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いわゆる悪役令嬢の役回り
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「貴方はお飾りの婚約者なの」
「……へ?」
だからなんだ、という言葉を飲み込む。
約束通り昼休みに指定された会議室へ出向いた。
すると数人の女性たちに再び囲まれたのだ。
こじんまりとした会議室の中での、桐生が発した冒頭のセリフである。
「そして愛する二人を引き裂く権利は貴方にはない」
「あ、愛する?」
相変わらずのフェロモンに蹴落とされそうになりつつ、桐生に問い返す。
そこで彼女は取り巻きたちに目で合図した。
スッと歩み出てきたのはなんと。
「櫻子……いや、楠木さん」
元カノはうつむきがちで目を潤ませていた。
取り巻きが口々に。
「大丈夫よ」
「あたし達がついているから」
「怖がらないで、ちゃんと言ってやらなきゃダメよ」
と囁いている。
なんだかまるで自分が悪者でヒロインをいじめてるみたいだと内心ため息をつく。
「貴方が社長と婚約しているのは知ってるわ」
桐生が腕を組んで口を開いた。
「でも彼と本当に愛し合っているのは彼女なのよ」
「まさか……櫻子?」
哀しげに目を伏せる可憐な娘。小さくて華奢で大きな瞳に子鹿を思わせる愛らしい顔のオメガを見る。
その瞬間、顔を伏していて取り巻きからは見えないがほんの少しだけこちらに向いていた瞳がたしかに笑っていた。
「楠木さんのこと、馴れ馴れしく呼ばないでくださる? 彼女は純正のオメガなのですよ、貴方と違ってね」
「それは……」
「昔の関係は聞いているわ。アルファでありながら、他のアルファ男性と姦通なさったとか」
「か、姦通!?」
記憶はない。しかし世間はそんな言い訳は通じないというわけだ。
おおよそ道ならぬ関係、つまり相手は既婚者だったのではないかと噂されていたのは知っていた。
随分と勝手なことを言うものだと呆れ果てていたが、こうして正面切って糾弾されると何も言えなくなってしまう。
「そうして捨てられた彼女の哀しみ、察するに余りありますわ」
逆だ。捨てられたのは自分の方だと弁解しようにも言葉すら挟ませてもらえず、桐生の非難は続く。
「そして新たに出会った恋の前にまた貴方が現れたのです。この意味お分かり?」
つまり恋人であるアルファの男が、ある日突然アルファと浮気。
挙句、自らもオメガになり捨てられた。
悲嘆にくれた女がようやく立ち直り、今度こそ運命の相手と恋に落ちた矢先に再び現れたのがかつての恋人。
しかもオメガとなった男は、新しい恋人の婚約者。
たしかに悲惨だ。
「私と高貴さんは愛し合っているの」
涙の滲んだ声で櫻子が言った。
「もうこれ以上、愛する人を私から取り上げないで……お願い……お願いよ……」
そうしてしゃくりあげて泣き出す彼女を取り巻き達がしっかり抱きしめて。
「これで分かったでしょ! あんたは邪魔なの」
「あんたさえいなければ、この二人は幸せなのよ」
「どーせ家柄にモノ言わせて婚約にこぎつけたんでしょうよ、このアバズレ」
などと浴びせられる罵倒の数々。
誤解だし、なんのいわれがあってこんな責められなければならないんだと反論しようと口を開こうとするが。
「皆さん、少し落ち着きましょう」
悠然と微笑み発した鶴の一声で、取り巻きたちは恥じ入ったようにうつむいた。
「御笠さん、なにも貴方に無理に婚約破棄をしろと迫っているのではないの。でも理解だけはしておいて欲しいの。彼が誰を愛していているのか。お飾りだとしても妻である以上、夫の幸せを優先させなければならないわ」
櫻子を夫の愛人として受け入れろということだろうか。それとも無理に迫っていなくとも、婚約破棄しろということか。
どちらにせよ自分は邪魔だということだ。
たしかに高貴とは愛し合っているわけではない。むしろ嫌われてると言ってもいいだろう。
相変わらずろくな連絡もよこさないし、あの時の射抜くような冷たい目が忘れられない。
しかしそれを婚約者の恋人に言っていいものか。
なけなしのプライドが頭をもたげた。
――こうなりゃ悪役にでもなんでもなってやろうじゃないか。
皇大郎は彼女らをまっすぐ見据えた。そして薄く微笑んで言ったのだ。
「お言葉ですが。僕はあくまで貴島家に望まれて婚約をしたに過ぎません。確かに御笠家は貴女たちとは格が違いますが。だからって妬まれても困るというもの」
「な、なんですって」
怒りかはたまた別の感情か。櫻子の頬が紅く染まる。
「櫻子。君が愛人になるのなら勝手にしてくれよ。しかし正式な婚約者は僕であり、文句があるなら彼に言えばいい。僕をお払い箱にして、君を新しい婚約者にしてくれるかもしれないしね」
「っ、バカにしないで!」
パンッ、と乾いた音が会議室に響く。
一瞬の静寂が場を包み、皇大郎は顔にじわりと痛みと熱を持つのが分かった。
頬を張られたのだ。衝動的だったのだろう。ビンタした彼女も唖然としている。
でも叩かれた方は少し安堵していた。
――これでいい。
上手く行けばこのことを聞いた高貴のほうから婚約破棄されるかもしれない。
こちらからはどうあっても断れないのだから。
御笠家と貴島家は由緒あるといえば前者なのであるが、経済界においては貴島家が断トツなのである。
三代前に起業し、瞬く間に巨大化した会社。そして様々か企業を買収して世界進出も果たしているのがこの一族である。
次は政界にでも打って出ようとでもいう目論見なのか、政界とも深いつながりのある御笠家に目をつけていたのだろう。
本来なら互いにアルファ家系であったはずが、転化したとはいえオメガがいる。これはチャンスだったと。
一方、御笠家にもかなり旨みのある話だった。
なんせ歴史こそ浅いが、あの貴島家との結び付きが強くなるのだ。
現代になってもやはり親族関係を重んじるのが日本人らしいというべきか。
『子供の一人でも早く作ってしまえ』
父がなんでもないような口ぶりで言う。
『間違っても離縁なんてされぬよう、これ以上一族の恥にならないでちょうだいね』
母が神経質に電話口で吐き捨てた。
あれだけ跡取りとして大切に育ててくれたのに、この手のひら返しに最初はかなり戸惑ったものだ。
「御笠さん」
桐生があの射抜くような目でこちらを睨みつけていてようやく現実に引き戻される。
「これは宣戦布告ということでよろしいかしら」
「そもそも貴女には関係のないことだ」
即座に言い返す。
内心、苛立っていた。
「櫻子。君が僕のことをどう吹聴したっていいけど、関係の無い人たちを巻き込むのは良くないんじゃないかな」
その言葉にワッと周囲が湧き上がった。もちろん非難の方に。
金切り声の罵詈雑言が飛び交い、なんと拳や蹴りまで飛んできたが女のそれは痛いだけで傷にすらならない。
――あ、男で良かったかな。
内心、そう自嘲気味につぶやいた。
男のオメガなんて差別の対象としてこれほど象徴的な存在はない。
本来社会的に弱いはずのオメガの中でもヒエラルキーとしては最下層だった。
特に転化したオメガは。
「君たちッ、なにをしているんだ!!」
会議室のドアがけたたましく叩かれ男性の怒鳴り声で、わめきたてていた女たちはハッと我に返る。
「今すぐここを開けなさい!」
さすがに外にもこの騒ぎが漏れ聞こえていたのだろう。
気まずそうに互いに顔を見合わせる彼女たちをよそ目に、皇大郎はゆっくりドアに向かって歩きだす。
手の甲がヒリヒリと痛むと視線を落とすと、どうやら引っかかれたらしい。丁寧に磨かれ手入れされているであろう爪が自分の肌を掻きむしって血が付着したと思えば、なんだかざまぁみろという気持ちになった。
「話はこれでよろしいですね」
アルファが放つ威圧的なフェロモンに耐えながら、なんとか笑みをつくる。
「失礼します」
折り目正しく頭をさげて鍵をあけた。
屈してはいけない、オメガとなってもプライドだけは捨てたくない。
震えそうになる唇を小さく噛みながら、自分に叱咤した。
「……へ?」
だからなんだ、という言葉を飲み込む。
約束通り昼休みに指定された会議室へ出向いた。
すると数人の女性たちに再び囲まれたのだ。
こじんまりとした会議室の中での、桐生が発した冒頭のセリフである。
「そして愛する二人を引き裂く権利は貴方にはない」
「あ、愛する?」
相変わらずのフェロモンに蹴落とされそうになりつつ、桐生に問い返す。
そこで彼女は取り巻きたちに目で合図した。
スッと歩み出てきたのはなんと。
「櫻子……いや、楠木さん」
元カノはうつむきがちで目を潤ませていた。
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「あたし達がついているから」
「怖がらないで、ちゃんと言ってやらなきゃダメよ」
と囁いている。
なんだかまるで自分が悪者でヒロインをいじめてるみたいだと内心ため息をつく。
「貴方が社長と婚約しているのは知ってるわ」
桐生が腕を組んで口を開いた。
「でも彼と本当に愛し合っているのは彼女なのよ」
「まさか……櫻子?」
哀しげに目を伏せる可憐な娘。小さくて華奢で大きな瞳に子鹿を思わせる愛らしい顔のオメガを見る。
その瞬間、顔を伏していて取り巻きからは見えないがほんの少しだけこちらに向いていた瞳がたしかに笑っていた。
「楠木さんのこと、馴れ馴れしく呼ばないでくださる? 彼女は純正のオメガなのですよ、貴方と違ってね」
「それは……」
「昔の関係は聞いているわ。アルファでありながら、他のアルファ男性と姦通なさったとか」
「か、姦通!?」
記憶はない。しかし世間はそんな言い訳は通じないというわけだ。
おおよそ道ならぬ関係、つまり相手は既婚者だったのではないかと噂されていたのは知っていた。
随分と勝手なことを言うものだと呆れ果てていたが、こうして正面切って糾弾されると何も言えなくなってしまう。
「そうして捨てられた彼女の哀しみ、察するに余りありますわ」
逆だ。捨てられたのは自分の方だと弁解しようにも言葉すら挟ませてもらえず、桐生の非難は続く。
「そして新たに出会った恋の前にまた貴方が現れたのです。この意味お分かり?」
つまり恋人であるアルファの男が、ある日突然アルファと浮気。
挙句、自らもオメガになり捨てられた。
悲嘆にくれた女がようやく立ち直り、今度こそ運命の相手と恋に落ちた矢先に再び現れたのがかつての恋人。
しかもオメガとなった男は、新しい恋人の婚約者。
たしかに悲惨だ。
「私と高貴さんは愛し合っているの」
涙の滲んだ声で櫻子が言った。
「もうこれ以上、愛する人を私から取り上げないで……お願い……お願いよ……」
そうしてしゃくりあげて泣き出す彼女を取り巻き達がしっかり抱きしめて。
「これで分かったでしょ! あんたは邪魔なの」
「あんたさえいなければ、この二人は幸せなのよ」
「どーせ家柄にモノ言わせて婚約にこぎつけたんでしょうよ、このアバズレ」
などと浴びせられる罵倒の数々。
誤解だし、なんのいわれがあってこんな責められなければならないんだと反論しようと口を開こうとするが。
「皆さん、少し落ち着きましょう」
悠然と微笑み発した鶴の一声で、取り巻きたちは恥じ入ったようにうつむいた。
「御笠さん、なにも貴方に無理に婚約破棄をしろと迫っているのではないの。でも理解だけはしておいて欲しいの。彼が誰を愛していているのか。お飾りだとしても妻である以上、夫の幸せを優先させなければならないわ」
櫻子を夫の愛人として受け入れろということだろうか。それとも無理に迫っていなくとも、婚約破棄しろということか。
どちらにせよ自分は邪魔だということだ。
たしかに高貴とは愛し合っているわけではない。むしろ嫌われてると言ってもいいだろう。
相変わらずろくな連絡もよこさないし、あの時の射抜くような冷たい目が忘れられない。
しかしそれを婚約者の恋人に言っていいものか。
なけなしのプライドが頭をもたげた。
――こうなりゃ悪役にでもなんでもなってやろうじゃないか。
皇大郎は彼女らをまっすぐ見据えた。そして薄く微笑んで言ったのだ。
「お言葉ですが。僕はあくまで貴島家に望まれて婚約をしたに過ぎません。確かに御笠家は貴女たちとは格が違いますが。だからって妬まれても困るというもの」
「な、なんですって」
怒りかはたまた別の感情か。櫻子の頬が紅く染まる。
「櫻子。君が愛人になるのなら勝手にしてくれよ。しかし正式な婚約者は僕であり、文句があるなら彼に言えばいい。僕をお払い箱にして、君を新しい婚約者にしてくれるかもしれないしね」
「っ、バカにしないで!」
パンッ、と乾いた音が会議室に響く。
一瞬の静寂が場を包み、皇大郎は顔にじわりと痛みと熱を持つのが分かった。
頬を張られたのだ。衝動的だったのだろう。ビンタした彼女も唖然としている。
でも叩かれた方は少し安堵していた。
――これでいい。
上手く行けばこのことを聞いた高貴のほうから婚約破棄されるかもしれない。
こちらからはどうあっても断れないのだから。
御笠家と貴島家は由緒あるといえば前者なのであるが、経済界においては貴島家が断トツなのである。
三代前に起業し、瞬く間に巨大化した会社。そして様々か企業を買収して世界進出も果たしているのがこの一族である。
次は政界にでも打って出ようとでもいう目論見なのか、政界とも深いつながりのある御笠家に目をつけていたのだろう。
本来なら互いにアルファ家系であったはずが、転化したとはいえオメガがいる。これはチャンスだったと。
一方、御笠家にもかなり旨みのある話だった。
なんせ歴史こそ浅いが、あの貴島家との結び付きが強くなるのだ。
現代になってもやはり親族関係を重んじるのが日本人らしいというべきか。
『子供の一人でも早く作ってしまえ』
父がなんでもないような口ぶりで言う。
『間違っても離縁なんてされぬよう、これ以上一族の恥にならないでちょうだいね』
母が神経質に電話口で吐き捨てた。
あれだけ跡取りとして大切に育ててくれたのに、この手のひら返しに最初はかなり戸惑ったものだ。
「御笠さん」
桐生があの射抜くような目でこちらを睨みつけていてようやく現実に引き戻される。
「これは宣戦布告ということでよろしいかしら」
「そもそも貴女には関係のないことだ」
即座に言い返す。
内心、苛立っていた。
「櫻子。君が僕のことをどう吹聴したっていいけど、関係の無い人たちを巻き込むのは良くないんじゃないかな」
その言葉にワッと周囲が湧き上がった。もちろん非難の方に。
金切り声の罵詈雑言が飛び交い、なんと拳や蹴りまで飛んできたが女のそれは痛いだけで傷にすらならない。
――あ、男で良かったかな。
内心、そう自嘲気味につぶやいた。
男のオメガなんて差別の対象としてこれほど象徴的な存在はない。
本来社会的に弱いはずのオメガの中でもヒエラルキーとしては最下層だった。
特に転化したオメガは。
「君たちッ、なにをしているんだ!!」
会議室のドアがけたたましく叩かれ男性の怒鳴り声で、わめきたてていた女たちはハッと我に返る。
「今すぐここを開けなさい!」
さすがに外にもこの騒ぎが漏れ聞こえていたのだろう。
気まずそうに互いに顔を見合わせる彼女たちをよそ目に、皇大郎はゆっくりドアに向かって歩きだす。
手の甲がヒリヒリと痛むと視線を落とすと、どうやら引っかかれたらしい。丁寧に磨かれ手入れされているであろう爪が自分の肌を掻きむしって血が付着したと思えば、なんだかざまぁみろという気持ちになった。
「話はこれでよろしいですね」
アルファが放つ威圧的なフェロモンに耐えながら、なんとか笑みをつくる。
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