異世界召喚されたけど必要ないと言われて魔王軍の領地に落とされた私は『魔物使い』の適性持ちですよ?

はむ

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それからというもの、スライムの「いむ」が仲間になってくれたお陰で随分と暮らしが豊かになった。

暮らしと言っても野宿だけど。

いむはどうやら綺麗な水を吐き出せるらしく、顔を洗ったりするのに使えるみたいだ。

最初は抵抗あったけど、慣れって怖いな。



そして、いむのもう1つの特徴は、いむに触れたものを酸で溶かすこと!

そのせいで肩に乗せたり、両手に乗せたいむに頬っぺすりすりが出来ないのは悲しいけど…


その特性を狩猟で大いに発揮してくれる。



『いむ!そっちに兎が行ったよ!』

『わかった いむ つかまえる』



私の使い魔になってからは念話がスムーズにできるようになっていった。



そして…




「キャウ!!」



木の枝の上でスタンバイしていたいむが、兎に覆い被さるように落下する。

いむに触れた兎は体が酸で溶かされたように皮膚がただれ、しばらくすると動かなくなる。


これが、私といむの狩猟だ。




「やったね、いむ!これで兎3羽目だ。今日は大量だね!」

『いむ ご主人 役に たった?』

「もちろんだよぉ!いむは世界一可愛くて賢い!最強スライムさんなんだからぁ!」



すっかりいむに愛着が湧いた私は、定期的に親バカになる。

これがペットを飼う者の定めよ…




食料を調達した後は、早速拠点に戻って火起こしだ。

拠点と言っても、私が雑草を刈ったあの空間だ。

近くに落ちていた火打石と普通の石をカチカチと打ち合わせて、乾燥させた雑草に火をつける。

近くに落ちている木の枝を何本かくべたら…

簡易焚き火の完成だ!



早速兎を捌いて肉を木の枝に刺し、焚き火の周りに立てる。

最初は動物を捌くことに抵抗があったけど、生きるためには慣れるしかない。




兎の肉が焼けるまで木の幹にもたれ掛かり、ぼーっとしていると…





ガサガサッ





草むらから物音が聞こえた。

敵か!

第1村人か!?

どっちみち敵対するに決まってる!!


いむに呼びかけて、音がした草むらからなるべく距離を取り、様子を伺っていると…




「うっ、ぐ、あ…」




草むらから体躯のいい男が這い出してきた。

どうやら怪我をしているようだ。

その男の額には短い1本角が生えており、肌はグレーに近い色をしていた。



『ご主人 これ ハイオーガ』




ハイオーガって言うのか!

いむは物知りだなぁ!はっはぁ!




…ハイオーガ、名前からして危なそうじゃない…?




「飯、肉ぅ…」




どうやらハイオーガさんは肉をご所望のようだ。

ここはひとつ、恩を売っておくか。

私は焚き火から1本の肉を取り、ハイオーガの口元へ差し出した。
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