハチミツは、森の奥にある野生の蜂の巣から、フェンリルのウォルフに協力してもらって採取してきたものだ。
天然の保湿成分として、肌への浸透性も高く、ニキビ防止にも効果がある。
「まず、エタノールにハーブを漬ける。一晩ほど置いて、有効成分を抽出する。その後、濾過して、ハチミツを数滴加える。ハチミツは多すぎるとべたつくから、ほんの少しで十分だ。」
「⋯⋯すごいですね、シュウさん。こんな風に組み合わせるなんて、思いつきもしませんでした。」
「地球では、普通の知識だよ。でも、ここでは誰もやってないから、新発見ってことになるな」
俺とミラは作業を進め、小さなガラス瓶に数十ミリリットルずつ、琥珀色に透ける化粧水を詰めた。
香りはラベンダーとカモミールの穏やかな芳しい香りがほんのりと漂い、ハチミツの甘さが鼻先をくすぐる。
完成したその夜、ミラが早速顔に数滴を手のひらに取り、両頬に優しくなじませた。数分後、彼女は目を見開いて言った。
「⋯⋯凄いです! 肌が、まるで飲んだみたいに潤っています! つっぱりも、もう感じません⋯⋯。それに、昨日まで気になっていた小さな赤みも、薄くなっていませんか?」
「効いてるな。炎症を抑える成分が働いてるんだろう」
翌朝、ネロが風呂場から上がってくると、顔を覗き込んで「ミラ姉、なんか肌ツヤいいね」と言い、リオも「うん、なんか透き通ってる」と珍しく感想を漏らした。
フェイも「これは⋯⋯まさか、シュウ様が作ったというあの化粧水ですか?」と興味津々で、俺に許可を求めた。
「ああ、使ってみるか? 男でも大丈夫だぞ。特に乾燥する場所とか、日焼けしたところに塗れば効果あるはずだ」
「では、失礼して⋯⋯」
フェイは自分の首筋と胸元に数滴を塗り、しばらくしてから、
「⋯⋯これは驚きです。ひりつきが消えました。昨日の訓練で鎧の縁が擦れて痛かったのですが⋯⋯。それに、清涼感があって、とても気持ちが良い」
と、目を細めた。
アレンも「ちょっと俺にもくれよ」と言って手に取り、顔全体に塗った後、「おっ、すっきりするな。汗ばんだ後とかに使ったら最高じゃね?」と笑った。
ヨシュアは少し恥ずかしそうに「⋯⋯僕も、少しだけ⋯⋯」と手を出し、頬に塗った後、「⋯⋯本当に、肌が柔らかくなった気がします⋯⋯。こんな簡単な液体で、こんなに違うなんて⋯⋯」
その日の夜、風呂場での恒例の時間。
湯船に浸かった後、全員がタオルで体を拭き、その後、化粧水を顔や体に塗り始めた。
ネロが「兄ちゃん、これアソコにもつけていい?」と聞いてきたので、「ああ、問題ない。清潔に保つにはちょうどいい。汗かきだし、蒸れやすいだろ?」と答えると、リオも「俺もつける」と手を伸ばした。
フェイは「確かに、ここは蒸れやすく、かゆみが出ることもあります。これは非常に有効です」と真面目な顔で言い、アレンは「おっ、すげえ、スッキリする! なんか、むわっとした感じが消える!」と感動していた。
ヨシュアは真っ赤になりながらも「⋯⋯確かに、気持ちいいです⋯⋯」と小さく呟いた。
数日後、俺はこの化粧水をギルドに持って行くことにした。
小さなガラス瓶を十本ほど、木箱に詰めて。
受付の女性がそれを見て「これは何でしょうか?」と尋ねたので、「肌に塗る化粧水です。乾燥防止、肌荒れ防止、ニキビ対策にも効果があります。試しに使ってみてください」と説明した。
彼女は半信半疑で瓶を開け、手の甲に塗ってみた。数秒後、目を見開いて「⋯⋯これは!? 肌が、まるで生き返ったみたい⋯⋯! こんなに潤うなんて⋯⋯!」
「男性も使えるし、全身に塗れますよ。特に汗をかいた後とか、日焼けしたところに」
「これは⋯⋯絶対に需要があります! 定期的に納品して、売り出してはいただけませんか?」
俺は少し考えて、「⋯⋯考えてみるよ」とだけ答えて帰宅した。
だが、その翌日、ギルドから緊急の連絡が入った。
「シュウ様! 先日の化粧水、試しに陳列したところ、あっという間に完売しました! 特に女性たちから『肌が綺麗になる!』と大評判で、追加注文が殺到しています! 最低でも100本、できれば200本単位でお願いできませんか!?」
俺は思わず苦笑した。
まさか、ここまで人気が出るとは。
ミラと相談し、作業体制を整える。
ハーブは薬草園で大量に栽培を開始し、ウォルフに協力してもらって森から天然ハチミツを定期的に調達。
エタノールは、町の錬金術師に依頼して大量生産をお願いした。
俺とミラが中心となって調合し、ネロとリオが濾過と瓶詰めを担当。
フェイとアレンがラベル作りと木箱の準備。
ヨシュアも「僕も手伝います!」と張り切って、瓶の洗浄やラベル貼りを始めた。
100本の化粧水を完成させ、ギルドに納品。
だが、またもや数日で売り切れ。
追加で100本の注文が入り、さらに「今度は男性用も欲しい!」という声が多数。
俺は「男性用って、別に変えなくてもいいだろ?」と思ったが、フェイが「香りをもう少しスパイシーにしてはいかがでしょう。ミントやタイムを加えることで、清涼感が増します」と提案。
早速、男性用ブレンドとして、ミント、タイム、ローズマリーを加えたタイプも開発。
これがまた大ヒット。
特に冒険者たちの間で「汗臭さが消える!」「蒸れた体がスッキリする!」と評判になり、ギルドの冒険者たちが定期的に買いに来るようになった。
そして、ある日ミラが「シュウさん、化粧水だけではなく、もう少し濃厚な保湿剤も作ってみませんか? 特に冬場には、これだけでは物足りないかもしれません」と言い出した。
そこで、今度は乳液の開発に着手。
異世界には牛乳に近い「ホワイトミルク」と呼ばれる、山羊に似た「ミルクホーン」という魔獣の乳がある。
これを加熱殺菌し、エタノールで乳化剤を作らずとも、ハチミツと植物油(オリーブに似た「ルナオイル」)を使って、簡易な乳液を作ることに成功。
ミラが「これは⋯⋯まるでクリームみたい⋯⋯!」と感動し、早速顔に塗ってみた。
翌朝、「肌が、びっくりするほど柔らかくて⋯⋯! 化粧水だけよりも、ずっと保湿されています!」と喜んだ。
男性陣も試してみた。
リオは「毛がつやつやになる⋯⋯」と狼耳をぴくつかせ、ネロは「兄ちゃん、これ頭皮にもいい? フケが気になるんだ」と聞いてきたので、「あぁ、頭皮にも使える。フケ防止にも効くはずだ」と答えると、早速頭に塗り始めた。
アレンは「こっちは化粧水よりこってりしてるな。でも、冬にはちょうどいい」と笑い、フェイは「騎士団の者たちにも紹介したい。特に冬の警備中に手が荒れる者が多いため⋯⋯」と真剣な顔で言った。
ヨシュアは「⋯⋯これ、顔にも使えるんですね? 僕、ちょっとニキビができやすいので⋯⋯」と恥ずかしそうに言っており、俺は「もちろん。むしろ、ニキビ肌には向いてるかもしれないぞ」と励ました。
乳液もギルドに納品。
すると、今度は「化粧水と乳液のセットで売ってほしい!」という要望が殺到。
ギルドは「シュウ様、これはもう、貴族専用の高級品ではなく、一般の人々にも手が届く価格で販売したい!」と言い出し、俺は「⋯⋯まあ、いいだろう。ただし、品質は絶対に落とさないでくれ」と条件を出した。
ギルドも真剣に「もちろんです。シュウ様の製品が信頼されている以上、粗悪品を出すわけにはいきません」
こうして、俺たちのログハウスは、化粧水と乳液の製造拠点と化した。
ミラが管理する薬草園は拡張され、フェンリルとラムが森の保護と資源管理を協力。
アレンが王都の商人たちと交渉し、販路を広げる。
フェイが騎士団を通じて軍需品としての採用も画策。
ネロとリオは「将来は俺たちのブランドを作る!」と意気込み、名前を考え始めた。
「『シュウの潤い工房』とかどうだ?」
「それ、ダサい……『銀狼と九尾の美肌堂』の方がかっこいい!」
「⋯⋯お前ら、真面目に考えろよ」
夜になると、いつものように全員が風呂場に集まり、湯に浸かり、その後、化粧水と乳液でケア。
そして、いつものように股間の愛撫が始まる。
ネロが「今日もスッキリするぞ~」と笑い、リオが「俺は乳液でツルツルになる」と言い、フェイが「清潔を保つのは、騎士としての務めです」と真顔で言いながら手を動かし、アレンが「これが文明の利器ってやつか~」と笑い、ヨシュアはまだ照れながらも「⋯⋯確かに、気持ちいいです⋯⋯」と小さく呟きながら、ゆっくりと手を動かす。ミラは「皆様、あまり長く浸かりすぎると逆に乾燥しますよ」と注意しながらも、微笑んでいる。
俺は湯船に背中を預け、星空を見上げながら思う。
――まさか、55歳のおっさんが、異世界で化粧品メーカーみたいなことになるとはな。
でも、こうしてみんなが笑って、肌もツヤツヤで、毎晩気持ちよくなって、平和に暮らしている。
女神エリシアは間違えたって言ってたけど⋯⋯結果的には、悪くない転生だったかもしれん。
そして、風呂場の湯気の中、笑い声と水音が混ざり合い、ログハウスの灯りが静かに揺れる。
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