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第一章
ep-23 鉄板焼きってモダンでレトロが良いよね
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「ヴィート、今日の店はここですの?」
「うい」
「何というか、古ぼけてません?」
「まぁ、美味いよ」
普段とは違う駅で降りた2人。降りた駅の目の前の併設されたコンビニの前を左へ抜け、信号を渡る。徒歩3分もかからないほどで目的の店…お好み焼き中○酒店さんに到着。
入り口から昭和の香りがするが、そもそも異世界出身の2人にはよくわからない。だが、何となく旨そうな気配を感じる。
「まぁ、ヴィートが美味しいというなら良いですわ‼︎」
「良かっ」
「まぁ、次浮気したら2度と他の女性に靡かないよう身体に教え込ませるからな?」
「ヒュイッ⁉︎」
前回の焼肉屋での仕事お疲れ会後、その香りでバレたヴィートは地獄を見た。その場で正座させられことの経緯の説明から始まり、最終的に本当に襲われかけ半泣きになりながら抵抗した結果助かったという結果である。14歳に泣かされる29歳。その際にハイライトの消えた目ではぁはぁ言いながら震えていたミーニャに恐怖したのは言うまでもない。
「う、浮気はしてません‼︎ヴィート、嘘付かない‼︎」
「…本当に?」
「本当に」
「なら今回は信じますわ‼︎」
ふぅと明るい笑顔になったミーニャを見てホッとするヴィート。だが次の瞬間持ち上げられる。見れば目の前にはドアップのミーニャ。
あれ?おかぴーぽー?と思うのも束の間、往来の中でのベロチュー。固まるヴィート。
「私達の世界ではもう成人ですわ…この世界のルールに従うヴィートのその考えを尊重するけど…分かってんな?」
「は、はい…」
「ならヨシですわ‼︎ささ、店に入るのですわ‼︎」
「そ、その前に…」
「ん?」
「こ、腰抜けた…」
「は?エロ過ぎるんだがこの29歳」
野獣の眼光…震えるヴィート。危うく襲いかかるところだったが、ミーニャはフルフルと頭を振ると落ち着いてヴィートを背負う。
カラリと戸を開くと奥に若い女性店員が屯している。
「しゃっせー…2人?」
「そうですわ‼︎」
「じゃ、こちらにお願いしまーす」
「分かったのですわ‼︎」
案内された席にヴィートを下ろしてその向かいに座るミーニャ。何故横ではないか?簡単だ…正面からヴィートを鑑賞したいからである‼︎横では堪能できないダルルルォ⁉︎
「ご注文は」
「んーヴィートは?」
「ハラペーニョ天で」
「なら私はその下のチョリソーにしますわ‼︎」
「辛いよ?」
「平気ですわ‼︎カレーも辛口が好きですわ‼︎」
なお筆者もジョロキアとキャロライナリーパーを愛用しているため、結構辛いのは好きである。一説だとストレスが溜まり過ぎると辛いのが欲しくなるのだとか…(やっぱSE関係ってこうなんのかな)。
店員を呼び、2人で注文する。今回はヴィートはいつも通りのビール、ミーニャは当然烏龍茶。
先に届いたそれらで乾杯をして飲み始めると…
「お通しでーす」
お通しが来た。今回来たのはシューマイだった。グリンピースの乗っていない純粋な肉シューマイ。ちょこりと小鉢の端につけられたカラシがニクい。
「ヴィート、オトーシってなんですの?」
「あー…うん、最初のおつまみ的な?」
「ほぇー…お酒なくても来るんですのね」
「まーねぇ…んっくんっく…あぁー沁みるぅ」
オヤジ臭いセリフに少し眉を顰めるミーニャ。箸を器用に手で持つと、半分にシューマイを割る。ホコホコと湯気が上がるそれは出来立ての証である。
カラシをチョンと付け口に入れればジュワリと肉汁が口に広がる。少し甘く感じるのは皮の小麦の風味か。
「可もなく不可もなし…けど何となく美味しいですわね」
「でしょー?なんかよく分かんないけど、家で食うよりこう言う雰囲気とかで美味く感じるのかな~?」
「成る程ですわ~、確かにレストランの雰囲気も大切ですものね~」
ふと見れば、ヴィートの手元には二つめのビールジョッキ。このダメゴブリン、既にメイン前に2杯目である。1人0次会かな?
「んまーい‼︎やっぱ湯気出てるやつとビールは無敵だねぇ」
「んんー…私も飲みたいけど」
「それは駄目、未成年飲酒は身体に毒だよ…子供とかに影響するかもだし」
「確かに大切ですわ‼︎ヴィートとの子供に影響が」
「できねーよ‼︎女同士だろうが馬鹿たれ…」
「……」
「えっ、出来ないよな⁉︎なにその意味深な笑い顔⁉︎」
「秘密ですわ~、んふふ」
ギャイギャイやっている2人の目の前にガトンとお好み焼きの入ったボールが二つ置かれた。
「お客様ぁ…痴話喧嘩なら外でオナシャスね?」
「痴話喧嘩じゃ」
「分かったっすね?ん?」
「…はい…」
何故か勝ち誇った顔のミーニャの頬を引っ張りながら店員に聞けば、ハラペーニョ天はヴィート側で輪切りのソーセージが入ったのがミーニャの注文したハラペーニョ天との事。
「…あれ?ハラペーニョ天の方肉無いですよ?」
「そりゃハラペーニョ天ですから…ほら、ここに中の具書いてますよ?」
「え……あっ」
指差された注文冊子には確かにハラペーニョ等々は書かれていたが、肉類は一切書かれていなかった。ヴィート、ヤラカシである。
「あ、それならこちらの地鶏のチキンスパイシーはいかがですか?」
「じ、地鶏の…チキンスパイシー?」
何というか…頭痛が痛いと言うか、空腹で腹が減ったと言うか。そう思いながらもおくびにも出さず…
「スパイシーって、辛いんですか?」
「いえ、スパイシーなんです」
「あ、成程分かりました(分からない)」
「ご注文は?」
「お願いしまーす」
ふと前を見れば既にミーニャは付属のスプーンで混ぜている。マジェマジェとか言うな、どこで覚えたこのポンコツメイド擬き…
「さて焼くのですわ~」
「はえーよ、待てよ」
「え?あっ…つい?」
「コンニャロ…」
そう言いながらもヴィートも混ぜて焼き始める。ジュワワーッと鉄板でしっかりと焼ける音が立ち、美味い匂いの立つ煙が上る。
なおヴィートはさっきの一幕でウィンナーとチョリソーも頼んでいる…抜け目がねぇ。
「お待たせしました、ウィンナーとチョリソーです」
やってきたのは普通のウィンナー(シャウ○ッセン?)と赤ウィンナー、それとチョリソー。
焼けてんのかなぁと赤ウィンナーをパクリ…冷たい。いや焼けてないに決まってんやろ。
「冷たいけどいけるな」
「いや焼けですわ‼︎」
もぐもぐごくりと飲み込むヴィート。まぁ、ゴブリンだし平気だろうが、君何しに来たん?
気を取り直して鉄板の上にウィンナーたちを転がす。ジュッと軽く焼ける音が鳴りウィンナー達も鉄板というステージにオンステージ。転がらない様に焼いていく。
「あ、ヴィート‼︎事前に聞いた通り、周りが固まってきたのですわ‼︎」
「んじゃひっくり返してみ」
「うおりゃっ‼︎ですわ‼︎」
「掛け声が可愛くねー…」
「…よっこい「うんやめろ?悪化してんぞ?」…はーい、ですわ…」
しょぼんとした顔になり大人しく焼けてくるお好み焼きをつつく。なんかマスコットっぽいな。
ヴィート?ああ、魔法でしれっと返してるよ?だって背が低いから返し辛いもん…だそう。
「おっ、焼けたなぁ…ソースとマヨと…青のりでいいや」
「なら私はかつぶしもですわーっ」
「猫か」
「私は絶対にタチですわ‼︎」
「?そ、そうか?」
さらっとやべーこと言いながらトッピングするミーニャと苦笑いのヴィート。おまけで教えるとタチとネコってのはBLのカップリング等でどちらがヤル側かどうかだぞ‼︎知らないって読者は知らない方がいいぞ♡筆者は怖くてネコは断念したぞ‼︎
「では切り分けて…はむっ…‼︎あっちゅ‼︎⁉︎」
「そりゃ焼きたてだからなぁ」
「うまーい‼︎ですわ‼︎」
チョリソー天。普通のウィンナーとチョリソーの混成だがその美味さたるや…まさに混成部隊だからこその強さ‼︎ウィンナーのチープさを少し感じるが、ウィンナー特有の旨みと甘み。そこにピリリとチョリソーのあっさりした辛さ。互いが互いを補うからこそ生まれるウインナー類だけで生まれた奇跡のハーモニー‼︎
そこへ流し込まれる烏龍茶‼︎背徳的な美味さを渋めの烏龍茶が綺麗さっぱりと流し込む。
酒では無い、だがこのさっぱり感はやはり酒に近しいものを感じざるを得ない。
「お、案外辛く無い…けどいいアクセントだなこりゃ」
対するハラペーニョ天。先の店員さんの言う通り、断面を見ても肉は無い。少しガッカリしながら食らいついたヴィートだが、その美味さたるや肉抜きでもメインを張れる‼︎
ただのハラペーニョとキャベツと思うなかれ。酢漬けされたハラペーニョの酸味とほんのりとした辛さと生地のキャベツと小麦粉の甘み。そして出汁のわずかな旨味。だが、その旨味はこの薄さが良い。
濃過ぎればハラペーニョやキャベツ達の旨みを殺しかねない。薄過ぎれば当然何も感じない。まさにその極地…
そしてこちらは熱々を頬張ってからのキンキンに冷えたビール…‼︎は、背徳的である…っ‼︎
「あ、チョリソー貰いですわ」
「んむっ⁉︎それ僕んだぞ⁉︎」
「焼けたのに置きっぱなしこヴィートが悪いのですわ~」
「ったく…ほむっ⁉︎」
「「うっ…まぁ…」」
パリッとしてくるかと思えば、切り込みが入っているおかげでそんな事はない…が、鉄板に漏れた肉汁で焼かれたその美味いこと‼︎まさにこれぞ鉄板焼きという味の体現だろう。
赤ウィンナーはミーニャが頬張る。チープな味だが、その身を他のウィンナー達の旨みの肉汁でコーティングされ、赤ウィンナーではあり得ない旨みを誇る。そう、重武装した騎士の様な…フル装備の如し美味さ‼︎
「お待たせしましたー、地鶏のチキンスパイシーです」
そして対象の様に最後の最後に姿を現したのは、小鉢に盛られた鶏肉達…確かに何かしらのスパイスを纏っている。しかし、その味は未知数…っ
「そんじゃ…まず一つっと」
パクリと口に一つ入れると、肉の旨みとスパイシーな味。胡椒ベースだが、唐揚げをあげずに焼いたと言えばいいのか…例えが浮かばないが、その味の良さは言うまでもない。唐揚げの様に油の味もなく、その美味さだけを引き出されたその肉は、お好み焼きがメインならば…こいつはその支たる側近だ‼︎
「ヴィートヴィート‼︎わ、私にも‼︎」
「ほい」
「はむ…んんーッ‼︎」
箸で差し出されたそれを頬張るミーニャ。驚くのはその肉質の良さだ。まぁ、向こうの世界の魔物とかは基本的に肉が硬いため美味しくないのは以前言った通り。それは鳥型だろうが関係ない。
鳥に関してもそもそも量が取れないと言う理由で農村地区以外ではあまり出回らない。
故に美味い鳥類の肉を知らないことが多いのだ。
「美味いですわ美味いですわ‼︎」
「なー」
「鳥ってこんなに美味いんですの…」
「いや、ここだけな?向こうはマズいからな?」
「残念ですわ…これで鳥肉うまうまハッピーだと思ったのですわ…」
がくりと項垂れるミーニャ。残念、ミーニャの無限鳥肉編はこれにて終わったのだ…
そうして気がつけば鉄板の上も小鉢の中身も空に成り果て…
「「…腹一杯」ですわ」
食べ切った2人。割と量が多かったのか1人一枚で満足している。
「ヴィート、また食いたいですわー…」
「そーね…まぁ、まだ食べてないものあるしコンプするまでいくか」
「あ、私次焼きそば食べたいですわ‼︎」
「んじゃ、僕は肉系で何か食おうかなぁ」
少し冷えた寒空の下、2人の笑い声と周りの賑やかな声が心地よく冷えた空気に溶けていくのだった。
※※※※
本業で昨日あげれませんでした…ごめんなさい…
(´༎ຶོρ༎ຶོ`)
「うい」
「何というか、古ぼけてません?」
「まぁ、美味いよ」
普段とは違う駅で降りた2人。降りた駅の目の前の併設されたコンビニの前を左へ抜け、信号を渡る。徒歩3分もかからないほどで目的の店…お好み焼き中○酒店さんに到着。
入り口から昭和の香りがするが、そもそも異世界出身の2人にはよくわからない。だが、何となく旨そうな気配を感じる。
「まぁ、ヴィートが美味しいというなら良いですわ‼︎」
「良かっ」
「まぁ、次浮気したら2度と他の女性に靡かないよう身体に教え込ませるからな?」
「ヒュイッ⁉︎」
前回の焼肉屋での仕事お疲れ会後、その香りでバレたヴィートは地獄を見た。その場で正座させられことの経緯の説明から始まり、最終的に本当に襲われかけ半泣きになりながら抵抗した結果助かったという結果である。14歳に泣かされる29歳。その際にハイライトの消えた目ではぁはぁ言いながら震えていたミーニャに恐怖したのは言うまでもない。
「う、浮気はしてません‼︎ヴィート、嘘付かない‼︎」
「…本当に?」
「本当に」
「なら今回は信じますわ‼︎」
ふぅと明るい笑顔になったミーニャを見てホッとするヴィート。だが次の瞬間持ち上げられる。見れば目の前にはドアップのミーニャ。
あれ?おかぴーぽー?と思うのも束の間、往来の中でのベロチュー。固まるヴィート。
「私達の世界ではもう成人ですわ…この世界のルールに従うヴィートのその考えを尊重するけど…分かってんな?」
「は、はい…」
「ならヨシですわ‼︎ささ、店に入るのですわ‼︎」
「そ、その前に…」
「ん?」
「こ、腰抜けた…」
「は?エロ過ぎるんだがこの29歳」
野獣の眼光…震えるヴィート。危うく襲いかかるところだったが、ミーニャはフルフルと頭を振ると落ち着いてヴィートを背負う。
カラリと戸を開くと奥に若い女性店員が屯している。
「しゃっせー…2人?」
「そうですわ‼︎」
「じゃ、こちらにお願いしまーす」
「分かったのですわ‼︎」
案内された席にヴィートを下ろしてその向かいに座るミーニャ。何故横ではないか?簡単だ…正面からヴィートを鑑賞したいからである‼︎横では堪能できないダルルルォ⁉︎
「ご注文は」
「んーヴィートは?」
「ハラペーニョ天で」
「なら私はその下のチョリソーにしますわ‼︎」
「辛いよ?」
「平気ですわ‼︎カレーも辛口が好きですわ‼︎」
なお筆者もジョロキアとキャロライナリーパーを愛用しているため、結構辛いのは好きである。一説だとストレスが溜まり過ぎると辛いのが欲しくなるのだとか…(やっぱSE関係ってこうなんのかな)。
店員を呼び、2人で注文する。今回はヴィートはいつも通りのビール、ミーニャは当然烏龍茶。
先に届いたそれらで乾杯をして飲み始めると…
「お通しでーす」
お通しが来た。今回来たのはシューマイだった。グリンピースの乗っていない純粋な肉シューマイ。ちょこりと小鉢の端につけられたカラシがニクい。
「ヴィート、オトーシってなんですの?」
「あー…うん、最初のおつまみ的な?」
「ほぇー…お酒なくても来るんですのね」
「まーねぇ…んっくんっく…あぁー沁みるぅ」
オヤジ臭いセリフに少し眉を顰めるミーニャ。箸を器用に手で持つと、半分にシューマイを割る。ホコホコと湯気が上がるそれは出来立ての証である。
カラシをチョンと付け口に入れればジュワリと肉汁が口に広がる。少し甘く感じるのは皮の小麦の風味か。
「可もなく不可もなし…けど何となく美味しいですわね」
「でしょー?なんかよく分かんないけど、家で食うよりこう言う雰囲気とかで美味く感じるのかな~?」
「成る程ですわ~、確かにレストランの雰囲気も大切ですものね~」
ふと見れば、ヴィートの手元には二つめのビールジョッキ。このダメゴブリン、既にメイン前に2杯目である。1人0次会かな?
「んまーい‼︎やっぱ湯気出てるやつとビールは無敵だねぇ」
「んんー…私も飲みたいけど」
「それは駄目、未成年飲酒は身体に毒だよ…子供とかに影響するかもだし」
「確かに大切ですわ‼︎ヴィートとの子供に影響が」
「できねーよ‼︎女同士だろうが馬鹿たれ…」
「……」
「えっ、出来ないよな⁉︎なにその意味深な笑い顔⁉︎」
「秘密ですわ~、んふふ」
ギャイギャイやっている2人の目の前にガトンとお好み焼きの入ったボールが二つ置かれた。
「お客様ぁ…痴話喧嘩なら外でオナシャスね?」
「痴話喧嘩じゃ」
「分かったっすね?ん?」
「…はい…」
何故か勝ち誇った顔のミーニャの頬を引っ張りながら店員に聞けば、ハラペーニョ天はヴィート側で輪切りのソーセージが入ったのがミーニャの注文したハラペーニョ天との事。
「…あれ?ハラペーニョ天の方肉無いですよ?」
「そりゃハラペーニョ天ですから…ほら、ここに中の具書いてますよ?」
「え……あっ」
指差された注文冊子には確かにハラペーニョ等々は書かれていたが、肉類は一切書かれていなかった。ヴィート、ヤラカシである。
「あ、それならこちらの地鶏のチキンスパイシーはいかがですか?」
「じ、地鶏の…チキンスパイシー?」
何というか…頭痛が痛いと言うか、空腹で腹が減ったと言うか。そう思いながらもおくびにも出さず…
「スパイシーって、辛いんですか?」
「いえ、スパイシーなんです」
「あ、成程分かりました(分からない)」
「ご注文は?」
「お願いしまーす」
ふと前を見れば既にミーニャは付属のスプーンで混ぜている。マジェマジェとか言うな、どこで覚えたこのポンコツメイド擬き…
「さて焼くのですわ~」
「はえーよ、待てよ」
「え?あっ…つい?」
「コンニャロ…」
そう言いながらもヴィートも混ぜて焼き始める。ジュワワーッと鉄板でしっかりと焼ける音が立ち、美味い匂いの立つ煙が上る。
なおヴィートはさっきの一幕でウィンナーとチョリソーも頼んでいる…抜け目がねぇ。
「お待たせしました、ウィンナーとチョリソーです」
やってきたのは普通のウィンナー(シャウ○ッセン?)と赤ウィンナー、それとチョリソー。
焼けてんのかなぁと赤ウィンナーをパクリ…冷たい。いや焼けてないに決まってんやろ。
「冷たいけどいけるな」
「いや焼けですわ‼︎」
もぐもぐごくりと飲み込むヴィート。まぁ、ゴブリンだし平気だろうが、君何しに来たん?
気を取り直して鉄板の上にウィンナーたちを転がす。ジュッと軽く焼ける音が鳴りウィンナー達も鉄板というステージにオンステージ。転がらない様に焼いていく。
「あ、ヴィート‼︎事前に聞いた通り、周りが固まってきたのですわ‼︎」
「んじゃひっくり返してみ」
「うおりゃっ‼︎ですわ‼︎」
「掛け声が可愛くねー…」
「…よっこい「うんやめろ?悪化してんぞ?」…はーい、ですわ…」
しょぼんとした顔になり大人しく焼けてくるお好み焼きをつつく。なんかマスコットっぽいな。
ヴィート?ああ、魔法でしれっと返してるよ?だって背が低いから返し辛いもん…だそう。
「おっ、焼けたなぁ…ソースとマヨと…青のりでいいや」
「なら私はかつぶしもですわーっ」
「猫か」
「私は絶対にタチですわ‼︎」
「?そ、そうか?」
さらっとやべーこと言いながらトッピングするミーニャと苦笑いのヴィート。おまけで教えるとタチとネコってのはBLのカップリング等でどちらがヤル側かどうかだぞ‼︎知らないって読者は知らない方がいいぞ♡筆者は怖くてネコは断念したぞ‼︎
「では切り分けて…はむっ…‼︎あっちゅ‼︎⁉︎」
「そりゃ焼きたてだからなぁ」
「うまーい‼︎ですわ‼︎」
チョリソー天。普通のウィンナーとチョリソーの混成だがその美味さたるや…まさに混成部隊だからこその強さ‼︎ウィンナーのチープさを少し感じるが、ウィンナー特有の旨みと甘み。そこにピリリとチョリソーのあっさりした辛さ。互いが互いを補うからこそ生まれるウインナー類だけで生まれた奇跡のハーモニー‼︎
そこへ流し込まれる烏龍茶‼︎背徳的な美味さを渋めの烏龍茶が綺麗さっぱりと流し込む。
酒では無い、だがこのさっぱり感はやはり酒に近しいものを感じざるを得ない。
「お、案外辛く無い…けどいいアクセントだなこりゃ」
対するハラペーニョ天。先の店員さんの言う通り、断面を見ても肉は無い。少しガッカリしながら食らいついたヴィートだが、その美味さたるや肉抜きでもメインを張れる‼︎
ただのハラペーニョとキャベツと思うなかれ。酢漬けされたハラペーニョの酸味とほんのりとした辛さと生地のキャベツと小麦粉の甘み。そして出汁のわずかな旨味。だが、その旨味はこの薄さが良い。
濃過ぎればハラペーニョやキャベツ達の旨みを殺しかねない。薄過ぎれば当然何も感じない。まさにその極地…
そしてこちらは熱々を頬張ってからのキンキンに冷えたビール…‼︎は、背徳的である…っ‼︎
「あ、チョリソー貰いですわ」
「んむっ⁉︎それ僕んだぞ⁉︎」
「焼けたのに置きっぱなしこヴィートが悪いのですわ~」
「ったく…ほむっ⁉︎」
「「うっ…まぁ…」」
パリッとしてくるかと思えば、切り込みが入っているおかげでそんな事はない…が、鉄板に漏れた肉汁で焼かれたその美味いこと‼︎まさにこれぞ鉄板焼きという味の体現だろう。
赤ウィンナーはミーニャが頬張る。チープな味だが、その身を他のウィンナー達の旨みの肉汁でコーティングされ、赤ウィンナーではあり得ない旨みを誇る。そう、重武装した騎士の様な…フル装備の如し美味さ‼︎
「お待たせしましたー、地鶏のチキンスパイシーです」
そして対象の様に最後の最後に姿を現したのは、小鉢に盛られた鶏肉達…確かに何かしらのスパイスを纏っている。しかし、その味は未知数…っ
「そんじゃ…まず一つっと」
パクリと口に一つ入れると、肉の旨みとスパイシーな味。胡椒ベースだが、唐揚げをあげずに焼いたと言えばいいのか…例えが浮かばないが、その味の良さは言うまでもない。唐揚げの様に油の味もなく、その美味さだけを引き出されたその肉は、お好み焼きがメインならば…こいつはその支たる側近だ‼︎
「ヴィートヴィート‼︎わ、私にも‼︎」
「ほい」
「はむ…んんーッ‼︎」
箸で差し出されたそれを頬張るミーニャ。驚くのはその肉質の良さだ。まぁ、向こうの世界の魔物とかは基本的に肉が硬いため美味しくないのは以前言った通り。それは鳥型だろうが関係ない。
鳥に関してもそもそも量が取れないと言う理由で農村地区以外ではあまり出回らない。
故に美味い鳥類の肉を知らないことが多いのだ。
「美味いですわ美味いですわ‼︎」
「なー」
「鳥ってこんなに美味いんですの…」
「いや、ここだけな?向こうはマズいからな?」
「残念ですわ…これで鳥肉うまうまハッピーだと思ったのですわ…」
がくりと項垂れるミーニャ。残念、ミーニャの無限鳥肉編はこれにて終わったのだ…
そうして気がつけば鉄板の上も小鉢の中身も空に成り果て…
「「…腹一杯」ですわ」
食べ切った2人。割と量が多かったのか1人一枚で満足している。
「ヴィート、また食いたいですわー…」
「そーね…まぁ、まだ食べてないものあるしコンプするまでいくか」
「あ、私次焼きそば食べたいですわ‼︎」
「んじゃ、僕は肉系で何か食おうかなぁ」
少し冷えた寒空の下、2人の笑い声と周りの賑やかな声が心地よく冷えた空気に溶けていくのだった。
※※※※
本業で昨日あげれませんでした…ごめんなさい…
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敵対勢力は圧倒的な戦力。
果たして苦境を脱する術はあるのか?
かつて、日本から様々なものが異世界転移した。
侍 = 刀一本で無双した。
自衛隊 = 現代兵器で無双した。
日本国 = 国力をあげて無双した。
では、戦国大名が家臣を引き連れ、領地丸ごと、剣と魔法の異世界へ転移したら――――?
【新九郎の解答】
国を盗って生き残るしかない!(必死)
【ちなみに異世界の人々の感想】
何なのこの狂戦士!? もう帰れよ!
戦国日本の侍達が生き残りを掛けて本気で戦った時、剣と魔法の異世界は勝てるのか?
これは、その疑問に答える物語。
異世界よ、戦国武士の本気を思い知れ――――。
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