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リアムが魔法の訓練のために冒険者ギルドの訓練場に籠っている間に冒険者ヘイム達とエリシア達は王都で情報収集に勤しんだ。
そこで怪しい商会を見つけると、裏取引で死薬売買を突き止める。
意外にも周囲の商会から情報が漏れており、良い目で見られていないとの事。
早速得た情報から例の商会の裏取引現場に忍び込む。
王国の者と思われる者と商会の者が取引を行っていた。
死薬の取引を確認した後、相手が王国に入るのを確認した。
「王国に流れているのは分かったが、そもそも原材料が何処から出ているか見つけないといけない」
死薬の原材料となるデシール草。
その栽培地は誰にも知られる事はない。
何故なら、死薬と呼ばれている薬は本来は違う使い方をされるはずだったが、その効能から暗殺などに使える死薬と変貌したのだ。
「死薬の原産地なら私が知っています」
エリシアの言葉に全員が驚く。
原産地は王国でも知っている者が数人しかいないはずだからである。
「原産地は――――――わたくしの実家であるセイルド子爵家であります」
その言葉に全員が驚く。
「死薬は…………わたくしのお母様が開発した『モルセナ』という薬の原材料なんです。でも…………その薬は弱めないと強力な毒薬になるんです。それが皆さんも知っている死薬の正体です。本来なら…………多くの命を救うはずだったのに……」
亡き母は天才薬師であった。
より多くの命を救うために彼女が生涯を掛けて作った薬の原材料『モルセナ』。
ただどの薬も用途を間違えた劇薬に変わってしまう。
エリシアの母はずっとそれを懸念していたが、彼女が亡くなった後、彼女の望みとは違う使い方になってしまったのだ。
「『モルセナ』の栽培場所ま全て知っています。いつでも案内出来ます」
決心したエリシアを冒険者ギルドは全面的に推す事に決める。
その日から数日後。
王都にあるセイルド子爵家に大きな火事が起きた。
死者は一人もいなかったが、子爵家の敷地内の庭の中から火事は不穏な噂が流れるには十分だった。
◇
「死薬の原産地が燃えたと!? 一体どういう事だ!」
激しく怒り出す第三王子のマシューである。
「も、申し訳ございません! 厳重に守っていたのですが……」
「燃えてしまっては厳重とは言えないんだ! 隣国になんて説明すればいいのだ! …………レシピ。レシピはあるのか!?」
「それが……」
「それがなんだ!」
「レシピは娘のエリシアしか場所が分からず……」
「エリシアだ!? なぜそこでエリシアが出てくる!?」
「薬学は全てエリシアの母の物でしたので…………」
「ふ、ふざけるな! なぜそんな大事な事を言わなかったんだ!」
「こんなことになるとは思わず…………」
怒るマシュー王子にセイルド子爵の震えが止まらない。
「殿下~そんな薬なんてなくても~」
ふと隣で見守っていた娘のセーナがそう話しかける。
「ふざけるな! これで隣国からの援助が貰えなくなる所か、戦争になりかねないんだぞ! 今すぐエリシアの部屋からレシピを探して来い!」
怒るマシューにセーナとセイルド子爵は逃げるように屋敷に戻って行った。
この火事を境に、第三王子マシューとセイルド子爵家の歯車が狂い始める。
そこで怪しい商会を見つけると、裏取引で死薬売買を突き止める。
意外にも周囲の商会から情報が漏れており、良い目で見られていないとの事。
早速得た情報から例の商会の裏取引現場に忍び込む。
王国の者と思われる者と商会の者が取引を行っていた。
死薬の取引を確認した後、相手が王国に入るのを確認した。
「王国に流れているのは分かったが、そもそも原材料が何処から出ているか見つけないといけない」
死薬の原材料となるデシール草。
その栽培地は誰にも知られる事はない。
何故なら、死薬と呼ばれている薬は本来は違う使い方をされるはずだったが、その効能から暗殺などに使える死薬と変貌したのだ。
「死薬の原産地なら私が知っています」
エリシアの言葉に全員が驚く。
原産地は王国でも知っている者が数人しかいないはずだからである。
「原産地は――――――わたくしの実家であるセイルド子爵家であります」
その言葉に全員が驚く。
「死薬は…………わたくしのお母様が開発した『モルセナ』という薬の原材料なんです。でも…………その薬は弱めないと強力な毒薬になるんです。それが皆さんも知っている死薬の正体です。本来なら…………多くの命を救うはずだったのに……」
亡き母は天才薬師であった。
より多くの命を救うために彼女が生涯を掛けて作った薬の原材料『モルセナ』。
ただどの薬も用途を間違えた劇薬に変わってしまう。
エリシアの母はずっとそれを懸念していたが、彼女が亡くなった後、彼女の望みとは違う使い方になってしまったのだ。
「『モルセナ』の栽培場所ま全て知っています。いつでも案内出来ます」
決心したエリシアを冒険者ギルドは全面的に推す事に決める。
その日から数日後。
王都にあるセイルド子爵家に大きな火事が起きた。
死者は一人もいなかったが、子爵家の敷地内の庭の中から火事は不穏な噂が流れるには十分だった。
◇
「死薬の原産地が燃えたと!? 一体どういう事だ!」
激しく怒り出す第三王子のマシューである。
「も、申し訳ございません! 厳重に守っていたのですが……」
「燃えてしまっては厳重とは言えないんだ! 隣国になんて説明すればいいのだ! …………レシピ。レシピはあるのか!?」
「それが……」
「それがなんだ!」
「レシピは娘のエリシアしか場所が分からず……」
「エリシアだ!? なぜそこでエリシアが出てくる!?」
「薬学は全てエリシアの母の物でしたので…………」
「ふ、ふざけるな! なぜそんな大事な事を言わなかったんだ!」
「こんなことになるとは思わず…………」
怒るマシュー王子にセイルド子爵の震えが止まらない。
「殿下~そんな薬なんてなくても~」
ふと隣で見守っていた娘のセーナがそう話しかける。
「ふざけるな! これで隣国からの援助が貰えなくなる所か、戦争になりかねないんだぞ! 今すぐエリシアの部屋からレシピを探して来い!」
怒るマシューにセーナとセイルド子爵は逃げるように屋敷に戻って行った。
この火事を境に、第三王子マシューとセイルド子爵家の歯車が狂い始める。
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