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四章
第88話 新しい魔王です
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ヘルドさんの迎えが来る前日。
魔王城の前には多くの魔族が集まっていた。
そこに一人の美しい女魔族が立っている。
その姿に割れんばかりの拍手と声援と共に、泣き崩れている者も多数いた。
彼女の名はエヴァグリンデ。
元魔王だ。
彼女は『拡声器』を手にし、語り始めた。
「皆の者! まず初めに、今まで姿を見せられなかった事を詫びよう。本当にすまなかった」
深々と頭を下げる彼女に多くの魔族がその場に土下座する。
「本日報告したい事は二点あるのじゃ。一点は、見ての通り……私の怪我が完治したのじゃ!」
広場は今日一番の盛り上がりを見せた。
歓喜を表すかのように飛び跳ねている魔族もいれば、声をあげている魔族と様々な表現の仕方ではあったが、みんな喜んでいる事が伝わってくる。
「そして、二つ目の報告じゃが……ちと残念な事じゃ」
彼女の言葉に喜んでいた者達が一斉に静かになった。
「此度……このエヴァグリンデは……魔王の座から降りる事になったのじゃ」
今度はさっきとはまるで違う、この世の終わりみたいな絶望な雰囲気になった。
「これこれ、皆の者! 話は最後まで聞け! まだこの話には続きがあるのじゃ」
絶望な雰囲気のまま、魔族達が静かになり、彼女は更に続けた。
「魔族と人間が争う事になったのは……言わば、魔剣と聖剣。魔王と勇者がいたからじゃと私は思っておる。しかし、此度……その両方を手に入れた人間が現れたのじゃ! 私は……彼を信じてみようと思う! かの悪の極みであった元勇者クラフトに変わり、新たな勇者となったアレクじゃ! そして、此度、新たな魔王にも就任して貰う事になったのじゃ!!」
彼女の紹介で、僕は両手に光り輝く聖剣と禍々しい光を放つ魔剣を手にして魔族の前に立った。
不安な気持ちはまだある。
僕に何が出来るかは分からないけど、出来る限り人間と魔族の間を保てるように頑張りたいと思う。
エヴァもそれを望んで、僕に魔剣を授けてくれたのだろう?
彼女の眩しい笑顔が魔族と人間の未来を占うようだった。
そして僕は、魔族達の沢山の声援と共に、エヴァの前に平和を誓った。
◇
◆演説数時間前◆
「あ、エヴァ。そう言えば、どうして包帯は取らないの?」
「ん? アレク……お主もエロいやつじゃのう? 私のはだかがそんなに見たいのか?」
「なっ!?」
「ん!? アレク???」
ちょっ!? アイリス!? そういう事じゃないんだよ! だからまずその拳を――――痛っ!!
「あははは~悪かった悪かった~ほんと、からかいのあるバカップルじゃ!」
「うう……」
「私が包帯を巻いている理由はのう……これじゃ」
エヴァは巻かれていた包帯をはがしてくれた。
――とても、見ていられる傷ではなかった。
――「我々魔族に、あの聖剣から受けた傷は決して癒えないのじゃ」。
ふと、エヴァが会談中に話した事を思い出した。
そうか……この傷はその時に……それにしても…………治らないのか……。
今では自力で歩く事すら出来ないというのがまた……。
僕は聖剣を召喚した。
「聖剣! お前の所為でエヴァが苦しんでいるだろう! どうすればこの呪いを解けるのか教えろ!」
【ひ、ひぃ!? ご主人様!? 呪いとは一体!?】
「聖剣に傷つけられた魔族は傷が癒えないそうなんだよ」
【あ~聖なる加護によるものですね~それなら儂がいつでも解除出来ますよ!】
「んな!? だったら今すぐ解除しろ! このボケアホ聖剣が!!!」
【ひいい!! かしこまりました!!!】
痛々しいエヴァを見ていた所為か、言葉が悪くなってしまった。
エヴァを包んでいた目に見えない光の壁が、割れるのが見えた。
これが聖なる加護か……。
どうやら、魔剣ですら解除出来ない呪いらしい。
「エヴァ! この『ポーション』を飲んでくれ」
「……ああ、分かった」
エヴァは、迷わず僕が渡した『ポーション』をかぶかぶと飲んだ。
淡い光が彼女を包み、傷をみるみる癒した。
「ああ……私の身体が……治っ…………アレク……ありがとぉ……なのじゃ…………」
彼女は大きな粒の涙を流した。
魔王城の前には多くの魔族が集まっていた。
そこに一人の美しい女魔族が立っている。
その姿に割れんばかりの拍手と声援と共に、泣き崩れている者も多数いた。
彼女の名はエヴァグリンデ。
元魔王だ。
彼女は『拡声器』を手にし、語り始めた。
「皆の者! まず初めに、今まで姿を見せられなかった事を詫びよう。本当にすまなかった」
深々と頭を下げる彼女に多くの魔族がその場に土下座する。
「本日報告したい事は二点あるのじゃ。一点は、見ての通り……私の怪我が完治したのじゃ!」
広場は今日一番の盛り上がりを見せた。
歓喜を表すかのように飛び跳ねている魔族もいれば、声をあげている魔族と様々な表現の仕方ではあったが、みんな喜んでいる事が伝わってくる。
「そして、二つ目の報告じゃが……ちと残念な事じゃ」
彼女の言葉に喜んでいた者達が一斉に静かになった。
「此度……このエヴァグリンデは……魔王の座から降りる事になったのじゃ」
今度はさっきとはまるで違う、この世の終わりみたいな絶望な雰囲気になった。
「これこれ、皆の者! 話は最後まで聞け! まだこの話には続きがあるのじゃ」
絶望な雰囲気のまま、魔族達が静かになり、彼女は更に続けた。
「魔族と人間が争う事になったのは……言わば、魔剣と聖剣。魔王と勇者がいたからじゃと私は思っておる。しかし、此度……その両方を手に入れた人間が現れたのじゃ! 私は……彼を信じてみようと思う! かの悪の極みであった元勇者クラフトに変わり、新たな勇者となったアレクじゃ! そして、此度、新たな魔王にも就任して貰う事になったのじゃ!!」
彼女の紹介で、僕は両手に光り輝く聖剣と禍々しい光を放つ魔剣を手にして魔族の前に立った。
不安な気持ちはまだある。
僕に何が出来るかは分からないけど、出来る限り人間と魔族の間を保てるように頑張りたいと思う。
エヴァもそれを望んで、僕に魔剣を授けてくれたのだろう?
彼女の眩しい笑顔が魔族と人間の未来を占うようだった。
そして僕は、魔族達の沢山の声援と共に、エヴァの前に平和を誓った。
◇
◆演説数時間前◆
「あ、エヴァ。そう言えば、どうして包帯は取らないの?」
「ん? アレク……お主もエロいやつじゃのう? 私のはだかがそんなに見たいのか?」
「なっ!?」
「ん!? アレク???」
ちょっ!? アイリス!? そういう事じゃないんだよ! だからまずその拳を――――痛っ!!
「あははは~悪かった悪かった~ほんと、からかいのあるバカップルじゃ!」
「うう……」
「私が包帯を巻いている理由はのう……これじゃ」
エヴァは巻かれていた包帯をはがしてくれた。
――とても、見ていられる傷ではなかった。
――「我々魔族に、あの聖剣から受けた傷は決して癒えないのじゃ」。
ふと、エヴァが会談中に話した事を思い出した。
そうか……この傷はその時に……それにしても…………治らないのか……。
今では自力で歩く事すら出来ないというのがまた……。
僕は聖剣を召喚した。
「聖剣! お前の所為でエヴァが苦しんでいるだろう! どうすればこの呪いを解けるのか教えろ!」
【ひ、ひぃ!? ご主人様!? 呪いとは一体!?】
「聖剣に傷つけられた魔族は傷が癒えないそうなんだよ」
【あ~聖なる加護によるものですね~それなら儂がいつでも解除出来ますよ!】
「んな!? だったら今すぐ解除しろ! このボケアホ聖剣が!!!」
【ひいい!! かしこまりました!!!】
痛々しいエヴァを見ていた所為か、言葉が悪くなってしまった。
エヴァを包んでいた目に見えない光の壁が、割れるのが見えた。
これが聖なる加護か……。
どうやら、魔剣ですら解除出来ない呪いらしい。
「エヴァ! この『ポーション』を飲んでくれ」
「……ああ、分かった」
エヴァは、迷わず僕が渡した『ポーション』をかぶかぶと飲んだ。
淡い光が彼女を包み、傷をみるみる癒した。
「ああ……私の身体が……治っ…………アレク……ありがとぉ……なのじゃ…………」
彼女は大きな粒の涙を流した。
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