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あざとく小賢しく
やはり快適だと奏汰は思った。
食事の用意や掃除洗濯。それだけじゃない、帰ってきてからの『おかえり』の一言。
すべてが疲弊した心にあたたかい。
「……僕は幸せだなぁ」
「どうしたの急に」
バイトがなく久しぶりに家で夕食が食べられることに感謝しつつ、しみじみと言った奏汰に明良が首をかしげる。
「いや、いい嫁さんを迎えたなと」
「奏汰君は面白いね」
優しげに微笑む彼のエプロン姿も見慣れたとはいえ、愛らしいとしか言いようがない。
「明良さんってほんと料理上手いよね」
「そう? 地味な家庭料理しかできないんだけど」
「そんなことないじゃん。お菓子だって美味いし、この前作ってくれたオシャレなやつ……ええっと」
「もしかしてキッシュ?」
「そうそう! あれめちゃくちゃ美味かった」
「あんなの簡単なレシピだよ。また作るね」
「マジで? やった!」
理想的な家庭と言っても差し支えないのではないか、とすら考えている。
そんな笑顔の絶えない会話の横で。
「え、なに。これ俺が試されてる?」
と不穏な空気の高校生、こと龍也。
「奏汰、俺は浮気は許さねぇ主義だぞ」
「はぁ? 何言ってんだ、クソガキ」
打って変わって奏汰がジトッとした目で睨む。
「だいたいお前はなんでいるんだよ」
「なんでって、俺が奏汰のストーカーだから?」
「いやストーカー自称すんな。あと家でメシは食えよ」
「ヤダね。母ちゃんには彼氏んとこ行ってくる♡ って言ってあるし」
「おいっ、なに言っちゃってんだよ! 彼氏!? だれが!!」
「え、あんただけど」
「勝手に彼氏ヅラすんな、バーカ!!」
「ひどいっ、俺の事もてあそんだのね!?」
「気色悪い声だすな!」
またこれである。
顔を合わせれば喧嘩が始まる二人 (また例によって奏汰だけが怒り、龍也はむしろ面白がっているように見えるが)をニコニコと見守る明良がいつもの光景。
「だって奏汰ってば、全然会ってくれねぇんだもん」
「もんって可愛こぶっても可愛くないからな。ていうかガキの相手なんて出来るかよ。ヒマじゃないんだ、こっちも」
「ガキじゃねぇし。ガキって、あんたよりよっぽどデカいんだからな」
「図体だけだろ」
「いやアソコも相当……」
「それ、へし折ってやろうか?」
「怖っ!?」
こうやって罵倒しても拒否しても、こうやって尻尾振るかのように無邪気についてくる。
ちなみにバイト先への出待ちはやめさせた。未成年だということと、さすがに毎回送り届けることは不可能だからだ。
その代わり、と渋々連絡先を交換させられた。
「つーか、全然返事くれねぇし」
メッセージアプリへの返信のことだ。
「だから言ったろ、忙しいって」
奏汰は肩をすくめた。
おはようからおやすみまで。ひっきりなしにメッセージがくるのは当たり前で、女子高生かというほどの可愛いスタンプばかりだと既読スルーにもなるものだ。
「ひどい! 明良さん聞いてよー、奏汰が塩対応すぎるんだけどぉ」
龍也は泣き真似しながら明良にすがりつく。
「まあまあ二人とも仲良くね」
小さい子ども達のケンカを見るかのように微笑ましげな表情の彼は、龍也の頭をポンポンとなでた。
「明良さんはこいつを甘やかし過ぎ」
奏汰はムッとして言い返す。
そして今度は龍也に向き直り。
「だいたい彼はうちの家族なんだからな」
本心だった。
この数ヶ月、一緒に暮らしてきてもう彼がいない生活は考えられない。
それはなにも家事のことだけじゃない。女でひとつで育ててくれた母親には悪いが忙しさや彼の性格もあいまって、家族の会話がそこまで多いわけではない。
特に思春期以降、父親のことも含めて微妙な空気になることもあった。
しかし明良がいれば二人とも自然に、昔以上に家族団欒として楽しい時間を過ごすことができるのだ。
両親がそろっていればこんな感じだったかもしれない――などと彼は思うこともある。
「じゃあ俺も家族になる」
龍也も負けじと言い返してきた。
「奏汰と結婚したら俺も家族になるだろ」
「なに寝ぼけたことぬかしてんだ、アホ」
αである彼と結婚するというのはすなわち、Ωとして生きるということ。
しかもそれだけでなく。
「僕は君みたいな嘘つきで図々しい奴は嫌いだ」
そう。これで龍也が健気な恋する少年であればまだ良かったのかもしれない。
しかし違っていて。
『うち、親が一晩いないんだ。なのに鍵をなくして家に入れなくて……』
そう半泣き声で電話かけてきて。さすがに未成年を放置するわけにはと家に連れて帰ってきて泊まらせたら、翌日彼のカバンから鍵が出てきて嘘だと判明したこともあった。
あとは。
『拓斗 (幼なじみである響子の弟) とケンカしちまって、仲裁してくれよ』
とある日、殊勝な顔で押しかけてきた。
あまりにも真剣な表情だったために奏汰が話を聞こうとしたら押し倒されたので、張り飛ばして説教食らわせたり。
こう見えて嘘をついてでも手段も選ばない、要注意人物なのだ。
「うーん、俺って信用ねぇのな」
「胸に手を当てて過去の行いを考えてみろ」
「やだ奏汰ってば、胸を触ってだなんてダ・イ・タ・ン♡」
「自分のだっ、バカ!!!」
もうお約束みたいなやり取りをする。
「明良さん、もうこいつ出入り禁止にしよう!」
「はは、にぎやかだね」
「笑い事じゃないって」
いくら奏汰が怒っても、それを見ている明良の表情は笑顔で。しかもどこか悲しいような寂しげなような。
「ほら龍也君も手洗ってね、夏菜子さんももうすぐ帰ってくるし」
「やった!」
彼の言葉に龍也は喜んで洗面所へかけていく。
奏汰はなおもふくれっ面だ。
「明良さんも母さんも、あの外面に騙されてるよ」
夏菜子もまた龍也に対して好意的なのである。
「ただいまぁ。あ、龍也君来てるの?」
「夏菜子さんおかえりなさい。うん、来てるよ。今、洗面所にいるから」
今日は比較的早めに帰宅出来たらしい。いつもに増して上機嫌だ。
「えへへ、ビール、ロング缶買ってきちゃった。明日休みだもん」
「いいですね。グラスも冷やしておくから着替えてきてくださいね」
「うん!」
明良がスーパーの袋を受け取り、母親がさっきの龍也みたく大急ぎで自室に入っていくのを見ながら奏汰の顔に自然と笑み浮かぶ。
やはり彼と家族になるのが一番幸せなのかもしれない、と思う。
打算的だとか下心と言われたらなにも反論できない。家族愛こそあれど、恋愛的な意味での愛情はいまいちピンとこないのだから。
しかしそれの何が悪い、とも。
もちろん明良の想いが最優先だが、プロポーズをするくらい許されるのではないかと最近真剣に考え始めたのだ。
『私のせい、だから』
店長の沈んだ声が脳内再生される。
妊娠が判明した彼をクビにしたことだろうか、でもそれだけではない気がした。
「奏汰君?」
「!」
彼に声をかけられ我に返る。
「大丈夫?」
「あ、うん。ちょっとぼーっとしてただけ」
少し怪訝そうな明良に返して、奏汰は立ち上がった。
「あ、なんか手伝うことある?」
と笑顔をつくりながら、やはり考えるのは目の前の彼の事。
「じゃあお願いしようかな」
ゆったりとした服を着ているがそろそろ見る人が見れば腹の膨らみが分かりそうな時期に差し掛かる。
母親には報告した方が、と奏汰は考えるのだがこればかりは本人の意志だ。
しかも急かすようで、軽々しく提案できなくなってきた。
――母さんなら明良さんが妊娠してたって悪く思わないのに。
まだ信頼されてないかもと少しだけ悲しいのだ。
「そうだ、奏汰君」
振り向くと、明良がいい事思いついたとばかりに手を叩く。
「ぼくと今度、デートしてよ」
「へ?」
にっこり微笑む彼と突然の申し出に、奏汰は唖然とした。
食事の用意や掃除洗濯。それだけじゃない、帰ってきてからの『おかえり』の一言。
すべてが疲弊した心にあたたかい。
「……僕は幸せだなぁ」
「どうしたの急に」
バイトがなく久しぶりに家で夕食が食べられることに感謝しつつ、しみじみと言った奏汰に明良が首をかしげる。
「いや、いい嫁さんを迎えたなと」
「奏汰君は面白いね」
優しげに微笑む彼のエプロン姿も見慣れたとはいえ、愛らしいとしか言いようがない。
「明良さんってほんと料理上手いよね」
「そう? 地味な家庭料理しかできないんだけど」
「そんなことないじゃん。お菓子だって美味いし、この前作ってくれたオシャレなやつ……ええっと」
「もしかしてキッシュ?」
「そうそう! あれめちゃくちゃ美味かった」
「あんなの簡単なレシピだよ。また作るね」
「マジで? やった!」
理想的な家庭と言っても差し支えないのではないか、とすら考えている。
そんな笑顔の絶えない会話の横で。
「え、なに。これ俺が試されてる?」
と不穏な空気の高校生、こと龍也。
「奏汰、俺は浮気は許さねぇ主義だぞ」
「はぁ? 何言ってんだ、クソガキ」
打って変わって奏汰がジトッとした目で睨む。
「だいたいお前はなんでいるんだよ」
「なんでって、俺が奏汰のストーカーだから?」
「いやストーカー自称すんな。あと家でメシは食えよ」
「ヤダね。母ちゃんには彼氏んとこ行ってくる♡ って言ってあるし」
「おいっ、なに言っちゃってんだよ! 彼氏!? だれが!!」
「え、あんただけど」
「勝手に彼氏ヅラすんな、バーカ!!」
「ひどいっ、俺の事もてあそんだのね!?」
「気色悪い声だすな!」
またこれである。
顔を合わせれば喧嘩が始まる二人 (また例によって奏汰だけが怒り、龍也はむしろ面白がっているように見えるが)をニコニコと見守る明良がいつもの光景。
「だって奏汰ってば、全然会ってくれねぇんだもん」
「もんって可愛こぶっても可愛くないからな。ていうかガキの相手なんて出来るかよ。ヒマじゃないんだ、こっちも」
「ガキじゃねぇし。ガキって、あんたよりよっぽどデカいんだからな」
「図体だけだろ」
「いやアソコも相当……」
「それ、へし折ってやろうか?」
「怖っ!?」
こうやって罵倒しても拒否しても、こうやって尻尾振るかのように無邪気についてくる。
ちなみにバイト先への出待ちはやめさせた。未成年だということと、さすがに毎回送り届けることは不可能だからだ。
その代わり、と渋々連絡先を交換させられた。
「つーか、全然返事くれねぇし」
メッセージアプリへの返信のことだ。
「だから言ったろ、忙しいって」
奏汰は肩をすくめた。
おはようからおやすみまで。ひっきりなしにメッセージがくるのは当たり前で、女子高生かというほどの可愛いスタンプばかりだと既読スルーにもなるものだ。
「ひどい! 明良さん聞いてよー、奏汰が塩対応すぎるんだけどぉ」
龍也は泣き真似しながら明良にすがりつく。
「まあまあ二人とも仲良くね」
小さい子ども達のケンカを見るかのように微笑ましげな表情の彼は、龍也の頭をポンポンとなでた。
「明良さんはこいつを甘やかし過ぎ」
奏汰はムッとして言い返す。
そして今度は龍也に向き直り。
「だいたい彼はうちの家族なんだからな」
本心だった。
この数ヶ月、一緒に暮らしてきてもう彼がいない生活は考えられない。
それはなにも家事のことだけじゃない。女でひとつで育ててくれた母親には悪いが忙しさや彼の性格もあいまって、家族の会話がそこまで多いわけではない。
特に思春期以降、父親のことも含めて微妙な空気になることもあった。
しかし明良がいれば二人とも自然に、昔以上に家族団欒として楽しい時間を過ごすことができるのだ。
両親がそろっていればこんな感じだったかもしれない――などと彼は思うこともある。
「じゃあ俺も家族になる」
龍也も負けじと言い返してきた。
「奏汰と結婚したら俺も家族になるだろ」
「なに寝ぼけたことぬかしてんだ、アホ」
αである彼と結婚するというのはすなわち、Ωとして生きるということ。
しかもそれだけでなく。
「僕は君みたいな嘘つきで図々しい奴は嫌いだ」
そう。これで龍也が健気な恋する少年であればまだ良かったのかもしれない。
しかし違っていて。
『うち、親が一晩いないんだ。なのに鍵をなくして家に入れなくて……』
そう半泣き声で電話かけてきて。さすがに未成年を放置するわけにはと家に連れて帰ってきて泊まらせたら、翌日彼のカバンから鍵が出てきて嘘だと判明したこともあった。
あとは。
『拓斗 (幼なじみである響子の弟) とケンカしちまって、仲裁してくれよ』
とある日、殊勝な顔で押しかけてきた。
あまりにも真剣な表情だったために奏汰が話を聞こうとしたら押し倒されたので、張り飛ばして説教食らわせたり。
こう見えて嘘をついてでも手段も選ばない、要注意人物なのだ。
「うーん、俺って信用ねぇのな」
「胸に手を当てて過去の行いを考えてみろ」
「やだ奏汰ってば、胸を触ってだなんてダ・イ・タ・ン♡」
「自分のだっ、バカ!!!」
もうお約束みたいなやり取りをする。
「明良さん、もうこいつ出入り禁止にしよう!」
「はは、にぎやかだね」
「笑い事じゃないって」
いくら奏汰が怒っても、それを見ている明良の表情は笑顔で。しかもどこか悲しいような寂しげなような。
「ほら龍也君も手洗ってね、夏菜子さんももうすぐ帰ってくるし」
「やった!」
彼の言葉に龍也は喜んで洗面所へかけていく。
奏汰はなおもふくれっ面だ。
「明良さんも母さんも、あの外面に騙されてるよ」
夏菜子もまた龍也に対して好意的なのである。
「ただいまぁ。あ、龍也君来てるの?」
「夏菜子さんおかえりなさい。うん、来てるよ。今、洗面所にいるから」
今日は比較的早めに帰宅出来たらしい。いつもに増して上機嫌だ。
「えへへ、ビール、ロング缶買ってきちゃった。明日休みだもん」
「いいですね。グラスも冷やしておくから着替えてきてくださいね」
「うん!」
明良がスーパーの袋を受け取り、母親がさっきの龍也みたく大急ぎで自室に入っていくのを見ながら奏汰の顔に自然と笑み浮かぶ。
やはり彼と家族になるのが一番幸せなのかもしれない、と思う。
打算的だとか下心と言われたらなにも反論できない。家族愛こそあれど、恋愛的な意味での愛情はいまいちピンとこないのだから。
しかしそれの何が悪い、とも。
もちろん明良の想いが最優先だが、プロポーズをするくらい許されるのではないかと最近真剣に考え始めたのだ。
『私のせい、だから』
店長の沈んだ声が脳内再生される。
妊娠が判明した彼をクビにしたことだろうか、でもそれだけではない気がした。
「奏汰君?」
「!」
彼に声をかけられ我に返る。
「大丈夫?」
「あ、うん。ちょっとぼーっとしてただけ」
少し怪訝そうな明良に返して、奏汰は立ち上がった。
「あ、なんか手伝うことある?」
と笑顔をつくりながら、やはり考えるのは目の前の彼の事。
「じゃあお願いしようかな」
ゆったりとした服を着ているがそろそろ見る人が見れば腹の膨らみが分かりそうな時期に差し掛かる。
母親には報告した方が、と奏汰は考えるのだがこればかりは本人の意志だ。
しかも急かすようで、軽々しく提案できなくなってきた。
――母さんなら明良さんが妊娠してたって悪く思わないのに。
まだ信頼されてないかもと少しだけ悲しいのだ。
「そうだ、奏汰君」
振り向くと、明良がいい事思いついたとばかりに手を叩く。
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「へ?」
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