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フィオの恋日記
※フィオの恋日記④ フィオ視点
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◯月◯日、薄曇り。
孤族の村で幌馬車を借りて、聖櫃を返しにユバロン司祭の元へ向かっている途中。
幸せ……今、とても幸せなの。
大好きな人と両想いになれて、一度は離れたけれど、またこうして一緒にいられる。
好きよ、大好きよ、アーチロビン。
私、もう、どこにも行かないから。
霊力も、前よりずっと大きく成長している。
でも、まだまだ。あなたのためにも、みんなのためにも、私はもっと強くなるからね。
アーチロビン。呼びかけると、『ん?』と返してくれる。その声が、とても優しくて。愛おしくて、尊くて。
“なんでもない、ごめんなさい”そう言って、胸の中ではしゃぐ心を、持て余してしまう。
好きよ、大好き。
御者台に座る彼の隣に寄り添って、温もりを感じながら過ごすこの時間は、何者にも替え難い宝物。
魂抜けを起こしていた時もね、みんなのことは見えていたの。
でも、声は届かず、姿は見えていなくて、フェイルノが気づかなかったら、どうなっていたんだろう。
アーチロビン、あなたの慟哭は私の胸に刺さっていたよ。
私はここにいると、あなたに何度も触れようとしたのに、魂のままの私の手はあなたの体をすり抜けてしまって。
悔しかった……だから、触れることができる今は、とても嬉しい。
霊泉に沈む前に、初めての口づけもしてくれて。あの時は応えられなかったけれど、今は───いつでも……。
何度も彼の横顔をチラチラ見るものだから、アーチロビンが照れると言って、咳払いばかりしてる。
可愛い。
馬車がこのまま、ずっと目的地に辿り着かなければいいのに。
馬車の振動と、彼の温もりと、幸せな時間。とても心地いい。
もう少しだけ……あと少しだけこうしていたい。
アーチロビンが、さっきから日記を書く私が気になって、何を書いているのかと聞いてくる。
だ、だめ! 見ちゃダメなんだから。
き、今日はここまで。
おしまい!!
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
読んでくださってありがとうございました。
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※この物語はフィクションです。表現や人物、団体、学説などは作者の創作によるものです。
孤族の村で幌馬車を借りて、聖櫃を返しにユバロン司祭の元へ向かっている途中。
幸せ……今、とても幸せなの。
大好きな人と両想いになれて、一度は離れたけれど、またこうして一緒にいられる。
好きよ、大好きよ、アーチロビン。
私、もう、どこにも行かないから。
霊力も、前よりずっと大きく成長している。
でも、まだまだ。あなたのためにも、みんなのためにも、私はもっと強くなるからね。
アーチロビン。呼びかけると、『ん?』と返してくれる。その声が、とても優しくて。愛おしくて、尊くて。
“なんでもない、ごめんなさい”そう言って、胸の中ではしゃぐ心を、持て余してしまう。
好きよ、大好き。
御者台に座る彼の隣に寄り添って、温もりを感じながら過ごすこの時間は、何者にも替え難い宝物。
魂抜けを起こしていた時もね、みんなのことは見えていたの。
でも、声は届かず、姿は見えていなくて、フェイルノが気づかなかったら、どうなっていたんだろう。
アーチロビン、あなたの慟哭は私の胸に刺さっていたよ。
私はここにいると、あなたに何度も触れようとしたのに、魂のままの私の手はあなたの体をすり抜けてしまって。
悔しかった……だから、触れることができる今は、とても嬉しい。
霊泉に沈む前に、初めての口づけもしてくれて。あの時は応えられなかったけれど、今は───いつでも……。
何度も彼の横顔をチラチラ見るものだから、アーチロビンが照れると言って、咳払いばかりしてる。
可愛い。
馬車がこのまま、ずっと目的地に辿り着かなければいいのに。
馬車の振動と、彼の温もりと、幸せな時間。とても心地いい。
もう少しだけ……あと少しだけこうしていたい。
アーチロビンが、さっきから日記を書く私が気になって、何を書いているのかと聞いてくる。
だ、だめ! 見ちゃダメなんだから。
き、今日はここまで。
おしまい!!
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