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プロローグ
灰色の空の下で
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――薫――
空は今日も灰色だ。
復興商店街からは、子どもたちの笑い声がかすかに響く。
戦争が始まっても、日常は続く――そんな振りをしながら。
私は食料パックが詰まった袋を抱えて歩く。
自衛隊基地での生活にも、いい加減慣れなければならない。
こんな時代に生まれたことを恨んでも仕方がないのだから。
「IDOLさんだ!」
通りの先で少女たちに歓声が飛ぶ。
眩しいコスチューム。
みんなの視線を独り占めして歩く姿――。
――光だ。
私には、まだ遠い光。
胸がざわつく。
羨ましい。
悔しい。
でも、それを顔には出さない。
「……別に興味ないけど」
小さく呟いた、そのとき。
「薫ちゃん?」
柔らかい声が後ろから届く。
振り返ると志野がいた。
ふんわりした雰囲気なのに、芯の強そうな目をした子。
「一緒に帰ろ。しのなぁ、薫ちゃんといると落ち着くんや~」
「勝手にすれば」
つい強がってしまう。
これも、悪い癖だ。
志野は気にせず笑って、私の隣に並ぶ。
「薫ちゃん、IDOLの募集の話、聞いたことある?」
「少しくらいは」
「しのなぁ、光になりたいねん。暗い世界やけど……みんなに明日を信じてほしいから」
志野が空を見上げて言う。
その言葉に、胸がきゅっとなった。
私だって。本当はスポットライトの真ん中に立ちたい。
誰かに必要とされたい。「いいね」じゃなく、拍手がほしい。
志野が私の横顔を覗き込みながら聞く。
「薫ちゃんは? 光……欲しくないん?」
喉が詰まる。言葉が出ない。
そんな沈黙を破るように、基地内放送が鳴った。
『本日19時より、IDOL候補者審査の説明会を開始します』
志野はぱっと顔を輝かせる。
「なっ! 行こ行こ!」
「べ、別に行きたいわけじゃないけど……」
言いながら――気づけば説明会場の入口に立っていた。
ステージには、ゼルコヴァ小隊のリーダーが立っている。
「私たちが人類希望の光にならなければならない。しかし、まだ力が足りない。私たちは君たちの参加を待っている。このオーディションであなたの人生が変わります。」
志野は尊敬の眼差しを送っている。
私は――拳を強く握り締めていた。
私も、光になりたい。
もう一度ちゃんと、生きているって証がほしい。
灰色の空の下。
それでもどこかで光は瞬いている。
「絶対、掴んでみせる」
小さく、誰にも聞こえない声で私は誓った。
空は今日も灰色だ。
復興商店街からは、子どもたちの笑い声がかすかに響く。
戦争が始まっても、日常は続く――そんな振りをしながら。
私は食料パックが詰まった袋を抱えて歩く。
自衛隊基地での生活にも、いい加減慣れなければならない。
こんな時代に生まれたことを恨んでも仕方がないのだから。
「IDOLさんだ!」
通りの先で少女たちに歓声が飛ぶ。
眩しいコスチューム。
みんなの視線を独り占めして歩く姿――。
――光だ。
私には、まだ遠い光。
胸がざわつく。
羨ましい。
悔しい。
でも、それを顔には出さない。
「……別に興味ないけど」
小さく呟いた、そのとき。
「薫ちゃん?」
柔らかい声が後ろから届く。
振り返ると志野がいた。
ふんわりした雰囲気なのに、芯の強そうな目をした子。
「一緒に帰ろ。しのなぁ、薫ちゃんといると落ち着くんや~」
「勝手にすれば」
つい強がってしまう。
これも、悪い癖だ。
志野は気にせず笑って、私の隣に並ぶ。
「薫ちゃん、IDOLの募集の話、聞いたことある?」
「少しくらいは」
「しのなぁ、光になりたいねん。暗い世界やけど……みんなに明日を信じてほしいから」
志野が空を見上げて言う。
その言葉に、胸がきゅっとなった。
私だって。本当はスポットライトの真ん中に立ちたい。
誰かに必要とされたい。「いいね」じゃなく、拍手がほしい。
志野が私の横顔を覗き込みながら聞く。
「薫ちゃんは? 光……欲しくないん?」
喉が詰まる。言葉が出ない。
そんな沈黙を破るように、基地内放送が鳴った。
『本日19時より、IDOL候補者審査の説明会を開始します』
志野はぱっと顔を輝かせる。
「なっ! 行こ行こ!」
「べ、別に行きたいわけじゃないけど……」
言いながら――気づけば説明会場の入口に立っていた。
ステージには、ゼルコヴァ小隊のリーダーが立っている。
「私たちが人類希望の光にならなければならない。しかし、まだ力が足りない。私たちは君たちの参加を待っている。このオーディションであなたの人生が変わります。」
志野は尊敬の眼差しを送っている。
私は――拳を強く握り締めていた。
私も、光になりたい。
もう一度ちゃんと、生きているって証がほしい。
灰色の空の下。
それでもどこかで光は瞬いている。
「絶対、掴んでみせる」
小さく、誰にも聞こえない声で私は誓った。
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