15 / 30
第一章
ep-15 機嫌取りには肉が良いよね
しおりを挟む
「ヴィート」
「はい…」
ホテルの一室。正座するヴィートと椅子に座り脚を組むミーニャ。空気は張り詰め、正座したヴィートは汗をダラダラ流している。服はホテルの浴室に投げ込まれそれはもう丁寧に洗われ、しっかりと柔らかいバスローブに包まれている。
季節は冬。だが、沖縄特有の気候の影響か本日の気温は20度を超えている。
なのにヴィートはカタカタと震えている。
「貴方は女の子でしてよ?」
「で、でも29だし?ほ、ほら子供って歳でも」
「誰が意見して良いと」
「すいませんでした」
土下座。日本に来て学んだ素晴らしき謝罪方法である。大抵の悪い悪戯系のものはこれで許される…らしい。ドラマでも不倫していた男が妻に「君しか居ないんどぅぁーっ‼︎」と泣きながら放ち「死ねゴミ」と蹴られていた。あれ?駄目では?
「はい、何で私は怒っているのでしょう?」
「ホイホイとよく分かんない人について行ったからです」
「そうですわね。で?良い大人はホイホイついていかなくて?」
「はい、そうです」
「誰かさんは私にあまり暴れるなだの勝手に出歩くなだの言ってましたわね?」
「はい、ごめんなさい」
みっちり続くミーニャの説教。実際、力的な話ならヴィートが圧倒的に強いだろう。それは生物的にもだ。
しかし、あのヤクザスラングめいたとんでもない罵詈雑言に、普段の騎士めいた攻撃と掛け離れたヤクザめいたとんでも喧嘩殺法による攻撃。普通に怖い。しかも回収後てっきりミーニャにペロリと平らげられるかと思えば、正座からの説教タイム。
疲れた…
「み、ミーニャ…さん」
「んん?」
「その…ご、ご飯食べない?ぼ、僕が奢るからさ?」
「私、未成年で無銭でしてよ」
「じゃあステーキ、ステーキ食べよう‼︎」
ステーキ。そう言われてミーニャは少しゲンナリした顔になった。ヴィートとしてはステーキなんて日本に来てから食べたものだから元の世界のステーキを知らない。
ミーニャはステーキは大嫌いだった。元の世界において、ステーキは基本魔物の肉をそのまんま焼いたものを指していた。それは日本で食べた焼き肉と比べてはいけないレベルのものだった。貴族の屋敷で食べられるものはそれなりに美味しいが、家畜は基本魔物に殺されるので飼われることは少なく基本的には魔物を狩ってかそのかられた魔物を買ってかして食べるのだ。
当然だが、美味いステーキは王族などごく一部の人間が食べられるもので、それでも日本のもの…いや、地球のものとは比べ物にならない。
どれぐらい酷いかというと…
「だってステーキって筋張って美味しくないし…家畜に関しても潰した家畜でしょ?…美味しくないですわ…」
2度も美味しくないというほど美味しくないのだ。しかも胡椒含めてスパイス類は当然ながら高級品。貴族でもおいそれと使えない。それは塩にも当てはまる。さらに言えばどちらも精製度合いが甘く、雑味が多い。
「ま、まぁまぁ‼︎ワジマから美味しい店教えてもらってるから‼︎ね?」
「そのワジマって人、気に入りませんわ…」
「変な所で嫉妬しないで…僕とワジマはただの仕事の関係だから」
「…む~…でもなんか気に入りませんわ。私の知らないヴィートを知っているのは気に入りませんわ‼︎」
ムキーッと怒りの矛先が変わったことに、ほっと一息。因みにワジマからの情報は…
『ライカムって地区があってね!そこに大型ショッピングモールがあるの、でもそこは基本的に美味しいんだけど…やっぱり島のステーキの中でワタシのお気に入りは島袋にあるここだね‼︎高いけど、美味いのよ~…ワタシ、沖縄行くたび毎回言ってるくらいだし、脂も美味しくて最オブ高…あぁ…ワタシも食べに行きたーい‼︎』
と、喋り続けていた。ウザくなってきったヴィートは悪くないと思う。
「と、取り敢えず…着替えを」
「はい」
「…なにこれ」
渡されたものは普段のパンツ…アンド、真っ白なレオタードと真っ黒なカーゴパンツ。そしてデニムの半袖ジャンパー。何処か某○殻機動隊の少佐殿の様な姿である。色は違うが。あと筆者は映画『スタンドア○ーン・コンプレックス』で屋上で部下と話していたあの少佐の格好はとてもエチチで良いと思います(小並感)。
「何って…最近見たアニメの主人公の格好。私的にヴィートに合う色に改変してるけど」
「何で⁉︎」
「ヴィート、コスプレするのですよねぇ(ねっとり)」
「⁉︎」
ビクンと肩が跳ねる。何故だろう…ですわ言葉が外れたミーニャは何かストッパーも外れている様に見えるのは…そうヴィートが思っていると。
「偶然、本当に偶然…ヴィートの個人PCのフォルダ内に入っている写真…見ちゃいました」
「‼︎‼︎⁉︎⁉︎」
「可愛い格好でしたねぇ?大好きなG○DEATERのア○サと同じだと似合わないからとわざわざ青色に変更した同じコスチュームでポージングしているヴィートの写真を…ねぇ」
「こ、殺してくれ…」
まさかの一番今知られたくない人に一番知られたくない格好を知られた。土下座の如く崩れ落ちる…真っ白になって。
「ヴィート?大丈夫ですわ…きっと、いえ絶対格好可愛い‼︎」
「アッ、ソッスカー…ハハッ」
「じゃあメイクもやっちゃいますわ‼︎」
「あっちょっアァーッ」
そこから実に30分後。シクシクと泣いているヴィートがいた。服装はさっき渡されたどこぞの少佐の様な服装。正直普段着で着ているあの人は痴女だと思うヴィート。泣こうも、ミーニャが施したメイクに使われた道具はウォータープルーフなので崩れることも無い。
「んんっ、良い出来ですわァーッ‼︎ほら‼︎こっちに視線くださいですわ‼︎あぁーッ心が洗われるぅーッ‼︎」
「ひぃっ…なんかミーニャ知らない動きしてるぅ…気持ち悪ぅ…」
パシャパシャとどこに積んでたのか、バズーカレンズまで入った箱を取り出してその中から現れたのは一眼レフカメラ。そしてレフ板と照明。それらをセットして撮影を始めるミーニャ。その動きはもうゴキブリめいていた。
「す、ステーキを、ね?」
「あと200枚だけ‼︎」
「多いわ、5枚」
「…はい」
素で真顔になったヴィートに言われ、しょぼんとした顔になるミーニャ。でも流石に動きがキモイぞミーニャ‼︎伸脚張りに足を伸ばして開いて、カサカサと走り回るのはキモすぎるぞミーニャ‼︎
そしてきっちりバルコニーやベランダ、室内のベッドなどを使って撮影を終えてホクホク顔に戻ったミーニャ。反面、ヴィートはげっそりしていたが。
「うん、もう疲れたからさ…飯ね」
「良いですわ‼︎私、今最っ高に幸せですわぁ‼︎今ならステーキでも食えそうですわぁ‼︎」
「美味いよ?ステーキ」
「…そう思うことにするのですわ」
「所で着替えは」
「それですわ‼︎」
「いや、普段着を」
「それしか無いですわ‼︎」
「変えの服を」
「…来ていってくださるのですわ…?」
「…はい」
渋々今きた服のままで行くことになる。だがヴィートは知らない…ミーニャの持ってきたものの中でこれが一番マシだと。他に入っていたコスプレは…ホテルなら暖房使えると言うことでマイクロビキニ。バニースーツ。逆バニーにチャイナドレス。ゲーム系ならG○DEATERからはサ○ヤさん。その他色々…
その中でならまだ良い方だろう。
ヴィートが慣れた手つきでスマホを使い、タクシー会社に電話をする。僅か数分でやってきたそれに乗り込むと、目指すは島袋。少し…いや結構離れてはいるがタクシーでならすぐに着く。
「わぁ、此処ですわね⁉︎なんか古い感じがして良い雰囲気ですわ‼︎」
「何でもこの県でだいぶん昔からある…と言うか初めてのステーキの店じゃなかったっけ?僕ぁ美味い店としてしか聞いてないから詳しく無いけど」
「ふぇ~ですわー‼︎」
時間は既に17時30分、もう開店している。少し古めかしい扉の戸を引き開けるとカランカランとシックで落ち着いた雰囲気のダークブラウンでウッディーな店内に入る。もともと酒を提供するためだったのか、左手にはバーカウンター。酒類も綺麗にきっちりと棚に並べられている。
「いらっしゃいま…せ」
「あ、あぁ…2人だ」
「2名様ですね、こちらへどうぞ」
ヴィートの服装を見て一瞬固まる店員。だが、プロは違う。すぐに切り替えて2人を店の奥…窓の前に案内する。ヴィートとミーニャのすぐ横が大きな窓となっている。
「わっ、わぁ‼︎見て見てヴィート‼︎あんなに綺麗な景色が‼︎」
「騒がない…ここ、レストランだからね」
「あ、はーい…ですわ」
きゃっきゃっとはしゃぐミーニャを座らせ、置かれたタブレットを操作する。メニューはステーキなどから始まり、ハンバーグにアヒージョ、魚を使った焼き物やサラダにドリンクもノンアルコールからアルコール飲料まで多岐に渡る。実に迷う。
「えっえっ…」
「わっ、どうしたミーニャ」
「何これですわ…えっ、めっちゃ美味しそうな写真が…えっ…あっ、隣の…良い匂い…」
ふわりと鼻腔をくすぐるバターの甘い匂いと、牛肉の焼けたジューシーな香り。まさに匂いの暴力である。
「ヴィートヴィート‼︎私これにしますわ‼︎」
「ハンバーグステーキ?…え、いや、まぁ…好きなので良いよね」
「?」
「んじゃ僕ぁこっちのジャン○ステーキにしようか。人気みたいだし」
そんな話をはしながら飲み物を見ると結構カラフルであった。ミーニャは流石に尻込みをしたのか「み、水でいいですわ‼︎」と何も頼まなかった。対してヴィートは…
「沖縄来たならオリオ○ビールだよねぇ…あ、ジャッ○ダニエル…ロックで行くか」
迷いなくビールとウイスキーを選んだ。この酒好きは変わらない。しかもロックを選んでいるあたりゆっくり堪能する気満々で有る。そして待っている間に出てきたるはオリオ○ビール‼︎
ステーキハウス…それもラウンジパブをイメージした内装でありながら、違和感のない綺麗なジョッキグラス。キンキンに冷やされたそれに注がれるは黄金色の神の水…っ‼︎
「おぉ…」
「うにぃ…私も飲みたいですわ…」
「お子ちゃまはジュースでも飲んでりゃ良いのに」
「でも、青い飲み物なんてポーションとかしか知りませんわ」
「こっち側にそんなのないっての…」
ポーションの味を思い出したのか顔をまたもや顰めるミーニャ。え?ポーションの味?……き、気合があれば飲めるさ‼︎(第一騎士団団員談)
そんな話をしながらビールジョッキに口をつけてコクコクと流し込む。黄金色の液体は、冷やされたジョッキの縁につけられた小さな唇をこぼれることなく渡り、その細い首を上下させながら流れていく。
その味はまさに爽やか。重くもなく、苦過ぎることもなく。飲みやすいの一言に尽きる。しかしながらもその奥にはしっかりビールとしての旨みもあり。
「あぁーっ‼︎美味い‼︎」
「気になりますわぁ~…」
「へいへい、おっとロックも忘れていた…んんー、この香りだよこれこれ」
仰ぐようにして嗅ぎ、恍惚とそう言うヴィートに釣られたミーニャも身を乗り出して嗅ぐ。確かに嗅いだことはない(未成年以前にこんなに良い酒自体ない)もののとても良い香りだった。
それを掲げるように光に当てれば薄い琥珀色のそれはキラキラと液体の宝石のように光を放つ。
一口。小さくだが口に含む。そのまま下で転がすよう、丁寧に口内に広げ味わう。忽ち口の温度で立ち昇る様に広がる香り。スッキリとした味わいでロック特有の焼ける様な強い酒精も感じる。
「うっっっまぁ…」
「タメが長いですわ」
「いや、久しぶりにロック飲むとね」
「普段は安い缶ビールですものね」
「うっせ、家計の助けと言ってくれ」
「なら禁酒にするのですわ」
「ごめんなさい生意気言いましたこれからもビールください」
「よく言えましてよ…」
あまりにも早い手のひら返し。俺でなければ見逃しちゃうね。机にて平伏するヴィートとため息混じりのミーニャ。数ヶ月しか過ごしていないのに、家事関係で完全に力関係は逆転していた。
「あの~ご注文の品です」
「「待ってました」」
まずミーニャの前に置かれたのは熱々のハンバーグステーキ。サイドについているのは小さな一口サイズのハッシュドポテトがいくつかとスイートコーン。ジュウジュウと肉汁の煙幕を焚くように白いモヤを生み出しているそれは、肉で出来た加湿器の様である。
ヴィートの前に置かれたのは注文していたジャン○ステーキ。置かれたバターにはパセリが混ぜられており華やかな彩りを飾る。サイドは同じものだが、アロゼされたそれは鉄板に油の池を生み出している。
「はい…」
ホテルの一室。正座するヴィートと椅子に座り脚を組むミーニャ。空気は張り詰め、正座したヴィートは汗をダラダラ流している。服はホテルの浴室に投げ込まれそれはもう丁寧に洗われ、しっかりと柔らかいバスローブに包まれている。
季節は冬。だが、沖縄特有の気候の影響か本日の気温は20度を超えている。
なのにヴィートはカタカタと震えている。
「貴方は女の子でしてよ?」
「で、でも29だし?ほ、ほら子供って歳でも」
「誰が意見して良いと」
「すいませんでした」
土下座。日本に来て学んだ素晴らしき謝罪方法である。大抵の悪い悪戯系のものはこれで許される…らしい。ドラマでも不倫していた男が妻に「君しか居ないんどぅぁーっ‼︎」と泣きながら放ち「死ねゴミ」と蹴られていた。あれ?駄目では?
「はい、何で私は怒っているのでしょう?」
「ホイホイとよく分かんない人について行ったからです」
「そうですわね。で?良い大人はホイホイついていかなくて?」
「はい、そうです」
「誰かさんは私にあまり暴れるなだの勝手に出歩くなだの言ってましたわね?」
「はい、ごめんなさい」
みっちり続くミーニャの説教。実際、力的な話ならヴィートが圧倒的に強いだろう。それは生物的にもだ。
しかし、あのヤクザスラングめいたとんでもない罵詈雑言に、普段の騎士めいた攻撃と掛け離れたヤクザめいたとんでも喧嘩殺法による攻撃。普通に怖い。しかも回収後てっきりミーニャにペロリと平らげられるかと思えば、正座からの説教タイム。
疲れた…
「み、ミーニャ…さん」
「んん?」
「その…ご、ご飯食べない?ぼ、僕が奢るからさ?」
「私、未成年で無銭でしてよ」
「じゃあステーキ、ステーキ食べよう‼︎」
ステーキ。そう言われてミーニャは少しゲンナリした顔になった。ヴィートとしてはステーキなんて日本に来てから食べたものだから元の世界のステーキを知らない。
ミーニャはステーキは大嫌いだった。元の世界において、ステーキは基本魔物の肉をそのまんま焼いたものを指していた。それは日本で食べた焼き肉と比べてはいけないレベルのものだった。貴族の屋敷で食べられるものはそれなりに美味しいが、家畜は基本魔物に殺されるので飼われることは少なく基本的には魔物を狩ってかそのかられた魔物を買ってかして食べるのだ。
当然だが、美味いステーキは王族などごく一部の人間が食べられるもので、それでも日本のもの…いや、地球のものとは比べ物にならない。
どれぐらい酷いかというと…
「だってステーキって筋張って美味しくないし…家畜に関しても潰した家畜でしょ?…美味しくないですわ…」
2度も美味しくないというほど美味しくないのだ。しかも胡椒含めてスパイス類は当然ながら高級品。貴族でもおいそれと使えない。それは塩にも当てはまる。さらに言えばどちらも精製度合いが甘く、雑味が多い。
「ま、まぁまぁ‼︎ワジマから美味しい店教えてもらってるから‼︎ね?」
「そのワジマって人、気に入りませんわ…」
「変な所で嫉妬しないで…僕とワジマはただの仕事の関係だから」
「…む~…でもなんか気に入りませんわ。私の知らないヴィートを知っているのは気に入りませんわ‼︎」
ムキーッと怒りの矛先が変わったことに、ほっと一息。因みにワジマからの情報は…
『ライカムって地区があってね!そこに大型ショッピングモールがあるの、でもそこは基本的に美味しいんだけど…やっぱり島のステーキの中でワタシのお気に入りは島袋にあるここだね‼︎高いけど、美味いのよ~…ワタシ、沖縄行くたび毎回言ってるくらいだし、脂も美味しくて最オブ高…あぁ…ワタシも食べに行きたーい‼︎』
と、喋り続けていた。ウザくなってきったヴィートは悪くないと思う。
「と、取り敢えず…着替えを」
「はい」
「…なにこれ」
渡されたものは普段のパンツ…アンド、真っ白なレオタードと真っ黒なカーゴパンツ。そしてデニムの半袖ジャンパー。何処か某○殻機動隊の少佐殿の様な姿である。色は違うが。あと筆者は映画『スタンドア○ーン・コンプレックス』で屋上で部下と話していたあの少佐の格好はとてもエチチで良いと思います(小並感)。
「何って…最近見たアニメの主人公の格好。私的にヴィートに合う色に改変してるけど」
「何で⁉︎」
「ヴィート、コスプレするのですよねぇ(ねっとり)」
「⁉︎」
ビクンと肩が跳ねる。何故だろう…ですわ言葉が外れたミーニャは何かストッパーも外れている様に見えるのは…そうヴィートが思っていると。
「偶然、本当に偶然…ヴィートの個人PCのフォルダ内に入っている写真…見ちゃいました」
「‼︎‼︎⁉︎⁉︎」
「可愛い格好でしたねぇ?大好きなG○DEATERのア○サと同じだと似合わないからとわざわざ青色に変更した同じコスチュームでポージングしているヴィートの写真を…ねぇ」
「こ、殺してくれ…」
まさかの一番今知られたくない人に一番知られたくない格好を知られた。土下座の如く崩れ落ちる…真っ白になって。
「ヴィート?大丈夫ですわ…きっと、いえ絶対格好可愛い‼︎」
「アッ、ソッスカー…ハハッ」
「じゃあメイクもやっちゃいますわ‼︎」
「あっちょっアァーッ」
そこから実に30分後。シクシクと泣いているヴィートがいた。服装はさっき渡されたどこぞの少佐の様な服装。正直普段着で着ているあの人は痴女だと思うヴィート。泣こうも、ミーニャが施したメイクに使われた道具はウォータープルーフなので崩れることも無い。
「んんっ、良い出来ですわァーッ‼︎ほら‼︎こっちに視線くださいですわ‼︎あぁーッ心が洗われるぅーッ‼︎」
「ひぃっ…なんかミーニャ知らない動きしてるぅ…気持ち悪ぅ…」
パシャパシャとどこに積んでたのか、バズーカレンズまで入った箱を取り出してその中から現れたのは一眼レフカメラ。そしてレフ板と照明。それらをセットして撮影を始めるミーニャ。その動きはもうゴキブリめいていた。
「す、ステーキを、ね?」
「あと200枚だけ‼︎」
「多いわ、5枚」
「…はい」
素で真顔になったヴィートに言われ、しょぼんとした顔になるミーニャ。でも流石に動きがキモイぞミーニャ‼︎伸脚張りに足を伸ばして開いて、カサカサと走り回るのはキモすぎるぞミーニャ‼︎
そしてきっちりバルコニーやベランダ、室内のベッドなどを使って撮影を終えてホクホク顔に戻ったミーニャ。反面、ヴィートはげっそりしていたが。
「うん、もう疲れたからさ…飯ね」
「良いですわ‼︎私、今最っ高に幸せですわぁ‼︎今ならステーキでも食えそうですわぁ‼︎」
「美味いよ?ステーキ」
「…そう思うことにするのですわ」
「所で着替えは」
「それですわ‼︎」
「いや、普段着を」
「それしか無いですわ‼︎」
「変えの服を」
「…来ていってくださるのですわ…?」
「…はい」
渋々今きた服のままで行くことになる。だがヴィートは知らない…ミーニャの持ってきたものの中でこれが一番マシだと。他に入っていたコスプレは…ホテルなら暖房使えると言うことでマイクロビキニ。バニースーツ。逆バニーにチャイナドレス。ゲーム系ならG○DEATERからはサ○ヤさん。その他色々…
その中でならまだ良い方だろう。
ヴィートが慣れた手つきでスマホを使い、タクシー会社に電話をする。僅か数分でやってきたそれに乗り込むと、目指すは島袋。少し…いや結構離れてはいるがタクシーでならすぐに着く。
「わぁ、此処ですわね⁉︎なんか古い感じがして良い雰囲気ですわ‼︎」
「何でもこの県でだいぶん昔からある…と言うか初めてのステーキの店じゃなかったっけ?僕ぁ美味い店としてしか聞いてないから詳しく無いけど」
「ふぇ~ですわー‼︎」
時間は既に17時30分、もう開店している。少し古めかしい扉の戸を引き開けるとカランカランとシックで落ち着いた雰囲気のダークブラウンでウッディーな店内に入る。もともと酒を提供するためだったのか、左手にはバーカウンター。酒類も綺麗にきっちりと棚に並べられている。
「いらっしゃいま…せ」
「あ、あぁ…2人だ」
「2名様ですね、こちらへどうぞ」
ヴィートの服装を見て一瞬固まる店員。だが、プロは違う。すぐに切り替えて2人を店の奥…窓の前に案内する。ヴィートとミーニャのすぐ横が大きな窓となっている。
「わっ、わぁ‼︎見て見てヴィート‼︎あんなに綺麗な景色が‼︎」
「騒がない…ここ、レストランだからね」
「あ、はーい…ですわ」
きゃっきゃっとはしゃぐミーニャを座らせ、置かれたタブレットを操作する。メニューはステーキなどから始まり、ハンバーグにアヒージョ、魚を使った焼き物やサラダにドリンクもノンアルコールからアルコール飲料まで多岐に渡る。実に迷う。
「えっえっ…」
「わっ、どうしたミーニャ」
「何これですわ…えっ、めっちゃ美味しそうな写真が…えっ…あっ、隣の…良い匂い…」
ふわりと鼻腔をくすぐるバターの甘い匂いと、牛肉の焼けたジューシーな香り。まさに匂いの暴力である。
「ヴィートヴィート‼︎私これにしますわ‼︎」
「ハンバーグステーキ?…え、いや、まぁ…好きなので良いよね」
「?」
「んじゃ僕ぁこっちのジャン○ステーキにしようか。人気みたいだし」
そんな話をはしながら飲み物を見ると結構カラフルであった。ミーニャは流石に尻込みをしたのか「み、水でいいですわ‼︎」と何も頼まなかった。対してヴィートは…
「沖縄来たならオリオ○ビールだよねぇ…あ、ジャッ○ダニエル…ロックで行くか」
迷いなくビールとウイスキーを選んだ。この酒好きは変わらない。しかもロックを選んでいるあたりゆっくり堪能する気満々で有る。そして待っている間に出てきたるはオリオ○ビール‼︎
ステーキハウス…それもラウンジパブをイメージした内装でありながら、違和感のない綺麗なジョッキグラス。キンキンに冷やされたそれに注がれるは黄金色の神の水…っ‼︎
「おぉ…」
「うにぃ…私も飲みたいですわ…」
「お子ちゃまはジュースでも飲んでりゃ良いのに」
「でも、青い飲み物なんてポーションとかしか知りませんわ」
「こっち側にそんなのないっての…」
ポーションの味を思い出したのか顔をまたもや顰めるミーニャ。え?ポーションの味?……き、気合があれば飲めるさ‼︎(第一騎士団団員談)
そんな話をしながらビールジョッキに口をつけてコクコクと流し込む。黄金色の液体は、冷やされたジョッキの縁につけられた小さな唇をこぼれることなく渡り、その細い首を上下させながら流れていく。
その味はまさに爽やか。重くもなく、苦過ぎることもなく。飲みやすいの一言に尽きる。しかしながらもその奥にはしっかりビールとしての旨みもあり。
「あぁーっ‼︎美味い‼︎」
「気になりますわぁ~…」
「へいへい、おっとロックも忘れていた…んんー、この香りだよこれこれ」
仰ぐようにして嗅ぎ、恍惚とそう言うヴィートに釣られたミーニャも身を乗り出して嗅ぐ。確かに嗅いだことはない(未成年以前にこんなに良い酒自体ない)もののとても良い香りだった。
それを掲げるように光に当てれば薄い琥珀色のそれはキラキラと液体の宝石のように光を放つ。
一口。小さくだが口に含む。そのまま下で転がすよう、丁寧に口内に広げ味わう。忽ち口の温度で立ち昇る様に広がる香り。スッキリとした味わいでロック特有の焼ける様な強い酒精も感じる。
「うっっっまぁ…」
「タメが長いですわ」
「いや、久しぶりにロック飲むとね」
「普段は安い缶ビールですものね」
「うっせ、家計の助けと言ってくれ」
「なら禁酒にするのですわ」
「ごめんなさい生意気言いましたこれからもビールください」
「よく言えましてよ…」
あまりにも早い手のひら返し。俺でなければ見逃しちゃうね。机にて平伏するヴィートとため息混じりのミーニャ。数ヶ月しか過ごしていないのに、家事関係で完全に力関係は逆転していた。
「あの~ご注文の品です」
「「待ってました」」
まずミーニャの前に置かれたのは熱々のハンバーグステーキ。サイドについているのは小さな一口サイズのハッシュドポテトがいくつかとスイートコーン。ジュウジュウと肉汁の煙幕を焚くように白いモヤを生み出しているそれは、肉で出来た加湿器の様である。
ヴィートの前に置かれたのは注文していたジャン○ステーキ。置かれたバターにはパセリが混ぜられており華やかな彩りを飾る。サイドは同じものだが、アロゼされたそれは鉄板に油の池を生み出している。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。
死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。
命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。
自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
異世界国盗り物語 ~戦国日本のサムライ達が剣と魔法の世界で無双する~
和田真尚
ファンタジー
戦国大名の若君・斎藤新九郎は大地震にあって崖から転落――――気付いた時には、剣と魔法が物を言い、魔物がはびこる異世界に飛ばされていた。
「これは神隠しか?」
戸惑いつつも日本へ帰る方法を探そうとする新九郎
ところが、今度は自分を追うように領地までが異世界転移してしまう。
家臣や領民を守るため、新九郎は異世界での生き残りを目指すが周囲は問題だらけ。
領地は魔物溢れる荒れ地のど真ん中に転移。
唯一頼れた貴族はお家騒動で没落寸前。
敵対勢力は圧倒的な戦力。
果たして苦境を脱する術はあるのか?
かつて、日本から様々なものが異世界転移した。
侍 = 刀一本で無双した。
自衛隊 = 現代兵器で無双した。
日本国 = 国力をあげて無双した。
では、戦国大名が家臣を引き連れ、領地丸ごと、剣と魔法の異世界へ転移したら――――?
【新九郎の解答】
国を盗って生き残るしかない!(必死)
【ちなみに異世界の人々の感想】
何なのこの狂戦士!? もう帰れよ!
戦国日本の侍達が生き残りを掛けて本気で戦った時、剣と魔法の異世界は勝てるのか?
これは、その疑問に答える物語。
異世界よ、戦国武士の本気を思い知れ――――。
※「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも投稿しています。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる