9 / 35
コトウ
戯言(ざれごと)
しおりを挟む
闘場から担架が出てきた。
「怪我人か?」
「韋駄天の扱いを間違えて、叩きつけられて気絶してます」
「……運がいいな。首の骨、折れなくてよ」
『韋駄天』はパワードスーツの技術が応用された防具をかねた推進機だ。着用者の体を浮かし、高速で動かす。
それだけに姿勢制御を誤れば、その推進力で体が叩きつけられることになる。
『サザンクロス』にとっては標準装備だ。
大半のものは自分に合わせてリミッターを設定して、扱える範囲内に速度を抑える。
スワロウが闘場のロッカー室に入ると、リッパーが韋駄天をいじっていた。
「どうした?」
「限界速度、ちょっと上げようと思ってさ」
「気をつけろよ。さっきも怪我人がいたぜ」
猫じみたアンバーの瞳が見上げた。
「スワローのせいじゃん?」
「ああ? なんだそりゃ?」
「戦のたんび、あんな手際みせられりゃあ、真似するやつもでてくるさぁ」
スワロウは韋駄天にリミッターをつけていない。出力全開の韋駄天を扱えるのは、『サザンクロス』ひろしといえど、二人しかいない。
スワロウはいつも真っ先に戦場に飛び込み、鮮やかに舞うように相手を切り裂く。その身のこなしがあまりにも鮮やかなので、韋駄天の扱いの難しさを失念させてしまうのだ。
「くだらねえ、身の程を知らねえやつは、早死にするぜ」
スワロウは髪を束ねなおした。
「練習すんの? 今日はやめとけばぁ?」
「体がなまる」
「椅子に座れないぐらい、痛いんしょ?」
スワロウはリッパーを睨みつけた。
リッパーはにやにや笑ってる。
「経験者の言うことは、聞いとくもんだよ」
「け……けいけんしゃあ……」
思わずスワロウは鳥肌を立てた。
「この顔だよ? 経験ないと思ってた? 僕ちゃんにしてみれば、スワローが経験なかったって方が驚きだもんね」
「何が驚きなんだよ」
「そんだけキレーな顔してるからさ」
「〰〰〰〰」
顔だけ見れば、愛くるしいとさえいえる童顔のリッパーだった。おどけて、合わせた両手を頬に寄せて小首をかしげて見せる。
「力のない餓鬼が体貢いで守ってもらうの、よくあるじゃん。僕ちゃん、昔、か弱かったの~」
(口塞いだろうか、この野朗)
「あ、怒ってる。誰にも言わないからさ、安心していいよ~。僕ちゃん仲間思い♡」
「言うなよ、絶対に」
「誓うよ。僕ちゃん、口は堅いんだ」
ロッカー室を出て行こうとするスワロウに、リッパーは声をかけた。
「慣れるコツ、教えてあげようか~?」
「慣れたくなんぞ、無いわ!」
「怪我人か?」
「韋駄天の扱いを間違えて、叩きつけられて気絶してます」
「……運がいいな。首の骨、折れなくてよ」
『韋駄天』はパワードスーツの技術が応用された防具をかねた推進機だ。着用者の体を浮かし、高速で動かす。
それだけに姿勢制御を誤れば、その推進力で体が叩きつけられることになる。
『サザンクロス』にとっては標準装備だ。
大半のものは自分に合わせてリミッターを設定して、扱える範囲内に速度を抑える。
スワロウが闘場のロッカー室に入ると、リッパーが韋駄天をいじっていた。
「どうした?」
「限界速度、ちょっと上げようと思ってさ」
「気をつけろよ。さっきも怪我人がいたぜ」
猫じみたアンバーの瞳が見上げた。
「スワローのせいじゃん?」
「ああ? なんだそりゃ?」
「戦のたんび、あんな手際みせられりゃあ、真似するやつもでてくるさぁ」
スワロウは韋駄天にリミッターをつけていない。出力全開の韋駄天を扱えるのは、『サザンクロス』ひろしといえど、二人しかいない。
スワロウはいつも真っ先に戦場に飛び込み、鮮やかに舞うように相手を切り裂く。その身のこなしがあまりにも鮮やかなので、韋駄天の扱いの難しさを失念させてしまうのだ。
「くだらねえ、身の程を知らねえやつは、早死にするぜ」
スワロウは髪を束ねなおした。
「練習すんの? 今日はやめとけばぁ?」
「体がなまる」
「椅子に座れないぐらい、痛いんしょ?」
スワロウはリッパーを睨みつけた。
リッパーはにやにや笑ってる。
「経験者の言うことは、聞いとくもんだよ」
「け……けいけんしゃあ……」
思わずスワロウは鳥肌を立てた。
「この顔だよ? 経験ないと思ってた? 僕ちゃんにしてみれば、スワローが経験なかったって方が驚きだもんね」
「何が驚きなんだよ」
「そんだけキレーな顔してるからさ」
「〰〰〰〰」
顔だけ見れば、愛くるしいとさえいえる童顔のリッパーだった。おどけて、合わせた両手を頬に寄せて小首をかしげて見せる。
「力のない餓鬼が体貢いで守ってもらうの、よくあるじゃん。僕ちゃん、昔、か弱かったの~」
(口塞いだろうか、この野朗)
「あ、怒ってる。誰にも言わないからさ、安心していいよ~。僕ちゃん仲間思い♡」
「言うなよ、絶対に」
「誓うよ。僕ちゃん、口は堅いんだ」
ロッカー室を出て行こうとするスワロウに、リッパーは声をかけた。
「慣れるコツ、教えてあげようか~?」
「慣れたくなんぞ、無いわ!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる