Sakura Generation  ~絶望を希望に変える少女たち~

にわかばでぃ

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プロローグ

夜明けに沈む影

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――かおる――

いつもよりも早く目を覚まし、朝の支度を整える。
夜明け前の空気は冷たく、息を吸うだけで胸が震えた。

格納庫の前には整列するG1の先輩たちと、二機のヘリ。
出撃の準備は整っている。

私はただ立ち尽くす。
何もできない自分を噛みしめながら。

(行ってしまうんだ……)

エリサさんが歩き出す。
一人、また一人とG2の仲間に静かにハグをしていく。

そのたびに、先輩の腕からほんの少しだけ決意が滲み出てくる気がした。
私の横にいた志野が、突然ぎゅっと抱きしめられる。

「…………っ」
志野は驚いたように目を見開き、次いで、泣きそうな顔になった。

「なんか、やだな……この感じ」

弱く呟いた彼女の手が、私の袖を掴む。

「大丈夫だよ……きっと」

そう言いかけて、声が詰まった。
保証なんて、どこにもない。

エリサさんがこちらへ振り向く。
視線が合った瞬間、呼吸が止まった。
手を伸ばしかけて――
けれど触れられなかった。

「……頼りにしてるから」

それだけ言い残し、エリサさんは背を向ける。

(どうして……? 今じゃなくても……! 何か、もっと――)

胸が痛い。
叫びたいほどなのに、声も出ない。

エンジンが唸りを上げる。
風が巻き起こり、砂埃が舞った。

ヘリが浮かぶ。
太陽の光はまだ届かない。

(行かないで――)

伸ばした指先は、ただ空を掴むだけ。
二機のヘリが、灰色の夜明けへと消えていった。

時間だけが過ぎた。

祈ることしか、できなかった。

いつしか空は鈍い昼へと変わり

――そして夕暮れになった。

管制塔から短い警報音が響いた。
「……ヘリが帰還する!」

皆が走り出す。
私も足を動かした。
希望が、胸に灯る。

だけど――。

帰ってきたのは、一機だけだった。
負傷した先輩たちが担架で運ばれていく。
数を数える。
気づきたくなかったけれど、数えてしまう。

十一人。二十二名の半分。 

そしてその中に――エリサさんの姿はなかった。

司令官が淡々と告げる。

「……作戦は失敗だ」

胸の奥が冷たくなる。

呼吸が浅くなる。

言葉が、世界から消えたみたいだった。

夜。

格納庫の扉は閉ざされたまま。

私はただ立ち続ける。 

誰も泣かない。

泣けない。

(……強くなりたい)

見送るだけの自分から、抜け出したい。

恐怖にも喪失にも、負けない力がほしい。

私は拳を強く握った。

次は――私たちの番だから。
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