能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました

御峰。

文字の大きさ
35 / 102
二章

第34話 助けですか?

しおりを挟む
 Aランク冒険者ディルディというのが必死に逃げて、僕達の町、ベータに辿り着いた。

 彼を追いかけたきた豚肉こと、ギルティファングが一頭、ベータ町に向かって、全力疾走していた。

「ディルディさん。これはうちの町にギルティファングを連れ込んだテロ・・と思っていいですね?」

「はあはあ……ちがっ……あ、あんな……ばけものだと……はあはあ」

「アレク、ここは私が捕まえてくるからね」

「分かった~、僕はディルディさんと話を付けておくよ」

 町の中でブルブル震えているディルディさんに近づいた。

 汗、失禁、涙に鼻水にさっきとは打って変わって、別人みたいにボロボロになっていた。

 ああ~Aランク冒険者って大したことないんだね……。

 昔、屋敷で暮らしていた頃、Aランク冒険者って物凄く強い人だと聞いた事あるんだけどな……。

「それでディルディさん。うちの町にギルティファングを誘導した罪は償って貰いますよ?」

「ななな、なっ、俺様は、そそそ、そんな、つもりでは……」

 言葉を終えた瞬間、上空からギルティファングの頭が落ちて来た。

「ひぃいいいい!!」

 ディルディは全力で走り去ってしまった。

「ああ~アイリスの所為で逃してしまったよ」

「だって――このままだとアレクが段々悪い人になっちゃいそうだったから」

「そんな事ないよ! 僕を怒らせたら大したモノだよ」

 ジト目でアイリスが見つめていた。



 ◇



 僕とアイリスは冒険者達がいた場所に向かって行った。

 あ…………言うまでもなく、惨劇だった。

 供養して、全てゴミとなって貰った。

 ちゃんと骨は埋めてあげよう。

 冒険者というだけあって装備はみんな一級品だね。

 あとで、工房のブロンさんに渡しておこうかな?


 十九のそれを収集し終えた時、

 森の奥から僕達を睨みつける気配を感じ取った。

「アイリス、奥からヤバい気配が」

「うん。私も感じ取ったよ」

 それはゆっくりとこちらに近づいてきた。

 ――――そして現れたのは。



「え!? 子供!?」



 アイリスの声と共に、現れたのは、ギルティファング一頭と、その豚に乗った子供だった。

「嘘!? ギルティファングに人が乗るなんて……」

「ん? アレク、あの子の耳」

「ん? 尖っ……てる?」

 外見は人の子供と何の違いもなかったが、耳が尖っていた。

 亜人族のエルフ族かな?

 しかも、ギルティファングが大人しくしている。

「お前達、最近向こうに出来た町の者だな?」

 透き通った甲高かんだかい声だった。

「僕はあの町の代表のアレク、こちらは相棒のアイリス」

 少年? は僕達を交合に見ると口を開いた。

「そっちの女、物凄く強いんだろう?」

「あ、私? う~ん、まあまあ強いと思うわ」

「そ、そっか、………………実は一つ、お願いがあるんだけど……」

「お願い?」

 ギルティファングから飛び上がった少年は――――

 そのままダイビング土下座を決めた。

「僕達の里を助けてください!!」

 そう話した。

「えっと、まず事情を聞かせて貰わないと……?」

「そうだね、それと後ろで鼻息が凄いギルティファングについても教えて貰いたいね」



 ◇



「まず、僕の名前はシグマ、こっちのギルティファングはタロウくんだよ」

「シグマくんね?」

「うん、僕はこの更に奥にある『ダークエルフの里』から来たんだよ、今、うちの里は魔物の大軍に襲われているの、以前からこちらでギルティファングを狩っている人間達がいるって分かっていたから、助けを呼びにきたの」

「そうか、嘘ではなさそうね。助けになるかは分からないけど、手助けするよ」

「ありがとう! この奥だから今から走れば間に合うかも知れない! タロウくんに乗って!」



 こうして僕は、まさかギルティファングに乗るという、人類初めての偉業を達成した事には気づかず、シグマくんに連れられ、『ダークエルフの里』に向かった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

最強付与術師の成長革命 追放元パーティから魔力回収して自由に暮らします。え、勇者降ろされた? 知らんがな

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
旧題:最強付与術師の成長革命~レベルの無い世界で俺だけレベルアップ!あ、追放元パーティーから魔力回収しますね?え?勇者降ろされた?知らんがな ・成長チート特盛の追放ざまぁファンタジー! 【ファンタジー小説大賞の投票お待ちしております!】  付与術のアレンはある日「お前だけ成長が遅い」と追放されてしまう。  だが、仲間たちが成長していたのは、ほかならぬアレンのおかげだったことに、まだ誰も気づいていない。  なんとアレンの付与術は世界で唯一の《永久持続バフ》だったのだ!  《永久持続バフ》によってステータス強化付与がスタックすることに気づいたアレンは、それを利用して無限の魔力を手に入れる。  そして莫大な魔力を利用して、付与術を研究したアレンは【レベル付与】の能力に目覚める!  ステータス無限付与とレベルシステムによる最強チートの組み合わせで、アレンは無制限に強くなり、規格外の存在に成り上がる!  一方でアレンを追放したナメップは、大事な勇者就任式典でへまをして、王様に大恥をかかせてしまう大失態!  彼はアレンの能力を無能だと決めつけ、なにも努力しないで戦いを舐めきっていた。  アレンの努力が報われる一方で、ナメップはそのツケを払わされるはめになる。  アレンを追放したことによってすべてを失った元パーティは、次第に空中分解していくことになる。 カクヨムにも掲載 なろう 日間2位 月間6位 なろうブクマ6500 カクヨム3000 ★最強付与術師の成長革命~レベルの概念が無い世界で俺だけレベルが上がります。知らずに永久バフ掛けてたけど、魔力が必要になったので追放した元パーティーから回収しますね。えっ?勇者降ろされた?知らんがな…

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

貴族に転生してユニークスキル【迷宮】を獲得した俺は、次の人生こそ誰よりも幸せになることを目指す

名無し
ファンタジー
両親に愛されなかったことの不満を抱えながら交通事故で亡くなった主人公。気が付いたとき、彼は貴族の長男ルーフ・ベルシュタインとして転生しており、家族から愛されて育っていた。ルーフはこの幸せを手放したくなくて、前世で両親を憎んで自堕落な生き方をしてきたことを悔い改め、この異世界では後悔しないように高みを目指して生きようと誓うのだった。

微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する

こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」 そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。 だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。 「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」 窮地に追い込まれたフォーレスト。 だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。 こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。 これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。

タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜

夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。 不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。 その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。 彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。 異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!? *小説家になろうでも公開しております。

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

コストカットだ!と追放された王宮道化師は、無数のスキルで冒険者として成り上がる。

あけちともあき
ファンタジー
「宮廷道化師オーギュスト、お前はクビだ」  長い間、マールイ王国に仕え、平和を維持するために尽力してきた道化師オーギュスト。  だが、彼はその活躍を妬んだ大臣ガルフスの陰謀によって職を解かれ、追放されてしまう。  困ったオーギュストは、手っ取り早く金を手に入れて生活を安定させるべく、冒険者になろうとする。  長い道化師生活で身につけた、数々の技術系スキル、知識系スキル、そしてコネクション。  それはどんな難関も突破し、どんな謎も明らかにする。  その活躍は、まさに万能!  死神と呼ばれた凄腕の女戦士を相棒に、オーギュストはあっという間に、冒険者たちの中から頭角を現し、成り上がっていく。  一方、国の要であったオーギュストを失ったマールイ王国。  大臣一派は次々と問題を起こし、あるいは起こる事態に対応ができない。  その方法も、人脈も、全てオーギュストが担当していたのだ。  かくしてマールイ王国は傾き、転げ落ちていく。 目次 連載中 全21話 2021年2月17日 23:39 更新

外れスキル【削除&復元】が実は最強でした~色んなものを消して相手に押し付けたり自分のものにしたりする能力を得た少年の成り上がり~

名無し
ファンタジー
 突如パーティーから追放されてしまった主人公のカイン。彼のスキルは【削除&復元】といって、荷物係しかできない無能だと思われていたのだ。独りぼっちとなったカインは、ギルドで仲間を募るも意地悪な男にバカにされてしまうが、それがきっかけで頭痛や相手のスキルさえも削除できる力があると知る。カインは一流冒険者として名を馳せるという夢をかなえるべく、色んなものを削除、復元して自分ものにしていき、またたく間に最強の冒険者へと駆け上がっていくのだった……。

処理中です...