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プロローグ・その2
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ふわふわとした意識の中目を開けると、そこには絶世の美少年が彼女の顔を覗き込んでいた。
髪も肌も服も白いが、瞳だけは瑠璃色ではないかと推測する。
「ああ……綺麗、ですね……」
思わず美少年の頬に手を伸ばそう――として、手が止まった。止まった手をそのまま自身の喉に当てる。
「……? 話せる? ……あ、のど、が……治ってる! でも、どうして……?」
「ふむ。その説明をするのがわしの仕事だ」
美少年が口を開いた。その口調がやけに古めかしいのはご愛嬌、という奴かもしれない。
「説明を、頂けるのですか?」
「うむ、無論だ。して、わしはこのまま進めてもよいが、お主はどうする?」
「このまま、ですか?」
そう言えば、自分は今どんな体勢になっているのだろうか? 美少年に見下ろされている、この体勢は――まさかの膝枕!? しかも、自分はされている側。だから確認を取ったのだろう。
「起きます! ぜひ起きさせてください!」
「む、そうか? わしとしてはこのままがよいのだが……お主がそう言うのなら致し方あるまい」
彼女は立ち上がると姿勢を正し、深々と腰を折った。
「失礼を致しました。死んだこの身に名乗る名はございません。ご容赦くださいませ」
「堅いのぉ。もっと楽にせい。ここにはもう、お主を縛るものは何もないのだからな」
今までの話から察すると、自分が死んだということに間違いはなさそうだ。
そして目の前にいる、十歳くらいにしか見えないこの美少年は――おそらくは神、だろう。
だとすれば、自分がいるこの空間は――?
「ふむ、色々と聞きたいことがあるであろう。さて、何から説明するか……」
「では、先に確認させて頂けますか?」
「うむ、よかろう」
一応の了承を得た彼女は、一つ息を吐き、今自分が確認したいことから順に質問をする。
「わたくしは死んだ、合っていますか?」
「うむ、そうだな。お主は間違いなく死んでおる」
あの状態で生き残れるとは思っていなかった。この事実に悲観したりはしない。では、次に――
「あなたは神様ですか?」
「うむ、わしは神である」
「……やはり、そうですか」
死人の前に神が現れる。それはつまり――
「私は断罪されるのですね?」
確信を込めた彼女の確認に、神と名乗った美少年はてんぱった。
「な、ちょ、ちょっと待つのだ! わしはそんなこと言っておらんではないか!」
「そうなのですか? わたくしは、てっきりそうなのだと思っておりました」
素っ頓狂な声を上げる神に、彼女は首を傾げる。てっきりそうだと思って覚悟を決めていたのに。
「はぁぁぁ。やはりわしからの説明がいるな。ここは地球と、わしが管理しておる世界の狭間。お主の魂をここにつれてきたのは、転生させる為である」
「はぁ、転生……ですか? わたくしが?」
「信じておらんようだな。しかしこれは決定事項だ。覆ることはない。よいな?」
「お待ちください! 何かの間違いでは? あなた様はご存じないのかもしれませんが、わたくしは暗殺者ですよ? 地獄に堕ちて然るべき罰を与えられるのでは?」
ひょっとしたらこの神は、自分が暗雑者であることを知らないのでは? と思った彼女は、神に一言断りを入れる。自分は暗殺者であると。
「うむ、知っておるぞ。ちなみに逃がし屋であったこともな。お主の最期は見事なものであった」
「あ、ありがとうございます……。ですが、なぜです? わたくしは人殺しです。これは変えようのない事実。それなのに転生など……!」
地獄に落ちる覚悟はいつだってできていた。次の人生が与えられる資格などあるはずがない。
「確かにお主は人殺しだ。それは認めよう。しかし、お主が殺した対象の大半が、魂が黒く汚れてしまっておった者達であったのだ。次にお主が逃がした者達だが、この者達の魂は白く綺麗な状態であった。多くの者達を救ったのだぞ? お主の魂は白に近いグレー。充分に転生する資格はある。先ほども言うたが、これは決定事項だ」
「わたくしの魂は……黒く汚れているのではないのですか?」
「うむ。真っ白とは言わんが、限りなく白に近いな。このような魂を地獄に落とすことなど、できようはずもない」
てっきり自分の魂は黒く汚れてしまっているだろうと思っていた彼女にとって、神の言葉は純粋に嬉しかった。自分が命を賭けてやっていたことが無駄じゃなかったと言われたような気もして。
転生の話を受けてみようか、いや、すでに決定事項で覆ることはないとか言っていたな。
髪も肌も服も白いが、瞳だけは瑠璃色ではないかと推測する。
「ああ……綺麗、ですね……」
思わず美少年の頬に手を伸ばそう――として、手が止まった。止まった手をそのまま自身の喉に当てる。
「……? 話せる? ……あ、のど、が……治ってる! でも、どうして……?」
「ふむ。その説明をするのがわしの仕事だ」
美少年が口を開いた。その口調がやけに古めかしいのはご愛嬌、という奴かもしれない。
「説明を、頂けるのですか?」
「うむ、無論だ。して、わしはこのまま進めてもよいが、お主はどうする?」
「このまま、ですか?」
そう言えば、自分は今どんな体勢になっているのだろうか? 美少年に見下ろされている、この体勢は――まさかの膝枕!? しかも、自分はされている側。だから確認を取ったのだろう。
「起きます! ぜひ起きさせてください!」
「む、そうか? わしとしてはこのままがよいのだが……お主がそう言うのなら致し方あるまい」
彼女は立ち上がると姿勢を正し、深々と腰を折った。
「失礼を致しました。死んだこの身に名乗る名はございません。ご容赦くださいませ」
「堅いのぉ。もっと楽にせい。ここにはもう、お主を縛るものは何もないのだからな」
今までの話から察すると、自分が死んだということに間違いはなさそうだ。
そして目の前にいる、十歳くらいにしか見えないこの美少年は――おそらくは神、だろう。
だとすれば、自分がいるこの空間は――?
「ふむ、色々と聞きたいことがあるであろう。さて、何から説明するか……」
「では、先に確認させて頂けますか?」
「うむ、よかろう」
一応の了承を得た彼女は、一つ息を吐き、今自分が確認したいことから順に質問をする。
「わたくしは死んだ、合っていますか?」
「うむ、そうだな。お主は間違いなく死んでおる」
あの状態で生き残れるとは思っていなかった。この事実に悲観したりはしない。では、次に――
「あなたは神様ですか?」
「うむ、わしは神である」
「……やはり、そうですか」
死人の前に神が現れる。それはつまり――
「私は断罪されるのですね?」
確信を込めた彼女の確認に、神と名乗った美少年はてんぱった。
「な、ちょ、ちょっと待つのだ! わしはそんなこと言っておらんではないか!」
「そうなのですか? わたくしは、てっきりそうなのだと思っておりました」
素っ頓狂な声を上げる神に、彼女は首を傾げる。てっきりそうだと思って覚悟を決めていたのに。
「はぁぁぁ。やはりわしからの説明がいるな。ここは地球と、わしが管理しておる世界の狭間。お主の魂をここにつれてきたのは、転生させる為である」
「はぁ、転生……ですか? わたくしが?」
「信じておらんようだな。しかしこれは決定事項だ。覆ることはない。よいな?」
「お待ちください! 何かの間違いでは? あなた様はご存じないのかもしれませんが、わたくしは暗殺者ですよ? 地獄に堕ちて然るべき罰を与えられるのでは?」
ひょっとしたらこの神は、自分が暗雑者であることを知らないのでは? と思った彼女は、神に一言断りを入れる。自分は暗殺者であると。
「うむ、知っておるぞ。ちなみに逃がし屋であったこともな。お主の最期は見事なものであった」
「あ、ありがとうございます……。ですが、なぜです? わたくしは人殺しです。これは変えようのない事実。それなのに転生など……!」
地獄に落ちる覚悟はいつだってできていた。次の人生が与えられる資格などあるはずがない。
「確かにお主は人殺しだ。それは認めよう。しかし、お主が殺した対象の大半が、魂が黒く汚れてしまっておった者達であったのだ。次にお主が逃がした者達だが、この者達の魂は白く綺麗な状態であった。多くの者達を救ったのだぞ? お主の魂は白に近いグレー。充分に転生する資格はある。先ほども言うたが、これは決定事項だ」
「わたくしの魂は……黒く汚れているのではないのですか?」
「うむ。真っ白とは言わんが、限りなく白に近いな。このような魂を地獄に落とすことなど、できようはずもない」
てっきり自分の魂は黒く汚れてしまっているだろうと思っていた彼女にとって、神の言葉は純粋に嬉しかった。自分が命を賭けてやっていたことが無駄じゃなかったと言われたような気もして。
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