終わり

千夜 すう

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第一章

プチ同窓会

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どこにでもあるチェーン店の居酒屋に入った。
店内は客の喋る声や店員さんの活気づいた声で騒がしい。

忙しなく動いてる店員さんに声を掛けるのは申し訳ないけど、代表予約した人の名前を告げて、テーブルに案内してもらう。


私以外が揃っていて、どうやら私が最後みたいだ。

自分が最後だったから、待たせたことに謝り、他の人も少し前の時間に着いたばかりで、料理もこれから頼むから気にするなと言葉を貰う。


料理と飲み物を適当に選んで注文をとった。



「久しぶり!」

「久しぶりだな。そういえば、潤から聞いたよ。婚約おめでとう」

潤と仲良かった熊井が私に笑顔で告げた。

「本当!おめでとう」

梨花が相次いぐ。

「ありがとう」

物凄く、気まづく感じる。
初っ端から、それを辞めたと言うのは勇気がいる。

「最近、みんなはどうなのよ」

愛実がフォローしてくれる。


初っ端からお酒が入ってない状態で話すのはハードルが高い。

取り敢えずは私の話題から逸らしつつ、みんなの近況を聞く。

私達は学生の時の面影は残るけども、働いて社会人をやるようになったから、あの時よりも落ち着いて責任感のある大人っぽい顔つきをするようになった。

働き出した頃とも違う。
余裕さもある。

女性陣は、学生の時に似合わなかった大人の化粧や服装が似合うようになった。

届いたお酒や料理を飲食しながら話を盛り上げる。

会えない日々の話題は豊富だった。

数年、社会人歴を経験して、後輩も入ってくる様になって、指導をされる側から指導をする側になって、凄く気を使う話。

会社に対しての不満、近所トラブルの話などの最近の出来事の話だったり、学生時代の過去の話を振り返ったりした。

学生の時は、何も考えずに楽しく生きてきた。
将来に夢を持ったり、不安がったりした時期もあった。
あの時は後先考えずにバカをした。

落ち着いた大人になったけど、懐かしい話で、はしゃいだりするノリは学生の頃が蘇る様に変わらなかった。


一通りの会話が終わり、暴露話しようぜと話題に移行した。 





「俺、実は木佐の事が好きだったんだ」
 
熊井の暴露話に驚いてしまった。

潤の親友の熊井が私を好きになると思ってもみなかった。

潤と喧嘩して困った時は、仲直りする為に頑張ってくれたりと、私達の仲を応援してる存在だったから気が付かなかった。

他の人は何となくと気づいてた事を次々と声が聞こえた。

「当時から潤と付き合ってたから最初から失恋が決定してた。今ではもう、良い思い出だったよ。」
 
ニカッと爽やかに良い笑顔で話された。


「私は全然、気づかなかった」

「気づいてないのはあんたと潤だけだったよ。本当に鈍いカップル」

呆れたように梨花に言われた。

潤も気づいてなかったのかと知ったけども何の感情も動かない。

ただ、カップルと言われることに違和感と抵抗を覚える。

ある程度、体に酒も入った状態と、この流れのままに聞いてしまいたい気持ちになり乗っかる事にした。

「あのさ。急なんだけど、聞きたいことがあるんだけどいい?」

私の真剣な声が出た。

緊張して顔が強ばる。


「昔、潤が浮気してるのを知ってる?」

ピシッと空気が固まったのを感じる。
誰かが動いたら負けのゲームかと思う位に誰も動かない。
この反応はどっち?
知ってるの?
知らないの?

まず、現在進行中の話ではなくて過去の話として情報を聞き出す。


「浮気って...」

熊井が最初に呟いた。

「昔、してたみたいなの。知ってた?」

「俺はそんな事。全く知らなかった」

 「私もよ。」

動揺を隠しきれないように、信じられないと熊井が言った。
続けて、愛実も知らなかったと言った。

「そうなんだ」

他の人に視線を向けた。



「何でそう思ったの?」


梨花は緊張しながら聞いてきた。

「知ったからよ」

「それって、大学生の時の話かな?」

梨花は知っていたのかと驚いた。

「そう。知ってる?」


「確信を持てなかったけど、やっぱりあの時の人は潤なのかしら」

震える声で梨花はまるで、懺悔するかのように言った。


「大学生の時に当時の彼氏とホテルの駐車場で潤に似た人と知らない人が車で走り去るのを見たの。潤かもしれないと思ったけど、確信が持てなくて...」



「まだ、潤だと決まったわけじゃないだろう?ほら、似た人かもしれないだろう?」

他の人がフォローをする。

「当時の私の彼氏が4股くらいしてたの知ってるでしょう?」

梨花の当時の彼氏は最悪だった。

4股位してたのを知った梨花は、派手に喧嘩をして別れた話を本人から物凄く愚痴られてたのを覚えてる。

「別れ話をした時に、男の浮気くらい普通だって言ってたから、4股するあなたと違って、優香達みたいにずっと想いあってる2人が理想なのと言った時に宮村も浮気をしてるって、何回もホテルで遭遇してるって言ってた。あの時、私が見た人は潤だったってのも言ってて....。当時は、別れ話の腹いせに嘘をついてると思ったんだけど...。まさか本当の話だと思わなかったわ。黙っててごめんなさい」


「教えてくれてありがとう。ごめんね。辛い事を思い出させちゃって」

「昔の話だろう?今は、潤のやつ。木佐にプロポーズしたんだ。若気の至りだったのだろう。木佐は昔の話が許せないか?」

昔の話ならば、腸煮えくり返っても許せたかもしれない。

でも、現在進行形の話である。

「昔の話だものね。私の事が好きなのよね」

「そうだ。昔の話だ。今だったら、許されないことだが、学生の時の若気の至りだ。今はあいつはお前にベタ惚れだ。安心しろ」


潤を庇う人達。

昔の浮気の事を知ってる人の情報が得られた。

あの最低な元彼さんも何かを知ってるかもしれない。

「そうよね。ごめんね。急にこんな事を言って...。これから結婚するし、知らない振りをしようと思うの。絶対にみんなも潤に言わないでね。私、この件は墓にまで閉まっておくつもりよ。」

ここまで言えば、誰かが潤にバラしづらくなるだろう。

悲しいけれども、バラした人は秘密を守れない人だから、縁を切ってしまおう。

私は、そうならないことを祈ろう。


こうして、憂鬱な同窓会は終わった。

帰りに癒されたいと思って、残りのクッキーを食べた。

やっぱり、美味しい。

私は今日は頑張ったと自分を褒めながら、美味しいクッキーに癒されながらの帰り道、忘れない内にと急いで岡崎さんに同窓会の出来事をメールで報告した。

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