Hero's accessories 〜勇者に付いてきた付属品〜

優陽 yûhi

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第31話 海底神殿

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 〝ボコッ……ボコッ……ボコボコボコッ……〟
(本当だ……普通に呼吸ができる……すげ~なこの魔道具……
 あそこが海底神殿?……地上の神殿にそっくりだけど、
 海の中で、魚の群れがいて……何とも幻想的だな……竜宮城って感じ?
 エレーナにも見せたかったな……)


 神殿の庭に降りようとすると、ふと何か違和感を感じた。
(ん?神殿の周りだけ魚がいないな?
 噂どおり、もしかして神殿の周りだけ空気がある?)

 とりあえずそこへ入ろうとすると、何かに阻まれる。
(何か海水を遮断する結界みたいなものがあるのかも?
 下手に、壊したら、神殿が大変なことになるよな……
 う~ん……どうしたらいいかな?
 あそこに見える凱旋門みたいな建築物は何だろ?
 もしかして入り口?あそこから入れたりしないかな?)
 高さは、20m。神々の像を中心に天使の像……威厳すら感じる建築物だ。
 海水と空気の境目に、そっと手を差し込んでみる。
 手が、すうーと入り込む。

(お~入れるじゃん)
「中はやっぱり空気があるな……ふぅ~なんか安心する……
 この大きなドーム型の結界?の向こうは、海の中か……
 中から外を見ると魚とかすごく綺麗だな。
 規模が全然違うけど、日本にこんな水族館あったな……」


「ようこそお越しくださいました。颯斗様」
「えっ?何で俺の名を?」
「貴方が来られることは、既定路線でしたから……」
 2人の白いドレスを着た若く美しい女性が出迎えていた。
「こちらへ。この神殿の守り人の所へ」

「お待ち申し上げておりました我が主人、颯斗様」
「我が主人?俺が?ここ神殿でしょ?俺は神じゃないし……
 どうなってるの?」
「まずはこちらにお座りください」
 1000人は入れそうな玉座の間の王専用の椅子のようなところに誘う守り人。
「いや、なんか、話しづらいな」
「でしたらこちらの応接部屋へ」


「この神殿は何なの?貴方たちは?」
「ここは、古の大賢者サイモンが、女神様のために作った神殿。
 それを貴方様のために、女神様が大改修した、
 颯斗様専用の城のようなものです」
「俺のために?何故女神様が?それにサイモンて誰?
「今はまだ詳しいことは、お話しできません」
「どうして?それじゃあ、何も分からないんだけど……」
「申し訳ございません……詳しい話をしてしまうと、
 颯斗様の未来に、影響を与えてしまうおそれがあるからです。
 私どもは、貴方様に仕えるよう、ここにおります。
 私の名はサディア。そこの2人はレベッカにナンシーです」
「海底神殿に、行くように言われた気がして来たんだけど、
 何が何だか……いったい何のためにここに来なきゃいけなかったんだろう?
 あっ、それと、ごめんなさい。神殿の守り、クラーケンを倒しちゃった」
「お気になさらずに、謝らなければならないのはこちらですから。
 海上に颯斗様の、気配を感じましたので……
 颯斗様がクラーケンを見れば海底神殿の存在に気付かれるかと……
 船を止めるように、クラーケンに命じたのですが……
 颯斗様のあまりの魔力量にクラーケンが混乱してしまい、あのようなことに……
 申し訳ありませんでした……
 クラーケンは、復活しますので、ご心配なく。
 ただそのために、クラーケンの魔石をお返しいただければ……」
「復活に魔石がいるの?うん、どうぞ……で、もう一度聞くけど……
 詳しい話は聞けない……だったら何で、女神様に、ここに行くように言われたんだろ?
 それも言えない?」
「女神様が颯斗様をここに誘導したのは……この2つの石を、お渡しするためと、
 先ほどのホールいっぱいに転移の巨大魔法陣が施されているので、
 そこに、颯斗様の魔力を記憶させていただくためです」
「何なの?この黒ずんだ石は?」
「特殊な魔石とだけしか……魔法袋マジックバックに入れて、
 いつもお持ち歩いていただけませんか?」
「何のために?って聞いても教えてもらえないんでしょ?」
「申し訳ございませんが……」
「じゃあ、巨大魔法陣は?」
「ホール足元の魔法陣は、颯斗様の魔力を記憶することで、
 いつでも、何人でも転移させられることができるようになります。
 とは言え、1000人ほどしかホールには入れませんが」
って……十分多いんだけど……
 そんなに大勢の人を転移させてどうしろと?」
「いつか颯斗様に必要になるかと……それしか……
 また、神殿の後ろには、1万人くらい収容できる居住区がございます。
 颯斗様には、いつでも使っていただければと……」
「1万人もの収容施設……俺にそんなものが必要になるんだろうか……
 そうだとしても、海の中だと何かと不便じゃないかな」
「海の中だと、攻撃されにくいですよ。
 それに、いつでも海の上に浮き上がらせることもできますので」
「もう一つ聞いてもいい?ここの魔法陣……
 それに、この石にも見たことない文字が刻まれてるね?」
「やはり颯斗様には、この文字が認識できるのですね……
 これは……今は使える者どころか、
 認識できる者がいない古代文字が使われております。
 失われた古代魔法が施されております」
 〝グゥゥ~~〟
「あっ失礼……お腹すいちゃった」


「美味しい食事、ありがとうね。だけど……
 魚介が泳ぎまくる中で、魚介を食べるのはちょっと罪悪感を感じたけどね……」
「申し訳ございません。ここでは、お肉も野菜も取れませんので……
 この次に颯斗様がお越しになるまでには、揃えておきますので」
「ハハハ……冗談だよ?気にしないで。それじゃあまたいつか……」
「颯斗様が着てらした、服はもう乾いております。お着替えください」
「ありがとう。じゃあ上に転移するよ」
「私たちは、いつでもここで、お待ちしております」
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