俺の話を聞け……1分だけ

田中 乃那加

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ゲームをしよう

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 私は幼い頃、ゲームと言うものをあまりしてこなかった。
 テレビもそうだが、流行りは下らないという思考が薄ら透けて見えた母に育てられたからだろう。 
 父方の祖父母が買ってくれたテレビゲームも『目が悪いから』と没収された。
 
 だいたいその理由だと、さんざん推奨された本も教科書も読めなくなるじゃあないか。
 つくづく大人というのは、訳の分からない生き物である。
 
 さて。
 ゲームをしてこなかった私だが、この歳になって今更ゲームがしたくなってきた。
 最初は実況動画。
 ある実況主さんがいて、その方の声や話し方が私のどストライクな好みだったのだ。
 しかもワーワーと喚きたてず、そのテクニックを淡々と披露してくれる様は正に私のハートを、ずぎゅぅぅゥんと撃ち抜いた。

 それからはその方の実況動画を、貪るように見た。
 おかげで低速食らうことなんてしょっちゅうだったし、なんならギガ補填までしたものだ。
 大人になってから沼にハマるのは、こうも底なしなのだと身をもって知る。
 しかしあくまで『実況動画を見る』にとどまっていた。
 自分でゲームを買ってすることもなかったし、欲しいとも思わなかった。
 あくまで上手な人のプレイを、後ろから見る事で満足していたのだ。

「どうせ私にはできない」
 と決めてかかっていたフシがある。

さらに言えば『ゲームをするなんていけないこと』という思考が幼少期から染み付いていたからだろう。
 つくづく大人ってやつは罪深い。

 そんな私だが。結婚をして子どもを3人産んだ今になって、猛烈にゲームがしたい。
 きっかけはあの伝染病である。日中家にいる小学生の娘に買い与える、という名目を思いついたのだ。
 今思えば本当に愚かな考えてある。何故かと言うと、後述しよう。

 さて。まずは多くの人がやっているでろう、ニンテンドースイッチとやらが欲しかった。
 だってゲーム初心者でも、優しく受け入れてくれそうじゃないか。かなり有名だし、任天堂といえば、マリオ。私はマリオも好きなのだ。
 ルイージマンションやってみたかった……。
 
 しかしだ。
 ここは愚かだった所なのだが。
 こんな時期に、売ってるハズがない!!! 

 私はつくづく無知でアホだった。
 そもそも電気屋には人が溢れ、ゲームソフト(って言っても良いのか? 今も)を物色する子ども達。
 そもそも本体を持ってない、アホな大人。 
 
 なぜもっと早く買って置かなかったのだ、と悔やんで少し泣いた。
 本当に泣いたのだ。いい歳した大人が、ゲームがない! と。
 頭おかしいと言われても、なんの反論も出来やしない。
 Exactly、と頭を垂れるしかないのだ。

 そんな情けない大人に、夫(ゴリラ)が差し出したのはひとつのゲーム機。
 グレイの本体。十字キーと3色ボタンのコントローラー。
 かの有名なスーパーファミコンである。
 
 ……なんだコイツ、古いゲーム機でお茶を濁そうっていうのか?

 短気な私が苦々しい顔をした時。 
 ふとそれが、小さいのに気がついた。しかもカセットの挿入口が無い。
 どうやらこれはスーパーファミコンミニ、らしい。
 本体にゲームが複数入っており、昔のゲームが遊べるという。

 かの有名な格闘ゲームやRPG、レーシングゲーム、聞いた事のないパズルゲームも入っていた。
 私は瞬く間に夢中になった。

 ポチポチとコントローラーに指を押し付けながら、私は思いを馳せる。
 ゲーム帰省条例の、あの県を。

 大人というのはこうやって、色んなモノを規制したがる。
 漫画、テレビ、ネット、スマホ……それらは全て彼らの甘えと逃げだ。

 自分たちが目の前の子どもたちを、正しく導いてやる力を持たないから。
 だから『敵』を作って、遠ざけることで教育した気になるのだ。
 
「テレビを見るとバカになる」と昔の大人は言ったらしい。
 馬鹿なのはお前らだ、と怒鳴り返さなかった子どもたちはなんとまぁ優しいのだろう。
 私なら即効、盗んだバイクで走り出すぞ。なんなら学校の窓ガラスを割って回るかもしれぬ。

 ともかく。
 子ども達に規制かける前に、もっと頭と心を使え。
 何が子ども達の発達を阻害するのか……それは自分自身かもしれない。
 己に敵を見よ、話はそれからだ。

 ……あと年寄りは、ボケ防止にゲームでもやりたまえ。

 
 

 
 
 
 

 


 
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