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12話
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その日は休みらしくルヒトはのんびりと朝ごはんを用意していた。
できたての朝ごはん。そのメニューはこちらにきたときに食べたものと同じもの、シチューだった。
「そういえば、もうすぐ1か月たつけど、私は帰れるの?」
何の気なしにきいていた。
こちらにも、私の世界と同じように暦はある。完全に一緒ではないらしいのだが、なぜかルヒトは私の家にあるのと同じカレンダーをもっていた。この世界のカレンダーをみせてくれるように頼んだがはぐらかされるばかりでみせてはくれなかった。たいして興味はないので再度ねだることはなかったけれど。
そして、『帰れるかどうか。』も、初日のうちだけで聞くこともなかったし、カウントダウンだってしていなかった。きっと返してもらえると信じていたから。しつこく確認してしまうとルヒトが気を悪くしてしまう気がしたから。
「…………あと少しね。」
ルヒトの言葉も妙に間があったし、顔色だって瞬時に悪くなった気がしたが、なぜか深く追及はできなかった。
「ねえ、僕のお嫁さんになってくれる?」
「無理だって。そんなことよりもはやくたべよう。」
「そう……」
不穏な空気を消したかったから無理にでもいつも通りにふるまった。
けど、いつも通りの会話をするはずなのに、空気が固まってしまうのはルヒトが暗いからで。
「家にじっとしてられるのは1か月が限界だよ。準備はやくしてよね。家からでられるならあとちょっとは待てるけど。」
暗い雰囲気を払しょくしようと私はべらべらしゃべった。それまでやる気のないあいづちしかうたなかったルヒトが私の一言にぴくりと反応した。
「家からでられるならまだいてくれるの?」
「んー。まあいいよ。」
まともに反応してくれたのが嬉しくて適当に答えつつ、スプーンを口元に運ぼうとしたができなかった。
ルヒトがいきなり立ちあがったからだ。
「どうしたの?」
「家から出してあげるから。」
ルヒトが近づいてきたと思ったら、一気に唇をかさねられていた。
――よく覚えていない。どれくらいの時間がかかったのかも。少しして逃げようとしたのに、私の頭はルヒトの手でしっかりと固定されていて微動だにできなかった。
「……な、なんで。」
スプーンがかちゃんと落ちた。
「外にでてみれば?出られるよ。」
私の問いかけには答えずにルヒトはいう。
口づけをかわしたあとだというのに、冷え冷えとした空気に耐えきれず私は外のドアへと向かった。金色のドアノブに手をかけまわす。ここまでは今までだってできた。
そして、おそるおそる一歩を踏み出した。
いつもならば透明な壁に阻まれる感じがするのにそれがない。足はそのままドアの外へ出た。
「嘘……」
「嘘じゃないよ。確かめてみる?」
いつの間にか横にはルヒトがいた。外に一歩でたまま動こうともしないからしびれをきらしたのだろう。
「外……」
手をつながれていた。ふりほどこうとしたけれど、「危ないから。」と手はそのままだ。
窓からみていてなんとなく気付いてはいたが、森に囲まれていた。家の横には小さな庭があって花や野菜が植えられている。シチューにはいっていたにんじんだってじゃがいもだってここでとれたものらしい。さすがにお肉は、家畜がいないから買っているといっていたが。
そのまま、てくてく歩くと池があった。少し濁っていて飲み水や水浴びなんかはできそうにないが、藻や水草が生えていて、よくのぞくと魚がいた。魚釣りができるかもしれない。
いや、でも、こういうのは問題じゃない。
池のほとりに座って、隣のルヒトをみる。
ここまで、きょろきょろと物珍しそに歩く私に一切の説明をせずに黙ってついてきていた。
「ねえ、さっきなんで、き、キスしたの?」
「由香子が帰れる方法はあるんだよ。べつに準備だっていらない。」
「え?」
爆弾発言に固まった。すぐにでも帰れる方法があるのならなんで最初っからそれを言わなかったのだ。
「僕のお嫁さんになればいい。」
「はあ?」
「だから毎日聞いていたじゃないか。」
「そんな意味とは思わないし。でもお嫁さんと帰ることとどんな関係があるの?」
「それは……」
できたての朝ごはん。そのメニューはこちらにきたときに食べたものと同じもの、シチューだった。
「そういえば、もうすぐ1か月たつけど、私は帰れるの?」
何の気なしにきいていた。
こちらにも、私の世界と同じように暦はある。完全に一緒ではないらしいのだが、なぜかルヒトは私の家にあるのと同じカレンダーをもっていた。この世界のカレンダーをみせてくれるように頼んだがはぐらかされるばかりでみせてはくれなかった。たいして興味はないので再度ねだることはなかったけれど。
そして、『帰れるかどうか。』も、初日のうちだけで聞くこともなかったし、カウントダウンだってしていなかった。きっと返してもらえると信じていたから。しつこく確認してしまうとルヒトが気を悪くしてしまう気がしたから。
「…………あと少しね。」
ルヒトの言葉も妙に間があったし、顔色だって瞬時に悪くなった気がしたが、なぜか深く追及はできなかった。
「ねえ、僕のお嫁さんになってくれる?」
「無理だって。そんなことよりもはやくたべよう。」
「そう……」
不穏な空気を消したかったから無理にでもいつも通りにふるまった。
けど、いつも通りの会話をするはずなのに、空気が固まってしまうのはルヒトが暗いからで。
「家にじっとしてられるのは1か月が限界だよ。準備はやくしてよね。家からでられるならあとちょっとは待てるけど。」
暗い雰囲気を払しょくしようと私はべらべらしゃべった。それまでやる気のないあいづちしかうたなかったルヒトが私の一言にぴくりと反応した。
「家からでられるならまだいてくれるの?」
「んー。まあいいよ。」
まともに反応してくれたのが嬉しくて適当に答えつつ、スプーンを口元に運ぼうとしたができなかった。
ルヒトがいきなり立ちあがったからだ。
「どうしたの?」
「家から出してあげるから。」
ルヒトが近づいてきたと思ったら、一気に唇をかさねられていた。
――よく覚えていない。どれくらいの時間がかかったのかも。少しして逃げようとしたのに、私の頭はルヒトの手でしっかりと固定されていて微動だにできなかった。
「……な、なんで。」
スプーンがかちゃんと落ちた。
「外にでてみれば?出られるよ。」
私の問いかけには答えずにルヒトはいう。
口づけをかわしたあとだというのに、冷え冷えとした空気に耐えきれず私は外のドアへと向かった。金色のドアノブに手をかけまわす。ここまでは今までだってできた。
そして、おそるおそる一歩を踏み出した。
いつもならば透明な壁に阻まれる感じがするのにそれがない。足はそのままドアの外へ出た。
「嘘……」
「嘘じゃないよ。確かめてみる?」
いつの間にか横にはルヒトがいた。外に一歩でたまま動こうともしないからしびれをきらしたのだろう。
「外……」
手をつながれていた。ふりほどこうとしたけれど、「危ないから。」と手はそのままだ。
窓からみていてなんとなく気付いてはいたが、森に囲まれていた。家の横には小さな庭があって花や野菜が植えられている。シチューにはいっていたにんじんだってじゃがいもだってここでとれたものらしい。さすがにお肉は、家畜がいないから買っているといっていたが。
そのまま、てくてく歩くと池があった。少し濁っていて飲み水や水浴びなんかはできそうにないが、藻や水草が生えていて、よくのぞくと魚がいた。魚釣りができるかもしれない。
いや、でも、こういうのは問題じゃない。
池のほとりに座って、隣のルヒトをみる。
ここまで、きょろきょろと物珍しそに歩く私に一切の説明をせずに黙ってついてきていた。
「ねえ、さっきなんで、き、キスしたの?」
「由香子が帰れる方法はあるんだよ。べつに準備だっていらない。」
「え?」
爆弾発言に固まった。すぐにでも帰れる方法があるのならなんで最初っからそれを言わなかったのだ。
「僕のお嫁さんになればいい。」
「はあ?」
「だから毎日聞いていたじゃないか。」
「そんな意味とは思わないし。でもお嫁さんと帰ることとどんな関係があるの?」
「それは……」
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