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第三章 流れ弾
流れ弾Ⅲ
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――志野――
壊れたドームの壁を越えた瞬間、思わず息を呑んだ。
中は――赤。
床も、壁も、天井も、すべてが赤に染められていた。
そこは戦場ではなく、まるで歪んだ宮殿の応接室のようだった。
長いテーブルの上には、豪華な造花と無数のキャンドル。
揺れる炎が赤い壁に反射して、不気味な影を落としている。
天井には大きなシャンデリアが吊され、光を浴びて鈍く輝いていた。
そして壁面。
そこには、油絵が掛けられていた。
血まみれの櫻小隊。
苦悶の表情で倒れる私たち。
誰かの趣味の悪い想像を、そのまま描き写したような絵。
「……気持ち悪い」
思わず、小さく呟いた。
床には、赤いバラの花びらが敷き詰められている。
踏み出すたびに、柔らかく音を立てて散る。
その奥――
テーブルを囲むように、赤いドレスをまとった人型のヘイトたちが座っていた。
全員、顔は白いマスクで覆われている。
表情は分からないのに、こちらを見ている気配だけは、はっきりと伝わってきた。
そして、さらに奥。
玉座のような椅子に座る、一体の人型ヘイト。
あれが……マスターコンピューター。
「……構えて」
私の声に、全員が即座に反応した。
前列に、私と凛、薫。
後列に、紫鈴、茉莉奈、美園、華、美和子。
八人で組む、最後のフォーメーション。
一瞬、静寂が落ちた。
キャンドルの炎が揺れ、花びらが舞う。
お互いに、動かない。
「……いくよ」
私がそう言った瞬間、空気が弾けた。
激しい格闘戦。
刃と拳が交錯し、バラの花びらが嵐のように舞い上がる。
一体、また一体と、敵を無力化していく。
けれど、こちらも無傷ではいられなかった。
「っ……!」
紫鈴が肩を押さえて後退する。
茉莉奈は脚を切られ、華も腹部に浅くない傷を負った。
「下がって!」
美園と美和子が前に出る。
二人が作る血路に、希望がつながる。
「今よ!」
その隙を突いて、凛と薫が一気にボスへ肉薄する。
凛は年齢可変で大型化した大剣で胴体を横なぎにする。
薫は承認欲求で召喚した“ぴっかーん“とコンビネーションで
連撃する。
確実に、芯を捉えている――はずだった。
けれど。
強烈な反撃。
二人とも、吹き飛ばされた。
「薫! 凛!」
床に転がる二人を見て、胸が締めつけられる。
しかし、彼女たちが作ってくれた隙を無駄にはできない。
私は、距離を一気に詰める。
バラの花びらを踏みしめて、一直線に。
「……Wait a sec !」
自分でも、驚くほど冷静な声だった。
懐から拳銃を取り出す。
照準を合わせる時間は、ほんの一瞬。
引き金を引く。
乾いた音。
弾丸は、正確に――ボスの眉間を撃ち抜く。
人型ヘイトは、微動だにせず、そのまま崩れ落ちる。
静寂。
戦いは、終わった。
振り返ると、床一面にバラの花びら。
その中に倒れる櫻小隊の仲間たちと、動きを止めたヘイト。
壮絶な戦いの、残骸。
私は、近くに倒れているヘイトのマスクに手を伸ばす。
ゆっくりと、剥がす。
「……え……」
そこにあったのは――
私と、そっくりな顔。
息が、止まる。
他のマスクも剥がされていく。
どれも、どこかで見た顔。
櫻小隊の誰かに似ている。
「……何、これ……」
ヘイトは、何を作ろうとしていたのか。
何を、真似ようとしていたのか。
答えは、どこにもなかった。
それでも。
私たちは、立ち上がる。
満身創痍で、支え合いながら。
この場所を、後にする。
四国エリア――全域開放。
胸の奥に、重たい疑問を残したまま。
壊れたドームの壁を越えた瞬間、思わず息を呑んだ。
中は――赤。
床も、壁も、天井も、すべてが赤に染められていた。
そこは戦場ではなく、まるで歪んだ宮殿の応接室のようだった。
長いテーブルの上には、豪華な造花と無数のキャンドル。
揺れる炎が赤い壁に反射して、不気味な影を落としている。
天井には大きなシャンデリアが吊され、光を浴びて鈍く輝いていた。
そして壁面。
そこには、油絵が掛けられていた。
血まみれの櫻小隊。
苦悶の表情で倒れる私たち。
誰かの趣味の悪い想像を、そのまま描き写したような絵。
「……気持ち悪い」
思わず、小さく呟いた。
床には、赤いバラの花びらが敷き詰められている。
踏み出すたびに、柔らかく音を立てて散る。
その奥――
テーブルを囲むように、赤いドレスをまとった人型のヘイトたちが座っていた。
全員、顔は白いマスクで覆われている。
表情は分からないのに、こちらを見ている気配だけは、はっきりと伝わってきた。
そして、さらに奥。
玉座のような椅子に座る、一体の人型ヘイト。
あれが……マスターコンピューター。
「……構えて」
私の声に、全員が即座に反応した。
前列に、私と凛、薫。
後列に、紫鈴、茉莉奈、美園、華、美和子。
八人で組む、最後のフォーメーション。
一瞬、静寂が落ちた。
キャンドルの炎が揺れ、花びらが舞う。
お互いに、動かない。
「……いくよ」
私がそう言った瞬間、空気が弾けた。
激しい格闘戦。
刃と拳が交錯し、バラの花びらが嵐のように舞い上がる。
一体、また一体と、敵を無力化していく。
けれど、こちらも無傷ではいられなかった。
「っ……!」
紫鈴が肩を押さえて後退する。
茉莉奈は脚を切られ、華も腹部に浅くない傷を負った。
「下がって!」
美園と美和子が前に出る。
二人が作る血路に、希望がつながる。
「今よ!」
その隙を突いて、凛と薫が一気にボスへ肉薄する。
凛は年齢可変で大型化した大剣で胴体を横なぎにする。
薫は承認欲求で召喚した“ぴっかーん“とコンビネーションで
連撃する。
確実に、芯を捉えている――はずだった。
けれど。
強烈な反撃。
二人とも、吹き飛ばされた。
「薫! 凛!」
床に転がる二人を見て、胸が締めつけられる。
しかし、彼女たちが作ってくれた隙を無駄にはできない。
私は、距離を一気に詰める。
バラの花びらを踏みしめて、一直線に。
「……Wait a sec !」
自分でも、驚くほど冷静な声だった。
懐から拳銃を取り出す。
照準を合わせる時間は、ほんの一瞬。
引き金を引く。
乾いた音。
弾丸は、正確に――ボスの眉間を撃ち抜く。
人型ヘイトは、微動だにせず、そのまま崩れ落ちる。
静寂。
戦いは、終わった。
振り返ると、床一面にバラの花びら。
その中に倒れる櫻小隊の仲間たちと、動きを止めたヘイト。
壮絶な戦いの、残骸。
私は、近くに倒れているヘイトのマスクに手を伸ばす。
ゆっくりと、剥がす。
「……え……」
そこにあったのは――
私と、そっくりな顔。
息が、止まる。
他のマスクも剥がされていく。
どれも、どこかで見た顔。
櫻小隊の誰かに似ている。
「……何、これ……」
ヘイトは、何を作ろうとしていたのか。
何を、真似ようとしていたのか。
答えは、どこにもなかった。
それでも。
私たちは、立ち上がる。
満身創痍で、支え合いながら。
この場所を、後にする。
四国エリア――全域開放。
胸の奥に、重たい疑問を残したまま。
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