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新プロジェクト①
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「第三設計部、ですか?」
「うん、どういう部署か知ってる?」
私は今、就任されたばかりの新副社長と共に、第三設計部という部署に向かっている。
でも正直なところ、私には第三設計部が第一や第二とどう違うのかよくわかっていない。
「第一と第二はほぼ同じだな。一般的な戸建て住宅から、ニュータウン規模の戸建てを担当している。注文住宅もそこに含まれる。マンションやビルはまた別で、特建部になるのは知ってるか?」
「はい……」
「で、第三はというと、主にリフォームやリノベーションを中心に受け持っている部署なんだ」
「リフォームはカスタマーではないのですか?」
「カスタマーで対応できるのは、ちょっとした修繕や作り付けの家具を設置する程度のことだ。大規模なリフォームやリノベーションはちゃんとした部署を持っている。それが第三設計部だ」
「なるほど」
第三設計部は第一・第二設計部がある5階とは違い、4階の事務部門の片隅にあった。
「失礼します! 田村部長はいらっしゃいますか?」
副社長が尋ねると、奥の方からその田村部長と思われる男性が現れた。
年のころは50代後半。髪は白髪交じりのぼさぼさで、大学の研究室にいる教授のような方だ。
「おー! 翔多、来たか!」
「ご無沙汰してます」
「やっと戻ってきたんだな。親父さんがあいつは家業を継ぐ気があるのかといつも心配していたぞ」
「ありますよ……てか、俺だって東京で真面目に会社のために働いていたんですけど?」
「まあそうだな。活躍は聞いていたよ。……で、どえらい仕事を持って帰ってきたみたいじゃないか」
どえらい仕事? 一体何のことだろう。
部長室に案内され話を聞いていると、第三設計部の田村部長は、かつて副社長が大阪本社にいた時、師として仰ぐほどお世話になった設計士さんだったそうだ。
そして、副社長が本社に戻ってきた理由の一つが、その『どえらい仕事』のためだったという。
「はい。大阪の郊外にある、柏原家のリノベーションです」
柏原家? なんだろう……聞いたことがあるような……。
「重要文化財の方か?」
そうだ! 思い出した。たしか大阪の柏原家と言えば、江戸時代から続く豪商の一族で、現在では衆議院議員を輩出している由緒正しい家柄だ。
そして大正時代に建てられた御屋敷は重要文化財に指定されていて、建築物として教科書に載るほど有名だった。
ただここは今でも柏原家の親族が住んでいるため、外観のみ公開されているだけで、内部、つまりプライベートエリアは公開されていない。
「いえ、重要文化財に指定されている本邸の方はさすがに触れません。重文に指定された年から4年にわたって補強工事と修繕工事が一通り済んでいますし、レトロな外観と内装のまま保存されています」
「なら、離れか?」
「はい。今回依頼があったのは広大な敷地内にある離れです。こちらも登録有形文化財に指定されています。重文ほどの規制はありませんが、リノベーションとなると役所への届け出は必要になってきますね」
「離れの耐震は?」
「有形に指定されたのが3年前で、その時に本邸と同様に丸高組が入ってます」
丸高組……?
「うん、どういう部署か知ってる?」
私は今、就任されたばかりの新副社長と共に、第三設計部という部署に向かっている。
でも正直なところ、私には第三設計部が第一や第二とどう違うのかよくわかっていない。
「第一と第二はほぼ同じだな。一般的な戸建て住宅から、ニュータウン規模の戸建てを担当している。注文住宅もそこに含まれる。マンションやビルはまた別で、特建部になるのは知ってるか?」
「はい……」
「で、第三はというと、主にリフォームやリノベーションを中心に受け持っている部署なんだ」
「リフォームはカスタマーではないのですか?」
「カスタマーで対応できるのは、ちょっとした修繕や作り付けの家具を設置する程度のことだ。大規模なリフォームやリノベーションはちゃんとした部署を持っている。それが第三設計部だ」
「なるほど」
第三設計部は第一・第二設計部がある5階とは違い、4階の事務部門の片隅にあった。
「失礼します! 田村部長はいらっしゃいますか?」
副社長が尋ねると、奥の方からその田村部長と思われる男性が現れた。
年のころは50代後半。髪は白髪交じりのぼさぼさで、大学の研究室にいる教授のような方だ。
「おー! 翔多、来たか!」
「ご無沙汰してます」
「やっと戻ってきたんだな。親父さんがあいつは家業を継ぐ気があるのかといつも心配していたぞ」
「ありますよ……てか、俺だって東京で真面目に会社のために働いていたんですけど?」
「まあそうだな。活躍は聞いていたよ。……で、どえらい仕事を持って帰ってきたみたいじゃないか」
どえらい仕事? 一体何のことだろう。
部長室に案内され話を聞いていると、第三設計部の田村部長は、かつて副社長が大阪本社にいた時、師として仰ぐほどお世話になった設計士さんだったそうだ。
そして、副社長が本社に戻ってきた理由の一つが、その『どえらい仕事』のためだったという。
「はい。大阪の郊外にある、柏原家のリノベーションです」
柏原家? なんだろう……聞いたことがあるような……。
「重要文化財の方か?」
そうだ! 思い出した。たしか大阪の柏原家と言えば、江戸時代から続く豪商の一族で、現在では衆議院議員を輩出している由緒正しい家柄だ。
そして大正時代に建てられた御屋敷は重要文化財に指定されていて、建築物として教科書に載るほど有名だった。
ただここは今でも柏原家の親族が住んでいるため、外観のみ公開されているだけで、内部、つまりプライベートエリアは公開されていない。
「いえ、重要文化財に指定されている本邸の方はさすがに触れません。重文に指定された年から4年にわたって補強工事と修繕工事が一通り済んでいますし、レトロな外観と内装のまま保存されています」
「なら、離れか?」
「はい。今回依頼があったのは広大な敷地内にある離れです。こちらも登録有形文化財に指定されています。重文ほどの規制はありませんが、リノベーションとなると役所への届け出は必要になってきますね」
「離れの耐震は?」
「有形に指定されたのが3年前で、その時に本邸と同様に丸高組が入ってます」
丸高組……?
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