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二章
第34話 助けですか?
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Aランク冒険者ディルディというのが必死に逃げて、僕達の町、ベータに辿り着いた。
彼を追いかけたきた豚肉こと、ギルティファングが一頭、ベータ町に向かって、全力疾走していた。
「ディルディさん。これはうちの町にギルティファングを連れ込んだテロと思っていいですね?」
「はあはあ……ちがっ……あ、あんな……ばけものだと……はあはあ」
「アレク、ここは私が捕まえてくるからね」
「分かった~、僕はディルディさんと話を付けておくよ」
町の中でブルブル震えているディルディさんに近づいた。
汗、失禁、涙に鼻水にさっきとは打って変わって、別人みたいにボロボロになっていた。
ああ~Aランク冒険者って大したことないんだね……。
昔、屋敷で暮らしていた頃、Aランク冒険者って物凄く強い人だと聞いた事あるんだけどな……。
「それでディルディさん。うちの町にギルティファングを誘導した罪は償って貰いますよ?」
「ななな、なっ、俺様は、そそそ、そんな、つもりでは……」
言葉を終えた瞬間、上空からギルティファングの頭が落ちて来た。
「ひぃいいいい!!」
ディルディは全力で走り去ってしまった。
「ああ~アイリスの所為で逃してしまったよ」
「だって――このままだとアレクが段々悪い人になっちゃいそうだったから」
「そんな事ないよ! 僕を怒らせたら大したモノだよ」
ジト目でアイリスが見つめていた。
◇
僕とアイリスは冒険者達がいた場所に向かって行った。
あ…………言うまでもなく、惨劇だった。
供養して、全てゴミとなって貰った。
ちゃんと骨は埋めてあげよう。
冒険者というだけあって装備はみんな一級品だね。
あとで、工房のブロンさんに渡しておこうかな?
十九のそれを収集し終えた時、
森の奥から僕達を睨みつける気配を感じ取った。
「アイリス、奥からヤバい気配が」
「うん。私も感じ取ったよ」
それはゆっくりとこちらに近づいてきた。
――――そして現れたのは。
「え!? 子供!?」
アイリスの声と共に、現れたのは、ギルティファング一頭と、その豚に乗った子供だった。
「嘘!? ギルティファングに人が乗るなんて……」
「ん? アレク、あの子の耳」
「ん? 尖っ……てる?」
外見は人の子供と何の違いもなかったが、耳が尖っていた。
亜人族のエルフ族かな?
しかも、ギルティファングが大人しくしている。
「お前達、最近向こうに出来た町の者だな?」
透き通った甲高い声だった。
「僕はあの町の代表のアレク、こちらは相棒のアイリス」
少年? は僕達を交合に見ると口を開いた。
「そっちの女、物凄く強いんだろう?」
「あ、私? う~ん、まあまあ強いと思うわ」
「そ、そっか、………………実は一つ、お願いがあるんだけど……」
「お願い?」
ギルティファングから飛び上がった少年は――――
そのままダイビング土下座を決めた。
「僕達の里を助けてください!!」
そう話した。
「えっと、まず事情を聞かせて貰わないと……?」
「そうだね、それと後ろで鼻息が凄いギルティファングについても教えて貰いたいね」
◇
「まず、僕の名前はシグマ、こっちのギルティファングはタロウくんだよ」
「シグマくんね?」
「うん、僕はこの更に奥にある『ダークエルフの里』から来たんだよ、今、うちの里は魔物の大軍に襲われているの、以前からこちらでギルティファングを狩っている人間達がいるって分かっていたから、助けを呼びにきたの」
「そうか、嘘ではなさそうね。助けになるかは分からないけど、手助けするよ」
「ありがとう! この奥だから今から走れば間に合うかも知れない! タロウくんに乗って!」
こうして僕は、まさかギルティファングに乗るという、人類初めての偉業を達成した事には気づかず、シグマくんに連れられ、『ダークエルフの里』に向かった。
彼を追いかけたきた豚肉こと、ギルティファングが一頭、ベータ町に向かって、全力疾走していた。
「ディルディさん。これはうちの町にギルティファングを連れ込んだテロと思っていいですね?」
「はあはあ……ちがっ……あ、あんな……ばけものだと……はあはあ」
「アレク、ここは私が捕まえてくるからね」
「分かった~、僕はディルディさんと話を付けておくよ」
町の中でブルブル震えているディルディさんに近づいた。
汗、失禁、涙に鼻水にさっきとは打って変わって、別人みたいにボロボロになっていた。
ああ~Aランク冒険者って大したことないんだね……。
昔、屋敷で暮らしていた頃、Aランク冒険者って物凄く強い人だと聞いた事あるんだけどな……。
「それでディルディさん。うちの町にギルティファングを誘導した罪は償って貰いますよ?」
「ななな、なっ、俺様は、そそそ、そんな、つもりでは……」
言葉を終えた瞬間、上空からギルティファングの頭が落ちて来た。
「ひぃいいいい!!」
ディルディは全力で走り去ってしまった。
「ああ~アイリスの所為で逃してしまったよ」
「だって――このままだとアレクが段々悪い人になっちゃいそうだったから」
「そんな事ないよ! 僕を怒らせたら大したモノだよ」
ジト目でアイリスが見つめていた。
◇
僕とアイリスは冒険者達がいた場所に向かって行った。
あ…………言うまでもなく、惨劇だった。
供養して、全てゴミとなって貰った。
ちゃんと骨は埋めてあげよう。
冒険者というだけあって装備はみんな一級品だね。
あとで、工房のブロンさんに渡しておこうかな?
十九のそれを収集し終えた時、
森の奥から僕達を睨みつける気配を感じ取った。
「アイリス、奥からヤバい気配が」
「うん。私も感じ取ったよ」
それはゆっくりとこちらに近づいてきた。
――――そして現れたのは。
「え!? 子供!?」
アイリスの声と共に、現れたのは、ギルティファング一頭と、その豚に乗った子供だった。
「嘘!? ギルティファングに人が乗るなんて……」
「ん? アレク、あの子の耳」
「ん? 尖っ……てる?」
外見は人の子供と何の違いもなかったが、耳が尖っていた。
亜人族のエルフ族かな?
しかも、ギルティファングが大人しくしている。
「お前達、最近向こうに出来た町の者だな?」
透き通った甲高い声だった。
「僕はあの町の代表のアレク、こちらは相棒のアイリス」
少年? は僕達を交合に見ると口を開いた。
「そっちの女、物凄く強いんだろう?」
「あ、私? う~ん、まあまあ強いと思うわ」
「そ、そっか、………………実は一つ、お願いがあるんだけど……」
「お願い?」
ギルティファングから飛び上がった少年は――――
そのままダイビング土下座を決めた。
「僕達の里を助けてください!!」
そう話した。
「えっと、まず事情を聞かせて貰わないと……?」
「そうだね、それと後ろで鼻息が凄いギルティファングについても教えて貰いたいね」
◇
「まず、僕の名前はシグマ、こっちのギルティファングはタロウくんだよ」
「シグマくんね?」
「うん、僕はこの更に奥にある『ダークエルフの里』から来たんだよ、今、うちの里は魔物の大軍に襲われているの、以前からこちらでギルティファングを狩っている人間達がいるって分かっていたから、助けを呼びにきたの」
「そうか、嘘ではなさそうね。助けになるかは分からないけど、手助けするよ」
「ありがとう! この奥だから今から走れば間に合うかも知れない! タロウくんに乗って!」
こうして僕は、まさかギルティファングに乗るという、人類初めての偉業を達成した事には気づかず、シグマくんに連れられ、『ダークエルフの里』に向かった。
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