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主菜 ただいま営業中!
第27話 夢見る小僧の現実と葛藤
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おれはラウル・アルバッシュ、二十歳。
このニークヴィル工房で五年間修行を続けてる鍛冶職人見習いだ。
そろそろ見習いを卒業できそうなのはいいとして、おれは今猛烈に不満を抱えてる。
なんでかっつうと、親方や兄弟子たちがとんでもねえヘタレだからだ!
だってよ!
せっかくよ!
町がまともな方向に動き出したんだぜ!?
そりゃあ商工会がのさばってたころはやつらお抱えの荒くれ連中御用達になっちまってたさ、しょうがねえさ、逆らえば商売どころか命が危ういんだからな。
でもよ、もうやつらはいないんだぜ?
いなくなってどれだけ経つ?
ちょっと様子見するのはいいとしても、血塗れ乙女亭の人たちがオツムはまともだってわかったらさっさと真っ当な鍛冶屋になるべきだろうよ!
それなのによ、染みついちまった奴隷根性のせいで積極的に動こうとしねえ!
ラビリンスをエサに冒険者を呼び込むって話を聞いても、
「こんなところのラビリンスなんて、どうせすぐに攻略されてみんないなくなるさ」
とかいって逃げて、おれのやる気をちっとも買ってくれねえ。
おれには夢があるんだ。
さっさとこの町で一人前になって、とっとと出てってもっと健全で栄えた町で冒険者を相手に最高の武具を作る、一流の武具職人になるっていう夢がよ!
町を出たかったのはもちろん商工会の支配が嫌だったからで、町がまともになったんなら出ていく理由はねえ。しかも実はラビリンスまである、めちゃくちゃ条件のいい町だぜ? それも国境の町だぜ?
町に問題がないなら故郷でのし上がりたいじゃねえかよ!
……そんなおれの意気込みを、親方たちは「世間知らずのガキの夢物語」と見なしてまったく相手にしてくれねえんだ。
夢を見てなにが悪いってんだよ!
こんなクソ溜めみてえな町に生まれついたら、絶対ここから出て成功してやるって思うだろうがよ、普通はよ!
おれは絶対、親方たちのような「諦めることを受け入れるのが大人だ」ってツラした大人にはなりたくねえ。
せっかく血塗れ乙女亭の人たちがその手助けをしてくれたんだ、あの人たちは自分の力でこの町を変えたんだ。やればできることもあるって、教えてくれたんだぜ?
だからおれもやりてえ。
ゼルーグさんに見せてもらった、あのいかにも「男の中の男!」って感じの武骨な大剣だって作ってみたいし、リエルさんが着てる綺麗な装飾つきのミスリルの鎧だって作ってみたい。
そんなすげえ武具を作って、その持ち主が名を上げてくれりゃあ、どんなに嬉しいことか!
それが武具職人ってモンだろうがよ!
ただ、最近はちょいとマズい方向に流れが傾いちまってる……
どれもこれもあのゾフォール商会のせいだ。
やつらがきちまったから、なんでも仕入れて見せるとか大声で宣伝しやがるもんだから、そして実際に品揃えがめちゃくちゃいいもんだから、けっこう集まり出した冒険者たちはみんなそっちで装備を買っちまうんだ……
このままじゃマズいんだよ!
下手したらおれたち廃業だぞ!?
いくら町で一番でかい工房だからって、のんびり構えてられるような状況じゃねえんだぞ!?
それなのに親方ときたら、
「潰れるとしたら小さいところからだろ。ウチは最後だな。ワハハ」
なんて呑気に笑いやがるから、危うくハンマーでその禿げ頭をカチ割っちまうところだったぜ……!
そりゃあ親方の考えも正しいかもしれない。
でも、逆もありうるとおれは思ってる。
でかいところが真っ先に潰れれば、それ以下の工房が危機感をもって励み出し、結果的に切磋琢磨して成功しちまうんじゃないかって……
つまりはでかいからこそ生贄にはもってこいってわけだ。
まあ、そうなったらそうなったで別の工房に移ればいいんだけどよ、やっぱり五年も世話になってるからできるだけここでやっていきたいんだよ。
鍋の修理だとか剣の研ぎ直しだってそりゃあ大事な仕事だけどよ、町がでかくなろうとしてるこのときに、そんなんばっかでいつまでやっていけると思ってんだっ!!
……そんなわけで、おれは毎日毎日不満で一杯なんだ。
今日も今日とて衛兵の剣の研ぎやら古くなったフライパンの打ち直しばかりで、おれが求めてる仕事なんてひとつも入りやがらねえ。
「たのもう」
なんて声がしたが、どうせまた研ぎや修理の類だろう。
そう思って客に目を向けると、
「は……?」
おれは自分の目を疑っちまった。
ぼさぼさの黒髪をポニーテイルに結ぶ、髭面のおっさんがそこにいたからだ。
しかも、なんだその服。
ローブ?
しかし、上下で分かれてるな。
見たことない服だ。きっとどっかの民族衣装なんだろう、顔つきもこのへんじゃ見たことないし……
っつうか、髭面のおっさんがポニーテイルってなんだよ! 気持ちわりィよ!
なんて客に向かっていえるはずもなく。
「いらっしゃい、どんなご用で?」
作業台から立ち上がってカウンターに寄ってみると、おっさんの帯びてる剣まで奇妙な形をしてることに気づいて、思わず凝視しちまった。
たぶん片刃の曲刀なんだろうが、長短で二本も差してるなんて珍しい。鞘は木製か? それにこれ、紐で吊ってあるんじゃなくて腰紐に差してるのか。奇妙な民族もいるもんだな。
「小僧、こいつが珍しいか?」
「そりゃあね、初めて見たもんで」
「こいつは刀といって、東の果ての海陽という国の剣だ」
「果てって、どれくらい?」
「言葉どおりだ。大陸から海を渡った先にある島国よ」
「うへっ、大陸よりも東!? そりゃまた随分遠いところから……」
「でだ、ここがこの町一番の鍛冶屋と聞いたが、間違いないか?」
「ああ、まあ……」
ここではっきり「そうだ」と頷けないのが情けない。
確かに規模でも稼ぎでも技術でも一番だが、よそで自慢できるほどかといわれるとまったく自信がない。
「ではアダマンタイトを鍛えられるか?」
「はあっ……?」
今、このおっさん、なんつった……?
「アダマンタイト……?」
「そう、アダマンタイトだ」
おっさんは提げていた包みをカウンターにドンと置いて、中の木箱を開けた。
「…………」
おれは言葉が出なかった。
「どうだ?」
どうだっていわれても。
だって、アダマンタイトなんて、初めて見たんだぜ……
これが本物かどうかもわかりゃしねえよ!
「ちょ、ちょっと待ってくれ、親方を呼んでくる……!」
おれは大急ぎで奥の工房に駆け込んだ。
アダマンタイト。
アダマンタイト!
武具職人なら誰もが鍛えてみたいと夢見る、あのアダマンタイトだ!
魔法銀ミスリル、耐魔鋼アダマンタイト、万能金属オリハルコンの三大特殊金属のひとつ、アダマンタイト!
信じられねえ!
アダマンタイトでの作製依頼がきちまったよ!
「親方あああ~~~ッ!!」
このニークヴィル工房で五年間修行を続けてる鍛冶職人見習いだ。
そろそろ見習いを卒業できそうなのはいいとして、おれは今猛烈に不満を抱えてる。
なんでかっつうと、親方や兄弟子たちがとんでもねえヘタレだからだ!
だってよ!
せっかくよ!
町がまともな方向に動き出したんだぜ!?
そりゃあ商工会がのさばってたころはやつらお抱えの荒くれ連中御用達になっちまってたさ、しょうがねえさ、逆らえば商売どころか命が危ういんだからな。
でもよ、もうやつらはいないんだぜ?
いなくなってどれだけ経つ?
ちょっと様子見するのはいいとしても、血塗れ乙女亭の人たちがオツムはまともだってわかったらさっさと真っ当な鍛冶屋になるべきだろうよ!
それなのによ、染みついちまった奴隷根性のせいで積極的に動こうとしねえ!
ラビリンスをエサに冒険者を呼び込むって話を聞いても、
「こんなところのラビリンスなんて、どうせすぐに攻略されてみんないなくなるさ」
とかいって逃げて、おれのやる気をちっとも買ってくれねえ。
おれには夢があるんだ。
さっさとこの町で一人前になって、とっとと出てってもっと健全で栄えた町で冒険者を相手に最高の武具を作る、一流の武具職人になるっていう夢がよ!
町を出たかったのはもちろん商工会の支配が嫌だったからで、町がまともになったんなら出ていく理由はねえ。しかも実はラビリンスまである、めちゃくちゃ条件のいい町だぜ? それも国境の町だぜ?
町に問題がないなら故郷でのし上がりたいじゃねえかよ!
……そんなおれの意気込みを、親方たちは「世間知らずのガキの夢物語」と見なしてまったく相手にしてくれねえんだ。
夢を見てなにが悪いってんだよ!
こんなクソ溜めみてえな町に生まれついたら、絶対ここから出て成功してやるって思うだろうがよ、普通はよ!
おれは絶対、親方たちのような「諦めることを受け入れるのが大人だ」ってツラした大人にはなりたくねえ。
せっかく血塗れ乙女亭の人たちがその手助けをしてくれたんだ、あの人たちは自分の力でこの町を変えたんだ。やればできることもあるって、教えてくれたんだぜ?
だからおれもやりてえ。
ゼルーグさんに見せてもらった、あのいかにも「男の中の男!」って感じの武骨な大剣だって作ってみたいし、リエルさんが着てる綺麗な装飾つきのミスリルの鎧だって作ってみたい。
そんなすげえ武具を作って、その持ち主が名を上げてくれりゃあ、どんなに嬉しいことか!
それが武具職人ってモンだろうがよ!
ただ、最近はちょいとマズい方向に流れが傾いちまってる……
どれもこれもあのゾフォール商会のせいだ。
やつらがきちまったから、なんでも仕入れて見せるとか大声で宣伝しやがるもんだから、そして実際に品揃えがめちゃくちゃいいもんだから、けっこう集まり出した冒険者たちはみんなそっちで装備を買っちまうんだ……
このままじゃマズいんだよ!
下手したらおれたち廃業だぞ!?
いくら町で一番でかい工房だからって、のんびり構えてられるような状況じゃねえんだぞ!?
それなのに親方ときたら、
「潰れるとしたら小さいところからだろ。ウチは最後だな。ワハハ」
なんて呑気に笑いやがるから、危うくハンマーでその禿げ頭をカチ割っちまうところだったぜ……!
そりゃあ親方の考えも正しいかもしれない。
でも、逆もありうるとおれは思ってる。
でかいところが真っ先に潰れれば、それ以下の工房が危機感をもって励み出し、結果的に切磋琢磨して成功しちまうんじゃないかって……
つまりはでかいからこそ生贄にはもってこいってわけだ。
まあ、そうなったらそうなったで別の工房に移ればいいんだけどよ、やっぱり五年も世話になってるからできるだけここでやっていきたいんだよ。
鍋の修理だとか剣の研ぎ直しだってそりゃあ大事な仕事だけどよ、町がでかくなろうとしてるこのときに、そんなんばっかでいつまでやっていけると思ってんだっ!!
……そんなわけで、おれは毎日毎日不満で一杯なんだ。
今日も今日とて衛兵の剣の研ぎやら古くなったフライパンの打ち直しばかりで、おれが求めてる仕事なんてひとつも入りやがらねえ。
「たのもう」
なんて声がしたが、どうせまた研ぎや修理の類だろう。
そう思って客に目を向けると、
「は……?」
おれは自分の目を疑っちまった。
ぼさぼさの黒髪をポニーテイルに結ぶ、髭面のおっさんがそこにいたからだ。
しかも、なんだその服。
ローブ?
しかし、上下で分かれてるな。
見たことない服だ。きっとどっかの民族衣装なんだろう、顔つきもこのへんじゃ見たことないし……
っつうか、髭面のおっさんがポニーテイルってなんだよ! 気持ちわりィよ!
なんて客に向かっていえるはずもなく。
「いらっしゃい、どんなご用で?」
作業台から立ち上がってカウンターに寄ってみると、おっさんの帯びてる剣まで奇妙な形をしてることに気づいて、思わず凝視しちまった。
たぶん片刃の曲刀なんだろうが、長短で二本も差してるなんて珍しい。鞘は木製か? それにこれ、紐で吊ってあるんじゃなくて腰紐に差してるのか。奇妙な民族もいるもんだな。
「小僧、こいつが珍しいか?」
「そりゃあね、初めて見たもんで」
「こいつは刀といって、東の果ての海陽という国の剣だ」
「果てって、どれくらい?」
「言葉どおりだ。大陸から海を渡った先にある島国よ」
「うへっ、大陸よりも東!? そりゃまた随分遠いところから……」
「でだ、ここがこの町一番の鍛冶屋と聞いたが、間違いないか?」
「ああ、まあ……」
ここではっきり「そうだ」と頷けないのが情けない。
確かに規模でも稼ぎでも技術でも一番だが、よそで自慢できるほどかといわれるとまったく自信がない。
「ではアダマンタイトを鍛えられるか?」
「はあっ……?」
今、このおっさん、なんつった……?
「アダマンタイト……?」
「そう、アダマンタイトだ」
おっさんは提げていた包みをカウンターにドンと置いて、中の木箱を開けた。
「…………」
おれは言葉が出なかった。
「どうだ?」
どうだっていわれても。
だって、アダマンタイトなんて、初めて見たんだぜ……
これが本物かどうかもわかりゃしねえよ!
「ちょ、ちょっと待ってくれ、親方を呼んでくる……!」
おれは大急ぎで奥の工房に駆け込んだ。
アダマンタイト。
アダマンタイト!
武具職人なら誰もが鍛えてみたいと夢見る、あのアダマンタイトだ!
魔法銀ミスリル、耐魔鋼アダマンタイト、万能金属オリハルコンの三大特殊金属のひとつ、アダマンタイト!
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