転生マザー♂の子育て論

田中 乃那加

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生贄は極上② ※R18

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 ※※※

 
 小さな手が視界に映りこんだ。

『母さま!』

 甲高い声で舌っ足らずに呼ぶ声に自然と頬がゆるむ。

『母さま。これ、あげる!』

 目の前に突き出されたのは、大輪の花。
 黄色い太陽のような花びらに見覚えがあった。

『母さまの好きな花なんでしょ?』

 ここ、魔界には自生していない植物だ。
 幼い頃を過ごした地で栽培されていた、思い出の花。

 花や果物をつくって売り、生計を立てていた村だったのだ。

『母さま……?』

 少し不安げに揺れる幼い声に慌てて顔をあげた。

 ありがとう嬉しい、と笑顔で答えると。

『うん!』

 まるで花がほころぶような笑顔が咲いた。
 つられて目を細めて笑ってしまうほど、愛らしい

 ――だがそれにしても、どうしてこの花が魔界にあるのだろう。
 それを問うと幼子の声は数秒だけ口ごもった。

『園庭にね、あったの』

 たしかに花壇にはいろんな花が咲き乱れている。
 しかしすべて魔界のものだけだ。なぜなら人間界とは空気が違いすぎてすぐに枯れてしまう。

 唯一、咲くことができる場所といえば。

『父さまの』

 その言葉に彼は眉をひそめる。

 これは彼の夫、もとい魔王の管理している温室の花壇から採ってきたのだろう。

 結界を張り、庭師おろか誰も入ることを許されないのはそこが大切な場所であるから。
 
 息子には勝手に侵入したことを叱るが。

『ぼく、ぜんぜんへーきだったよ』

 とむしろ胸を張るから困る。
 しかし目をキラキラさせている顔を曇らせることはできずに、息子を優しく抱き寄せる。

『母さま、愛してる』

 もちろん自分もだと返しながら、じんわりと胸の中に広がる不安と寂しさにそっと息を吐いた。




  ※※※


 ゆっくりと意識が浮上していく。
 冷たい床と壁はどうやら石造りの地下牢で、小さなランプの灯りは頼りなく辺りを照らしていた。

「っ、は……ぁ゙……?」

 突如として身体中に走る疼きと震えに、オルニトは目を見開く。
 内側からじわりじわりと炙られるような熱。それでいて心臓は凍てつくような痛みを訴えている。

『眠っていながらもちゃんと感じていたようで』

 嘲笑を含んだ声の主は、大きな黒ずくめの影のような人型であった。
 さらに強ばった腕の筋肉の痛みと痺れで、自身が拘束されていることを知る。

 両手を吊り上げられる格好で手錠と鎖によって冷たい壁と床に繋がれていた。

「んぁっ!? あっ、なんっ、なに、ああっ!」

 身体がビクついて妙な声が止まらない。
 始終、止めようのない疼きとこもっていく熱に理解が追いつかず息を乱す。

『少し薬を盛らせて頂きました』

 が大仰に礼をしてみせた。

『それもこれも婚礼の準備のためです、花嫁』
「こ、婚礼……? 花嫁?」

 どちらも言っている意味が分からない。だいたい男の自分には当てはまらない言葉ではないか。

 絶句しているオルニトにはお構い無しとばかりに、影は話を続ける。

『貴方は選ばれたのですよ、光栄なことに』
「選ばれたって、どういう」
はこの世界を統べる王です。忌々しい人間どもを駆逐し、再び魔物や魔族の世を創る。そんな御方の子を孕み、世継ぎの母堂となる誉れを知りなさい』

 あの方、だの魔界だの。まったく意味が分からない。
 それより何より聞き捨てならないワードに思わず眉をしかめる。

「ひ、人違いじゃないんですか。僕は男で――」
『人違い? バカをおっしゃい』

 冷たい声が響く。

『雄が孕まぬなど、ちっぽけな人間界のことわりでしょう。我々魔界の者たちには関係の無いこと』

 どうやらあの時、窓を開けてしまったことでこの魔物に攫われたらしい。

 そして今、得体の知れない存在に犯されは孕まされようとしている。
 
「っ、う……ん゙、そんな、こと……あ、あぁ!?」
 
 また込み上げてくる感覚と熱に身悶えた。
 催淫剤でも飲まされたのか、地下牢のぬるい空気にも感じてしまう。

に淫紋をつけます』
「い、いん……?」

 腹の下の方に黒い手がのびる。
 
『これは子宮を生成するための魔法陣の一種でして。しかし――』

 パチンッ、とかざされた手に小さな火花が散った。
 影の男は苛立ったように舌打ちをすると。

『またはじきやがった。人間風情が』

 毒づくがすぐに小さく笑う。

『どうやら貴方の高い魔力が、この淫紋魔法を拒絶するようだ。しかしならば受け入れさせるまでのこと』

 受け入れさせる――この意味を考える暇もなかった。

『すぐにこの快感に媚びて受け入れるようになる』

 という言葉のすぐあとに、薄暗い地下牢の隅からなにかが無数のモノたちが蠢く音が響いた。

「うわぁっ!?」

 姿を現したのは濃い肉色をした触手。うねうねと気持ちの悪い動きはミミズの集団ともいえなくも無い。
 それらが逃げるどころか身動きひとつままならない中、こちらへ近づいてくるのだ。

「ひっ!? な、なに……やめろっ、やだ……!」

 懸命に足掻くがなんの反抗にもならないどころか、指先からゆっくり触手が絡みついてくるのを震えながら見つめるほかなかった。

『そう怖がらないでください。彼らは獰猛な生き物ではありません。ただ、少しが特殊なだけで』
「え、餌? ……ひぁっ、あ、あぁ、あっ」

 とぷり、と自ら粘液を吐き出した触手は水を得た魚のように勢いづいて身体中を這い回る。

 その感覚が気持ち悪くて、嫌悪と悪寒に顔を真っ青にして暴れた。

「やだぁっ、たすけて! や……あ、ゃ、んんっ……ぅう」

 あっという間に服がヌルヌルと濡れて、さらには溶けていくではないか。

 肌を一切傷つけられることなく、彼はところどころに服の残骸を身にまとった全裸を晒すことになった。

「こんな……なんで……」
『素晴らしい生き物でしょう? あらかじめ貴方に服用させた薬も、元はと言えば彼らの粘液から精製されたもの。分かるでしょうか、つまり今の貴方は極めて濃度の高い媚薬を内外から浸している状態なわけですよ』

 触手は何かを探すように身体中をまさぐり、胸や足の付け根など。それこそ足の指の間までも愛撫する。

 それが妙にくすぐったく身をよじっていたが、じきに違和感に気づいた。

「は……ぁ、んぅ……っはぁ」

 走ってるわけでもないのに息が上がる。熱もくすぶり続けて下腹部の、あの部分にじくじくとした快感がたまりつつあった。

「そ、んな」

 子供ではないから性的欲求がないわけではない。精通もあったし自慰だって。知識はもとより、前世では辛うじて童貞でなかったために異性とのイメージはある。

 しかしオルニトとしては恋人もいないし、まだ誰とも未経験なわけで。

「や、やだっ、離して! ぅあっ、ひぃぃ、うぅ゙ぅ」

 感じたくない。こんな触手になんて。
 
 必死で暴れようとするが、それすらぬるりとかわしてまずは胸の飾りへ。
 まだほぼ触れられたことのないそこを、乳輪から優しく刺激してくる。

「くっ……き、きもち、わるぃ、だけ。こん、なの」

 そのはずだった。胸で感じるなんてAVで見た女じゃあるまいし、と苦々しく思いつつどうやって逃げるか考えを巡らせていると。

『おや、お気付きありませんか』

 影の男が大仰な仕草で肩をすくめる。

「へ?」

 そこで彼はようやく気づいた。
 自分のアレが完全に勃ちあがり、あまつさえ蜜を零しはじめていたことに。

「ひ……っ!?」

 性急すぎて理解が追いつかなかったのだ。
 自分が乳首への刺激で興奮し、感じていたことに。

「ああっ! あ、いやっ、ん、あぅ」

 自覚したらもうダメだった。身悶えた身体は言うことをきかず、もっと触ってくれと無意識に胸を突き出してねだってしまう始末。

「んおっ、お゙、ぁ、あ、あ」

 そこだけでこれだけ気持ちいいなんて知らない。ろくに閉じることも出来なくなった口からひっきりなしに喘ぎ声が止まらない。

「た、たしゅ、けてぇ、やだっ、も、だめぇ」
『なにを言っているんです。弱音を吐くには早すぎます』
「やらぁ、イく、イっちゃ、だめなの、にぃ」
『ダメなものですか。まずは一度、イってしまいなさい』
「あーっ、あ、あぁぁっ、やだっ、なんかくるっ、きちゃう!」

 首をふって苦悶の表情での絶頂だった。

「はぁっ……ぁ……も、やだ……」
 
 よりにもよってはじめて胸でイかされたなど。しかもこんな得体の知れない魔獣ワームに。

 ショックと余韻で涙目になって荒々しく息を吐いていると、また触手たちが蠢き始めた。

「あうっ!? なんで、ぇ、もぅ、イったのに!」
『一度で終わるとでも?』
「やだぁぁっ、やめてぇ! そんなっ、とこさわっちゃ、やだぁ」

 泣いてもわめいてもお構い無し。粘液を撒き散らしながら、今度は吐精したばかりのペニスまで無遠慮にしごきだす。

「ひぐっ、あ゙、ああぁっ、んん、うあ、んんんぅ」

 皮から入り込んだ触手は器用に剥いてカリ首を露出させる。そこから丹念に洗うように鬼頭部分を弄るものだから、一歩間違えれば痛みにも似た快楽に彼は身体を強ばらせて悶えた。

「ひ、ひぎっ! あ゙ァぁ、や゙、やめ、ぇ」
『敏感でなにより。今度は準備させましょうか』
「ひゃっ!?!?」

 尻をさするように這っていた無数の触手のうち、一本がつぷりと胎内に入り込む。
 思わず息を飲み尻を振ったが、細いそれはぬめりを借りてなおも深く潜んだ。

「あ、あ、あ、それは、だめっ、ほんと、やめて、そんなとこ、だめだから、やだ、おねがい、やめて、それだけは…………」

 腰をガクつかせて懸命に懇願する。しかし男は表情こそ見えぬものの、薄く笑ったようだった。

『心配なさるな。ちゃんとまで綺麗にしてくれますから』
「お、おしりだから……これ、ほんとに、お願いします、僕……そんな……」

 いくら経験がなくても嫌な想像くらいはできる。
 しかしあまりにも絶望的な状況。震えながら赦しを乞うのは逆効果なのだが、それすら考える余裕もない。

『存分にイってくださいね。そうすれば貴方の魔力が弱まり、淫紋に対する拒絶反応もなくなるでしょう』

 つまりこれは孕み腹をつくるための前段階に過ぎない。
 イきまくればそれだけ淫紋の術が効いて子宮が生成されてしまうのだ。

『ふふふ、抵抗しますか。イかないよう我慢するのもひとつの手ですよ。しかし』

 男がパチン、と指を鳴らした。その瞬間。

「ああぁああぁぁっ!!!」
『――まあ、貴方には到底無理でしょうねぇ』

 オルニトが悲鳴混じりの嬌声をあげたのと、男の嘲笑の言葉はほぼ同時であった。

 

 
 


 

 
 
 
 

 
 
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