あの部屋

まお

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49.感情2

柏木は朔の首筋に残る噛み跡や鬱血痕に愛おしそうに舌を這わせる。
舌先でひとつひとつの痕を堪能し愛撫する。
ここを圧迫すればすぐに意識を失い死ぬ。逆に気道を塞げば苦しみながら息絶える。柏木はそんな想像をしながら興奮を高めていく。


「ひ…ゃ……っ…」

朔は忠実に声を押し殺しているようで、悲鳴のような小さな喘ぎを漏らしていた。
そのまま柏木は顔を朔の身体の方へと移動させると、胸のピンク色の尖りが柏木を誘惑するように主張しているのが目にはいる。


「ここ本当にかわいいね。野坂の敏感なここも痛いことしないで沢山可愛がってあげるね」

「アぁぅッ」

朔の胸の突起を舌で撫でる。少し触れるだけで腰をびくつかせる程、朔のそこは感度が良かった。柏木は腫れていない方の突起を舌で弄ぶ。
わざと濡れた音を響かせるように吸い付いて嬲った。


「ぁ…く…っン─」

朔の触れる身体は明らかに最初より熱を帯びていた。もう片方は指でゆっくり突起を押し倒すように撫で上げた。こちらは針を刺した方で昨日よりは引いたもののまだ腫れていた。


「ィぅっ…ンン」

朔は仰向けの状態で快楽を逃そうと腰を小さく蠢かせる。胎内に収まる指はきゅんきゅんと欲しがるように吸い付き締まる。
朔の無意識のそれらの行動は、もっと直接的で今よりも強い刺激を求めて強請るようにも見え、柏木を煽った。

その蠢く腰を押さえつけそのまま秘部を押し開くように剛直を突き刺し泣かせてドロドロの欲望を最奥へ注ぎ込みたい衝動に駆られるが、それではいつもと同じだった。まだ落差と言えるほどの快楽を与えきれていないと、思いとどまり欲望を抑え込む。


「気持ちいい?野坂が気持ちいいと俺も嬉しいよ」

「ゃ…………め…」


快楽に侵食され溶かされながらも朔の理性はまだ残っていて、あくまでも抵抗の意志は曲げなかった。
柏木はその反応に苛立ちつつも再び胸の突起に舌を這わせ、朔の顔を上げ見る。朔は柏木の肩を弱々しい力で押し返しながら頬を紅潮させ目を潤ませていた。荒い呼吸を繰り返す口元を象るその赤い唇も潤んでいて、その空洞から覗く舌が妖艶だった。

その表情を見れば朔が快楽に侵されつつあることは明白だった。そしてその淫靡な表情に柏木は思わず視線を奪われる。快楽で高みに上らせてから突き落とすという目的が、うっすらと霞んでいく。その代わりに柏木はその表情をもっと見たいと無意識に思っていた。
そして同時に先程の食事後の初めて見た朔の嬉しそうに少しだけ微笑むあの表情が頭を掠める。

やはり今日の柏木は自分でも制御出来ないおかしな感覚が頭の中を侵食していた。勉強の詰めすぎのせいか、と自分のいつもと違う状態をそのせいにして自己完結させる。
いつもと違うのはしょうがないという口実を得た柏木は、さらに朔を追い詰めその表情の続きを見るために顔を下へとずらしていく。


「…ぇ……、ア──ッ!」

朔の身体がビクンと大きく弓なりに反る。
柏木は朔の屹立を口に含んだ。それは無意識の行動だった。


「や…ッ、やめて…っ…く…ぅッ!」

朔は与えられる慣れない感覚に驚き恐怖し羞恥に襲われた。慌てて身体を起こし柏木の顔を手で押しのけようとするが、びくともしなかった。

口に含む朔の怒張は柏木の口内でびくびくと痙攣を続けた。柏木に快楽を伝えるように素直に反応を返す朔の身体に柏木は気分が良かった。


「…気持ちいいの止まらないね?ほら、顔見せてごらん」

柏木は口を離し反応する朔の屹立の先端を指先で撫でながら、朔の顎を取り顔を上に向かせる。


「っン、や……ぁ…っ」

口淫が余程効いたのか、朔の眉尻は先程より下がり情けない表情を隠しきれていなかった。力なく開いた瞳が柏木を見上げた。そして体勢を保つのが辛そうに我慢しきれないという感じで朔は柏木の部屋着の袖をぎゅっと掴む。

今日何度目かわからない、心のざわつきを感じた。抵抗や拒絶の意志でも無く、媚びたような救済の哀願とも違う朔の反応。朝、朔に水を与えた時のような、シロを思い出す反応。それは庇護欲を掻き立てられる感情だった。


柏木はそのまま朔をベッドに再び寝かせると、涎で濡れた唇に吸い込まれるようにそこに貪りつき口内へ舌を潜り込ませる。粘膜が激しく触れ合う濡れた音が部屋に響き、時折苦しそうな朔の吐息が漏れた。

柏木は朔の熱く反り立ち涎やカウパーで濡れそぼる屹立に手を伸ばし覆うように掴む。そっと包むだけで朔の身体はびくっと小さく反応する。そのままゆっくりと手を上下させ、同時に朔の胎内に埋めたままの指で前立腺を中なら圧迫する。

もっと快楽に溺れさせたい。もっと自分を頼らざるを得ない状況にしたい。
朔の中に柏木という存在を恐怖や、それ以外の感情でも刻みつけたい。
そんな思いが沸々と溢れた。


「ぅァアッ!」

朔の足はベッドの上で藻掻くようにシーツを蹴る。柏木は唇を今度は朔の身体の方へずらしまだぷっくり腫れたままの胸の突起を再び口に含んだ。


「やっ…ぁあッや…めッ」

3点をバラバラに責められ朔の身体が愉悦に強ばっていく。


「やあっぁあッひィ」

嫌だ嫌だと発するその声は甘くて柏木はさらに煽るように朔の全身へ与える刺激を強くしていく。


「ひっ…ぁアッ─」

朔の漏れでる声が先より高く切羽詰まったものになっていく。悲鳴は散々聞いていてそれも心地よかったが、理性が溶けたような今の嬌声も気分が高まった。
そのまま少し強く手を動かすと朔の腰がびくびく痙攣し、全身が弛緩した。同時に手のひらを生温かい液体が汚していく。

柏木は朔の胎内から指を引き抜き、濡れた手のひらを目視で確認する。今出されたばかりの朔の精が手首の方へ滴った。柏木は嘲りよりも、何故か達成感のようなものに満たされた。朔はどんな反応を返すのか。今までと違い快楽のみを与えた。恐怖以外の反応が返ってくるのか、それはどんな反応でどんな感情なのか。
柏木は好奇心に急かされはやる気持ちのまま、朔に視線を向けた。

視線の先の朔は、腕で顔を覆い悔しそうに涙を流していた。

柏木はその様子を見ると気持ちがサッと冷めて落ち着いていった。


「…っ…ぅ…」

「……」

なぜ泣いているのかという疑問と不快感を感じ、朔の頭を無理矢理ひっつかみ問いただしたかった。でも行動に移さなかった。

「……こんな……お…れ……、…も……嫌だ……っ」

朔が顔を覆ったまま嗚咽混じりに弱音を吐くように呟いた。朔にとっては、一方的に快楽だけを与えられてそれに反応してしまった自分がただ許せなかった。過去も現状も全てを受け入れてしまったような自分の反応が一番の屈辱だった。
その理由は柏木には伝わらない。ただベッドに横になったまま震える朔を柏木は無感情に見つめていた。

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