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社会人
第11話
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働き始めて数年が経ったある日、私の人生に大きな転機が訪れた。
今まで、勉強やバイトばかりで青春の代名詞の恋愛を経験した事が無かった私に、恋愛フラグがやってきた。
同じ会社の同期で、こんな私にも絶妙な距離感で、フレンドリーに話しかけてくれるって仲だったのに、大きな仕事が終わった後に誘われてしまった。
「あの、急でこんな事を言うのは変だけど、ごめんね。えっと...良かったら休日に一緒にご飯を食べに行きませんか?」
緊張した様子が隠しきれてなかった。
人生で誘われた経験が無くて、どうしようと悩んだけど、これも人生の経験だって思って承諾をする。
「はい...あの。大丈夫です」
「えっ。あっ、そうだよね」
あまりにも硬い声色で返した物だから、否定の方だと受け取られたのを知るのは、残念と申し訳ないって感じの声を聞いたからだ。
「えっと...あの...その...ご飯!あの...休日の予定、空いてます。」
締まらない返事なのに、嬉しいと滲み出る表情を浮かべていた。
「ありがとう。嬉しい。予定を合わせたいからプライベートの連絡先を聞いてもいい?」
「はい」
仕事用で渡される携帯以外での連絡先交換は、私にとっては貴重な経験である。
若干、緊張をしながらも無事に連絡を交換出来た事に嬉しいと思った。
「へーぇ、良かったじゃない」
いつもの隣人との交流で、今回あった出来事を話した。
「私、なんで誘われたんだろう?」
「そりぁ...ねぇ」
ニヤニヤと私を見る
「期待していいやつ?」
「春が来たね。良かったじゃん」
「でも、勘違いだったらどうしよ」
「今更、ここに来て?」
「私は、私の従姉妹みたいに顔が整ってる訳じゃないのに」
「あんたの従姉妹、見たことないからどんだけの美人か知らないけど、あんただって十分に可愛いわよ」
この世に生まれて、恋愛の意味で好かれたことがなかった私は、その言葉を素直には受け取れなかった。
「デートの日に、待ち合わせに行く前に家に来て!お姉さんが、魔法をかけてあげる」
「デート!?!?」
言葉に出さられると気恥しいって感情が湧き出る。
「デートでしょ。男と女が2人きりで休日に出かけるのよ。デート以外に、なんて言うのよ」
「遊び...とか?」
私の発言に、心底ドン引きした顔を晒された。
「ないわ」
デート...。人生初のデート。
何をするの?
いや、でも、ご飯を食べるってだけよね。
デートってより、友達と遊びに行く的な?
いや、友達って関係でもないし...。
思考がグルグルと纏まらずに、とっちらかっていた私に、突如「パーン」目の前で手を叩いた音にびっくりをする。
「戻っこーい」
「ごめん」
「誘った人って、どういう人」
「んー。話しやすい」
「あんたが?」
「うん」
「ふーん。どういう風に話しやすいの?」
「凄く、頭がいい人っていうか...。空気を読むのが上手くて、私が嫌だなって思ったら切り替えてくれるし、私がもうちょっと話したいな...でも、上手く話せないなって時は、静かに待ってくれるんだ」
「へーぇ。誘われた時は、嫌だったの?」
「嫌じゃない...。」
なぜなら、ある出来事がキッカケで気になってる相手だからだ。
私を誘った理由は分からない、半分期待して半分は勘違いだろうと言い聞かしてる。
それでも、やっぱり嫌だとは思わなかった。
連絡先を交換した時は、顔に出さないようにしてたけど、物凄く嬉しかった。
隣人は、思考の世界から抜け出してない所を優しい目で見つめていた。
今まで、勉強やバイトばかりで青春の代名詞の恋愛を経験した事が無かった私に、恋愛フラグがやってきた。
同じ会社の同期で、こんな私にも絶妙な距離感で、フレンドリーに話しかけてくれるって仲だったのに、大きな仕事が終わった後に誘われてしまった。
「あの、急でこんな事を言うのは変だけど、ごめんね。えっと...良かったら休日に一緒にご飯を食べに行きませんか?」
緊張した様子が隠しきれてなかった。
人生で誘われた経験が無くて、どうしようと悩んだけど、これも人生の経験だって思って承諾をする。
「はい...あの。大丈夫です」
「えっ。あっ、そうだよね」
あまりにも硬い声色で返した物だから、否定の方だと受け取られたのを知るのは、残念と申し訳ないって感じの声を聞いたからだ。
「えっと...あの...その...ご飯!あの...休日の予定、空いてます。」
締まらない返事なのに、嬉しいと滲み出る表情を浮かべていた。
「ありがとう。嬉しい。予定を合わせたいからプライベートの連絡先を聞いてもいい?」
「はい」
仕事用で渡される携帯以外での連絡先交換は、私にとっては貴重な経験である。
若干、緊張をしながらも無事に連絡を交換出来た事に嬉しいと思った。
「へーぇ、良かったじゃない」
いつもの隣人との交流で、今回あった出来事を話した。
「私、なんで誘われたんだろう?」
「そりぁ...ねぇ」
ニヤニヤと私を見る
「期待していいやつ?」
「春が来たね。良かったじゃん」
「でも、勘違いだったらどうしよ」
「今更、ここに来て?」
「私は、私の従姉妹みたいに顔が整ってる訳じゃないのに」
「あんたの従姉妹、見たことないからどんだけの美人か知らないけど、あんただって十分に可愛いわよ」
この世に生まれて、恋愛の意味で好かれたことがなかった私は、その言葉を素直には受け取れなかった。
「デートの日に、待ち合わせに行く前に家に来て!お姉さんが、魔法をかけてあげる」
「デート!?!?」
言葉に出さられると気恥しいって感情が湧き出る。
「デートでしょ。男と女が2人きりで休日に出かけるのよ。デート以外に、なんて言うのよ」
「遊び...とか?」
私の発言に、心底ドン引きした顔を晒された。
「ないわ」
デート...。人生初のデート。
何をするの?
いや、でも、ご飯を食べるってだけよね。
デートってより、友達と遊びに行く的な?
いや、友達って関係でもないし...。
思考がグルグルと纏まらずに、とっちらかっていた私に、突如「パーン」目の前で手を叩いた音にびっくりをする。
「戻っこーい」
「ごめん」
「誘った人って、どういう人」
「んー。話しやすい」
「あんたが?」
「うん」
「ふーん。どういう風に話しやすいの?」
「凄く、頭がいい人っていうか...。空気を読むのが上手くて、私が嫌だなって思ったら切り替えてくれるし、私がもうちょっと話したいな...でも、上手く話せないなって時は、静かに待ってくれるんだ」
「へーぇ。誘われた時は、嫌だったの?」
「嫌じゃない...。」
なぜなら、ある出来事がキッカケで気になってる相手だからだ。
私を誘った理由は分からない、半分期待して半分は勘違いだろうと言い聞かしてる。
それでも、やっぱり嫌だとは思わなかった。
連絡先を交換した時は、顔に出さないようにしてたけど、物凄く嬉しかった。
隣人は、思考の世界から抜け出してない所を優しい目で見つめていた。
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