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第一章
ep-12 住人が増えても良いよね
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「うっわーっ‼︎海が綺麗ですわーっ‼︎」
「そーだねー」
「んもう、ヴィートももっとはしゃいで良くってよ‼︎」
「いや、まぁ…言うてもう26だし…」
青い空に青い海。高いビル群もなく、ヴィートが暮らしている神奈川や偶に仕事で訪れる東京と違い喧騒も少ない沖縄県某所。日本有数の南国地であり、よく高校生や若者が旅行で訪れる県である。
ヴィートは雑貨商の仕事がてらに訪れる予定が前々からあり、以前のお風呂やらかし回後に思い出してバカンス気分で訪れる…筈だったのだ。仕事を終えて、泡盛やステーキに舌鼓を打つ。そんな幸せな未来を想像していた。
しかしソレはそこから僅か数十分で脆くも崩れ去った。
玄関でブルムンドと石鹸を専売で売る代わりにギルドには今日のことは黙る様に話をして、ちょうど帰ろうとしていた時。バルンバルンと巨大なメロンを揺らしながら疾走してくるミーニャ。そのままドガーンという音が聞こえそうな勢いでヴィートに抱き付く。もう自分より強いと知っているせいか、遠慮なく全力である。
ギリギリと締め付ける様に抱きつくミーニャを引き剥がそうとするも、びくともしない。
「ヴィート、どこに行くんですの⁉︎」
「え、仕事が他にもあるから帰るんだけど…あの領主様からお金は受け取ったし、実力は他言無用ってことで石鹸の専売契約も取ったし」
「ついて行きますわ‼︎」
「帰れ」
ブルン…とはいかず、ヴィートからもらったクソデカブラでどたゆんと無駄には揺れないものの、圧倒的質量を誇示するそれを張り宣言され、ヴィート本人はゲンナリとした顔をする。
「だって学校とかあるでしょ?僕は成人してるし14歳のお子様は学校でしっかり学びなさいな」
「残念ですわ…こんなに素晴らしい下着や服をもらって果てにはあんな立派な風呂まで作ってもらったのに」
「作らせたんだろ言い換えんなミノ女」
「あんまりそう言うこと言うと本気で襲いますわよ」
ずっと目のハイライトが消えて手をワキワキし始めるミーニャ。貞操の危機を感じ取り、飛び去る様に背後に離れる。明らかにアレはやる気である…いや、ヤる気である。あの親にしてこの子あり、か。
「怖えよ⁉︎辞めろよ⁉︎君が言うと冗談に聞こえねーよ⁉︎」
「本気ですわ‼︎」
再びドイィィンッと胸を張りそう宣言され、頭を抱えるヴィートと、それを背後で見て溜息を吐くブルムンド。
「何で君たち風呂上がりでそこまで仲良くなってるのさ…」
「こんなに可愛い子と全裸で風呂に入れたのですわ‼︎なら愛でるのも淑女の」
「「嗜みじゃねーよ⁉︎」」
「…お父様、まさか…」
今度は父であるブルムンドに対して目のハイライトを消すミーニャ。思わずブルムンドも手をブンブン振りながら弁解に入る。なおこの間、メイドと執事達は巻き込まれない様に我関せずとしている。巻き込まれて吹き飛ばされたくないのだ。
過去、若いチャラついた執事が「お嬢~、ダメっすよー?」とヘニャヘニャと笑いながら止めようとして顔面を某超人プロレスのペン○ゴンの如くベッコリと裏拳で吹き飛ばされ(誰の裏拳とは言うまい)、全治1ヶ月の重傷を負ったこともあった。因みに止めようとした理由はミーニャの見た目で、巨乳フェチの彼はうまいこと取り入って、お手つきしたいなぁ…と行動してしまったのだが、逆に巨乳フェチから女性恐怖症になってしまった。哀れ。
「違う違う‼︎僕は別にそう言う趣味じゃないと言ったろう⁉︎あれ?待って何で襟掴んでるのミーニャ?ミーニャ?ミーニャ⁉︎離して、あっちょっ」
「ちょーっと、O☆HA☆NA☆SHI☆するのですわ」
「待って待って⁉︎なら引き摺らないで⁉︎そしてその血管が浮いてギリギリと音を鳴らしている拳を下ろしてくれないかなぁ⁉︎僕そんなので殴られたらいくらミーニャの父でも死んじゃうかなぁ⁉︎」
玄関で襟を掴まれたブルムンド。そのまますぐ横の小部屋に引き込まれそうになるものの、全力で近くの柱にしがみつき抵抗する。
ミーニャの拳を見れば、それはもう悪鬼羅刹も粉々にできそうなほど力と魔力が込められた拳がある。確かにこれは死ぬ。
「大丈夫ですわ‼︎お母様には不慮の事故として」
「死ぬじゃん⁉︎僕死ぬじゃん‼︎もっとお父様の命を尊ぼう⁉︎」
「…良いですの、お父様。ヴィート≧≧≧お父様ですわ‼︎つまり、グッバイですわ‼︎」
介錯とばかりに拳を振りかぶられイヤイヤと頭を振る父。流石に長いとヴィートが止めに入らなければ、きっとスイカ割りのスイカめいて爆ぜていたことだろう。
そして再び玄関にて。
「じゃ、帰るから…でもたまに風呂にはくるから」
「うん、好きな時に帰ってきて良い。僕も門番達に伝えておくから。良き友人として、ね?…だから拳を握って肩を回さないでミーニャ‼︎(早口)」
「…チッ…また楽しみにしてますわ、ヴィート‼︎」
そう別れて屋敷を後にし普段の宿屋へ。いつもの買い取った部屋に入り、普段通りつまみをひねる。ガチリと「アパート」の表示になったのを確認して扉を開けると、久々の神奈川の我が家。
「帰ってきたァ…疲れたァ…銀のやつ銀のやつ…」
ポイポイと服を脱ぎ捨て、疲労を癒す為(精神疲労だが)、下着にTシャツ一枚となる。黒いダボダボのそれには当然「G○DEATER」のロゴと一番大好きなデフォルメしたプ○ティヴィ・マー○が毛糸球で遊んでいるプリントがされている(ヴィート自作の非売品)。
肌も擬態をやめて元の老竹色になっている。冷蔵庫に走り、戸を開けたタイミングで、足場を出してないことに気がつく。
「足場を…」
「はい、これで良いですの?」
ずっと上から現れた細く白い腕が銀のやつを取ってヴィートに渡す。思わず顔を綻ばせて礼を言う。お礼、大事である。
「あ、そうそう。ありがとう」
「いえいえ、でも変わった入れ物ですわねー」
「でしょー、缶ビールって……」
「……」
「…何で居るの」
「…き、来ちゃった⭐︎」
ジャキリとパンツに仕込んだ緊急用の収納魔法からいつもの武器を取り出し、ブレードを突きつける。もう換装を終えてロン○ブレードになっている、その切先を何故かヴィート宅に居るミーニャの喉に押し付ける。
「どうやって来た?僕の家にはあのゲートからしか」
「その…お家が気になって…?つい魔法で姿を隠して?ついて来ちゃった…ですわ‼︎」
「誤魔化すな馬鹿たれ‼︎」
「だってだって‼︎こんなに可愛いヴィートがむさいおっさんまみれの宿屋で襲われたらと思うと…ヴェッ」
「吐くなよ⁉︎絶対吐くなよ‼︎⁉︎」
何を想像したのか真っ白な顔で震え出すミーニャに慌てて背中をさする。
「でも、変わった部屋ですわね…見たことのない道具でいっぱいですわ」
「…帰って?」
「嫌ですわーっ‼︎私もここでヴィートとイチャイチャしたいですわーッ‼︎」
「辞めろ発情モンスター‼︎ご近所に迷惑だろ‼︎」
「…ご近所?どうせ冒険者のおっさんでしょ」
ブスくれた顔で座り込み駄々をこねる彼女にヴィートは困り果ててしまった。説明しようにも説明して仕舞えば絶対に居付かれる。かと言って説明せずに黙らせた挙句帰らせる手段も思いつかない。力技でやっても、きっとこのミーニャはやって来る…ヤリに来るだろう。
暫し考え込む…どうしたものか、と。
「ヴィート?そんな座り方ダメですわ、見えてしまい…おほっ、黒のスケスケゲウッ」
「何めくって人のパンツ見てん…嗅ぐな馬鹿たれ」
胡座を描き目をとじ腕組みして考えているヴィート。これ幸いとシャツを捲り下着確認からの鼻押し付けで嗅ぎ始める変態に、怒りの鉄拳が落ちる。当たり前である。
少し腫れた頭をさすりながら離れたのを確認して、ヴィートは大きく溜息を吐く。
「何個か条件を出す…それを飲めるならここに来た事は不問にするし多少今回は滞在も許可する」
「分かったですわ‼︎」
「1つ、騒がない」
「うっ…善処致しますわ…」
「2つ、勝手に外に行かない」
「分かったですわ」
「3つ、私にセクハラ…イタズラや愛でることをしな「無理ですわ‼︎」…減らせ」
「前向きに検討する方向で考えていきたいですわ」
「…」
次々に挙げる条件に答えるも、やはり最後のは嫌がる辺りもうミーニャがミーニャしていると言っても過言ではないだろう。頭を抱えるヴィートも、少し考え込み…
「だから捲るな嗅ぐな埋めるな‼︎」
「ネギィッ⁉︎」
ゴスっと拳でなく肘が、再びヴィートの股座に埋められていたミーニャの頭に落ちる。鼻血が出ているのはきっと床にぶつけたからだろう。決して興奮しまくって出したことではないと思う、思いたい…
すりすりと頭をさすりながら座り直すミーニャに、ヴィートはそれはそれは長い溜息をひとつついてから、結論を告げた。
「許可はする…今日だけね」
「やった‼︎ですわ‼︎」
「ただし‼︎」
ピシリと指を突きつけられ、びくりと止まる。
「少しでもルールを破ったら即追い出す…分かった?」
「分かったですわハムッ」
「咥えんなーッ‼︎」
「ミュッ‼︎」
指先に食いつきそれはもうキャンディの如くねぶるその頭に、空いた左手のチョップが落ちる。学ばぬ女、ミーニャ。
そうして一度で追い返すはずが…
「今日も来ましたわーっ‼︎お土産にホーンラビット獲ってきましたわ‼︎」
「…お、おう」
翌る日は。
「ただいまー」
「おかえりですわ~…あ、お風呂沸かしてあるから入れますわ‼︎干していた洗濯物も畳んでしまってますわ」
「…あ、はい…」
またさらに翌る日は。
「…た、ただいまぁ~?」
「あ、お帰りなさいですわ‼︎今日はスーパーで鶏肉が安かったから唐揚げですわ‼︎」
「…ウンオイシソウダネー」
更に更に翌月のある日は。
「……今日は…居ない…な?」
「ただいまですわ~‼︎あ、ヴィートお帰りなさいですわ‼︎今日はそこの商店街で福引があってコーベギューを当てましたわ‼︎」
「ワースゴーイ」
完全に居着いていた。何なら多分ヴィートより居る…高確率で。て言うか商店街で聞いてみたらもう顔馴染みになっていた。
ミーニャ曰く。
「少しでも生活を手伝いたいと思って色々してたらなんか外に行っていて気がついたらこうなってましたわ‼︎…あ、外出たらダメでしたわ⁉︎」
との事。今更元の世界から出禁にしようにも、顔と家を知られ過ぎている為出来ない。日本語に付いても流石は貴族、ヴィート宅のAmaz○nPrimeのアニメと普段のヴィートの仕事の会話、それに対するミーニャの質問で片言ながら覚えてしまっていた。
そのおかげか、外では片言だけど愛想のいい外人の女の子として定着してしまったのだ。しかも…
「ワタシ、ヴィートのオヨメさん、シュギョーできた‼︎」
と、片言ながら言い回ったらしく周りから生暖かい目を向けられるようになってしまった。外堀は埋められていたのだ…
「ねぇミーニャ」
「何ですの?今最新話を見るのに忙しいのですの」
「馴染みすぎだろお前…いや、学校っていつから?」
「んー…確か…半月後ですわ‼︎」
「家からは何も言われないの?」
「ヴィートなら任せられるって言われましたわ‼︎後お母様は可愛い娘の相手とお話したいって言ってましたわ?」
要らぬフラグも立てていた。死ぬな、ヴィート‼︎
「そーだねー」
「んもう、ヴィートももっとはしゃいで良くってよ‼︎」
「いや、まぁ…言うてもう26だし…」
青い空に青い海。高いビル群もなく、ヴィートが暮らしている神奈川や偶に仕事で訪れる東京と違い喧騒も少ない沖縄県某所。日本有数の南国地であり、よく高校生や若者が旅行で訪れる県である。
ヴィートは雑貨商の仕事がてらに訪れる予定が前々からあり、以前のお風呂やらかし回後に思い出してバカンス気分で訪れる…筈だったのだ。仕事を終えて、泡盛やステーキに舌鼓を打つ。そんな幸せな未来を想像していた。
しかしソレはそこから僅か数十分で脆くも崩れ去った。
玄関でブルムンドと石鹸を専売で売る代わりにギルドには今日のことは黙る様に話をして、ちょうど帰ろうとしていた時。バルンバルンと巨大なメロンを揺らしながら疾走してくるミーニャ。そのままドガーンという音が聞こえそうな勢いでヴィートに抱き付く。もう自分より強いと知っているせいか、遠慮なく全力である。
ギリギリと締め付ける様に抱きつくミーニャを引き剥がそうとするも、びくともしない。
「ヴィート、どこに行くんですの⁉︎」
「え、仕事が他にもあるから帰るんだけど…あの領主様からお金は受け取ったし、実力は他言無用ってことで石鹸の専売契約も取ったし」
「ついて行きますわ‼︎」
「帰れ」
ブルン…とはいかず、ヴィートからもらったクソデカブラでどたゆんと無駄には揺れないものの、圧倒的質量を誇示するそれを張り宣言され、ヴィート本人はゲンナリとした顔をする。
「だって学校とかあるでしょ?僕は成人してるし14歳のお子様は学校でしっかり学びなさいな」
「残念ですわ…こんなに素晴らしい下着や服をもらって果てにはあんな立派な風呂まで作ってもらったのに」
「作らせたんだろ言い換えんなミノ女」
「あんまりそう言うこと言うと本気で襲いますわよ」
ずっと目のハイライトが消えて手をワキワキし始めるミーニャ。貞操の危機を感じ取り、飛び去る様に背後に離れる。明らかにアレはやる気である…いや、ヤる気である。あの親にしてこの子あり、か。
「怖えよ⁉︎辞めろよ⁉︎君が言うと冗談に聞こえねーよ⁉︎」
「本気ですわ‼︎」
再びドイィィンッと胸を張りそう宣言され、頭を抱えるヴィートと、それを背後で見て溜息を吐くブルムンド。
「何で君たち風呂上がりでそこまで仲良くなってるのさ…」
「こんなに可愛い子と全裸で風呂に入れたのですわ‼︎なら愛でるのも淑女の」
「「嗜みじゃねーよ⁉︎」」
「…お父様、まさか…」
今度は父であるブルムンドに対して目のハイライトを消すミーニャ。思わずブルムンドも手をブンブン振りながら弁解に入る。なおこの間、メイドと執事達は巻き込まれない様に我関せずとしている。巻き込まれて吹き飛ばされたくないのだ。
過去、若いチャラついた執事が「お嬢~、ダメっすよー?」とヘニャヘニャと笑いながら止めようとして顔面を某超人プロレスのペン○ゴンの如くベッコリと裏拳で吹き飛ばされ(誰の裏拳とは言うまい)、全治1ヶ月の重傷を負ったこともあった。因みに止めようとした理由はミーニャの見た目で、巨乳フェチの彼はうまいこと取り入って、お手つきしたいなぁ…と行動してしまったのだが、逆に巨乳フェチから女性恐怖症になってしまった。哀れ。
「違う違う‼︎僕は別にそう言う趣味じゃないと言ったろう⁉︎あれ?待って何で襟掴んでるのミーニャ?ミーニャ?ミーニャ⁉︎離して、あっちょっ」
「ちょーっと、O☆HA☆NA☆SHI☆するのですわ」
「待って待って⁉︎なら引き摺らないで⁉︎そしてその血管が浮いてギリギリと音を鳴らしている拳を下ろしてくれないかなぁ⁉︎僕そんなので殴られたらいくらミーニャの父でも死んじゃうかなぁ⁉︎」
玄関で襟を掴まれたブルムンド。そのまますぐ横の小部屋に引き込まれそうになるものの、全力で近くの柱にしがみつき抵抗する。
ミーニャの拳を見れば、それはもう悪鬼羅刹も粉々にできそうなほど力と魔力が込められた拳がある。確かにこれは死ぬ。
「大丈夫ですわ‼︎お母様には不慮の事故として」
「死ぬじゃん⁉︎僕死ぬじゃん‼︎もっとお父様の命を尊ぼう⁉︎」
「…良いですの、お父様。ヴィート≧≧≧お父様ですわ‼︎つまり、グッバイですわ‼︎」
介錯とばかりに拳を振りかぶられイヤイヤと頭を振る父。流石に長いとヴィートが止めに入らなければ、きっとスイカ割りのスイカめいて爆ぜていたことだろう。
そして再び玄関にて。
「じゃ、帰るから…でもたまに風呂にはくるから」
「うん、好きな時に帰ってきて良い。僕も門番達に伝えておくから。良き友人として、ね?…だから拳を握って肩を回さないでミーニャ‼︎(早口)」
「…チッ…また楽しみにしてますわ、ヴィート‼︎」
そう別れて屋敷を後にし普段の宿屋へ。いつもの買い取った部屋に入り、普段通りつまみをひねる。ガチリと「アパート」の表示になったのを確認して扉を開けると、久々の神奈川の我が家。
「帰ってきたァ…疲れたァ…銀のやつ銀のやつ…」
ポイポイと服を脱ぎ捨て、疲労を癒す為(精神疲労だが)、下着にTシャツ一枚となる。黒いダボダボのそれには当然「G○DEATER」のロゴと一番大好きなデフォルメしたプ○ティヴィ・マー○が毛糸球で遊んでいるプリントがされている(ヴィート自作の非売品)。
肌も擬態をやめて元の老竹色になっている。冷蔵庫に走り、戸を開けたタイミングで、足場を出してないことに気がつく。
「足場を…」
「はい、これで良いですの?」
ずっと上から現れた細く白い腕が銀のやつを取ってヴィートに渡す。思わず顔を綻ばせて礼を言う。お礼、大事である。
「あ、そうそう。ありがとう」
「いえいえ、でも変わった入れ物ですわねー」
「でしょー、缶ビールって……」
「……」
「…何で居るの」
「…き、来ちゃった⭐︎」
ジャキリとパンツに仕込んだ緊急用の収納魔法からいつもの武器を取り出し、ブレードを突きつける。もう換装を終えてロン○ブレードになっている、その切先を何故かヴィート宅に居るミーニャの喉に押し付ける。
「どうやって来た?僕の家にはあのゲートからしか」
「その…お家が気になって…?つい魔法で姿を隠して?ついて来ちゃった…ですわ‼︎」
「誤魔化すな馬鹿たれ‼︎」
「だってだって‼︎こんなに可愛いヴィートがむさいおっさんまみれの宿屋で襲われたらと思うと…ヴェッ」
「吐くなよ⁉︎絶対吐くなよ‼︎⁉︎」
何を想像したのか真っ白な顔で震え出すミーニャに慌てて背中をさする。
「でも、変わった部屋ですわね…見たことのない道具でいっぱいですわ」
「…帰って?」
「嫌ですわーっ‼︎私もここでヴィートとイチャイチャしたいですわーッ‼︎」
「辞めろ発情モンスター‼︎ご近所に迷惑だろ‼︎」
「…ご近所?どうせ冒険者のおっさんでしょ」
ブスくれた顔で座り込み駄々をこねる彼女にヴィートは困り果ててしまった。説明しようにも説明して仕舞えば絶対に居付かれる。かと言って説明せずに黙らせた挙句帰らせる手段も思いつかない。力技でやっても、きっとこのミーニャはやって来る…ヤリに来るだろう。
暫し考え込む…どうしたものか、と。
「ヴィート?そんな座り方ダメですわ、見えてしまい…おほっ、黒のスケスケゲウッ」
「何めくって人のパンツ見てん…嗅ぐな馬鹿たれ」
胡座を描き目をとじ腕組みして考えているヴィート。これ幸いとシャツを捲り下着確認からの鼻押し付けで嗅ぎ始める変態に、怒りの鉄拳が落ちる。当たり前である。
少し腫れた頭をさすりながら離れたのを確認して、ヴィートは大きく溜息を吐く。
「何個か条件を出す…それを飲めるならここに来た事は不問にするし多少今回は滞在も許可する」
「分かったですわ‼︎」
「1つ、騒がない」
「うっ…善処致しますわ…」
「2つ、勝手に外に行かない」
「分かったですわ」
「3つ、私にセクハラ…イタズラや愛でることをしな「無理ですわ‼︎」…減らせ」
「前向きに検討する方向で考えていきたいですわ」
「…」
次々に挙げる条件に答えるも、やはり最後のは嫌がる辺りもうミーニャがミーニャしていると言っても過言ではないだろう。頭を抱えるヴィートも、少し考え込み…
「だから捲るな嗅ぐな埋めるな‼︎」
「ネギィッ⁉︎」
ゴスっと拳でなく肘が、再びヴィートの股座に埋められていたミーニャの頭に落ちる。鼻血が出ているのはきっと床にぶつけたからだろう。決して興奮しまくって出したことではないと思う、思いたい…
すりすりと頭をさすりながら座り直すミーニャに、ヴィートはそれはそれは長い溜息をひとつついてから、結論を告げた。
「許可はする…今日だけね」
「やった‼︎ですわ‼︎」
「ただし‼︎」
ピシリと指を突きつけられ、びくりと止まる。
「少しでもルールを破ったら即追い出す…分かった?」
「分かったですわハムッ」
「咥えんなーッ‼︎」
「ミュッ‼︎」
指先に食いつきそれはもうキャンディの如くねぶるその頭に、空いた左手のチョップが落ちる。学ばぬ女、ミーニャ。
そうして一度で追い返すはずが…
「今日も来ましたわーっ‼︎お土産にホーンラビット獲ってきましたわ‼︎」
「…お、おう」
翌る日は。
「ただいまー」
「おかえりですわ~…あ、お風呂沸かしてあるから入れますわ‼︎干していた洗濯物も畳んでしまってますわ」
「…あ、はい…」
またさらに翌る日は。
「…た、ただいまぁ~?」
「あ、お帰りなさいですわ‼︎今日はスーパーで鶏肉が安かったから唐揚げですわ‼︎」
「…ウンオイシソウダネー」
更に更に翌月のある日は。
「……今日は…居ない…な?」
「ただいまですわ~‼︎あ、ヴィートお帰りなさいですわ‼︎今日はそこの商店街で福引があってコーベギューを当てましたわ‼︎」
「ワースゴーイ」
完全に居着いていた。何なら多分ヴィートより居る…高確率で。て言うか商店街で聞いてみたらもう顔馴染みになっていた。
ミーニャ曰く。
「少しでも生活を手伝いたいと思って色々してたらなんか外に行っていて気がついたらこうなってましたわ‼︎…あ、外出たらダメでしたわ⁉︎」
との事。今更元の世界から出禁にしようにも、顔と家を知られ過ぎている為出来ない。日本語に付いても流石は貴族、ヴィート宅のAmaz○nPrimeのアニメと普段のヴィートの仕事の会話、それに対するミーニャの質問で片言ながら覚えてしまっていた。
そのおかげか、外では片言だけど愛想のいい外人の女の子として定着してしまったのだ。しかも…
「ワタシ、ヴィートのオヨメさん、シュギョーできた‼︎」
と、片言ながら言い回ったらしく周りから生暖かい目を向けられるようになってしまった。外堀は埋められていたのだ…
「ねぇミーニャ」
「何ですの?今最新話を見るのに忙しいのですの」
「馴染みすぎだろお前…いや、学校っていつから?」
「んー…確か…半月後ですわ‼︎」
「家からは何も言われないの?」
「ヴィートなら任せられるって言われましたわ‼︎後お母様は可愛い娘の相手とお話したいって言ってましたわ?」
要らぬフラグも立てていた。死ぬな、ヴィート‼︎
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